更新ペースの空きが増えましたが無理せずゆっくりやっていこうと思います。
プリズマ・コーズ編は華やかなCMとかに騙されがちですが内容がかなり重いなと改めて感じました。
イリヤが夢幻召喚によってメディアの力をその身に宿し、その力を危惧したメディア・リリィはこの国の魔法少女として数多のモンスターを呼び出してイリヤ達に襲いかかる。
イリヤは杖を振るうと背後に五つの魔法陣が展開され、それぞれの魔法陣の中心に魔力が込められる。
クラスカード・キャスター……そこにはギリシャ神話の魔女・メディアの力が込められており、夢幻召喚をしたイリヤはその使い方を理解した。
「五門壊砲……
五つの魔法陣から放たれる魔力砲は通常のイリヤのよりも強力で一気にモンスターを倒していく。
「すげぇ……!メディアに負けず劣らずの魔力砲だぜ……!」
「イリヤの魔力砲は確かに強力だが、メディア・リリィの防御力は高い……」
遊馬はイリヤの夢幻召喚に感心するが、アストラルはこのままではメディア・リリィを止めることは出来ないのでどう切り開くか考える。
「防御力が高い……あっ、そうだ!遊馬さん、作戦を思いつきました!」
イリヤは杖を見てクラスカードのもう一つの力を思い出し、良い作戦を思いついた。
「ほう……興味深いな。遊馬、予備のD・ゲイザーをイリヤに。作戦内容を相手に聞かれるわけにはいかない」
「分かった。イリヤちゃん、D・ゲイザーだ!マイクに向かって小声で話せば俺たちにも届く!」
遊馬は予備のD・ゲイザーを起動して展開し、イリヤに渡す。
「は、はい!」
イリヤはD・ゲイザーを左眼にセットし、マイクに向かって自分の作戦を小声で話し、遊馬とマシュに伝える。
イリヤの使える能力や状況を瞬時に判断した効果的な作戦に遊馬とマシュは見事だと感心し、その作戦を遂行することにした。
作戦を遂行するために遊馬が先陣を切る。
「よし!イリヤちゃん、露払いは俺が引き受けるぜ!俺のターン、ドロー!よっし!魔法カード『アームズ・ホール』!デッキトップのカードを墓地に送り、デッキ・墓地から装備魔法を1枚手札に加える!俺は『魔術の呪文書』を手札に加える!更に魔法カード『黒魔術のヴェール』を発動!!」
遊馬のフィールドに青と紫に輝く魔法陣が浮かび上がる。
「1000ポイントのライフを払い、自分の手札・墓地から魔法使い族・闇属性モンスター1体を特殊召喚する!手札から『ブラック・マジシャン・ガール』を特殊召喚!!」
『ふふっ……はっ!』
自分のライフポイントを糧とし、手札からブラック・マジシャン・ガールを呼び出す。
「ブラック・マジシャン・ガールに魔術の呪文書を装備!このカードは『ブラック・マジシャン』か『ブラック・マジシャン・ガール』にのみ装備可能!これにより、ブラック・マジシャン・ガールの攻撃力を700ポイントアップする!」
様々な呪文が記された大きな魔術書が現れ、それをブラック・マジシャン・ガールが読むと攻撃力が上昇する。
「速攻魔法『スター・チェンジャー』!自分のモンスター1体のレベルを1つ上げるか下げることが出来る!ブラック・マジシャン・ガールのレベルを1つ上げ、レベル7にする!」
わざわざブラック・マジシャン・ガールのレベルを1つ上げた理由……それはモンスター達を一掃する魔法使い族の必殺のカードを発動する為である。
「更に手札から魔法カード『拡散する波動』を発動!俺のライフポイントを1000ポイントを払い、自分フィールドのレベル7以上の魔法使い族モンスター1体を対象として発動!相手フィールドのモンスター全てに攻撃出来る!!」
拡散する波動……それは伝説のデュエリスト・武藤遊戯が数々の名デュエルでフィニッシュを何度も飾ったカードで自然と遊馬も声に力が込められる。
「ブラック・マジシャン・ガールの攻撃!」
ブラック・マジシャン・ガールがステッキを上に向けると、魔術の呪文書と拡散する波動によって得られた特大級の魔力が込められる。
「ブラック・バーニング・バースト!!!」
魔力が何倍にも増加し、新たに現れたモンスター達全てを対象に無限に近い爆撃が拡散されて放つ。
拡散する波動の効果でこの場にいる全ての敵を一度に攻撃することが出来るので僅か十数秒でモンスター達を全滅させた。
「行け!マシュ!イリヤちゃん!」
「「はいっ!!」」
マシュは走り出し、イリヤは低空飛行で飛び、メディア・リリィとイアソンの元に向かう。
「こ、来ないでください!」
メディア・リリィは魔力弾を放ち、マシュとイリヤを狙い撃つが、マシュは盾で魔力弾を防ぎ、イリヤは回避しながら急上昇して高く飛ぶ。
「『キャスター』、アンインストール!」
イリヤは胸元に手を置くと自身と一つになっていたキャスターのクラスカードを取り出し、夢幻召喚を解除して元の魔法少女の姿となり、カードケースから次のクラスカードを取り出す。
「クラスカード『バーサーカー』!!」
取り出したのはバーサーカーのクラスカード。
それを今度は夢幻召喚ではなく、ルビーでクラスカードを叩きつけるようにして発動させる。
「
限定展開とはルビーを媒介とすることでそのクラスカードに込められた英霊の力の一端である『宝具』を召喚、行使出来る魔術。
「『
ルビーがステッキから変化したのはイリヤの背丈の何倍もある巨大で荒々しい形をした斧剣だった。
それはギリシャ神話の大英雄・ヘラクレスの持つ斧剣だった。
「そんな、あの剣は……!?」
「バカな!?あれはヘラクレスの武器!?何故あんな娘が扱えるんだ!?」
メディア・リリィとイアソンは斧剣に驚愕していた。
特にイアソンにとってヘラクレスは友であり、そのヘラクレスの斧剣を何の関係もないイリヤが使用していることに信じられないといった様子を見せていた。
限定展開したバーサーカーの斧剣はあまりにも重く、イリヤではとても振り回せないのでその超重量を利用して落下させるように振り落とす。
「そうはさせません!」
メディア・リリィは防御魔術を展開して斧剣の超重量にも負けない強固な守りを展開する。
「行きます!はぁあああああっ!!」
それに合わせてマシュはメディア・リリィに接近し、盾を振り上げる。
「ロード・カルデアス・ストライク!!」
盾を振り回し、連続攻撃を仕掛けるが強固な防御魔術で防ぎ切られる。
「くっ……!?激しい攻撃ですが、そう簡単には崩せませんよ!」
「それは……どうですかな?イリヤさん!」
「はい!『バーサーカー』、アンインクルード!」
バーサーカーの限定展開を解除し、ルビーが射殺す百頭から元のステッキに戻り、尽かさずキャスターのカードをルビーに向けて投げる。
「限定展開!『キャスター』!!」
夢幻召喚ではなく、限定展開でキャスターのクラスカードを発動すると、ルビーの形が歪な形をした短剣となった。
「そ、その宝具は……!??」
メディア・リリィはその短剣を見た瞬間、顔を真っ青にしてすぐに対抗策を考えようとしたが既に時は遅かった。
イリヤは短剣を逆手持ちにして構え、防御魔術に向けて振り下ろす。
「『
バリィン!!!
ガラスが割れるような派手な音が鳴り、メディア・リリィの強固な防御魔術があっさりと全て破戒された。
破戒すべき全ての符……それはメディアの持つ『あらゆる魔術を初期化する』という特性を持つ最強の対魔術宝具である。
「マシュさん!」
「はい!せいやぁっ!」
マシュは防御魔術を突破してメディア・リリィが次の魔術を発動する前に盾を振るい、メディア・リリィの杖を弾き飛ばした。
「キャッ!?」
「ごめんなさい、少し手荒くします!」
マシュは盾を床に突き刺して手を離すと、すぐにメディア・リリィの腕を掴んで足払いをし、そのままバランスを崩して取り押さえて動かなくした。
「メ、メディア!!」
チャキッ!!
「ヒィッ!?」
イリヤは破戒すべき全ての符の刃をイアソンの首元に添え、堂々と宣言する。
「この勝負……私たちの、勝ちだよ!」
イリヤがクラスカードの能力を理解し、巧みに操り、勝利へと導いた。
メディア・リリィとイアソンは敗北を感じ、マシュとイリヤはアイコンタクトを交わして頷き、二人を離す。
「行きましょう、イリヤさん。もうこの国に用はありません」
「はい。私はミユを助けに来ただけで、国を壊しに来たんじゃないんだから、もう出て行きますね」
「ま、待ってください!魔法少女は戦うものですし……モデラー魂に火が入りましたし……」
メディア・リリィは頬を赤く染めながらイリヤとブラック・マジシャン・ガールを見て密かに考えていたとんでもない計画を暴露した。
「イリヤさんを倒して、あとそこにいる魔法少女も一緒に型取りをして大量生産、新商品として我が国の秋の商戦の目玉にする計画が……」
メディア・リリィは何と、イリヤとブラック・マジシャン・ガールを型取りして等身大フィギュアを作ろうとしていた。
「出会って数分でそこまで綿密な計画を立てないでください!サイコですかメディアさんは!」
イリヤはメディアの事をサイコだと言い放ち、ブラック・マジシャン・ガールは顔を引きつってドン引きした。
「さ、流石にそれは怖いですね……」
「あー、ブラック・マジシャン・ガール。念の為言っておくと、あんたのフィギュアなら俺たちの世界でもかなり売られているぜ」
「えっ!?そ、そうなんですか!?私のフィギュアが!??」
「ああ。等身大は無いが、小さいサイズで様々なポーズのフィギュアが世界中で売られている」
ブラック・マジシャン・ガールはデュエルモンスターズの中でも一番の人気を誇るアイドルモンスターなので、フィギュアなどの数多くの商品が開発されている。
「そ、それって、喜んでいいのかどうか悩みますね……」
ブラック・マジシャン・ガールは自分が人気だという事実に素直に喜んでいいのかどうか悩んだ。
「私は宝石なんて要りません!他の方法を探します!あなたが何のために国を造ったのか知らないけど、何か大切なものがあって、そのために戦ってきたって分かるもの!」
イリヤはこれ以上、メディア・リリィと戦いたくない……その為にメディア・リリィを説得しようとしたが……。
「大切なもののためになんて戦ってないぞ。何となくで戦い続けてきたのがメディアだからな」
イアソンが突然真実を語り出した。
「この国を造ったのはオレへの負い目から。宝石を守り続けたのは他の魔法少女が怖かったから。静かに暮らしていたいだけ、なんて言い分は、そうしていれば醜い魔女にならないと信じたから」
それはメディア・リリィが様々な心境と自分の未来……魔女・メディアになる事を恐れていた。
「それは……そうですけど……そもそも私に籠城しろと言ったのはイアソン様で……」
「そりゃそうだ。お前は自分の国を出たら魔女になる。そういう運命だ。だから他の国には行くなって忠告したのさ。魔女になれば、お前もエコーの仲間入りだからな」
「エコー……?」
エコーとはギリシャ神話の森の妖精の名前であるが、何故イアソンがそれを言ったのか不明だった。
「だが、その心配もこれで終わりだ。ほら、お嬢さん。こいつが欲しいんだろ。持っていけ」
イアソンは真紅に輝く宝石を取り出した。
イリヤは宝石を渡してくれたことに困惑したが、イアソンはひねくれた考えで石が欲しいものには渡さないが、要らないと言った善人には嫌がっても押し付けるつもりだったのだ。
どのみちメイヴと戦争になれば負けるのは分かっていたので、それならイリヤに託した方が気持ちが良いだろうと考えた。
そして何より……イアソンはメディア・リリィが魔女になってもらいたくない、このまま夢のまま消えた方が良いと……。
「……分かりました。イアソン様がそう仰るのなら、宝石は譲ります。その代わり、私は何も教えません……語れば、悲しい事を思い出してしまうから。私も、かつて私が倒してきた彼女たちと同様、ここで運命を終えましょう」
宝石をイリヤに渡し、メディア・リリィの悲しそうな表情に遊馬とアストラルは共に顎に手を添えて考えこんだ。
この世界は何かがおかしい。
魔法少女の世界……と言えば聞こえは楽しそうに感じるが、その実情はかなり殺伐としており、悲しみに包まれており、狂っているようにも見える。
それがミユを誘拐された事と関係があるのかと……一つ一つの疑問の線を真実に向けて結んでいく。
「メディアさん……あの、あなたもここで消えてしまうんですか?」
「はい。でも私には希望は無くても、未練がありますから、すぐには消えません。えーと、作りかけの模型があと二十八万七千個ありますから──1日3個の計算でも二百五十年はかかりますね!ファイト、メディア!」
メディア・リリィは笑みを浮かべてガッツポーズをして、そのまま別れを告げた。
「希望ではなく未練か……これは一つのカオスから来る、生きる力だな」
アストラルはメディア・リリィが持つカオスに色々と考えさせられるのだった。
☆
大海原と竜の国を後にした遊馬達はかっとび遊馬号に乗って次の国へ向かう準備をする。
すると、イリヤとルビーの姿が見えないので探すと、二人は甲板に出ていた。
遊馬達は悲しそうな表情を浮かべているイリヤに話しかけた。
「イリヤちゃん、どうしたんだ?」
「私達がメディアさんの国に押し入ったから、メディアさんは仕方なく戦っていた。その結果、私はメディアさんから宝石を取り上げちゃったんだ……」
イリヤはメディア・リリィと戦うことになってしまい、宝石を譲り受けたとは言え、結果的には取り上げてしまった事と同義。
イリヤはただ、ミユを助けたいだけなのにナーサリーとメディア・リリィの宝石を奪ってしまった……その事を深く心を痛めていた。
それは遊馬達も同じ思いだった。
すると、ルビーは自分の考えを説いていく。
「それはないと思いますよー?ホントは使い途なんかないのに、なんだか勿体ないから棄てられない──メディアさんにとってこの宝石はそういうものだったと思います。あれだけの力を持つ魔法少女ですからねー。ホントは宝石がなくても、自分の国ぐらい造れていたんじゃないですかねー」
魔法少女の力を測る事ができるルビーだからこそ、メディア・リリィの心を推測した。
「……うん。でも、そんな力を持つメディアさんでさえ、あんな暗い顔で、暗い思い出に取り憑かれてた。メディアさんさ……私はこの世界から逃げられない、とか言ってたけど、本当なのかなあ……?私が魔法少女である限り……って」
「さあー、ルビーちゃんにも確証なありませーん。でも本当だったらどうします?美遊さんを取り戻した暁には、おふたりの愛のキャッキャウフフランドでも創りますかー?ご協力は惜しみませんよーうっふっふー?」
「ちょ──!なに言ってるのルビー、もう……」
「イリヤちゃん、ちょっと良いか?」
「は、はい。なんですか?」
ルビーが本気か冗談か分からないが、落ち込むイリヤを和ませると、遊馬は歳上としてアドバイスをする。
「イリヤちゃん、確かにナーサリーとメディアの事は辛いさ。だけど、二人は自分達の意思で君に宝石を……希望を託したんだ。忘れろ、気にするなとは言わない。だけど、イリヤちゃんには取り戻したい人がいるだろ?」
「もちろんです。私は……ミユを助けたいです」
「悩む事も大事だけどさ、今だけは二人のことを心の中に仕舞っておいて、イリヤちゃんはミユちゃんを助ける……その事だけを見つめて前を向いて歩けばいい。他の事は俺たちが悩んだり考えたりするからさ」
「不安や悩みはみんなで分け合えば良い……イリヤ、君は一人ではない」
「そうですよ、イリヤさん。私達がついてますから、一緒に頑張りましょう!」
「フォーフォウ!」
イリヤは遊馬達からの言葉に励まされ、元気になって笑みを浮かべる。
「みなさん……はい!ありがとうございます、少し元気が出ました!」
イリヤが元気になったところで二つの宝石を近づけると、次の目的地への道標を示した。
次の目的地は静かな建物が広がる場所……おそらくは『死せる書架の国』。
「よし!次の目的地に向けて、かっとび遊馬号、全速前進で発進だ!」
遊馬は舵を取り、かっとび遊馬号を死せる書架の国に向けて発進した。
☆
次の目的地……死せる書架の国、それは今まで訪れた場所とはかなり違う不気味なゴーストタウンだった。
空は灰色に染まっており、国全体が廃れており、とても魔法少女の世界とは思えない国だった。
そして、その中でも特に異質なものがあった。
「何だ、あの黒い壁……」
「湾曲してドーム状になっている……まるで巨大な結界のように見えるな」
そこは死せる書架の国に隣接した全く異なる空間だった。
こんなところに魔法少女がいるのか、そう考えた矢先に……。
『────!!!』
「って、きゃああぁぁー!!」
「おおっ、ゴースト系の敵だ!?」
それはオガワハイムや監獄塔などでも遭遇したゴースト系の敵でイリヤは恐怖からマシュにしがみ付く。
「ちっ、ゴーストタウンに相応しい敵だな!」
「待て、遊馬。このゴースト、何処かへ行こうとしているぞ」
「えっ?それじゃあ……建物の影に隠れよう」
下手に戦闘するよりも戦闘を回避した方が良いと判断し、遊馬達は建物の影に隠れると、ゴーストは遊馬達を見向きもせずに黒い壁の方向へ向かった。
「あのゴーストさん、とっても怖かったんだけれど……どこか可哀想に見える……」
イリヤは何故かゴーストが可哀想に見えてしまい、遊馬達は街に徘徊するゴーストを避けながら街の中心部に向かう事にした。
街の中心部には大きな建物があり、そこは静まりかえっていた。
これからどうしょうか悩んでいるとアストラルはある提案をする。
「ここは死せる書架の国……書架、つまり本の国。それなら、本を探せば何か見つかるのではないか?」
「本か……よし、それならあの建物に入ってみるか。手掛かりは無いからな」
手掛かりが無いなら探すしか無いと、ひとまず建物の中に入ろうと門を潜ると……。
『『『────!!!』』』
突然、ゴースト達が何処からともなく大量に現れて敵意を露わにし出した。
「うおっと!?今度はなんか変だぞ!?」
「明らかな敵意を感じる……遊馬、ここは戦うしかないぞ!」
「あわわわわ……ゴーストさんと戦うなんて……」
「イリヤさん、無理しないでください!」
マシュはゴーストを恐がるイリヤを後ろに下がらせ前に出る。
すると、フォウがマシュの肩に乗ってビシッと前足をゴーストに向けると……。
「フォウフォウ……デミ魔法少女カルデア☆マシュに変身するフォウ!」
「はいっ!……はい!?フォウ??」
マシュは肩から聞こえた声に驚愕し、耳を疑いながらフォウに首を向ける。
「フォ、フォウさん!?」
「……おいっ!?フォウ、今人語を話さなかったか!?マシュに変身しろって言わなかったか!?」
「フォウ、君はしらばっくれるつもりか!?明らかに喋ったはずだが!?」
「フォ、フォウ君って喋れるんだ……」
「……フォーウ?」
フォウは何のこと?と言わんばかりに可愛らしく首を傾げた。
「あー、なるほど……可愛い見た目に騙されていましたが、そういう事でしたか」
ルビーはフォウについて何か心当たりがあるらしく、頷きながら呟いていた。
「と、とにかく……行きます!」
マシュはキュルン!といつもと違い、可愛らしい音が鳴りながらデミ・サーヴァントに変身して盾を構える。
遊馬はデュエルディスクを構え、イリヤはまだゴーストを恐がっているが勇気を奮い立たせてルビーを持って転身する。
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次回はメイヴとの戦いまで書ければと思います。
絶望と戦うメイヴに希望と未来を信じる遊馬が立ち向かう予定です。