転生した時の特典がおあつらえ向きだったんだけど   作:けし

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モンスト×電撃文庫(≧∀≦)ヒャッホ---!!  

やばい嬉しすぎるぅ!

と、言うわけで本編どうぞ。

テスト本気で取り組まないとやばい今日この頃。


第74層〜中編〜

突然の悲鳴にカエデは、その声の方向に向かって走り出した。条件反射と言っても差し支えないその行動速度は、キリトたちが呆然としていたわずか一瞬の間に起こっていた。

 

キリトたちが現実に戻ってきた時、カエデはすでに先を走っていた。元々AGI振りのステータス持つカエデはとにかく早く、どちらかと言えばSTR振りであるキリトでは追いつくことができない。今のカエデに追いつけるとしたら、アスナくらいだと思われる。

 

しかし、カエデの向かう先はボス部屋だと分かっている。なら、無理して追う必要はない。キリトたちは道中湧き出てくるモンスターを一撃で消しながら、急いでボス部屋に向かっていた。

 

 

 

 

 

その数分後、カエデはボス部屋にたどり着いていた。悪魔と思しき彫刻が彫られたその門は、非常に重厚で、重い雰囲気を滲ませていた。あたりにモンスターは出てきていない。カエデは右手に《ロストヴェイン》を握り、左手で門を開けた。

 

扉を開けたそこにあったのは、理不尽とか、そういうものだったと、後にカエデは言った。先ほどよりも数が減っている兵士と、ボスの攻撃を受け止めていたリーダーことコーバッツ。だが、それにも限界がきているようだった。ボスは青い山羊の悪魔とでも呼べるだろう。《ザ・グリームアイズ》。74層でこの強さならば、クォーターポイントである75層はどのくらいの強さを持つのか、一瞬カエデは現実逃避気味にそんなことを考えた。

 

頭を振って余計な思考を追い出して、カエデはコーバッツの下に突っ込んだ。耐久値が限界に来ているだろうコーバッツの武器が消える前に、カエデがボスの一撃に対して《全反撃(フルカウンター)》を合わせた。数歩下がったボス。いくらか間合いに余裕ができたカエデはコーバッツに怒鳴った。

 

「負傷したやつ連れてさっさと帰れ!転移結晶でも回廊結晶でもいい!じゃないと死ぬぞ!」

 

それに反応したのはコーバッツでは無く、比較的数の浅い兵士の一人だった。

 

「そ、それが、この部屋、結晶アイテムの類が使えないんです!」

 

「!?それはホントなのか?」

 

「は、はいっ!」

 

ここで倒すしかない…と?カエデはそう考える。予め逃げ場のないステージを用意するなど、これは茅場の考えた事なのか?そのような疑問が脳裏をよぎる。時間にしてほんの僅かでしかないその気の緩みすら、この場では生死を分ける。

 

横からのボスの一撃に対して、咄嗟に反応したのは、奇跡だったのかもしれない。ユニークスキルすら使わずに、直接受けた攻撃。人外の存在からの圧力に足を踏ん張って耐えきる。カエデの事を脅威と認めたのか、ボスは大きく飛んで部屋の端へ移動した。

 

「くそ……、今のやつを確実に倒す手段が………ない」

 

《全反撃》は相手の攻撃を倍以上にして跳ね返す強力なスキルだが、隙もまた比較的大きい。性質上受動的にしか行動できないのも一つの欠点だろう。と、そこまで考えていた時に、ボス部屋の扉が開いた。

 

「カエデ!」

 

「カエデ、てめぇ、大丈夫なのかよ!ん?あそこにいるのはコーバッツの野郎か!一発殴って」

 

「クラインさん!?少し落ち着きましょう!…ねぇカエデ君、これどういう状況かな?」

 

「あいつらが死にかけてるのを見て俺が乱入した。まあ、乱暴にすぎる要約だが、こんな感じかな」

 

「大体そんなことだろうと思ったよ。たがカエデ。勝算はあるのか?」

 

「ない事はない。が、絶望的に低いな」

 

《全反撃》で耐えていれば向こうがやられてくれるのではないか、という安易すぎる考えが浮かんでいた。だがカエデは、うまくいくかと言われれば、上手くいかないと考えていた。

 

《全反撃》とて、なんのリスクが無いわけではない。受動的にしか発動できない事もそうだが、それ以外にも、連発ができない事、つまりは技発動後の硬直時間が少し長めに作られているのだ。その硬直時間は、跳ね返す攻撃の威力が大きいほど長くなる。目の前のボス《ザ・グリームアイズ》の攻撃力は相当である事は身をもって体験したばかりだ。

 

(おいそれとスキル発動すると、やられちまうなコレ)

 

ボスを倒す手段を思考していたカエデ。手に持つ《ロストヴェイン》を見た時、ふと閃いた。

 

(!……これなら……いけるかも…!)

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

カエデがだんまりと考え込んでしまったので、攻勢に出て来たボスの相手をする事となったキリトたち。ソードスキルやスイッチ等を活用して攻め立てるが、ボスの防御が硬く、目立ったダメージが与えられない。クラインはコーバッツたちを離脱させる為にキリトたちとは別に行動している。その為、ボスはキリトとアスナで相手していた。

 

敵の防御が硬いので、アスナの細剣のソードスキルでは高いダメージが期待できない。しかし片手剣でも似たようなことが言えた。システム外スキルの《スキルコネクト》を利用しながら攻めているが、決め手がない。

 

そこで、キリトは一瞬悩んだ末に、自らの切り札を切ることを決意した。

 

「アスナ!一旦下がってくれ!」

 

こっちを向いたキリトの眼を見て、頷いて下がるアスナ。これでキリトとグリームアイズの一騎討ちの状態になる。

 

キリトは手に持つ片手剣《エリュシデータ》を一瞥した後、メニューを開いて何かを操作する。次の瞬間、キリトの剣を持たないもう一方の手には、青白い剣が現れた。見た目で片手剣とわかるそれを両手で一本ずつ手に持ち、構えた。本来あり得ないその構えに、アスナが驚愕する。ちょうど戻って来たクラインも同じように眼を見張る。ただ一人、カエデだけがその光景を見て表情を変えずにいた。

 

キリトが駆け出した。そのスピードはアスナが知る限り彼の全力だった。ここで決めるつもりなのだと、そう感じとった。

 

《エリュシデータ》がライトエフェクトを纏う。そのままの勢いでグリームアイズに斬りかかる。それを後方へステップして避けたのを確認する間も無く、もう片方の剣がライトエフェクトを纏って襲いかかる。

 

「な、なんだよ…あのスキル…。硬直時間がねえぞ……!?」

 

クラインがそう口にした。そう、キリトはソードスキルを硬直時間なしで2回使ったのだ。だが、本来、片手剣スキルは一本でしか使えない。両手に持って使う事はできない。システムが許さない。

 

だが、そんな事は知らんと言わんばかりに攻撃を重ねるキリト。その乱撃数は10を越えようとしていた。

 

キリトもグリームアイズの隙をついた反撃にダメージを受ける。このままでは相討ちになってしまう。それは出来ない。

 

(まだだ……。もっと、もっと早く………!!)

 

キリトが大きく振りかぶる。黒い剣と白い剣がボスを切り裂く。

 

「《スターバースト・ストリーム》…!!」

 

誰も知らない未知のソードスキルが火を噴いた。






スキルコネクトとか二刀流の設定が曖昧なのは許して下さい。

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