転生した時の特典がおあつらえ向きだったんだけど   作:けし

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やっと本編に乗り出す。時間軸が色々ずれているのは許してください。

カエデの前線復帰なるか?(フラグ?)

家にいても外にいても冷え込んできたなあと思う今日この頃。


年は明け。彼らはラフコフ討伐へ動き出す。

『明けましておめでとうございます』

 

 

大晦日を過ぎて、新年を迎えたアインクラッド。その第35層にあるカエデのホームでカエデやキリト達は新年の挨拶を交わした。昨晩はしゃぎ過ぎたのか、全員揃って挨拶をしたのは午前8時を回った今だ。

 

自業自得とは言え、初日の出を見れなかったと嘆いたカエデ以外の面々。勿論カエデはバッチリ見た。日付を回ってから寝床に入ったとは言え、体内時計はしっかり働いていたらしく起床したのは朝の5時。ストレージからパンを引っ張り出して来てそれを胃の中に入れ、未だ起きる気配の無いキリト達を放置して、AGI振りしたステータスをフル活用して、家の近くで1番高い場所に行って見たのだ。

 

「なんで起こしてくれなかったんだよ!」

 

「いやだって寝てたし」

 

「初日の出くらい見せてくれよ!」

 

「あー分かった分かった!悪かったよ!だからアスナもサチもそんな殺気のこもった視線を俺に向けないでくださいお願いします」

 

キリトに肩を掴まれ前後に激しく揺らされるカエデ。仮想世界で初日の出見てどーするんだ、と思った。

 

「…初日の出は日本人の一大イベント」

 

「ナチュラルに心読まないでくれサチ」

 

何度でも言うがこの2人は夫婦なんかでは無い。

 

「代わりと言ってはなんだが写真くらいは撮ってきてやったが」

 

「写真のシステムなんてあったか?」

 

「知らん。なんか使えた」

 

茅場の考える事はやはり分からない。何回思った事だろう。

 

「過ぎた事をとやかく言ってもしょうがないわよ。前向きになりましょ」

 

「1番落ち込んでたやつが何か言ってるぞ」

 

この中で初日の出を見逃して1番落胆していたのはアスナだった。しかし彼女はキリトのように引きずる事なく立ち直ってみせた。そこでカエデはキリトに対して悪い笑みを浮かべて言う。

 

「おいキリト。お前もアスナ見習って立ち直れはよ」

 

「あいつの切り替えの早さ早く無いか?なんかこう女っぽく無いって言うkイタタタッ!やめっ!すいません俺が悪うございました!!謝るから耳をこれ以上引っ張らないで!」

 

「分かれば良いのよ」

 

流石夫婦。こんなくだらないやり取りにも互いへの愛情を感じることができる。

 

「私もいつか……!」

 

「何燃えてるのかなサチさんや」

 

その光景を見て過去最高のやる気を出して眼を輝かせるサチに、少し危機感を覚えたカエデ。しかし、今日は新年1日目の元日。このようなのほほんとした日常を過ごすことに対してバチが当たることはない。

 

(初詣なんてできるかな?)

 

だがやはりと言うか、現実逃避することは避けられないカエデだった。

 

一方、シリカはと言うと。

 

「ピィ……」

 

「ピナ…これがボッチって言うのかなあ」

 

カエデ達より遅く起きてきたのが災いして、襖の隙間から眺めるだけになっていた。腕に抱かれたピナが主を心配するように鳴く。

 

その後、シリカの存在を思い出したアスナが何とかしてシリカを会話に参加させた。その時のシリカの目はずーっとキリトに向いていたとかいないとか。カエデはピナに妙に懐かれて、自分の頭の上が(シリカがいない時の)定位置となりつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の昼。朝を現実逃避しながらものんべんだらりと過ごしたカエデ達は。

 

「今攻略の最前線って何層になるんだ?」

 

「もう50は超えたもんなあ。まだ60層は行ってないんじゃないか?」

 

「ふーん。まだ俺が戦えるくらいのマージンは残ってるな」

 

「何だ?まさかお前、前線に戻ってくるのか?」

 

「まあ、な。流石にそろそろ戻らないとなとは思ってるんだが」

 

カエデは前線から離れて既に半年にもなる。その間、前線で戦い抜いてきたキリトやアスナは、アインクラッドでも【黒の剣士】とか【閃光】とか言う二つ名を持つほどに有名になっていた。因みに当時のカエデの二つ名は【白の魔王】だったり【狂戦士(バーサーカー)】だった。思い出すと小っ恥ずかしい黒歴史なのだとか。当時の彼はひたすら戦い続けていたから強ち間違ってはない。

 

一方のカエデは、何もしていなかったと言うわけではないがそれでもキリト達と比べて今の時点で劣るのは当然だ。キリトは背に二本の片手剣を背負っていることから既にユニークスキル【二刀流】を習得していると推測したカエデは、本格的に前線復帰を考え始めた。

 

思考の海に落ち始めていたカエデを引き上げたのはキリトの意外そうな視線だった。驚愕やその類の表情をあまり見せないキリトのそんな顔は珍しく、思わずカエデもその顔を見ていた。

 

「何だよキリト。なんか驚くことあったか?」

 

「あぁ、いや何、カエデが戻ってくれるなら心強いなと」

 

前線を退く前はカエデも強力なプレイヤーとして名を馳せていた。レベルにそれほど差がなかった当時、『神器・魔剣』という未だよく分からないジャンルに分類されるチート武器を振るっていたのだから必然といえよう。それをキチンと扱っている方も少しおかしいかもしれないが。

 

「それに、この前言ってた、何だっけかほら、『マフィン何ちゃら』ってやつとの戦いにも準備しとかないといけないしな」

 

「『ラフィン・コフィン』だよ。お前がそう苦戦するほどでもないと思うが…」

 

「いかんせん情報が少ないしな…。あ、そういえばだけど、その『ラフィン・コフィン』のリーダー格ってどんな奴何だ?」

 

「それが、よく分からないんだ。なんか人づてに聞いた話だと、フード被ってて顔が分かんなかっただとか、包丁を振り回してたとかいうのは聞いたな」

 

「そいつにストーカー的な噂は無かったか?」

 

「ストーカー?さあ、そんな噂は聞いたことないな」

 

「そうか……」

 

カエデが思い出したのはつい先日のクリスマスクエスト。あの時、『誰かに見られていた』気がしたのを思い出していた。

 

(あの気配の隠し方なんかは素人じゃない。手練れの動きだった。でもわずかに殺気も感じたんだよなあ。思い過ごしならいいが…)

 

心のどこかに引っかかるものを感じながらも、当面の目標たる『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)討伐』に向けて、キリトと共に準備を進めるのだった。

 

 

 





シリカの存在が原作の時間軸を超越してることに気づく。しかしもういいやと投げる。

別にいいでしょ?

そろそろ七つの大罪要素を登場させねば!(使命感)←謎

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