転生した時の特典がおあつらえ向きだったんだけど   作:けし

9 / 20

1ヶ月ぶりです。文章力低下が危ぶまれるけしです。

昨今暑くなってきました体調不良をこじらせています。

なんとか書き上げましたが、とても辛い。

やっぱり季節からズレている。早く本編に戻りたい。


こぼれ話 アインクラッドのクリスマス②

 さて、クリスマスまで残り3日に迫ったのだが、件の2人は未だ同じ事で悩んでいた。

 

 

「「プレゼントどうしよう……」」

 

 

 無意識に声を出していたのだが、あまりに落ち込んでいるためか聞こえていない。茅場晶彦が手がけたこのSAO内では、現実世界となんら変わらないクリスマスバーゲンが行われていたりする。このぶんじゃ除夜の鐘までなるんじゃね?とカエデは思う。このままじゃカエデに何もできない…!とサチは思う。やっぱ一方通行だわ、うん。

 

 余談だが、カエデは戦闘スキルもさることながら、その家事スキルも高い。極端に簡略化されているとは言え現実で慣れているものはやはりどこへ言っても手早かった。もはやオカンとでも呼んでくれ。サチにはそう聞こえていた。カエデとしてはただ一人暮らしの時に培ったスキルをフル稼働させているだけだが、サチとしては結構ショックだった。少なくとも自分よりはできているわけなのだから。

 

 と言うわけでサチも料理スキルのカンストを目指して修行を始めた。勿論、その他家事スキルも並行して完全習得を目指している。あれ?これってもはや花嫁修業じゃね?バーチャル花嫁修業とはこれいかに。

 

 閑話休題。そんな2人は今日もまた、クリスマスプレゼントを探しに出かけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 《カエデの場合》

 

 

 カエデはメニューを呼び出し、登録してあるフレンドの1人にメッセージを飛ばした。

 

 from:Kaede

 

 今暇?

 

 帰ってきたメッセージの内容は「おう」だったので、カエデはとりあえずその後指定した待合場所に向かった。

 

 

 

 

 

「よっ」

 

「久しぶり」

 

 待っていたカエデの前に現れたのは、アインクラッド内で知るものはいないであろう【黒の剣士】ことキリトだった。基本ソロで活動しているキリトもこの時期くらいは流石にのんびりするだろうと思ってカエデはメッセージを飛ばしたのだが、案の定キリトは暇してたので、こうして買い物に付き合ってもらうことにしたのだ。何を買うか?そんなの決まってるだろ?

 

「んで、確かクリスマスプレゼントだっけ?何か買いたいものとか決まってんのか?」

 

「それすら決まってねえからお前に助言を求めました」

 

「そこで何故おれなんだ……」

 

 キリト的には、そこは俺なんかよりエギルやアスナの方がセンスあって向いてるんじゃないかと思ったりしてるのだが、この世界での"親友"に頼まれたのだから無下にはできない。

 

 カエデ的には、あと一歩でリア充になりそうな(本人主観)キリ×アスのカップリングの本人さんであるキリトのセンスをミジンコ10匹分くらい信用してメッセージを飛ばした。

 

「なんか今バカにされた気がする」

 

「気のせいだ」

 

 と言うか、全身黒で染めてるキリトだから、センスもへったくれもないとカエデは思っている。

 

「やっぱバカにされてるよなあ?」

 

「とにかく、まずは見に行かねえとな」

 

「あ、無視ですか?おーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キリトは暇してると言ったがそれは訂正しよう。いや、確かに暇といえばそうなのだが、それが一周回って逆にモンスターを狩りに迷宮区に暇つぶしに出掛けていたのだ。暇をつぶすために己の命をかけるようなものである。結局そこでも「暇だ……」と愚痴をこぼすのだからもはや手のつけようがない。と言ってもここは35階層。キリトのレベルでは余裕も余裕だったのだろうが。

 

 なので、今日はたまたまこう言う買い物に来ていたのだ。そして一緒に買い物してみて分かったのだが、現実世界でもネトゲ三昧の生活をしているようなキリトくんには、ミジンコ10匹分の信頼も無に帰すほどのセンスしかなかった。ただしアクセサリー系の小物には何故かセンスが垣間見えたらしい。

 

(誘って正解…だったとはいえなかったがまあ収穫はあったってことにしとこう。…男同士の買い物って誰得描写なんだろ)

 

 ともかく、サチに買うものについてある程度の目星をつけたカエデはキリトに礼を言って帰った。その際、キリトが口角を上げて、

 

「これで貸しひとつ……」

 

 と言ったのは全く聞こえていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 《サチの場合》

 

 

 サチも同じく、1人で選ぼうとするのは無理だと思い、助言を求めた。だがサチの場合は相手が悪かった。

 

 まずは月夜の黒猫団のメンバー。少しためらったもの相談してみるとその返答はまあ壊滅的だった。食べ物ばっかりなんだからそれもそうだろう。まともな答えは、テツオの『ブレスレットなら…』くらいなものだった。

 

 そんな彼らに溜息をひとつ、大きく吐いてから次のフレンド、もとい相談相手を探し始めた。

 

 …………………

 

 

 

「うぅ…どうしよう…」

 

 相談相手がいない。こんな事ならコミュニケーション力もっと上げとくんだった、と思うサチ。生憎SAOにはそんなスキルはない。あったとしても使う人はいない。はず。

 

「はあ……。もう、1人でなんとかしよう」

 

 人知れず、サチの戦いが幕を切った。

 

 

 

 

 

 まずは近くのNPCや話しかけやすそうなプレイヤーから情報を集める。割といい情報が集まったので、それを基にいくつか厳選した。武装は今の階層や前線に行っても余裕があるものだからパス。だったら小物類しかない。と言う思考の下で選んだのは

 

「どっちがいいかな……………」

 

 現在のカエデの武装は、胸に軽いライトアーマーくらいでほとんどつけていない。基本AGI振りをしているカエデは攻撃にあたる事なく、カウンターの要領で切り倒していく戦術を得意としている。武装の色合いは普通に銀色。まあそれほどゴツくはないから、アクセサリーならなんでも似合いそうだ。

 

 そんな中でサチが選んだのが、ネックレスかブレスレット。やっぱり思考が似ている気がする。カエデに合った…と思う効果もついている。

 

 ネックレスの方は「アクア・ネックレス」。AGIの上昇と隠密スキルの上昇効果がある。それほど大きくはないからよく動くカエデにはぴったりだと思ったのだ。水色がかった真珠のようなものをつないで作られいて、光を反射しないような加工が施されている。真珠なんだから輝いてナンボやと思ったが、これは仕様だと思うことにした。現実逃避することが最近多くなった気がする。主に茅場晶彦のセンスとカエデの鈍感さについて。

 

 ブレスレットの方は「オムニトリックス」。灰色と白で構成されたブレスレットで、その効果は『装備する毎にステータスポイント10を与える』と言うもの。ただし、装備を外すとステータスは装備する前のものに戻るというものだ。とても変則的な効果だ。あったとしても誰が使う?サチは茅場晶彦のセンスに多大なる疑問を抱く。今更に。しかしまあ見た目も効果も悪くはないと思ったので、ここぞという時に使えるのでは思って選択肢にあげてみたものだ。

 

 どっちとも買うという選択肢も無くはないのだが、どちらか一方に決めたいのがサチの本音だ。なぜか?なんとなくでいいです。女心とは複雑なのだ。

 

 

 

 クリスマスまで3日。





アクア・ネックレスはジョジョ4部から。水と同化するタイプのようなので、隠れたり素早く移動したりできるかなというのが効果の由来です。

オムニトリックスはベン10というアニメから。10体のそれぞれ別の特殊能力を持つエイリアンに任意で選んで変身するという設定に由来します。

夏にこんな話考えるのって辛いんですよねえ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。