Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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先程、新たなリミットレギュレーションでドラグーン・オブ・レッドアイズとホープ・ゼアルが禁止に……。
うわぁ、この先の話に使おうと思っていたカードが禁止とは……。

まあこのカード達が強すぎるのが問題だったわけですからね……。


ナンバーズ161 サマーメモリー6日目

無人島六日目、昨日の時点でナンバーズは70体を撃破したけどスカサハ師匠からこのままだと時間がかかり過ぎるから残り30体を今まで以上のハイペースで倒せと無理難題を言われた。

 

ちなみに残り30体のナンバーズはカオスの力で戦闘や破壊能力などに特化したカオスナンバーズ軍団、銀河の力を宿した銀河眼の光子竜皇などのドラゴン族中心としたドラゴンナンバーズ軍団。

 

そして……数々の敵を討ち倒し、神々すらも葬る最強の光の戦士達……希望皇ホープ軍団。

 

ここまで頑張って70体は倒したけど……残りの30体を全て倒すのは正直のところ絶対に無理だと思った。

 

カオスナンバーズだけでもすげぇやばいのに、俺たちの世界でも魔術世界でも強い幻想種上位種のドラゴン達に加えて、俺とアストラルが今まで共に戦って来た百戦錬磨の希望皇ホープ軍団……。

 

このナンバーズ百番勝負で何度も思ったことだけど、デュエルならともかくリアルファイトでやり合うなんて正気の沙汰じゃないし、勝てる見込みは無いよな……?

 

この修行で力と自信をつけてきたマシュやイリヤちゃん達もこの敵の豪華すぎるラインナップには白目を剥きたくなるほどの衝撃だった。

 

一応サーヴァントのみんなにも意見を聞くと「消滅を覚悟して挑む」や「生前の全盛期レベルで戦わないと」や「普段使えない使用不能な宝具を解放しなければ」……などと、普通に戦ってもこれは勝てない、やられると言っていた。

 

俺はデュエルでモンスター達が自分をどれほど支えてくれたのかと強く思い、感謝の気持ちを浮かべるのだった。

 

しかし、いくら俺たちが意気消沈してもスパルタなスカサハ師匠が許してくれるわけがなく、強制的に残りのナンバーズとの戦いをさせられることとなる。

 

その結果は察しの通り……惨敗だった。

 

ダイソン・スフィアの時以上にやばいナンバーズとの連続勝負に俺たちは心身ともに限界まで低下してしまった。

 

あまりの疲労感に砂浜で死んだように横たわり、もう午後は何もやる気が起きないと思ったその時だった。

 

突如、空が暗雲と共に邪気が広がり、陸と海の空間が歪んでそこから大量の魔猪が現れた。

 

そして、その魔猪を統べるのが普通の魔猪の何倍も巨大でしかも全身が機械の体になったいわゆるサイボーグの姿をした機械化した魔猪だった。

 

その魔猪の名前は「トゥルッフ・トゥルウィス」。

 

なんとそいつはアルトリアが生前にかつて戦った敵で、堕落して人のものを奪うことに捉われて呪いで猪に変化してしまい、七頭の息子と共にブリテンを食い荒らした魔猪の王だった。

 

しかし苦しむ民を守るため、そして持っていた巨人の装身具を手に入れる為にアルトリアに追い払われたらしい。

 

すると、スカサハ師匠から驚くべき事実が語られた。

 

この無人島はスカサハ師匠が住んでいた「影の国」の一部で人理焼却の影響で切り離された。

 

そして……魔猪の体には聖杯が宿っており、その影響で機械の体になりながらも二千年も生き長らえ、神獣へとランクアップし、この無人島を含めるこの世界が小さな特異点となったのだった。

 

二千年と言うあまりにも長い時間が経過しながらもそれほどまでにアルトリアに対しての怨みがあったのか……。

 

俺とアストラルは魔猪とはいえ、元人間であるあいつの持つカオスに恐ろしさを感じてしまった。

 

トゥルッフ・トゥルウィスは二千年分の怨みを晴らすためにアルトリアに襲い掛かった。

 

アルトリアは水着から騎士王の姿に戻って約束された勝利の剣で応戦しながらみんなに他の魔猪は倒さずに気絶させてと頼んできた。

 

倒さずに気絶させるその意図が分からないがあの真面目で滅多に頼み事をしないアルトリアが言うのでそれに応えるため、俺のマスター権限でみんなにそう指示して他の魔猪との戦闘を開始した。

 

疲れたからといって怠けるわけにはいかないとマシュやイリヤちゃんたちも立ち上がり、気合を入れ直して戦う。

 

ナンバーズに比べれば魔猪は大したことないので、まるでアクションゲームの無双状態のようにマシュとイリヤちゃん達は暴れまくり、魔猪達はまるで軽い人形のように次々と空に薙ぎ飛ばされていくのだった。

 

きちんとナンバーズ百番勝負の修行の成果が出ているようだった。

 

一方、アルトリアはトゥルッフ・トゥルウィスと戦闘は続いていた。

 

トゥルッフ・トゥルウィスは聖杯の力を得て機械化したその戦闘力は凄まじかったが、そこにアルトリア・オルタとランサー・アルトリア・オルタが参戦した。

 

二人も違う可能性だけど同じアルトリアだから参戦しても不思議はない。

 

当然だけどアルトリアが三人となったことにトゥルッフ・トゥルウィスは困惑していた。

 

そりゃあ復讐の相手が三人に増えたら驚くのも無理はないな。

 

そして、アルトリア達三人による息の合ったコンビネーションでトゥルッフ・トゥルウィスは追い詰められ、約束された勝利の剣が額に突きつけられた。

 

トゥルッフ・トゥルウィスは敗北し、死を覚悟したが……アルトリアはトドメを刺さずに約束された勝利の剣を消した。

 

何故トドメを刺さないのかとトゥルッフ・トゥルウィスは尋ねると、アルトリアはこれ以上憎しみの連鎖を生み出さない為にと静かに告げた。

 

アルトリアは俺とアストラルの物語を見て憎しみの連鎖を断ち切ることが大事だと思い知らされ、自分に憎しみを向けるトゥルッフ・トゥルウィスに慈悲を示したんだ。

 

もう争いは止めよう、憎しみで自分を苦しめるなと言う思いを込めて……。

 

するとトゥルッフ・トゥルウィスは仇敵である騎士王ではなく、見た目相応の優しい少女の笑みを浮かべている昔とは違うまるで別人みたいなアルトリアに毒気を抜かれるとその場に力なく倒れてしまった。

 

力に満ち溢れていたはずのトゥルッフ・トゥルウィスが瞬く間に弱っていった。

 

トゥルッフ・トゥルウィスはこの戦いに敗れ、そしてアルトリアからの慈悲によって今まで自分を支えてきた憎しみの心が全て打ち砕かれてしまい、それにより二千年も生きながらえていた生命力が尽きかけようとしていたんだ。

 

これは憎しみで無理矢理生きながらえた命に終わりが迎えようとしているので、ナイチンゲールも無理に治療せずにそのまま静かに見守った。

 

お前は随分変わったなとトゥルッフ・トゥルウィスはアルトリアに言い、アルトリアも多くの人との出会いや想いが自分を変えてくれたと嬉しそうに言った。

 

それを聞いたトゥルッフ・トゥルウィスは静かに目を閉じた。

 

「もしも……私も、お前のように、変われたら……」と、最後にそう言い残して力尽き、体が機械ごと静かに塵となりながら消滅していった。

 

こうして二千年に渡るトゥルッフ・トゥルウィスの怨みの生は終わりを迎えた。

 

消滅したトゥルッフ・トゥルウィスの体から聖杯が現れて静かに浮いていた。

 

そしてこれが俺たちの無人島生活の終わりを迎える合図となるのだった。

 

 

 




次回でサマーメモリー編は終わりとなります。
その次はかなり短めなハロウィンを書いていこうと思います。
エリちゃんの大暴れとマタ・ハリ姉さんを出したいので。

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