転生した時の特典がおあつらえ向きだったんだけど   作:けし

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間が空いてしまい、大変申し訳ありません。

テストなどで忙殺されましたm(_ _)m


第74層〜前編〜

 

笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』討伐の計画が本格的に立てられ始めた。しかしまだ、彼らに対する情報が非常に少ないために、今はまだ情報集めの段階だ。もちろん、100層攻略も進めなければならないため、情報集めはアルゴら情報屋に任せていた。

 

今日、キリトたちは現在の攻略最前線である74層のマッピングを行なっていた。アスナやクラインたちと共に、迷宮区を進んでいた。クラインは自身が率いるギルド『風林火山』の方で忙しく、またアスナは、所属している『血盟騎士団』での活動で時間に忙殺されていたが、この日は珍しく3人とも暇ができたのだ。

 

「そういえば、クラインは最近落ち着いてきて時間できたからとか言ってたが、アスナってそんな余裕作れたのか?」

 

モンスターの出現しない安全圏で休憩を取っていた時、カエデがふと疑問に思ったことを口にする。

 

「あはは…、それがね…」

 

苦笑いと共にアスナが語ったのは、カエデに少なくない驚きをもたらした。

 

「マジか…。キリトお前、よく生きてたな」

 

「いやホント、あの時アスナが来てくれなかったら死んでたな」

 

「「アハハハハ」」

 

「もう!のんきに笑わないの!」

 

「ハハ、キリの字もカエデも変わんねーな」

 

クラインが少し前を思い出すように言う。その言葉にアスナやキリト、カエデも思わす笑みをこぼす。

 

「カエデ、そういえばシリカのやつはどうしたんだ?」

 

「家で寝てるんじゃないか?まあサチがいるから大丈夫だろ」

 

クラインは昼食としてアスナが作ってきたサンドイッチを頬張っている。多めに作ってあるので文句はないのだが、恋する乙女アスナとしては、想い人であるキリトに食べてもらいたい。

 

「さて、キリト、飯食おうぜ」

 

「ああ、流石に疲れたよ」

 

キリトもカエデも、バスケットに入ったサンドイッチを手に取る。キリトは迷わずに口に放り込み、カエデはすこし眺めてから一切れ口に入れた。

 

「おお!すごい美味いなコレ!やっぱアスナに作ってもらって正解だな」

 

「結構イケるな。成る程、料理スキルMAXにしたクチか」

 

キリトは大絶賛し、カエデも褒めた。料理スキルを上げれば誰でも作れるようになるとはいえ、そんなプレイヤーがほとんどいない以上、料理が上手いと言うことは現実世界同様に、大きく褒められるのだ。

 

特に、キリトに褒められた事が、今のアスナの機嫌を良くしていた。

 

「えへへ……。ね、キリト君。また作ってきてあげようか?」

 

「そうだな、また機会があったら頼むよ」

 

にへへ、という満面の笑みを見せるアスナ。カエデはすこし引いた。

 

こんな、迷宮区でありながら日常のテンションで展開されていた日々に、唐突に終わりが訪れた。

 

ガシャン、ガシャンという、あまり馴染みのない音が聞こえてきたのだ。カエデやクラインたちは首を傾げたが、アスナとキリトは音の正体に気が付いた。

 

「鎧の音……?アスナ、今日ここを攻略するようなギルドはないよな?」

 

「私の知る限りは…。でもこの音は相当重装備だよ?」

 

音が段々と大きくなる。十数秒後、そこに鎧を着込んだ一団が現れた。

 

「我々はアインクラッド解放軍である!お前達、この辺りのマッピングは終わっているのか?」

 

リーダーと思わしき男がそう言った。

 

「あ、ああ」

 

その必死さにおされ、キリトはすこし曖昧な返事を返す。

 

「ならば、そのデータを寄越せ」

 

だが、そのリーダーの口から出てきた言葉は、あまりにも傍若無人と言えるものだった。

 

「手前!その言葉の意味が分かってんのか!?」

 

クラインが、その男の胸倉を摑みかかる勢いで言う。当然のことと言えた。いくら最前線で活躍するキリト達とは言え、未踏破の迷宮区のマッピングは死と隣り合わせの危険をはらんでいる。そんな危険を冒してまで行ったものを、我が物顔で奪おうとしているのだ。

 

「クライン!」

 

カエデが肩を抑えて止める。クラインの右手は固く握られていて、今にも殴りかかりそうなほど熱くなっていた。

 

「だ、だけどよぉカエデ!」

 

「今は落ち着け。殴ったところで面倒になるだけだ」

 

そう言って、クラインを一歩引かせる。そうして、カエデは話を切り出した。

 

「その体たらくで、この先に進もうってのか?」

 

「ふん!私の兵はこの程度で弱音を吐くほどヤワではない!」

 

「へぇ…、とてもそうは見えないがな…」

 

「これ以上口出しするのなら、今ここで貴様を切り捨てるのも吝かではないぞ」

 

「はっ、そりゃ焦りすぎだぜおっさん。手前ごときに俺は殺せないな。兎に角、ここで引き返すか、休んで行くことを勧める。それでも行くなら、勝手に死ね」

 

「その舌、二度と回らんようにしてやろうか?」

 

「やる気か?俺はいいが?」

 

「カエデ!お前が熱くなってどうするんだよ!」

 

キリトがすこし焦った声で言う。

 

「キリト。どうせお前、こいつらにデータ渡す気だったろ?」

 

「そりゃ…まあ」

 

「そいつは甘いぜ。見てみろよ。こいつら、ボス部屋入ったら1分以内に死ぬぜ」

 

「だが…」

 

「この手のバカにはちゃんと言い聞かせねえとダメなんだよ」

 

「それでも、俺はデータをやるぞ。どうせ公開する訳だしな」

 

カエデはキリトの目を数秒見つめ、諦めたように息を吐く。

 

「はあ。…チッ、その言葉は変わんないみたいだな。とてつもなく不本意だが、今回はお前の顔を立ててやるよ。だがキリト。お前のこの判断がどんな結末をもたらそうが、目を背けるなよ」

 

「………分かってるよ」

 

そう言ってキリトはデータを渡した。コーバッツと名乗ったリーダーの男は、ぶっきらぼうに感謝の意を述べたのち、疲労困憊で重い足を引きずる部下達を叱咤しながら、奥の方は消えていった。

 

カエデは彼らが消えていった方向を見つめながら、大きな不安に囚われていた。

 

 

 

数分後、彼らの悲鳴が聞こえてきた時、カエデは真っ先にボス部屋に飛んでいった。

 

 





コーバッツさんとデュエルさせてみようかと思ったけど戦闘スタイル不明だから却下。

グリームアイズ戦は書きたかったところの1つですね。はい。

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