Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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やっと映画編第二部が完結です!
次回ぐらいにマシュの出生の秘密で六月から第六特異点の話を始められると思います。


ナンバーズ171 遊☆戯☆王ZEXAL 第二部・第三章『滅びゆく三つの世界!ZEXAL VS No.96(後編)』

世界を股にかけた七つの遺跡のナンバーズを巡る大冒険を終えた遊馬達だが、璃緒は意識を失ったまま再び病院送りとなって入院となってしまった。

 

アストラルは海底神殿で見た記憶から凌牙と璃緒の正体について考えていたが、突如胸に大きな痛みが走り、アストラル世界に何か異変が起きたと気付き、寝ていた遊馬をすぐに起こした。

 

ニュースを見ると火山の噴火やオーロラの出現に南の島に氷山が流れ込むなどの異常現象が世界各地で発生し、まるで世界の終焉のような事態となっていた。

 

アストラルは人間界の異変はアストラル世界と何か関係があると感じ取り、何か大きな力が蠢いていると推測した。

 

遊馬は小鳥と合流して外を歩いていると凌牙の事を考えていた。

 

海底神殿の遺跡の後から様子がおかしく、璃緒が意識不明の事を含めて何か考え込んでいると感じていた。

 

海底神殿で判明した凌牙と璃緒の真実……その事を知っているアストラルはそれを遊馬に話すべきか考えていた。

 

「遊馬。シャークはいずれ、君に重大な相談をしてくるかもしれない」

 

「えっ!?なんだよ、それって……」

 

「彼が自分から話さないのなら、今何を言っても仕方のない事だ」

 

「仕方ないって、あいつなんか悩んでるのか?だったら、遠慮しないで話せばいいのによ……」

 

「それが、例え君に大きな苦しみをもたらす結果になってもか?」

 

「当たり前だ!だって仲間じゃねえか!」

 

「仲間……」

 

遊馬の仲間を信じる気持ちにアストラルは考え込んだその時、バイクに乗った凌牙が焦った様子で駆けつけた。

 

無事かと言われて何のことかわからない遊馬だったが、すると突然空から触れると痛みが走る謎の黒い雪のようなものが降り注いだ。

 

『ガハハハ!ハハハハハ!!』

 

突如空から不気味な笑い声が響き、強大な力が広がっていた。

 

暗雲から無数の雷が降り注ぎ、風が吹き荒れる中……謎の力によって遊馬達は自由を奪われながら宙に浮いて暗雲の中に引き込まれてしまった。

 

その際に異常現象を調査していて近くにいたカイトとオービタル7も巻き込まれてしまった。

 

遊馬達が辿り着いたところはサルガッソと同じ異世界空間で周囲を赤い結晶の山に囲まれた小さな決闘場だった。

 

そして、遊馬達をここに招き入れた者は……。

 

「フハハハハッ!会いたかったぞ、遊馬。そして、アストラル!」

 

「No.96!」

 

悲鳴の迷宮でベクターから貰ったバリアンズ・フォースのカオスの力をその身に取り込んでムキムキボディと翼を手に入れたNo.96だった。

 

No.96は遊馬とアストラルだけを呼び寄せようとしたが、小鳥と凌牙とカイトも一緒に巻き込んで連れてきてしまったが、凌牙とカイトのナンバーズも後で手に入れる予定なので好都合だった。

 

「No.96、今起きている異変は君の仕業か?」

 

「その通りだ。見るがいい……!」

 

No.96が決闘場にある映像を映し出した。

 

それはアストラル世界がカオスの力で攻撃を受けているものだった。

 

「アストラル世界だけではない。今や俺の力はバリアン……そして、人間世界まで影響を及ぼす」

 

「君はアストラル世界を破壊しようと言うのか!?」

 

「そうだ、跡形もなく消し去るつもりだ」

 

「そんな……お前にとってアストラル世界は故郷じゃねえのかよ!?」

 

「だからこそ、消し去る。神である俺に故郷など必要ない」

 

No.96はアストラルの一部で故郷であるはずのアストラル世界を滅ぼそうとしていた。

 

それは元々考えていたことかカオスの力でその考えに至ったのか不明だが、No.96は神として全ての世界を滅ぼそうとしていた。

 

その手始めに遊馬とアストラルとデュエルを行い、全ての因縁に決着をつけようとしていた。

 

No.96は己の中に取り込んで強化したカオスの力でバリアンズ・スフィア・フィールドを作り出して自分と遊馬とアストラルを閉じ込めた。

 

それだけではなく上空から落雷を落として遊馬とアストラルにダメージを与えていくと言う卑怯な行いをし、小鳥はずるい、正々堂々と戦えと非難する。

 

「あんの屑霧野郎……デュエルで正々堂々と戦いなさいよ!」

 

卑怯な事をするNo.96にレティシアは小鳥と同じように怒りに震えていた。

 

「遊馬、このデュエル……勝つぞ!」

 

「おうっ!」

 

遊馬とアストラルはNo.96の卑怯な行いにも屈せずに立ち上がり、デュエルディスクとD・ゲイザーをセットしてNo.96との最後のデュエルに挑む。

 

No.96は初手から前回のデュエルと同じマリスボラスモンスターを繰り出してから分身の『No.96 ブラック・ミスト』をエクシーズ召喚すると、更にバリアンズ・フォースを発動して『CNo.96 ブラック・ストーム』をエクシーズ召喚した。

 

初手から切札を出したNo.96に対抗し、遊馬も初手から希望皇ホープをエクシーズ召喚し、ヌメロン・フォースを発動して『CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー』をエクシーズ召喚する。

 

ヌメロン・フォースとホープレイ・ヴィクトリーのコンボで攻撃すればNo.96に大ダメージを与えられるが、No.96は遊馬の手を読んでいた。

 

罠カード『カオス・クロス』でホープレイ・ヴィクトリーのオーバーレイ・ユニットを全て墓地に送り、デッキからフィールド魔法を手に入れ、更にこのターンにホープレイ・ヴィクトリーは攻撃出来ない。

 

No.96は遊馬とアストラルの対策を立てていき、先程手札に加えたフィールド魔法からかつてないほどの強力な一手を繰り出す。

 

「俺は手札からフィールド魔法『カオス・フィールド』を発動!」

 

それはNo.96が究極のフィールドと称する最強のカードだった。

 

「このカードは1ターンに一度、自分フィールドのカオス・ナンバーズのカオス・オーバーレイ・ユニットを一つ墓地に送り、相手のエクストラデッキからランダムに選択したナンバーズ1体をモンスター効果を無効にして、自分フィールドに特殊召喚出来る!」

 

カオス・フィールドは神のフィールド……遊馬とアストラルの心身にダメージを与え、更にアストラルからナンバーズを奪う凶悪な効果を持つ。

 

「それでは貴様のナンバーズを頂くぞ!俺はブラック・ストームのカオス・オーバーレイ・ユニットを墓地に送り、お前のエクストラデッキからナンバーズを貰う!」

 

No.96はアストラルからナンバーズを強制的に奪い取ると、そのナンバーズを見て不敵な笑みを浮かべた。

 

「フッ、解放しろ、怒りを!現れろ!『No.69 紋章神コート・オブ・アームズ』!!」

 

No.96がアストラルから奪ったのはトロンの怒りの化身であるコート・オブ・アームズだった。

 

しかし、カオス・フィールドの効果はそれだけではなかった。

 

「相手のエクストラデッキから奪ったナンバーズを一つ上のランクのカオスナンバーズに進化させる」

 

相手のナンバーズを奪うだけでなくカオス・ナンバーズにランクアップするという強大な効果を持っているのだ。

 

「俺はコート・オブ・アームズでオーバーレイ・ネットワークを再構築!カオス・エクシーズ・チェンジ!現れろ!『CNo.69 紋章死神カオス・オブ・アームズ』!!」

 

カオス化したことで更に禍々しさが増したカオス・オブ・アームズはエクシーズキラーとしての効果は健在で、相手モンスターの攻撃力と効果を得る効果を発動させて、希望皇ホープレイ・ヴィクトリーに攻撃する。

 

遊馬は罠カード『ナンバーズ・マジック・マスター』で希望皇ホープレイ・ヴィクトリーをリリースしてデッキから永続魔法『炎の護封剣』を発動して攻撃を封じた。

 

引いたカードを見て遊馬はアストラルのアドバイスで仕掛けずに様子を見ることにし、そのカードをセットする。

 

No.96はもう一度カオス・フィールドの効果を発動し、ブラック・ストームのカオス・オーバーレイ・ユニットを使ってアストラルからもう一枚のナンバーズを奪って呼び出す。

 

「偽りの骸を捨て、神の龍となりて現れよ!『No.92 偽骸神龍Heart-eartH Dragon』!!」

 

コート・オブ・アームズに続いて現れたのはDr.フェイカーの最強のナンバーズ、Heart-eartH Dragonだった。

 

更にカオス・フィールドの効果でHeart-eartH Dragonをカオス化させる。

 

「現れろ!『CNo.92 偽骸虚龍 Heart- eartH Chaos Dragon』!!」

 

カオス・オブ・アームズと同じく禍々しさが増し、それは神の龍と言うよりも邪悪な骸の龍へと変貌した姿となった。

 

今ここにかつて遊馬とアストラルを苦しめ強敵、トロンとDr.フェイカー……二人のナンバーズがカオスナンバーズとして復活して再び立ち塞がるのだった。

 

「そんな……トロンさんとDr.フェイカーさんとNo.96のカオスナンバーズがこんな簡単に揃うなんて……」

 

マシュは凶悪なカオスナンバーズが勢揃いしたことに冷や汗をかいて顔を真っ青になる。

 

今のNo.96が展開した布陣はデュエル初心者でもわかるほどの恐ろしいものである。

 

Heart- eartH Chaos Dragonは相手フィールドの全てのカード効果をターンの終わりまで無効にしてセットカードを封じる効果を持ち、遊馬の炎の護封剣とセットカードが凍りついて使えなくなってしまう。

 

遊馬の守りは崩され、No.96は勝利を確信したように不気味な笑みを浮かべた。

 

ブラック・ストーム、カオス・オブ・アームズ、Heart- eartH Chaos Dragon……三体の最凶カオス・ナンバーズの攻撃が遊馬とアストラルに迫る。

 

絶体絶命の状況……そんな中、遊馬は不思議な光景が頭に過ぎる。

 

それは夕暮れ時に広場で遊馬とアストラルが待ち合わせをしていた。

 

「いやー、悪い悪い、遅れちまって」

 

「また補習か?」

 

「ち、違えよ!今日先生がどうしてもわからねえところを教えてくれるって言うから……」

 

「それを補習と言うんだ」

 

「なっ!?ぷっ、ははは!」

 

「あははははっ!」

 

いつものような日常的な会話をした後、遊馬とアストラルはデュエルをする。

 

「「デュエル!」」

 

「遊馬。君に会えて本当に良かった」

 

「な、なんだよ、いきなり。そんな本当のことを言われちまったら……」

 

「遊馬、ナンバーズを頼んだぞ」

 

「アストラル……?」

 

まるで走馬灯のような光景は幻覚で遊馬の意識は元に戻り、No.96と対峙する。

 

No.96は三体のカオスナンバーズで一斉攻撃を仕掛ける。

 

炎の護封剣とセットカードを封じられた遊馬だが、遊馬にはまだ手札が残されていた。

 

相手の攻撃宣言時に手札から特殊召喚出来る遊馬の頼れる盾、『ガガガガードナー』呼び出してダイレクトアタックを阻止した。

 

更にはガガガガードナーの効果で墓地に送った『タスケルトン』の効果でガガガガードナーの破壊を無効にして戦闘ダメージをゼロにすることでなんとかギリギリライフポイントを守り切ったがカオス・フィールドで遊馬とアストラルに多大なダメージが与えられる。

 

No.96はこのターンで仕留められなかったことに舌打ちしたが、Heart- eartH Chaos Dragonの効果で遊馬に与えたダメージ分ライフポイントを回復し、一気に7500となって大きな差を広げた。

 

「ぐっ……俺たちは絶対に負けねえ!俺とアストラルの絆の力を!お前に見せてやる!かっとビング、だ……」

 

遊馬はカオスナンバーズ達の攻撃によって心身共に大きなダメージを受け、遂に限界が来てその場で倒れてしまった。

 

「遊馬、君はよく戦ってくれた。少し休め!」

 

「何を言ってやがる……俺、全然、大丈夫……ぐうっ……」

 

「遊馬……後は私に任せてくれ!」

 

アストラルは遊馬のデュエルを引き継ぎ、デュエルディスクを顕現させて遊馬のデッキを自分のにセットする。

 

「遊馬、君はいつも諦めない心。そして、振り向かず、真っ直ぐに進む意思を持って歩み続けている。信じたものへ向かって」

 

「アストラル……」

 

「遊馬、どのような形になっても、私達は共に戦っている。さあ、No.96!私が相手だ!」

 

アストラルはNo.96と対峙し、No.96はアストラルの言葉を否定する。

 

「下らん。何が諦めない心、真っ直ぐ進む意思だ。アストラル世界によく似ている……ほんの僅かな悪意の染みで崩壊する脆弱な世界。その証拠にこの俺が今や、アストラル世界はおろか、バリアンや人間世界も崩壊させようとしている。そうだ……俺は神という存在なのだ!貴様はここで消滅する!」

 

No.96は永続魔法『ナンバーズ・カルマ』を発動してフィールドにナンバーズがいないプレイヤーはターン終了時に500ポイントのダメージを与える効果でアストラルを追い詰める。

 

ナンバーズ・カルマは明らかにアストラルがナンバーズを呼び出させるための思考の誘導。

 

「そうだったな、遊馬。私のターン、ドロー!常に前を向いて、迷わずにデュエルだ!」

 

アストラルは遊馬のように迷いを捨て、突き進むデュエルで戦う。

 

Heart- eartH Chaos Dragonの効果で封じられていた罠カード『ナンバーズ・リターン』を発動し、墓地からナンバーズを復活させる。

 

墓地にはNo.96が召喚したコート・オブ・アームズとHeart- eartH Dragonが存在する。

 

凌牙とカイトとNo.96は強力なナンバーズであるどちらかを選ぶと推測するが、アストラルの選択は……。

 

「私が呼び出すのは、希望皇ホープだ!」

 

希望皇ホープを復活させ、コート・オブ・アームズとHeart- eartH Dragonを希望皇ホープのオーバーレイ・ユニットにする。

 

No.96はアストラルが希望皇ホープを選択したことを馬鹿にしたが、希望皇ホープの復活に応えるように遊馬の意識が呼び覚まされる。

 

「ホープは……アストラルと俺の、最初の絆だ!どんなやべぇデュエルの時でも、いつも必ずホープがいた。ホープは俺たちと一番長く一緒に戦ってきた、希望の仲間なんだ!だから俺たちは、信じるんだ!!」

 

遊馬が共に戦ってきた希望皇ホープへの強い信頼の言葉を述べ、その想いに応えるように希望皇ホープは金色の輝きを放つ。

 

「愚かな!その信じると言う安っぽい感情は嫉妬や猜疑心、憎しみを生み、そして裏切りを生む!個々の存在という煩わしく、面倒なものを消し去り、ただ神である俺だけがいればいい!それこそが理想の世界なのだ!」

 

No.96は人間の心の全てを否定して最悪な自己中心的で無茶苦茶な理想を語るが、一人だけその理想に共感する者がいた。

 

「……永遠の孤独か」

 

それはアルジュナだった。

 

生前の出来事から永遠の孤独を望むアルジュナは本来なら相入れないはずのNo.96の理想に少しだけ共感してしまったのだ。

 

しかし、No.96の理想を遊馬は真っ向から堂々と否定し、己の理想を語る。

 

「下らねえ……下らねえよ!そんな理想の世界なんていらねえ!みんなバラバラで、色んな奴がいるからいいんだ!そりゃ、失敗や間違いだってするさ。でも、間違ったら誰かが教えてやればいいんだ。その為に友達が、仲間がいるんじゃねえか!仲間がいて、一つになって、そんで二倍も三倍もすっげぇ力が生まれるんだ。みんなで生きてるから楽しいんだ。おもしれぇんじゃねえのかよ!!」

 

遊馬は仲間がいるから生きていける。

 

たとえ間違っても友達と仲間がいればやり直せる。

 

一人では小さな力でも、仲間とその力を一つに合わされば大きな力になる。

 

そして、みんなと一緒にいるからこそ楽しく、面白く生きられると強く宣言する。

 

「……やっぱり、敵わないな……マスターには」

 

アルジュナは遊馬の強い心を持つ言葉に感嘆のため息を吐いた。

 

アストラルは遊馬の言葉に励まされ、遊馬と最後のターンに挑む。

 

「遊馬。二人で決着をつけるぞ」

 

「アストラル……」

 

「ZEXALだ」

 

「ああ、行くぜ!」

 

「「かっとビングだ!」」

 

遊馬とアストラルの絆の力が最高潮に高まり、二人から金色の聖なる輝きが放たれる。

 

「俺は俺自身と!」

 

「私で!」

 

「「オーバーレイ!」」

 

遊馬とアストラルは異世界空間であるここでオーバーレイを行い、それぞれ赤と青の光となって飛ぶ。

 

「俺たち二人で、オーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

「真の絆で結ばれし二人の心が重なった時、語り継ぐべき奇跡が現れる!」

 

「「エクシーズ・チェンジ!ZEXAL!」」

 

二つの光が一つに重なり、遊馬とアストラルの肉体と精神が合体して奇跡の英雄・ZEXAL IIが降臨する。

 

「ZEXALだと?だが、今から何をしても遅い!」

 

「いや、仲間の絆は必ずお前を打ち砕く!行くぞ、希望皇ホープよ!カオス・エクシーズ・チェンジだ!現れろ、CNo.39!混沌を光に変える使者、『希望皇ホープレイ』!!」

 

ZEXAL IIは希望皇ホープをエクシーズ素材にし、希望皇ホープレイを呼び出す。

 

しかし、No.96は罠カード『ナンバーズ・デス・ロック』で希望皇ホープレイを鎖で縛り上げて攻撃と効果を封じ、このターンの終わりに破壊されて攻撃力分のダメージをZEXAL IIに与える。

 

だが、No.96がナンバーズを呼び出した時の罠をセットしていたのは想定内でZEXAL IIは魔法カード『エクシーズ・トレジャー』を発動してフィールドのモンスターエクシーズの数×1枚ドローする効果でデッキから4枚のカードをドローする。

 

「最強デュエリストのデュエルは全て必然。ドローカードさえもデュエリストが創造する!シャイニング・ドロー!!」

 

ZEXAL IIはシャイニング・ドローで創造した4枚のカードに全てを賭けた。

 

まずは魔法カード『希望の鼓動』でホープモンスターは相手効果を受けない効果と発動しているカード効果を無効にして破壊する効果を与え、ナンバーズ・デス・ロックの呪縛を打ち破る。

 

効果を使えるようになった希望皇ホープレイの効果で三つのオーバーレイ・ユニットを全て使って攻撃力を4000まで上昇させて、カオス・オブ・アームズの攻撃力を一気に3000ポイント下げる。

 

「ここからだ!俺は『ZW - 極星神馬聖鎧』を召喚!」

 

ZEXAL IIは新たなるゼアルウェポン、北欧神話のオーディンが騎乗したとされる伝説の馬を模した神馬を召喚して希望皇ホープレイに装備する。

 

希望皇ホープレイは極星神馬聖鎧の背に乗り、攻撃力を1000ポイントアップする。

 

更にZEXAL IIは速攻魔法『オーバーテイク・サモン』でブラック・ストームのカオス・オーバーレイ・ユニットを奪って手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する。

 

「行くぜ!俺は手札から『ZW - 阿修羅副腕』を特殊召喚!」

 

ZEXAL IIは六つの腕を持つ仏教の守護神、阿修羅を模したゼアルウェポンを特殊召喚して希望皇ホープレイに装備する。

 

四つの腕を持つ希望皇ホープレイに新たな六つの腕とホープ剣に新たな力を与えた。

 

阿修羅副腕の効果で攻撃力を1000ポイントアップし、更に相手モンスター全てに攻撃することが出来る。

 

これにより、希望皇ホープレイの攻撃力6000による怒涛の三回攻撃が可能となった。

 

No.96は最後の罠カード『カオス・アライアンス』を発動して全てのカオスナンバーズの攻撃力を一番攻撃力の高いモンスターと同じにする。

 

「ホープ剣・アシュラ・ディバイダー!!」

 

希望皇ホープレイのホープ剣でHeart- eartH Chaos Dragonとカオス・オブ・アームズの二体を斬り裂き、No.96に大ダメージを与える。

 

そして、最後に残ったブラック・ストームだが、ブラック・ストームは破壊された時に発生するダメージは互いに受ける効果がある。

 

しかし、同じ手を二度も食わないと極星神馬聖鎧の効果で希望皇ホープレイの攻撃力をブラック・ストームと同じにして二体同時に相打ちで戦闘ダメージをゼロにした。

 

フィールドのモンスターが全滅し、No.96の発動しているナンバーズ・カルマでこのターンの終わりにナンバーズのいないZEXAL IIは500のダメージを受けて敗北する。

 

「詰めを誤ったな!」

 

No.96は今度こそ自分の勝利を確信した。

 

「……まだ俺のターンは終わっていない」

 

「何!?」

 

ZEXAL IIのフィールドのカードは無く、手札もゼロ……しかし、ここまでの状況を全て想定していたZEXAL IIは極星神馬聖鎧の最後の効果を発動させる。

 

「「極星神馬聖鎧の効果発動!装備したモンスターが破壊された時、墓地の希望皇ホープを特殊召喚できる!現れろ、希望皇ホープ!」」

 

墓地から極星神馬聖鎧の効果を受けてその身を太陽のように金色に輝かせ、両手にホープ剣を構えた希望皇ホープが復活した。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「言ったはずだ。俺たちの希望が必ず勝利に導くとな!」

 

「この俺が、神が、負けるのか!?」

 

「「行け!希望皇ホープ!!No.96にダイレクトアタック!ホープ剣・ラグナカイザー・スラッシュ!!」」

 

希望皇ホープの全てを込めた最後の攻撃がNo.96に直撃し、遂にZEXAL IIはNo.96に勝利した。

 

勝利したZEXAL IIは既に満身創痍でその場に膝をつく。

 

勝利に安心した……しかし、まだNo.96の憎悪が消えたわけではなかった。

 

「負けた……神であるこの俺が……?……あるわけない、俺が負けるはずがない!」

 

敗北を認めないNo.96は最後の悪足掻きに出た。

 

「アストラル!!貴様が勝ったと言うなら、この俺を、その体の中に受け止めてみろ!!!」

 

No.96は自らをエネルギー体にしてZEXAL IIに向けて突撃する。

 

「遊馬!」

 

アストラルは遊馬を守る為にZEXAL IIの合体を解除して遊馬を突き飛ばす。

 

「ぐあっ!?」

 

次の瞬間……鋭い槍のような形となったNo.96がアストラルの胸に突き刺さった。

 

「アストラル!」

 

「来るな!来てはいけない!」

 

「アストラル……貴様にアストラル世界は救えない。俺は神、神なのだ!」

 

膨大なカオスの力を宿したNo.96がアストラルの中に入り込み、アストラルの力とカオスの力が拒絶反応を起こして決闘場が崩壊する。

 

「アストラル!!!」

 

「全てを……全てを消し去ってやる!お前も、お前の仲間も、全てを!!」

 

「いけない、このままでは……」

 

アストラルはこのままでは自分のみならず遊馬や小鳥達を消滅させてしまうと察知する。

 

「遊馬……うぉおおおおおーっ!!!」

 

アストラルは遊馬を守る為、己の中にある全てを力を掛けてNo.96を消し去る。

 

そして、カオスの力を極限まで押さえ込みながら……自爆するのだった。

 

「アストラル……おい、アストラル!!」

 

遊馬はアストラルに駆け寄るが、アストラルの姿が点滅しながら消えかかっていた。

 

自爆することでカオスの力を抑え、決闘場に大きな穴が空く程度で済んだ。

 

「アストラル……」

 

「遊馬、無事だったか……」

 

「馬鹿野郎!無茶しやがって!何でZEXALを解いたんだ!?」

 

「君を巻き込むわけにはいかない」

 

「なんでだよ!仲間だろ!?」

 

「仲間か……そう、君はかけがえのない仲間だから。君には繰り返し教えられたな。仲間の大切さ、仲間を信じる心」

 

アストラルは遊馬と初めて出会った時から仲間の大切さと仲間を信じる心を何度も繰り返し教えられ、その心に刻んだことを思い出していた。

 

「お別れだ、遊馬」

 

「えっ!?」

 

「ナンバーズを頼んだぞ」

 

アストラルは希望皇ホープを始めとする所有する全てのナンバーズを遊馬に託した。

 

「な、何でだよ、どう言うことだよ……ふざけんじゃねぇよ!なんでお別れなんだよ!俺、嫌だよ、別れるなんて!」

 

遊馬は涙を流してアストラルと別れるのを拒んだが、アストラルの足先から徐々に消滅していく。

 

アストラルはNo.96とカオスの力を消し去る為に己の全ての力を使い切ってしまい、消滅してしまうのだ。

 

「待てよ、アストラル!アストラル!!」

 

安らかな笑みを浮かべたアストラルは遊馬に向けて手を伸ばす。

 

「どこにも行かないでくれよ!おい、アストラル!!」

 

遊馬も手を必死に伸ばしたが、その手はアストラルに届かない。

 

「ありがとう」

 

二人の手は重なることなく、アストラルは無数の光の粒子となって決闘場の穴の下……異次元へと落ちていった。

 

「アストラル!!!」

 

遊馬の首からかけていた皇の鍵がまるで遊馬とアストラルとの繋がりが断ち切られたかのように紐が切れ、アストラルの後を追うように異次元へと落ちてしまった。

 

そして、アストラルは完全に消える前に最後の力で遊馬達全員を異世界の決闘場から人間界の元いた広場へと送り届けた。

 

小鳥は涙を流し、凌牙とカイトは拳を握りしめて悲しみに耐えた。

 

「アストラル……アストラル!!!」

 

遊馬はアストラルと皇の鍵を失い、二度と会うことの出来ない悲しみに嘆き、アストラルの名を叫ぶように呼ぶのだった。

 

No.96との長きに渡る因縁の戦いは終わった。

 

しかし、その代償として遊馬は相棒のアストラルと宝物である皇の鍵を同時に失ってしまった。

 

遊馬はこれほどにまでないほどの絶望の底へと叩き落とされてしまい、希望の光に闇が迫ろうとしていた。

 

そして……遊馬とアストラルの戦いの物語は遂に最終章へと突入する。

 

そこで映像が終わり、食堂全体の電気が付く。

 

「……え?そんな……まさか、ここで……?」

 

「フォウ……?」

 

マシュとフォウは呆然とし、微妙な空気が広がる中、ダ・ヴィンチちゃんは気不味そうな表情で発表する。

 

「えーっと、これで映画の第二弾の上映は終了!第三弾をお楽しみに♪」

 

「「「えーっ!??」」」

 

「ドフォーウ!?」

 

まさかのアストラル死亡と言う衝撃的なラストからのお預けにブーイングがあちこちから飛び交う。

 

「し、仕方ないじゃないか!上映時間とかその他諸々で切るタイミングはあそこしかなかったんだ!あっ、や、やめるんだ!人に向けて物を投げるのはいけないよ!?」

 

ダ・ヴィンチちゃんは申し訳なさそうに言うが、あまりにも気になる終わり方に物を投げる者もいた。

 

「お兄ちゃん、アストラルさんをどうやって助けたの!?」

 

「アストラルさん!胸の傷は大丈夫なのですか!?」

 

桜と凛は遊馬とアストラルに駆け寄って映画の続き……アストラルはどうやって助かったのか気になって聞こうとした。

 

「えっと……教えてあげたいところだけど……」

 

「こういうものはネタバレは禁止だ。次の映画まで気長に待ってくれ」

 

「「えーっ!?」」

 

ネタバレをしてはいけないと遊馬とアストラルは口を固く閉し、桜と凛はガーン!とショックを受ける。

 

「教えてよー!」

 

「お兄様とアストラルさんのケチ!」

 

頬を膨らませて不機嫌になる桜と凛はポカポカと遊馬を叩きながら不満を言う。

 

「ご、ごめんって……でも、心配するなよ。この後に絶望からの大逆転劇があるからさ!」

 

遊馬は苦笑いを浮かべながら二人を落ち着かせる。

 

色々と不満はあったが、次の映画で最終章ということもあるので、みんなにはひとまず我慢してもらった。

 

次の映画が上映されるまで前作を見直したり、これまでの経緯をまとめたりして待つことになるのだった。

 

 

 




マシュ「え、えぇーっ!?凌牙さんと璃緒さんがバリアン七皇!?確かにお二人は遊馬君とはまた違った不思議な力を持っていましたが……そして、アストラルさんが遊馬君を庇って……」

ジャンヌ「そんな……お二人がバリアンなら、いずれ遊馬君と……」

レティシア「え?アストラルが、死んだ……?いやいや、どうやって復活させたのよ!?」

桜「お兄ちゃん、大丈夫かな……目の前でアストラルを失って……」

ブーディカ「アストラルとドルベの話から互いに憎しみの感情は感じられなかった。それなのに何故アストラル世界とバリアン世界は争っているの?」

ネロ「ふむ……互いに戦う本当の意味も知らずに争っている。確かにユウマのくだらないことで戦うなという意見には一理あるが、難しいものだな……」

清姫「ああ、旦那様……世界はどれだけ旦那様を苦しめれば気が済むのでしょうか。とりあえず、その一端であるミストラルさんを燃やしましょうか?」

ラーマ「リョウガとリオ……もしや、あの二人は何度も転生を繰り返しているのか……?」

シータ「一体あのお二方に何が起きたのでしょうか……?」

アルジュナ「まさか私があんな邪悪な者と同じ共感を持つとは……しかし、マスターの言葉は相変わらず心に響きますね」

カルナ「マスターの人生と戦いはオレ達英霊と同じように波瀾万丈だな。だが、命を失ったアストラルをマスターはどうやって取り戻すのか……マスターの次の行動と奇跡に期待だな」

式「そう言えば前に一度アストラルは死んだって言ってたな。胸の傷は遊馬を庇った時のか……」

アルトリア「何だか色々と状況が複雑に重なり合って訳がわからなくなってきましたね……これはまた映画を初めから見直さないといけませんね」

エミヤ「シリーズものの映画のパンフレットに記載されている時系列や相関図などをまとめたのを用意したいな」




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