Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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ライオ・ホープレイにホープドラグナー……やばいです!新たな希望皇の登場にワクワクが止まりません!
今後の特異点やラスボスで活躍できそうな希望皇が出てきてどれを出そうかマジで悩みます。


ナンバーズ169 遊☆戯☆王ZEXAL 第二部・第二章『遺跡のナンバーズを目指せ!繋がる真実への扉(後編)』

悲鳴の迷宮から脱出した遊馬達は次の遺跡に向かった。

 

三番目の遺跡があるのは今までの二つの遺跡とは異なり、大都市の中にある。

 

その都市の名はスパルタンシティ。

 

かなり賑わっており、到着するなり小鳥と璃緒はウキウキ気分でショッピングをして新しい服を着ていた。

 

「おお、あのスパルタンシティ……分かる、分かるぞ、あれは間違いなくローマだ!」

 

「ローマァアアアア!!」

 

「ふむ、あそこは間違いなくローマだな!」

 

「──ローマである!!!」

 

歴代ローマ皇帝達のネロ、カリギュラ、カエサル、ロムルスはスパルタンシティがローマであると確信し、興奮して大騒ぎをする。

 

スパルタンシティはイタリアにあるので確かにローマと言っても間違ってはいない。

 

街を歩いていると遊馬は空中スクリーンに流れている映像が目に留まった。

 

それはスパルタンシティで行われているデュエルトーナメントの宣伝で出場しているデュエリストはどれも見た目からして濃そうなキャラが並ぶ中、遊馬はその中にいる一人に驚いていた。

 

謎の最強覆面デュエリスト、その名はゴーシュ・ザ・スターマン。

 

目元を星型の仮面を付けていて一瞬誰だか分からなかったが、その名前と鍛え抜かれた肉体でカイト達も誰だかすぐに気付いた。

 

遊馬達は急いでスパルタンシティのデュエルスタジアムに向かうと、観客満員の大盛況の中でデュエルトーナメントが行われていた。

 

そして、会場に現れたゴーシュ・ザ・スターマンに観客から応援の声が響き渡り、特に子供達に大人気だった。

 

ゴーシュ・ザ・スターマンはヒロイックモンスターを操り、相手のプロデュエリストを華麗に倒した。

 

デュエルの後、ゴーシュ・ザ・スターマンはファンの子供達にサインを書いていると……。

 

「俺にもサインくれよ!へへっ、ゴーシュ、ドロワ!」

 

「お、お前……遊馬!」

 

遊馬達はゴーシュ・ザ・スターマン……否、ゴーシュと隣にいたドロワの二人と再会を果たした。

 

ゴーシュとドロワはWDCで雇い主であるMr.ハートランドが行方不明になった後にプロデュエリストの道を進んだのだ。

 

ゴーシュはゴーシュ・ザ・スターマンとして連戦連勝で勝ち上がり、次はチャンピオンに挑戦予定でドロワはゴーシュのマネージャーを勤めている。

 

ちなみにゴーシュは当初ドロワと二人で覆面タッグデュエリストでデビューしようと考えていたが、ドロワは流石にゴーシュみたいな衣装を着るのはキツイものがあるので断固拒否した。

 

ゴーシュは自身とドロワの幼少期の孤児としての辛い経験からデュエルで子供達の希望の星になろうと星からの使者『ゴーシュ・ザ・スターマン』として活躍しているのだ。

 

「子供達の希望の星か……ふふっ、良き心を持つ者達だ」

 

アタランテはゴーシュとドロワの想いに感銘を受けて嬉しそうに笑う。

 

ゴーシュとドロワは遊馬達をホテルのディナーに誘い、そこで夕食を取りながらこの街の遺跡について聞いた。

 

それはコロッセウムの遺跡に彷徨う拳闘士の魂の伝説。

 

かつてこの地には己の拳一つで勝ち続けた最強の拳闘士がいた。

 

拳闘士にはライバルがいたが、それはその国の王子だった。

 

拳闘士と王子……二人は何度も戦うことで立場を超えた戦う者同士の絆を育んでいった。

 

そんな二人が雌雄を決する時が来たが、大観衆の前で王子が敗れるようなことは許されない。

 

そこで側近達は拳闘士に無実の罪を着せて捕らえ、拳闘士は必死に無実を訴え、ライバルの王子も弁護したが聞き入れられなかった。

 

そして、大観衆が見ている前で拳闘士は無残に処刑されてしまった。

 

「王子と絆を育んだ最強の拳闘士……ね……まるであの子みたいね」

 

マルタは遺跡の伝説を聞いて遊馬と拳を交わした一人の少年のことを思い出した。

 

しかし、そのコロッセウムの遺跡は彷徨う拳闘士の魂を封じるために土手を築いて水を流し込んで大きな湖となっており、これでは調べることは出来ない。

 

調べる方法が分からず、日も沈みかけているので続きは明日に行うことにした。

 

その日の夜、遊馬達はホテルで就寝していると、アストラルは遺跡の異変に気付いて遊馬達を起こした。

 

ベランダに出て双眼鏡で湖を確認すると、驚くことに湖の水が全て抜かれてコロッセウムの遺跡が現れたのだ。

 

バリアンが仕掛けたと思い、すぐに遺跡に向かおうと思ったが璃緒はコロッセウムの遺跡から恐怖を感じていた。

 

そこに寝巻き姿のドロワが出てきて遊馬達は事情を説明し、車を用意してコロッセウムまで運転してもらった。

 

しかしゴーシュはホテルにはおらず、小鳥は熟睡しているので遊馬とアストラル、凌牙と璃緒、カイトとドロワの六人でコロッセウムに向かうことになった。

 

コロッセウムに到着すると湖の水が全て引いており、早速中に入るとそこにはホテルにいなかったゴーシュがいた。

 

そして、もう一人はなんとアリトだった。

 

ベクターの闇討ちで倒れたアリトと再会できて遊馬はとても喜んだ。

 

しかし、アリトは邪悪な笑みを浮かべながら燃え上がる炎のように輝くカードを見て近寄ってきたゴーシュを見ると驚くべき行動をする。

 

「ゴーシュとか言ったな。しばらくこいつを貸してやる!」

 

アリトは持っていたカードをゴーシュに投げ渡し、そして……。

 

「そいつを使って俺と一緒に九十九遊馬を倒すんだ!」

 

何とアリトはかつてギラグがやったようにバリアンズ・フォースのカードを使ってゴーシュの額にバリアンの紋章を浮かび上がらせて洗脳したのだ。

 

アリトがゴーシュを洗脳したことに遊馬は信じられない気持ちとなり、この場に四人のデュエリストがいるのでアリトはタッグデュエルを申し出た。

 

アリトは洗脳したゴーシュとタッグを組み、ドロワは遊馬のパートナーを名乗り出た。

 

「奴の心が敵の手に堕ちたのなら、それを取り戻すのは私だ!」

 

凌牙がタッグデュエルで遊馬のパートナーになろうとしたが、ドロワのゴーシュを思う強い思いを感じたカイトがそれを抑えた。

 

遊馬はアリトに何故ゴーシュを巻き込むのかと問うたが、アリトは洗脳したゴーシュをまるで道具のように扱うみたいな態度を取り、明らかに性格が酷く変化していた。

 

それは敵同士でありながらも互いを尊敬し、熱く激しいデュエルを繰り広げたあの時のアリトとは最早別人みたいな雰囲気だった。

 

こうして始まった遊馬とドロワ、ゴーシュとアリトのタッグデュエル。

 

遊馬はアリトへの静かな怒りと疑心を抑えながら希望皇ホープをエクシーズ召喚する。

 

そして、ゴーシュはアリトから渡されたカード……この遺跡のナンバーズを呼び出す。

 

「現れろ、No.54!熱き闘志の雄叫びが眠れる魂すらも震わせる!『反骨の闘士 ライオンハート』!」

 

現れたのは獅子の頭を持つ屈強な拳闘士、ライオンハート。

 

「ライオンハート……私と拳を交えたあなたも遺跡のナンバーズだったのね」

 

オルレアンでライオンハートと拳を交えたマルタはその時受けた頬の痛みを思い出す。

 

ライオンハートの攻撃力は僅か100。

 

このまま攻撃すればただの自殺行為だが、ライオンハートの効果はモンスターとのバトルでプレイヤーが受けたダメージを相手プレイヤーにも与える。

 

希望皇ホープとライオンハートの攻撃による拳が互いの頬を殴り、それと同時に遊馬とゴーシュに大ダメージを与えた。

 

ライオンハートは自分のライフポイントを削るのでリスクが高く、その為に手に入れたアリト自身ではなくゴーシュに使わせたのだ。

 

一対一のモンスター同士の熱いバトルとカウンター罠を駆使して戦うはずのアリトらしからぬ戦い方に遊馬は批判する。

 

「お前、こんな戦い方をする奴じゃなかったはずだろう!?」

 

「九十九遊馬、お前に負けた恨みが俺を変えたのさ!」

 

アリトは遊馬に負けた恨みが自分を変えたと言う。

 

すると、遺跡の観客席に無数の青い炎のようなものが現れて聞き取れないが歓声のようなものが響いていた。

 

「これは……遥か昔、このコロッセウムを埋め尽くした、時を超えた人々の思い!」

 

霊感のある璃緒がこの現象を説明した。

 

どうやら希望皇ホープとライオンハートの激突とこの場にいるデュエリスト達の熱き魂によってこの現象を引き起こしたらしい。

 

「おお……これぞ、コロッセウムの熱狂!剣闘士達のぶつかり合う熱き魂!!」

 

トラキアの剣闘士のスパルタクスは熱狂に包まれるコロッセウムに生前を思い出して魂が燃え上がっていた。

 

遊馬はゴーシュを元に戻すため、先にアリトを倒そうと攻撃を仕掛けるが、アリトがセットしていた『BK リベージ・ガードナー』は攻撃対象を変更する効果を持ち、希望皇ホープは再びライオンハートとバトルすることになり、更にオーバーレイ・ユニットも墓地に送られてムーン・バリアも使えなくした。

 

このままではライオンハートの効果で遊馬とゴーシュに再び大ダメージが与えられて遊馬とゴーシュのライフポイントがゼロになってしまう。

 

その時、ドロワの罠カードで遊馬へのダメージを半分にして守ったが、ゴーシュのライフポイントがゼロになってしまった。

 

しかし、ライオンハートには更なる効果を持っており、プレイヤーのライフポイントがバトルで0になる時にオーバーレイ・ユニットを一つ使うことでライフポイントを100にする。

 

ライオンハートから放たれた炎の闘志が倒れたゴーシュに与えられると止まった心臓を蘇らせるようにライフポイントが0から100になる。

 

ライオンハートのオーバーレイ・ユニットがある限り何度倒れても戦い続けることが出来るがプレイヤーであるゴーシュの体がボロボロになっていく。

 

自分で使わずにライオンハートをゴーシュに代わりに使わせて戦わせるかつてのアリトらしくない非道な行いに遊馬は信じられない気持ちと一緒に怒りを募らせる。

 

「ゴーシュ……その様はなんだ!?今のお前のしているデュエルには熱さのかけらも無いぞ!お前は忘れてしまったのか、お前の夢を!お前と私の夢を……答えろ、ゴーシュ!」

 

ドロワは洗脳されているゴーシュに向けて想いを込めた言葉を紡いでいく。

 

続くアリトのターンで『BK チート・コミッショナー』をエクシーズ召喚し、希望皇ホープに攻撃するがチート・コミッショナーの効果でバトルの相手を入れ替える効果でまたしても希望皇ホープとライオンハートのバトルが行われようとした。

 

しかし、ドロワが罠カード『幻蝶の勇姿』でライオンハートと自分のモンスターとのバトルを変更させて遊馬を守り、ゴーシュとドロワにライオンハートの大ダメージを受ける。

 

「ゴーシュ!それが今のお前のノリか。そんな死んだ目をしたデュエルで子供達の希望の星になれると思っているのか!?」

 

ドロワはゴーシュの魂を呼び覚ますために新エース『ナイトバタフライ・アサシン』をエクシーズ召喚し、ライオンハートのオーバーレイ・ユニットを奪う魔法カードを使ったがアリトの罠カードで防がれてしまい、更にはナイトバタフライ・アサシンとライオンハートの強制バトルが発生してしまった。

 

ドロワは今の自分ではこの展開を覆すことは出来ないと察した……だが、ドロワはナイトバタフライ・アサシンの効果を使ってオーバーレイ・ユニットの数だけ攻撃力を上昇させた。

 

しかし、攻撃力を上昇させただけではオーバーレイ・ユニットを持っているライオンハートを倒すことは出来ず、逆に自分に大ダメージを受ける。

 

一見無駄にも思えるドロワの行為にカイトはその意味を感じ取った。

 

「あの4600はただの攻撃力の数値ではない。あれは言うなればゴーシュに向けたドロワの想いの強さ。ドロワは今、己の持てる全てを叩きつけることで洗脳されたゴーシュの心を取り戻そうとしている!」

 

「行け!今の私の全てをゴーシュに叩きつけ、奴のデュエリストの魂を呼び覚ませ!ゴーシュ、私のありったけを……喰らえ!!」

 

ナイトバタフライ・アサシンとライオンハートのクロスカウンターで互いの頬を殴り、ドロワとゴーシュのライフポイントが0になる。

 

ゴーシュはライオンハートの効果でライフポイントが蘇ったが、ドロワはここで敗れてしまう。

 

ドロワはナイトバタフライ・アサシンを遊馬に託し、遊馬ならゴーシュを取り戻せると信じてそのまま意識を失ってしまった。

 

遊馬はドロワの想いを受け取り、必ずゴーシュを取り戻す為に立ち向かう。

 

アリトは『ナンバーズ・オーバーレイ・ブースト』で自分の手札のモンスター2枚をライオンハートのオーバーレイ・ユニットにして補充し、万全の状態でゴーシュのターンとなった。

 

このままライオンハートで希望皇ホープに攻撃すれば遊馬とアストラルを葬って勝負が決まる……アリトはそう確信した。

 

しかし、デュエリストの熱き魂が奇跡を呼び起こす。

 

「俺は……装備魔法『ストイック・チャレンジ』を発動!!」

 

ゴーシュはライオンハートで攻撃せず、それどころかストイック・チャレンジの効果でせっかくアリトが補充したオーバーレイ・ユニットを全て墓地に送ってしまった。

 

更に装備魔法『ヒロイック・クローズ』でライオンハートの攻撃力を高めていく。

 

ライオンハートの攻撃力が高まり、ゴーシュは雄叫びをあげる。

 

「そうか……そういうことか!ゴーシュ、やっと良いノリになってきたじゃねえか!」

 

遊馬はゴーシュに何が起きたのか理解し、ゴーシュの想いに応える。

 

璃緒は洗脳が解けたのかと思ったが、カイトはそれを否定して説明する。

 

「ゴーシュの意識はまだ洗脳されたままだ。だが、ドロワの渾身の一撃が囚われた奴の魂を震わせ、細胞に刻み込まれたデュエリストとしての本能を呼び覚ましたのだ。これが、この姿こそが真のデュエリストだ!」

 

デュエリストの魂と本能が強力なバリアンの洗脳を凌駕し、ゴーシュは遊馬とのデュエルを全力で行おうとしているのだ。

 

遊馬は魔法カード『エクシーズ・シフト』でナイトバタフライ・アサシンを墓地に送り、同じランクのモンスターエクシーズを特殊召喚する。

 

「現れろ!『H-C エクスカリバー』!!」

 

遊馬が呼び出したのはナンバーズではなく、かつてのゴーシュのエースモンスター……エクスカリバーだった。

 

「ここでエクスカリバー!分かってるじゃない、遊馬!」

 

ここであえてエクスカリバーを選択した遊馬にレティシアは称賛する。

 

エクスカリバーの登場に遺跡の観客の歓声が沸き起こる。

 

「ゴーシュ!こいつは熱いデュエルの証として、お前が俺に託してくれたモンスターだ!!」

 

遊馬はゴーシュの魂を呼び覚ます為に託されたエクスカリバーを呼び出したのだ。

 

エクスカリバーで攻撃と同時に効果で攻撃力を二倍にするが、ゴーシュは罠カード『戦士の喊声』でライオンハートの攻撃力が二倍となってエクスカリバーの攻撃力を大きく上回る。

 

「いいぞいいぞ、熱くなってきやがったぜ!」

 

「遊馬!」

 

「おう!」

 

遊馬は罠カード『魂の一撃』でライフポイントを半分支払ってその数値分だけエクスカリバーの攻撃力を上昇させるが、今の遊馬のライフポイントは200なので半分の100しか支払えず、エクスカリバーの攻撃力はたったの100しか上昇しない。

 

しかし、遊馬の狙いはただの攻撃力上昇ではなくライオンハートに装備したヒロイック・クローズの効果だった。

 

ヒロイック・クローズは互いのライフポイントが同じ場合は攻撃力二倍の効果は無効となり、ライオンハートの攻撃力は2600にまで減少する。

 

「行け!エクスカリバーでトドメだぁっ!」

 

「来い、遊馬!!」

 

エクスカリバーは己の武器である王の剣を捨てて右拳を強く握りしめた。

 

アリトはチート・コミッショナーのオーバーレイ・ユニットを全て使って相手の手札に魔法カードがあればバトルを終了させてそのカードを発動させる最後の効果を発動した。

 

ゴーシュの手札にはアリトから渡されたバリアンズ・フォースがあり、それを使ってライオンハートをカオス化させようとした。

 

しかし、遊馬にはアリトを倒す最後のカウンターがセットされていた。

 

「遊馬、今だ!」

 

「おう!罠発動!『オーバーレイ・マーカー』!」

 

オーバーレイ・マーカーはバトルの時、モンスターエクシーズがオーバーレイ・ユニットを全て使い切った場合に発動された効果を無効にして破壊する。

 

そして、そのモンスターエクシーズをコントロールするプレイヤーにバトル中のモンスターの攻撃力の合計分のダメージを与える。

 

つまり、エクスカリバーとライオンハートの攻撃力の合計……6700のダメージがアリトに襲う。

 

「お、俺が、6700のダメージだと!?」

 

「喰らえ、アリト!俺とゴーシュの熱い魂を!!」

 

エクスカリバーとライオンハートは互いの間に入ったチート・コミッショナーに向けて全力の拳を放つ。

 

遊馬とゴーシュ……それぞれの熱き魂を秘めたエクスカリバーとライオンハートのダブルパンチを喰らったチート・コミッショナーは爆散し、アリトは大爆発を受けて吹き飛ばされた。

 

「な、何だよ……何だってんだよ、今のは!?」

 

アリトは大爆発を受けた際に何かを見たらしく、それに困惑していた。

 

するとアリトの背後に異世界の扉が開き、困惑の謎を残したままバリアン世界へと消えていった。

 

アリトが消えたことでゴーシュの洗脳が解けて無事に解放された。

 

遺跡から一馬が残した覇者のコインを見つけ、ゴーシュは遊馬にライオンハートを渡した。

 

「遊馬、水くせえじゃねえか。バリアンとやりあってるんなら何で言わねえんだよ。奴らをぶっ倒すんなら俺も力を貸すぜ!」

 

「馬鹿野郎!お前にはドロワとの夢があんだろ!子供達の希望の星になるって夢が!そうだろ、ゴーシュ!」

 

「遊馬……そうだったな」

 

遊馬からの叱咤激励を受け、ゴーシュは自分の進むべき道と叶えたい夢を再確認した。

 

そして、迷いを振り切ったゴーシュはトーナメント決勝戦で見事チャンピオンを打ち倒し、スパルタンシティの新たなデュエルチャンピオンとなり、子供達の希望の星となったのだ。

 

遊馬達はスパルタンシティを後にし、かっとび遊馬号で次の遺跡に向かった。

 

ちなみにホテルで熟睡していた小鳥は起こしてくれなかったことを怒っていて璃緒が必死に宥めていたのだった。

 

一方、落ち込んでいる遊馬にアストラルが厳しい言葉で声をかけた。

 

「遊馬、アリトのことを考えているのか。昨日のデュエルで分かっただろう。やはり彼はバリアン、残念だが我々とは相入れない存在なのだ」

 

アストラルは遊馬にバリアンは敵なのだと改めて忠告した。

 

遊馬はそれを静かに受け止めながらため息を吐き、ライオンハートのカードを見つめる。

 

「アリト……何でお前があんな風になっちまったのか俺には分かんねえ。けど、俺は信じてる。あの時みたいに正真正銘、熱い想いをぶつけ合ったデュエルができる日が再び……来るって……」

 

遊馬はアリトとの一度目と二度目の熱いデュエルは偽りでは無いと信じている。

 

変わってしまったのには何か理由があるのではないか、いつか必ず熱いデュエルができる日が来ると……そんな淡い希望を抱くのだった。

 

スパルタンシティから四番目の遺跡に向かう中、アストラルは飛行船のナンバーズを納める場所に訪れ、手に入れた2枚の遺跡のナンバーズ……スカイ・ペガサスとライオンハートが何かを伝えようとしているのを感じていた。

 

そして、アストラルの脳裏に流れた二つの記憶……それはそれぞれの遺跡の伝説で悲劇の結末を辿った英雄の姿が判明した。

 

驚くことにペガサスの騎士はドルベ、拳闘士はアリトだったのだ。

 

「えっ!?そ、それではバリアンの皆さんは元々は人間!?しかも何百年も前の!?」

 

マシュ達はバリアンがただの異世界人ではなく、元々は人間だったと言うことに驚きを隠せずにいた。

 

薄々気づいている者も何人かはいたが確証はなかった。

 

つまり、ドルベやアリトだけでなく、ベクターとミザエルとギラグも元人間の可能性が高くなったということになる。

 

その事実にアストラルは驚愕しているその時、突然飛行船のコントロールが不能となっていた。

 

四番目の遺跡がある場所は中国で大きな岩山が連なっている土地。

 

そこは特殊な空間が広がっていて、それが飛行船のシステムに不具合を起こしているらしい。

 

オービタル7の尽力で飛行船をなんとか地上に不時着させ、外に出るとそこには天を突くような大きな岩山があり、その頂上に遺跡のナンバーズがあるようだった。

 

しかし、その岩山は雲の上まで伸びており、軽く見積もっても数百メートルはある。

 

飛行船もオービタル7もこの地域の特殊な空間によって動く事ができない。

 

さて、どうやって行くと言うとそれは……。

 

「いいか、山登りのコツはまず足場を作って、腕を伸ばして、こうだ!分かったか!それと山では助け合いが大事なんだぜ!自分勝手はなしだからな!」

 

「うるせぇ!お前に教えられる筋合いはねえ!」

 

「くっ……!」

 

遊馬と凌牙とカイトは命綱無しの崖登りをすることになった。

 

遊馬は幼少期に一馬と共に冒険で崖登りをしてきたのでとても余裕で難なく登っていき、凌牙とカイトは苦労しながらついていく。

 

ちなみに小鳥と璃緒は下で動けないオービタル7とお留守番である。

 

『────────!!!』

 

岩山を登っていると突如、謎の叫び声が天から轟いた。

 

「アストラル、今のは!?」

 

「恐らく……ドラゴンの咆哮」

 

ドラゴンの咆哮に応えるかのようにカイトのデッキケースに眠る銀河眼の光子竜から銀河眼の時空竜と対峙した時に似た共鳴の光を放っていた。

 

「ギャラクシーアイズ……やはりこの遺跡は……!」

 

銀河眼の光子竜とこの岩山の頂上にある遺跡は何か関係があるとカイトは睨んでいた。

 

すると突然岩山の一部が崩落して岩の塊がカイトに襲いかかり、危うく落ちそうになったが……。

 

ガシッ!

 

「ヘヘッ、だから言ったろ?山では助け合いだって!」

 

「ふん……!」

 

落ちそうになったカイトの手首を遊馬は片手で掴んでそのまま持ち上げ、助けるのだった。

 

今回ばかりは遊馬が凌牙とカイトにアドバイスをして引っ張っていくが、二人は悪態を吐きながら必死に登るのだった。

 

「幼少期にお父上が鍛えた崖登りの技術がここで役に立つとは!!そして、あれほどの岩山を臆する事なく登るとは……素晴らしい!!」

 

レオニダスは遊馬の細身の体にある強靭な肉体に再び感動し、今度は涙を流していた。

 

しかし、この場にいるほとんどの者が遊馬達の異様な光景に疑問を抱いていた。

 

遊馬と凌牙とカイト……十三歳と十四歳と十九歳の少年達が命綱なしで危険な岩山を登る。

 

遊馬達のとんでも無い身体能力にもはや誰もツッコミを入れる気が無くなり、ロマニに関しては死んだ魚のような目になっていた。

 

数十分の時間をかけ、ようやく岩山の頂上を登り切ると、そこに遺跡があるはずだが、そこにあったのは中国風の見事な宮殿だった。

 

宮殿に驚いていると遊馬は何かの美味しそうな匂いを嗅ぎ取って惹かれるように向かうとそこには中国伝統の鍋料理の火鍋が美味しそうに煮えていた。

 

腹が減っていた遊馬は勝手に食べようとしたその時、宮殿から一人の老人が現れ、杖を投げて遊馬を叱った。

 

仙人のような、あるいは中国拳法の達人にも見える謎の老人だった。

 

老人はカイトを見つめると互いに何かを感じ取って名乗りをあげる。

 

「俺の名はカイト。遺跡のナンバーズを探しに来た」

 

「お前……ドラゴン使いか」

 

老人はカイトがドラゴン使い……銀河眼の光子竜の使い手と瞬時に感じ取ると、またカイトも老人からただならぬ気を感じていた。

 

「我が名はジンロン。このナンバーズの遺跡を守る者!」

 

老人の正体はマッハと同じく遺跡のナンバーズの守護者だった。

 

ジンロンは遥か昔にこの遺跡の伝説に残るドラゴンと戦ったデュエリストのことを語るが……。

 

「そのデュエリスト、ミザエルという者だな?」

 

そのデュエリストの正体をアストラルは既に導き出していた。

 

この遺跡に残る伝説のデュエリスト……その正体はミザエル。

 

アストラルは遺跡で回収した二枚のナンバーズの記憶からバリアン七皇が人間であったことを遊馬達に伝えた。

 

その事実に遊馬達は驚愕する中、カイトはジンロンのデュエルの相手を名乗り出た。

 

カイトはここにやってきたのは単なる偶然ではない、運命……否、ドラゴン使いとしての宿命なのだろうと確信した。

 

ジンロンも承諾し、負けた場合はカイトのドラゴンを貰うと宣言するが、カイトは負けることはあり得ないと豪語する。

 

カイトとジンロン、ドラゴン使いのデュエルが始まる。

 

ジンロンは二体のレベル8のドラゴン族を揃え、遺跡のナンバーズを呼び出す。

 

「現れろ、No.46!雷鳴よ、轟け。稲光よ、煌めけ。顕現せよ、我が金色の龍!『神影龍ドラッグルーオン』!!」

 

現れたのは純白の体を持ち、金色に輝く中国や日本に伝説として伝わる蛇のような姿をした美しい東洋龍だった。

 

「ドラッグルーオン……銀河眼の光子竜みたいなドラゴンを西洋竜と呼ばれているけど、こんなドラゴンもいるのね……」

 

レティシアは一般的なドラゴンと呼ばれる西洋竜とは異なる姿形をした東洋龍のドラッグルーオンを目にしたレティシアは感動に震えていた。

 

ドラッグルーオンは他のドラゴン族がいることでドラゴン族に関する強力な効果を発揮する。

 

カイトは初手から己が魂のドラゴンである銀河眼の光子竜を召喚するが、ドラッグルーオンは相手のドラゴン族モンスターの効果を無効にする力を持っている。

 

銀河眼の光子竜の効果が無効となり、その美しい銀河の輝きが消え失せてしまう。

 

これは遺跡のナンバーズを手に入れるデュエルだけでなく、カイトのドラゴン使いとして、銀河眼使いとしての大きな試練でもあるのだ。

 

「待っていろよ。鉄壁とやらを全てぶち壊し、お前のナンバーズを俺の手で狩ってやる!」

 

カイトは臆することなくジンロンとドラッグルーオンという巨大な鉄壁に果敢に立ち向かう。

 

ジンロンはドラッグルーオンの効果で手札から『魂喰神龍ドレイン・ドラゴン』を特殊召喚するが、そのドラゴンは攻撃力をカイトのライフポイントと同じ数値で破壊されたら攻撃力の半分のダメージを与えるという強力な効果を持つ。

 

ドレイン・ドラゴンを破壊しなければ負けるが、このままでは破壊することも出来ず、圧倒的な攻撃力を突破するのは困難を極める。

 

それに対し、カイトはライフを犠牲に相手モンスターの攻撃力を下げる魔法カード『デスパレード・スクレイプ』を使用し、更に使用した魔法カードを回収する『ドラゴニック・ディバイン』でライフを犠牲にしながらも再びデスパレード・スクレイプを発動し、ドレイン・ドラゴンの攻撃力を極限まで下げる。

 

そして、銀河眼の光子竜で攻撃してドレイン・ドラゴンを破壊し、カイトにバーンダメージが与えられるがなんとかライフポイントがギリギリ200まで残った。

 

まさに肉を切らせて骨を断つ戦法でジンロンの壁をまた一つ打ち砕いた。

 

そして、ジンロンは最後の壁としてドラッグルーオンの効果で銀河眼の光子竜のコントロールを奪おうとした。

 

しかし、この効果に対してカイトがライフポイントを半分支払い、銀河眼の光子竜を破壊すれば無効に出来る。

 

「敵の手に渡すくらいなら、己の手で破壊するか?」

 

「貴様には分かるまい。俺とギャラクシーアイズの絆の強さを。俺無くしてギャラクシーアイズはあらず、ギャラクシーアイズなくして俺もあらず……ましてや貴様に言われて、ギャラクシーアイズを破壊することなどありえぬ!!」

 

それはカイトと銀河眼の光子竜の結ばれた揺るぎない強い絆だった。

 

カイトと銀河眼の光子竜はただのデュエリストとモンスターの関係ではなく、心を一つにして共に戦う一心同体の関係。

 

ドラッグルーオンは銀河眼の光子竜のコントロールを奪い、銀河眼の光子竜のダイレクトアタックが決まろうとしたその時、カイトは永続罠『デステニー・ブレイク』を発動した。

 

ダイレクトアタックした時、デッキから一枚ドローし、それがモンスターカードならそのダイレクトアタックを無効にする。

 

カイトがドローしたカードは『銀河騎士』で銀河眼の光子竜のダイレクトアタックは無効となる。

 

「フン……デュエルを運に託したか」

 

「運では無い!必然だ!」

 

「なんじゃと!?」

 

「最強のデュエリストはドローカードさえ自らが導く!それが俺とギャラクシーアイズの絆だ!」

 

カイトは己と銀河眼の光子竜の強き絆でドローカードという運命を自ら手にしたのだ。

 

続くドラッグルーオンのダイレクトアタックにカイトは再びデステニー・ブレイクを発動してドローしたカードは2枚目の銀河騎士でダイレクトアタックを無効にしてこのターンの攻撃を凌ぎ切り、デスティニー・ブレイクの効果で自身を破壊して手札の2枚の銀河騎士を効果を無効にして特殊召喚する。

 

そして、カイトのラストターン……ドローした最後のカードを見てカイトは勝利の方程式を全て揃えた。

 

魔法カード『デスティニー・オーバーレイ』で相手フィールドにいるモンスターと自分のモンスターでエクシーズ召喚を行い、洗脳された銀河眼の光子竜と銀河騎士2体でエクシーズ召喚する。

 

カイトは銀河眼の光子竜を取り戻し、切札の超銀河眼の光子龍をエクシーズ召喚する。

 

しかし、ドラッグルーオンの効果で超銀河眼の光子龍の効果は無効となり、ナンバーズキラーとしての能力は使えない。

 

ジンロンは次のターンに超銀河眼の光子龍を奪おうと思うが、カイトは既に自分の勝利は決まっていると宣言した。

 

カイトは最初のターンで銀河眼の光子竜を召喚するためにリリースした『オーバーレイ・スナイパー』と『オーバーレイ・ブースター』の墓地効果を使用してドラッグルーオンの攻撃力を減少させ、超銀河眼の時空龍の攻撃力を上昇させる。

 

そして、超銀河眼の光子龍とドラッグルーオンのバトルが始まる。

 

ジンロンは罠カード『神龍演舞』で墓地のドラゴンを除外して超銀河眼の光子龍の攻撃力を0にまでダウンさせた。

 

これで超銀河眼の光子龍はドラッグルーオンの返り討ちを受け、ジンロンは勝利を確信した……その時。

 

「消えるのは貴様だ」

 

「何!?」

 

カイトはカウンター罠『銀河黒龍渦』で神龍演舞の発動と効果を無効にし、超銀河眼の光子龍の攻撃力が元に戻る。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「俺はアンタをみくびってなどいない。ドラゴンを知り尽くし、俺をここまで苦しめた戦術は最高のものだった。だからこそ敬意を評し、このカードを伏せておいた」

 

「カイト……」

 

「受けよ、我らが一撃!!アルティメット・フォトン・ストリーム!!!」

 

超銀河眼の光子龍の魂を込めた一撃が強敵・ドラッグルーオンを撃ち破り、ジンロンのライフポイントをゼロにし、カイトは勝利した。

 

ジンロンはカイトとの面白いデュエルに満足し、晴れやかな笑みを浮かべていた。

 

ジンロンはこの遺跡……ミザエルの伝説について語り始めた。

 

遥か古より、この地は一体のドラゴンによって守られた。

 

この地の勇者・ミザエルとドラゴンは心を真に通わせた良き相棒であり、デュエルで共に戦う仲間でもあった。

 

ドラゴンとミザエルの活躍で穏やかで平和な日々が続いていた。

 

しかし、ある年に酷い災害が起き、罪もない多くの人々が亡くなってしまい、そんな時に流れ者の祈祷師が訪れてドラゴンがこの地に災いをもたらしたと触れ回った。

 

人々はその言葉に惑わされ、守り神であるドラゴンを忌み嫌い、討伐することにした。

 

ミザエルは人々を必死になって説得をしようと試みたが、その言葉は届かなかった。

 

そればかりかミザエルが真の勇者ならドラゴンを倒すべきだという声が次々とあがり、遂にミザエルは決心した。

 

ミザエルはドラゴンの前で皆にこう告げた……自らも命を捧げる代わりに我が言葉を信じてほしいと。

 

しかしその時、数百数千の矢がミザエルとドラゴンを貫いた。

 

それは隣国からの軍勢でこの時を待ってこの地に攻め込んで来た。

 

そう、祈祷師は隣国の回し者でミザエルとドラゴンは命が尽きてしまい、この地は滅んでしまった……。

 

「人と人が引き起こした憎悪と争いか……それは異世界でも変わらぬものだな……」

 

ドラゴンと深い関係のあるジークフリートはミザエルの伝説から親近感を持ち、自分のことのように心の中に悲しみを抱いていた。

 

ジンロンは命を諦めたミザエルとは違い、カイトは己の運命を諦めない力と心があると評価したその時。

 

「黙れ!」

 

「お、お前は……!?」

 

現れたのは怒りを露わにしたミザエルだった。

 

ジンロンはミザエルに信じられないと言った様子で狼狽えていた。

 

ミザエルは自分が下等な人間だったなどと出鱈目を言うジンロンに怒りをぶつけて吹き飛ばす。

 

「待て、貴様の相手は俺ではなかったのか、ミザエル!」

 

「面白い、遂に決着をつける時が来たようだな!カイト!」

 

カイトの背後に超銀河眼の光子龍、ミザエルの背後に超銀河眼の時空龍の幻影が現れ、再戦が行われようとしたが、突如として遺跡が崩れ始めた。

 

どうやらカイトとジンロンのデュエルが終わったことと超銀河眼の光子龍と超銀河眼の時空龍の共鳴によって遺跡が耐えきれなくなり、崩れてしまったのだ。

 

ミザエルはまたしても間が悪いと異世界の扉を開いてバリアン世界へと撤退した。

 

遺跡が崩れ、煙が消えると遊馬達は岩山の上に立っていた。

 

遺跡は完全に無くなり、ジンロンの姿も消えていた。

 

遊馬は岩山の頂上に四枚目の覇者のコインを見つけると、ジンロンの声が響いた。

 

「伝説には続きがある。ドラゴンの魂はナンバーズに触れ、再び蘇った。そして、今日までそれを守ってきたのじゃ」

 

雲海の中から金色の光が溢れ、飛び出してきたのはジンロンの真の姿であるドラッグルーオンだった。

 

「カイトよ、わしがお前を試したと言ったな。いかにもその通りじゃ。遺跡のナンバーズを求める者が現れし時、世界は大きく動く。若きドラゴン使いよ、世界を正しき道へと導くのだ!」

 

「正しき道……」

 

「わしは見たのじゃ、遥か彼方……天空で戦う神々しい光と光」

 

そして、ジンロンは遺跡の伝説とは別のかつて世界に起きた大いなる戦いの一部始終を語り始めた。

 

「その戦いは数百日にも及んだ。地上には火の雨が注ぎ、稲妻が大地を切り裂いた。やがて、二つの光がぶつかり合い……消滅したのじゃ」

 

ジンロンの語る戦いがアストラルの中に記憶として鮮明に蘇る。

 

それは強大な闇と対峙するアストラル。

 

二つの力は地上にも災いをもたらすほどの衝撃だった。

 

そして、アストラルと強大な闇がぶつかり合い……消滅した。

 

「これは私の記憶……?私はかつて、バリアンと戦ったのか……?」

 

アストラルはその強大な闇がバリアンで、大昔に戦ったのかと困惑する。

 

「カイトよ、このナンバーズを託す!愚かな戦いは世界を破滅に導く。決して、繰り返してはならぬ……!」

 

ドラッグルーオンは自らナンバーズのカードとなってカイトの手に収まり、ドラッグルーオンはアストラルではなくそのままカイトが所持することとなった。

 

遊馬達は復旧したかっとび遊馬号で下にいる小鳥たちを回収して共に四番目の遺跡を後にした。

 

アストラルはかっとび遊馬号のナンバーズを納める場所で再び一人で考えていた。

 

「そうだ……そうだった……」

 

アストラルはドラッグルーオンの記憶からある重要な事を思い出していた。

 

「私の使命は……」

 

それはヌメロン・コードの確保とは別にアストラルがアストラル世界から人間界に来たもう一つの使命。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バリアン世界を滅ぼす事だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アストラルはまるで何かのスイッチが入ったようにそう呟く。

 

そして、綺麗な金色の瞳の奥が闇に染まり、妖しく輝くのだった……。

 

 

 




マシュ「な、なんだかアストラルさんに不穏な空気が……」

ジャンヌ「遺跡のナンバーズも残り3枚……遊馬くんたちに何が待ち受けるのか今から不安が……」

レティシア「なんか遺跡の伝説からどいつもこいつも誰かに裏切られて殺されている感じよね……」

ネロ「アリトの生前の拳闘士としての戦いをローマ皇帝としてコロッセウムで見てみたかったな!」

武蔵「くっ……ベクターのみならず、アリトまであんな風に遊馬を失望させるなんて……あの微笑ましい少年たちの光景は夢なの……?」

エドモン「これは直感でしかないが、遺跡の伝説には何か裏がありそうだな……」

マルタ「遊馬とゴーシュ、エクスカリバーとライオンハートの攻防は燃えたわね!それから、カイトと銀河眼の光子竜の絆の強さには感服するわ!」

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