Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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遂に来ました!
スケールが色々デカイバトルが繰り広げられる第五特異点、アメリカ編の突入です!
神話大戦の名にふさわしいド派手なナンバーズを色々出していきたいです!

あと、全く関係ないですけど……7月7日は遊戯王5D'sの主人公、不動遊星の誕生日!
遊星、誕生日おめでとうございます!


第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
ナンバーズ116 第五特異点へ!戦場を駆けるクリミアの天使!


これは夢だと最近になってよく分かるようになった。

 

遊馬が目を開くとそこには日が登らない空に果てしない湖のような世界が広がっていた。

 

「……何処だここは?」

 

とても静かな場所で遊馬の足音しか響いていなかった。

 

すると、遊馬の視線の先に人影が見えた。

 

それは太陽のように紅く、綺麗な髪をした美少年と美少女がいた。

 

まるで兄妹のようにも見える二人だが、目を閉じて眠っているようで遊馬は不審に思って近づくと、突然二人の体から邪悪なオーラが放たれて二人を吞み込もうとしていた。

 

「っ!?待ってろ、今助ける!」

 

遊馬は走り出して二人を助け出そうとしたその時だった。

 

『邪魔をするな……』

 

邪悪なオーラが形をなし、猿のような姿をして遊馬の前に立ち塞がる。

 

「てめえ、何者だ!?」

 

遊馬はホープ剣を両手に出現させて構える。

 

「その二人に何をしたんだ!?」

 

『これは、呪いだ……』

 

「呪い……!?」

 

『二人は二度と共に喜びを分かち合うことは出来ない……何度、死を重ねても……永遠にその呪いは解けることはない……』

 

それは二人は二度と会うことはできないと言う意味を示していた。

 

「ふざけるな……!何があったか知らねえけど、てめえにそんな残酷な事をする権利はあるのか!?」

 

遊馬は理由は分からないが、どんな理由があろうとも二人を二度と会わせない呪いを掛けた事に激怒した。

 

大切な人と離れ離れになる、二度と会えない苦しみや悲しみを誰よりも理解している遊馬はホープ剣を振るった。

 

しかし、邪悪なオーラが突風のように吹き荒れて遊馬を吹き飛ばした。

 

やがて夢の中の意識が薄れていき、目の前の世界が真っ白になる……。

 

「がっ……!?はっ、はっ、はっ……」

 

強制的に目を覚まされたようになり、遊馬は何が起きたのか分からずに困惑する。

 

体中が汗でびっしょりとなり、胸を押さえながら息を整える。

 

「何だったんだ、あれ……?」

 

「大丈夫?うなされていたけど……」

 

「空……」

 

忘れた頃にひっそりと遊馬の部屋に侵入している空がタオルと水を持ってきた。

 

「また変な夢を見たの?」

 

「ああ。実は……」

 

遊馬は一緒に寝ている桜とジャックを起こさないようにベッドから降り、タオルで汗を拭いて水を一気に飲み干して椅子に座ると夢の内容を空に話した。

 

すると空は目を見開くほどに驚いて手を口に添えて考え込む動作をして何かを呟く。

 

「まさか……英霊の座に……?でも、そんな、……人間が夢を通じてあそこに介入するなんて……」

 

「ん?どうした?」

 

「な、何でもないわ。遊馬が夢で見たなら、多分その二人は英霊よ。もしかしたら近々会うことになるかもしれないわね」

 

「……だとしたら絶対に何とかしないと。呪いだか何だか知らねえけど、あんなふざけたものは認められないぜ!」

 

「……でも、呪いはそう簡単に解けるものではないわ。奇跡の力でも無い限りは、ね……」

 

「奇跡か……」

 

遊馬は令呪が刻まれた右手の甲を見た後に右手を軽く輝かせて強く握り締める。

 

「やる価値はありそうだな……」

 

「あまり無理しないでね。そこで眠っている可愛い天使ちゃん達の泣き顔は見たく無いからね……」

 

空はスヤスヤと眠っている桜とジャックに毛布をかけ直して頭を軽く撫でる。

 

別の人格の存在とはいえ、その時だけはあまり自分の事を話さない式が一人娘の話をしている時と同じ優しい顔をしていた。

 

「そうだな。守るべきものが増えるって大変だな……」

 

「それ、娘が出来た父親が言う台詞よ……ジャックはあなたを『おかあさん』って言うから間違っては無いけど……」

 

とても十三歳の子供がいう台詞では無いので空は思わずツッコミを入れた。

 

すると、まだ朝も明けてないのに廊下が全然騒がしくないので、遊馬は気になって廊下に出てみた。

 

「あれ?ネロと清姫がいない?」

 

いつもならネロと清姫が夜這いに来てそれをアタランテとメドゥーサが阻止するのだが……。

 

「ああ、おはよう。遊馬」

 

「おはようございます」

 

「アタランテ、メドゥーサ、ネロと清姫は?」

 

「それなのだが、実は……」

 

アタランテが現状を説明しようとしたその時だった。

 

「ネロォオオオオオーーッ!!!」

 

「ん?」

 

ドドドドド……!

 

大きな地響きが鳴り響くと遊馬に向かってカリギュラが殺気を剥き出しで走って来た。

 

「マスター……オマエカァアアアアアッ!!!」

 

「……遊馬、カリギュラに何かしたか?」

 

アストラルが皇の鍵から静かに現れる。

 

「いや、身に覚えない」

 

「仕方ない、フェイトナンバーズに封ずるか?」

 

「私が止めようか?」

 

「魔眼使いましょうか?」

 

身に覚えのない憎しみが込められた殺気に遊馬達は臆する事なく冷静に対処する。

 

「いいや、いつか来るかと思ったこんな時の為に……鍛えていたからな!」

 

遊馬は地を蹴ってカリギュラの懐に潜り込み、右手を光り輝かせて拳を作って振り上げる。

 

「鉄拳聖裁!!!」

 

「グフッ!?」

 

マルタ直伝の鉄拳が輝き、カリギュラの顎を殴り飛ばして脳震盪で倒した。

 

「強くなったな、遊馬」

 

「姉御から色々教わってるからな。それにしても、カリギュラのおっさんはどうしたんだ?」

 

カリギュラからは前々から睨まれていたが何故襲われるのか心当たりがなく首を傾げるとその答えはすぐに判明した。

 

「マスターよ……」

 

「ロムルス?」

 

そこに出て来たのはローマ帝国建国の祖、ロムルスだった。

 

「我が娘……ネロが消えた」

 

「えっ……ネロが、消えた!?」

 

「何処を探しても見つからず、カリギュラはマスターが連れ去ったと思って襲いかかったのだ」

 

「でも俺も知らないぜ……試しに呼んでみるか。おーい、ネロ!ちょっと朝早いけど一緒に飯食わねえかー?」

 

遊馬の誘いならすぐに飛んでくるネロだが全然来る気配がない。

 

「来ないな……」

 

「旦那様……」

 

「ん?おわっ!?き、清姫!?」

 

いつの間にか背後に清姫が立っており、気配なく現れたのでビクッと驚くと、清姫の口から驚くべき事が語られる。

 

「旦那様、ネロさんだけではありません。もしかしたらと思って確認したら、エリザベートさんもいません」

 

「エリちゃんも!?」

 

遊馬はエリザベートとは友人として仲がいいのであだ名で『エリちゃん』と呼んでいる。

 

ネロに続いてエリザベートまで行方不明だと知り、遊馬とアストラルはこの事態にある可能性を考える。

 

「まさか……二人は新しい特異点で召喚された?」

 

「オガワハイムの時みたいにサーヴァントが強制的に呼ばれた可能性もあるな……いや、エリザベートは第二特異点の無人島でも呼ばれていたな」

 

特異点では直接の原因はまだ判明していないが、英霊の座以外からも既にカルデアに召喚されているサーヴァントを強制的に召喚するケースもある。

 

ネロとエリザベートは新たな特異点に召喚された可能性が高くなり、遊馬は部屋に戻ってソードラックに立て掛けた原初の火を手に取る。

 

所有者の思いに応えてその色が変化する刃が炎の如く赤々と輝き、ネロの事を思い出しながら肩に担ぐと、カリギュラが脳震盪からフラフラになりながらも立ち上がった。

 

「……カリギュラのおっさん。ネロは特異点で召喚されたはずだ。ネロは俺が連れ戻す」

 

「……その約束、違えた時にはその首、覚悟しておけ!」

 

「任せとけって。この剣に誓って必ず連れ戻す」

 

遊馬は原初の火を掲げてネロを連れ戻すと固く誓うと、ロムルスが近づいてポンと肩に手を置く。

 

「マスターよ、ネロは我が娘であると同時に最高のローマ皇帝だ。もしも私の力が必要な時にはいつでも呼ぶがいい。ネロとマスター、そしてローマの為に力を振るおう!!」

 

「サンキュー、ロムルス!頼りにしているぜ!」

 

「遊馬、この騒ぎだ……既にオルガマリー達も準備を始めているだろう。私達もすぐに準備をしよう」

 

「ああ!アタランテ、メドゥーサ。子供達の面倒を頼むぜ!」

 

「任せろ」

 

「お任せください」

 

桜とジャック達の面倒を二人に頼み、遊馬は急いで着替えてレイシフトする時の荷物を全て用意する。

 

「お兄、ちゃん……」

 

「ん?あっ、桜ちゃん。起こしちまったか?」

 

ベッドの上でまだ虚ろな目で眠そうな桜が遊馬を見つめていた。

 

「……行くの?」

 

「新しい特異点が現れたかもしれないんだ」

 

「必ず……帰って来てね」

 

「当たり前だろ?ちゃんと戦いに勝って、桜ちゃんの、みんなの元に帰るからさ」

 

「うん。行ってらっしゃい……」

 

「ああ。行って来ます」

 

遊馬は桜の頭を撫で、電気を消してアストラルと共に部屋を後にした。

 

部屋を出てまずは管制室に向かおうとするとそこでマシュと肩に乗っているフォウと落ち合った。

 

「マシュ!フォウ!」

 

「二人も既に起きていたんだな」

 

「遊馬君!アストラルさん!おはようございます!」

 

「フォー、フォウ!」

 

「はい!今起こしに行こうと思っていましたが、早いですね。もう準備完了ですか!あ、そうでした……私のフェイトナンバーズのカード、お返しします」

 

借りていたマシュのフェイトナンバーズを遊馬に返し、デッキケースにしまう。

 

「……気になっていたが、君のフェイトナンバーズを何かに使ったのか?」

 

アストラルの質問にマシュは少し焦りながら説明する。

 

「え、えっと、使ったと言うか確認と言いますか……ごめんなさい、もう少ししたらちゃんとお話ししますので今は待っていただけますか……?」

 

「そっか、分かったぜ。でもいつかちゃんと話してくれよ?」

 

「君個人のことだ。何か人には気軽に話せない大きな事情があるのだろう。私たちはその時が来るまで待つことにしよう」

 

まだ話すことが出来ない内容だと察した遊馬とアストラルはマシュを信じて待つことにした。

 

「は、はい……ありがとうございます」

 

二人の心遣いに感謝をして深く頭を下げるマシュ。

 

その後、遊馬達は朝早くからオープンしてもらった食堂で朝食を取ってから管制室に向かうことになり、その際にブーディカからあるお願いをされた。

 

「ユウマ、マシュ、ネロの事を頼むね。あいつがいないと、張り合いが無いからね」

 

ブーディカはネロと日夜張り合いをしているので(主に遊馬関係)、いなくなると張り合いが無いと言いながらも実は内心いなくなったネロを心配していた。

 

「ブーディカ ……分かったぜ!」

 

「お任せください!」

 

ブーディカからも想いを託され、いなくなった仲間達を取り戻す決意を固めながら朝食をしっかりと食べる。

 

管制室の準備が終わり、遊馬達は管制室に向かってブリーフィングを行い、オルガマリーが説明を行う。

 

「それでは、ブリーフィングを始めます。まずは新たな特異点が判明し、それと同時にカルデアのサーヴァントが数名が恐らくは特異点先で召喚されました。行方不明となったのは、ネロ、エリザベート、ディルムッドの三人です」

 

ネロとエリザベートだけでなくディルムッドも行方不明になっていた。

 

「さて、前回の第四特異点のロンドンで私たちの最大の敵がソロモン王と判明しました。意図的でしょうけど、様々な情報が判明しました」

 

その情報とは『遊馬達が残り三つの特異点を攻略しても構わない』と『特異点を攻略中はソロモン自身は遊馬達を襲わない』ことだ。

 

「だが問題は山積みだな。このまま人理を修復させるために戦うとして、一番の問題は魔術王とその使い魔の七十二柱だな……」

 

「あの不気味な化けもんが七十二体もいるってことだよな……これまで三体はぶっ倒したけど、多分復活するよな……」

 

「ああ。『七十二柱の魔神』という使い魔はそれ自体が一つの術式、一つの概念なんだ。彼らは常に七十二柱いることが前提条件となる」

 

ロマニの説明に遊馬は苦虫を潰したような表情を浮かべてため息をつく。

 

「つまり、もしもソロモンと決着をつける時は七十二柱をまずは全部ぶっ飛ばさなきゃいけないってことか……」

 

「だが、今考えていても仕方ない。それはまた後で考えよう。オルガマリー、今回の特異点の場所は何処だ?」

 

「今回の特異点は魔術師的には驚きの場所よ。そこは現代では世界有数の超大国──北アメリカ大陸……『アメリカ合衆国』よ」

 

今までの特異点とはまた一味違った場所に遊馬は目をパチクリさせながら驚く。

 

アメリカは遊馬にとって……否、正確には『全てのデュエリスト』にとってはある意味特別な国なので余計に驚いた。

 

「次はアメリカか……でも、アメリカ自体の歴史はそんなに古くは無いよな?」

 

「そうね。魔術的には歯牙にも掛けられていない国だけど、歴史的にはかなり重要よ」

 

「とはいえ、魔術が皆無かと言うとそうでもない。向こうには精霊を降臨させるような独自の魔術が発達していたようだしね」

 

ロマニの補足説明に遊馬は思い出したようにポンと手を叩く。

 

「あー、なるほど。アメリカ先住民のインディアンとかか。アストラル世界の住人みたいな精霊を呼び出せるのかな?」

 

「一口にインディアンと言っても様々な部族や信仰がある。自然の精霊や祖先を崇めているのは共通しているが……もしかしたら、私のような存在を召喚出来るランクアップした魂を持つインディアンがいるかもしれないな」

 

「おぉー。それは会ってみるのが楽しみだな。ところで、今回の護衛は誰にするんだ?アメリカ系のサーヴァントってカルデアにはいないよな?」

 

前回のロンドンでは知名度抜群のアルトリアとブーディカが護衛として付き添っていたが、カルデアにはアメリカ出身のサーヴァントはいない。

 

「そうね。だから今回は抽選にしたわ。ちょっと不安があるけど……」

 

「不安?」

 

「二人共、入って来なさい!」

 

オルガマリーが呼び、管制室に入って来たのは……。

 

「遊馬、久々に頼むわ」

 

「旦那様、よろしくお願いします」

 

「レティシア!清姫!」

 

レティシアと清姫の二人だった。

 

竜の魔女としての力は失っているがルーラーとしての能力は失っていないレティシアと灼熱の炎で敵を焼き尽くすバーサーカーの清姫。

 

アンバランスな二人だがマスターである遊馬を守ろうとする意志の強さはマシュにも引けを取らないのだが……。

 

「この二人は色ボケダメサーヴァント筆頭なのよね……はぁ……」

 

遊馬に女性関係で何かあるとすぐに暴走する二人で、その度にオルガマリーが怒号を響かせながら止めるので正直な話……不安しかなく、出来る事なら抽選をやり直したい気持ちだった。

 

「よーし、みんな!気合を入れて行くぜ!」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

「フォーウ!」

 

「もちろんよ!」

 

「頑張ります!」

 

まあ何だかんだで遊馬がみんなを引っ張っているので大丈夫かとオルガマリーは少し諦めた気持ちで納得するしかなかった。

 

遊馬はマシュ、レティシア、清姫をフェイトナンバーズに入れてデッキケースにしまい、アストラルは皇の鍵の中に入り、フォウはいつものように遊馬の上着のフードの中に入り、準備完了となる。

 

「遊馬、忘れ物はないわね?」

 

「ああ!もちろん!」

 

オルガマリーは遊馬に忘れ物がないか確認し、念の為必要な道具一覧をチェックしてからコフィンの中に入れる。

 

コフィンの中に入った遊馬は目を閉じると体が粒子となり、17世紀のアメリカに向けてレイシフトする。

 

 

第五特異点の17世紀のアメリカにレイシフトが成功した遊馬はデッキケースからマシュ達を出す。

 

レイシフトした時代は1783年のアメリカ……否、まだこの時はアメリカ合衆国は生まれていない。

 

この年に終結するイギリスとの独立戦争を経てアメリカは国家として独立するのだ。

 

「さてと、まずは情報収集からだな」

 

「現状の把握と私たちの味方になってくれるサーヴァントを探そう。アメリカは広大だ。今回は飛行船が活躍するな」

 

「遊馬……近くで大規模な戦闘が行われているみたいよ」

 

レティシアは森の外で戦闘が起きているのを察知し、旗を構える。

 

「早速バトルか……みんな、行くぜ!」

 

遊馬はデュエルディスクとD・ゲイザーを装着し、マシュ達を引き連れて森を出る。

 

森を出るとそこは見渡す限りの荒野でアメリカがまだ出来る前の映画でよくある開拓時代を彷彿とさせる光景だった。

 

そこで大規模な大人数による戦闘が行われていたが……その戦闘員がこの時代ではあまりにも異質だった。

 

「あ、あれは……バベッジさん!?遊馬君、バベッジさんです!」

 

それはロンドンで対峙したバベッジやヘルタースケルターのような機械兵士が沢山おり、この時代には存在しないものだった。

 

「でもバベッジはカルデアにいるはずだよな?ってことは……」

 

「あれはバベッジと同じ技術力を持つサーヴァントによる機械兵士という事になるな」

 

バベッジはカルデアにいる事は確認できていたので、遊馬とアストラルはあれがバベッジと同等の技術力を有したサーヴァントの宝具、もしくは製造されたものだと推測した。

 

そして、それと対峙する軍団はかなり大昔のレトロな衣装と装備をした兵士達だった。

 

二つの軍団は遊馬達を敵だと判断し、それぞれが襲いかかってきた。

 

「「現れよ!『No.39 希望皇ホープ』!」」

 

遊馬とアストラルは希望皇ホープをエクシーズ召喚をし、マシュ達も戦闘態勢を取る。

 

「みんな、行くぜ!」

 

「まずは目の前の敵を薙ぎ払う!」

 

「北米大陸における初戦闘──開始します!」

 

「取り敢えずあのポンコツを派手にぶっ壊すわ!」

 

「それでは私は焼き殺さない程度に焼き尽くしましょう」

 

遊馬達は謎の二大軍団との戦闘を開始する。

 

希望皇ホープとレティシアで機械兵士、マシュと清姫で人間の兵士を相手にする。

 

わずか一体のモンスターと三人のサーヴァントとは言え、既に多くの修羅場を経験しているのでこれぐらいの敵は造作もなく薙ぎ払い、分が悪いと判断したのかそれぞれの軍は撤退する。

 

「とりあえずこれで一段落だな」

 

「ああ。だが油断はできないな……む?遊馬、頬に傷が……」

 

いつのまにか遊馬の頰に小さな切り傷ができて少し血が垂れていた。

 

「あれ?ああ、さっき飛んできた破片で切っちまったかな?これぐらい何ともねえよ、ほっとけば治る」

 

傷を軽く手で擦って血を拭う。

 

すると、撤退した軍の中から一つの赤い影が飛び出した。

 

「何故こんな戦場に子供が!?しかも怪我をしていますね!!」

 

高い女性の声が響き、遊馬はその声に聞き覚えがあり、すぐに反応して振り向くとそこにいたのは……。

 

「えっ?あっ!あんたは……!」

 

「来なさい!あなたを治療します!」

 

「えっ、ちょっ、まっ──どわぁあああああっ!??」

 

突如現れた赤い影に遊馬はヒョイと担がれて連れ去られた。

 

「「遊馬!?」」

 

「遊馬君!?」

 

「フォー!?」

 

「旦那様!?」

 

遊馬が誘拐され、アストラル達は急いで謎の女性の後を追う。

 

「旦那様ぁああああああっ!他の方と逃げるなんて許しませんよ!!」

 

生前、安珍に逃げられたトラウマが蘇ったのか清姫は着物姿にも関わらず凄まじい速度で遊馬の元へ向かう。

 

「くっ、混乱の中でサーヴァントの気配を感じ取るのが遅れてしまった……!」

 

「レティシアさん!あのサーヴァントの真名、分かりますか!?」

 

「ちょっと待ちなさい!ええっと……」

 

レティシアは真名看破で遊馬を担いで走っているサーヴァントの真名を見る。

 

「……これはまた、中々のビックネームなサーヴァントね」

 

カルデアにいる間に死後に英霊の座に招かれ、サーヴァントとして召喚されそうな英雄の真名とその経緯を勉強していたレティシアはそのサーヴァントの真名に驚く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「近代看護教育の母……戦場の医療衛生改革を行い、人々からクリミアの天使と言われた看護婦……『フローレンス・ナイチンゲール』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイチンゲール。

 

近代のイギリス出身で非凡な才能で看護以外にも様々な功績を残した伝説の看護婦である。

 

そして、その姿に遊馬とアストラルは驚く。

 

「「メ、メルセデス!?」」

 

そう……それは監獄島で出会った記憶を失った謎の美女。

 

エドモンが仮の名として与えたメルセデスだった。

 

「メルセデス?誰ですかそれは。私はナイチンゲールです」

 

「ええっ!?それって戦場で多くの兵士の命を救って活躍した看護婦さん!?」

 

メルセデスがナイチンゲールだと知り、驚く遊馬にナイチンゲールは目を細めて遊馬に潜む『病気』を見抜いた。

 

「……あなた、怪我だけでなく心も病んでいますね。こんなにも幼いのに一体何をしたのですか?しっかりと治療しますから覚悟しなさい!」

 

「いや待って、何の話!?た、助けてくれ!アストラル!マシュ!レティシア!清姫!」

 

遊馬は抱えられて動けない状態で連れ去られ、アストラル達は見失わないように必死に追いかけるのだった。

 

 

 




早速ナイチンゲールに連れ去られる遊馬君(笑)
次回は遊馬とアストラルに一番興味を持つと思われるサーヴァント……あの精神はお母さんだけど体はロリっ娘ちゃんの登場です!
彼女からしたら遊馬とアストラルは相当興味を持たれる存在ですよね。

今回の護衛サーヴァントはレティシアと清姫にしました。
理由はロンドン編とは違って、アメリカ系のサーヴァントがいないので必然的に遊馬に好意を寄せるサーヴァントが良いなと思い、色々考えた結果この二人にしました。

とりあえず話の基本展開は今までと変わらず遊馬君の信念のもと、仲間たちの犠牲なしの方向で。
アメリカ編はかなり仲間の犠牲が多いので……。
ちなみに冒頭で出たあの二人ですが、多くの人が涙した過酷な運命を背負う二人を我らが遊馬君がなんとかします!
どうやって救うかはもう既に考えています。

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