Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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なんとかハロウィンに間に合わせることができました。



ナンバーズ165 ハロウィンプリンセスの奇跡

ネロとエリザベートによる最恐最悪コンビにより、ハロウィンパーティーが乗っ取られ、ハロウィンスペシャルコンサートが開催された。

 

このままではカルデアが崩壊すると危惧したマシュ達は急いで止めようと向かうが、ただ一人だけそのコンサートを心から楽しみにしている者がいた。

 

「ネロとエリちゃんのスペシャルコンサート、楽しみだな〜♪」

 

それは恐らくは英霊の座を含めても世界でただ一人、ネロとエリザベートの歌を心から気に入り、大絶賛するのがカルデアの最後のマスターである遊馬だった。

 

何故遊馬がそこまで二人の歌を気にいるのかもはや世界の不思議、永遠に解けないの方程式レベルの謎でマシュとアストラルを悩ませながら遂にコンサートの会場となっている訓練場に到着した。

 

ゴクリと唾を呑み、マシュは震える手で訓練場の扉を開けた。

 

扉の向こうに待っていたのは不気味で不思議な空間だった。

 

ハロウィンのカボチャのランタン、様々な形と大きさのジャック・オー・ランタンがツリーのように大量に置かれ、天井にはオレンジと紫の天井飾りが付けられ、更にはお化けやコウモリなどの小さな飾りが至る所にあった。

 

いつもはサーヴァントの訓練などに使われる訓練場が今日だけは彩豊かなハロウィンのパーティー会場となっていた。

 

これにはハロウィンを楽しみにしていた子供達のテンションも一気に爆上げだった。

 

しかし、その直後にそのパーティー会場の異変に気付く。

 

「あっ!?お、お兄さん!?」

 

「シ、シロウさん!?」

 

「だ、大丈夫!?」

 

イリヤ達が気付いたのは床に横たわるエミヤだった。

 

「イ、イリヤ……クロエ、美遊……早く、逃げるんだ……!このままだと、全滅──ガクッ」

 

エミヤは意識を失ってしまい、イリヤ達の絶叫が響く。

 

「お兄ちゃあああああーん!?」

 

「そ、そんな……シロウさんが……!?」

 

「誰よ!うちのお兄ちゃんにこんな酷いことをするのは!?」

 

エミヤだけでなく、パーティー会場の床には多くのサーヴァントが意識を失って倒れていた。

 

そして、その奥には大きな特設ステージがあり、そこに立っているのは……。

 

「待っていたぞ、我が愛しの夫……ユウマよ!」

 

「待っていたわ、マスター!今宵は私達の歌で盛り上げるわ!」

 

いつもと違うハロウィンの黒とオレンジと紫に彩られた魔女風の衣装に身を包んだネロとエリザベートだった。

 

ハロウィンの衣装に身を包んだ二人に応えるように、無人島の時と同じように二人のフェイトナンバーズから二人で一枚のハロウィンバージョンのフェイトナンバーズが誕生した。

 

イラストはハロウィンの衣装に身を包んだネロとエリザベートが仲良く並びながら歌う姿が描かれており、真名は『FNo.0 ハロウィンプリンセス ネロ&エリザベート』。

 

まさかのフェイトナンバーズの追加に驚いていると、アストラルは二人の間にあるモノに気付く。

 

「あれは!?ネロ、エリザベート、何故二人がそれを……聖杯のカケラ持っている!?」

 

二人の間に宙に浮きながら金色に輝く小さな破片……それは聖杯のカケラだった。

 

何故それがあるのかをエリザベートはあっさり打ち明けた。

 

「あーこれ?少し前にフランスにレイシフトをしていたら拾ったのよ」

 

『『『拾った!?』』』

 

数日前、資材の補給の為に度々カルデアからサーヴァントを送ることがあり、その時にエリザベートが参加した。

 

しかし、どうやら第一特異点の聖杯から溢れたカケラがフランスにまだ落ちていたらしく、それを偶々エリザベートが拾ったのだった。

 

「すぐにマスターに渡そうと思ったんだけど、そう言えばもうすぐハロウィンだなと考えたら……何故かハロウィンの衣装になってクラスチェンジしたのよね……」

 

聖杯のカケラによりエリザベートはネロと同じコスチュームチェンジとクラスチェンジの力を得てしまったようだった。

 

「でもせっかくだからこのハロウィンの力を楽しもうと思ってね!ネロと一緒にハロウィンパーティーをスペシャルコンサートにして、マスターに歌を捧げようと思ってね!」

 

「俺に?」

 

ハロウィンパーティーを乗っ取ってまでハロウィンスペシャルコンサートにしたのは全て遊馬のためだった。

 

「その通り!この前の無人島のナンバーズ百番勝負然り、ユウマは常日頃から忙しく動いておる。そこで、ユウマを労る為に余とエリザベートで歌をプレゼントすることにしたのだ!」

 

「そうだったんだ!でも、何でみんな倒れているんだ?」

 

ステージの周りには多くのサーヴァントが倒れており、まさにその光景は死屍累々と言わんばかりだった。

 

「それが……リハーサルで歌の練習をしたけど……」

 

「何故か皆が余達の歌を聞いた途端に全員倒れてしまったのだ!」

 

ここにいるサーヴァント達は全員、ネロとエリザベートのコンサートを阻止する為に立ち向かったのだが、奮闘する間も無く二人の歌にやられてしまったのだ。

 

しかもまだ本気ではなく、リハーサルで練習レベルというのが恐ろしい……。

 

「ん?もしかして、マタ・ハリを召喚したのはエリちゃん?」

 

まさかと思ってエリザベートに聞くと苦笑いを浮かべながら頷いた。

 

「うん……まさか欠片で召喚出来るとは思わなかったけどね。私はマスター達を足止め出来ないかなと思ったら……」

 

「マタ・ハリが召喚されたって訳か……」

 

マタ・ハリの召喚された理由が分かり、納得したところでエリザベートは愛用のサンダー・スパーク・ドラゴンのエレキギターを構える。

 

「さあ、マスターが来たところで始めるわよ!」

 

エリザベートがピックを持った手を掲げると遊馬のデッキケースが勝手に開いて5枚のカードが飛び出した。

 

それは『弦魔人ムズムズリズム』、『太鼓魔人テンテンテンポ』、『菅魔人メロメロメロディ』、『鍵魔人ハミハミハミング』、『交響魔人マエストローク』の5枚の魔人オーケストラだ。

 

魔人オーケストラのカードが回転しながら光を放つとそれぞれからモンスターが召喚されてネロとエリザベートの後ろに舞い降りる。

 

演奏家も揃い、リハーサルで喉の準備も整ったのでネロとエリザベートはマイクを構えた。

 

「みんな、頼むわよ!」

 

「さあ、この歌をユウマに捧げるぞ!」

 

「そ、そうはさせません!」

 

「止めるんだ、二人共!」

 

マシュとアストラルが歌を止めようと飛び出すが、聖杯のカケラによってバリアが張られて弾き返されてしまう。

 

そして、遂に遊馬に捧げるハロウィンスペシャルコンサートが始まる。

 

「「曲は『Wild Child』!」」

 

魔人オーケストラの演奏が始まると同時にネロとエリザベートの歌が始まる。

 

軽快な二人の歌声が響き、マシュとアストラルと小鳥は耳を塞いだが……。

 

「「「……あれ?」」」

 

耳を塞いだとしても聞いた者にダメージを与えるネロとエリザベートの歌だが、何故か苦痛を感じなかった。

 

それどころか、とても心地よく聴いているだけで癒されるような気分となった。

 

驚くことに超絶音痴なはずのネロとエリザベートの歌は感動するほどとても上手だった。

 

何故二人の歌がここまで上手くなったのか……その理由は二人がアイドルで天下を取る為に密かに練習をしていたこともあるが、今回はそれだけではなかった。

 

ネロとエリザベートは遊馬の為に全力で歌を捧げている。

 

自分の為ではなく、他者の為に想いを込めて全力で歌う……それこそが二人の歌が上手くなった最大の理由である。

 

すると、二人の歌と聖杯のカケラが共鳴し、会場に美しい光の粒子が降り注がれる。

 

雪のように舞い散る光の粒子が幻想的に輝くと、倒れているサーヴァント達が次々と目を覚ました。

 

他者の為の想いの歌が皮肉なことに一度は歌によって倒れたサーヴァント達を癒やしたのだ。

 

そして、歌い終わると拍手喝采が沸き起こり、倒れていたサーヴァント達が無事に復活したのでハロウィンパーティーを気を取り直して盛大に開催することとなった。

 

カボチャなどを使った秋の味覚の食材で作ったハロウィンのパーティー料理を堪能していく。

 

やがて歌が上手くなったネロとエリザベートに触発されて他のサーヴァント達も歌を披露し始め、まるでカラオケ大会みたいな感じとなってしまった。

 

みんながそれぞれ思い思いの歌を熱唱していき、笑ったり泣いたりして大騒ぎをした。

 

一悶着あったハロウィンパーティーだったが、結果的にはみんなが大満足のいく楽しいパーティーとなった。

 

またみんなでこうして楽しい思い出を作れるようにこれからの戦いも頑張ろうと思いながらハロウィンの夜が終わるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日……。

 

「シクシク……どうして……アイドルとして頑張った私が……」

 

「余はユウマの為に頑張ったのにぃ……」

 

エリザベートとネロは聖杯のカケラをすぐに渡さなかった事と、ハロウィンで騒がせた罰として『カルデアに迷惑をかけたダメアイドルです』というプラカードを首からかけて廊下で正座をさせられていた。

 

「全く……少しは反省しなさい!」

 

昨日に引き続き、オルガマリーの怒号が再びカルデアに響き渡るのだった。

 

 

 




次はいよいよZEXALの映画編第二弾です。
書くのが大変ですが頑張っていきます。
ただ、11月から仕事で免許取得の関係で土日に行くことになってマジで忙しいので更新がしばらく出来ないかもしれないのでご了承ください。

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