この魔眼持ちに素晴らしい世界で祝福を!   作:サクサクフェイはや幻想入り

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というわけで最終話になります!お話は後書きの方で
本編の方どうぞ!


第二十話 この魔眼持ちの仲間達に素晴らしい世界で祝福を!

「どうするんだよこの状況」

 

冬将軍を腰に差し、七夜は内ポケットに入れてアクアに聞く。流石に皆殺しは駄目だと言われたので、気絶はいいだろうと言ったが駄目らしい。この状況は頭痛いので早急に何とかしたいのだが

 

「「・・・」」

 

紅魔族組は目のハイライトが消えて虚空を眺めていた、どんだけ精神的に来てるんだよ。アクアはアクアでない頭で考えているが、まぁ良い案が出るはずもない

 

「和真ー、なんかいい案ないか?」

 

「・・・アクアを差し出せばいいんじゃないか?」

 

「カズマさん!?」

 

「冗談だよウィズ」

 

流石にそれはこの状況では得策とは言えないのは和真もわかっているようだ、声は本気だったが

 

「とりあえず逃げない?このままじゃ宿にも迷惑かかるし」

 

「て言ってもどうやってだ、出入り口は無理だぞ?」

 

アクシズ教徒は宿を取り囲むようにしているので表はおろか裏口も無理だろう、だが和真は何かを思いついたようだ

 

「おいアクア、お前の出番だ?」

 

「え?」

 

カズマの策は簡単だ、後ろの山に面した窓からの脱出だ。着地の方の問題は?と思うだろうがそこは心配ご無用、アクアの羽衣だ。羽衣は神器と同等のもので、しかも伸縮自在ときた。どんだけ便利なんだよと思わずツッコミを入れたいが、それは置いといて後はクリスの潜伏を保険で掛けたぐらいだ。それでも脱出したことはばれたのだが、今もアクシズ教徒がそこかしこでアクアを探している

 

「源泉が怪しいと思うの」

 

路地裏に隠れるとアクアがいきなりそんなことを言い始めた

 

「ほーん、で?」

 

「そこを浄化すれば温泉が元に戻ると思うの!臭いにおいを根元から絶つの」

 

「いたぞー!パチモンだー!!」

 

どうやら信者に見つかったようだ、てかアクアのことパチモンとか

 

「パチモンとか...ぶふっ」

 

「笑ってるばいいじゃないだろ?というかあんなこと言ってる奴ら助けなくて良くていいんじゃないか!」

 

俺達は走りながらアクアに言うが

 

「でも!あたしの可愛い信者たちがぁ!」

 

アクアが半泣きである

 

-------------------------------

 

源泉の方についたのだが

 

「ねぇ!私アクシズ教のアークプリーストなんですけど!ほら、私の冒険者カードをちゃんと見て!!」

 

そう言ってカードを見せるアクアだが、状況は芳しくなかった

 

「いくらアークプリーストでも無理なものは無理なんです。先ほどはいられた管理の方からも、誰も入れるなと言われてまして」

 

「管理の人?」

 

カズマが復唱する、俺も少し気になった

 

「すみません。管理の人って言いましたけど、管理の人ってこの時間によくここに来るんですか?」

 

「ん?どうだったか...でもこの時間はあまり来ないような気がするな」

 

「ども」

 

あまり来ないか

 

「この世界に姿を変えるような魔道具や魔法ってある?」

 

隣のゆんゆんに聞いたのだが

 

「どうなんでしょう...ウィズさんどうなんでしょうか?」

 

「一応あるにはありますが高価ですよ?」

 

「ありがと」

 

「どうしたんですかシキ?」

 

「いや?管理者が偽物の可能性が出てきた」

 

「どういうこと?」

 

クリスが聞いてくる、なので俺の推察などを言う

 

「なるほどね...」

 

クリスは顎に手を当てて頷く、めぐみんやゆんゆんも同じだった

 

「でもさ、仮に偽物だったとして目的は?」

 

「さぁ?でもアクアの話が本当なら」

 

「温泉が汚染されるということですか?」

 

俺はめぐみんの言葉に頷く、あくまでも予想だ

 

「でも本人だったら?」

 

「それは俺の勘違いで済むから結果オーライでしょ」

 

「おいお前ら、そんなとこで会議やってなくていいからこっち手伝ってくれ!」

 

和真の方を見てみるとダクネスと取っ組み合になっていた

 

「何やってんの?」

 

本当に何やってんの、見るとなんか胸元に手を伸ばしているが

 

「ほらペンダントだよ!ぐお!?」

 

「あぁ...」

 

どうやらダスティネス家のペンダントが欲しかったようだ、ただ事情を知らない人から見たら

 

「胸揉みたいようにしか見えないぞ?」

 

「「なっ!?」」

 

和真とダクネスが同時に声をあげる、どうやら気がそれたようだ

 

「ななな!!///」

 

「何言ってるんだよお前は!?」

 

「え?何ってお前たち恋人だからってこんなとこでそんなプレイしなくても?」

 

「会話にすらなってない!?」

 

ダクネスは相変わらずこういう会話には弱いようだ、いい感じに無力化できた。なので目で和真に合図する、伝わったようだが滅茶苦茶悔しがっていた

 

「くっそう、とったどー!」

 

「あぁっ!?」

 

ダクネスは気が付いてないようだが胸に触れたのは黙っておいてやろう、和真が門番に見せると本物だとわかったらしく謝っていた

 

「ところでさっきのは本当なんですか?」

 

「さっきのって?」

 

「ダクネスさんとカズマさんが付き合ってるのです」

 

めぐみんとゆんゆんが詰め寄ってくる、もちろん

 

「嘘に決まってるだろ?仮に本当だったとしてそんなことここで言うわけがないだろ?」

 

「ほ...」

 

話しているとクリスも真に受けていたのかほっとしていた、まぁそんな話をしている間に和真たちは漫才していたようで

 

「ちょろいな」

 

「ちょろいわね」

 

どうやら和真にうまいこと言われたようでダクネスは嬉しそうにしていた、ちょっろ。それから移動すること数分、温泉が見えてきたのだが

 

「おい黒いぞこの温泉!」

 

「毒なんですけど!思いっきり毒なんですけど!?」

 

確かに和真の言う通り温泉は黒かった、アクアが言うには毒らしいが

 

「汚染されてるってことは、やっぱさっき門のとこ通ったのは管理人じゃないってことで間違いなさそうだな」

 

「ですが管理人じゃないにしてもかなり強い毒ですよ?」

 

「仮にこの濃度の毒を持ち歩くとなるとかなり気を付けないといけないことになりますし...」

 

めぐみんとゆんゆんが補足してくれる、だが魔道具で変装した人間がこんなものを持ち歩くのはほぼ不可能らしい

 

「・・・なぁウィズ、モンスターで猛毒を持つのはいるか?」

 

「モンスターですか?それならスライムとかなら可能でしょうけど...」

 

「少し待ってください、こんなことをするような高い知能を持ったモンスターなんて」

 

「いることはいるでしょうけどなぜわざわざこんなことを?」

 

「そんなの本人に聞くしかないだろ?」

 

どうやら和真は移動し始めたようで俺達もついて行く

 

「待て、誰かいる」

 

和真の言葉で俺たちは近くの岩陰に隠れる、遠目だが誰かいるのを俺も確認できた

 

「管理人じゃなさそうだな」

 

「あの人は...」

 

「知り合いか?」

 

管理人は老人という話だったし、どうやら和真の知り合いのようだ

 

「昼間のせんざ...じゃなくて、おい待て!身投げしようとしてるぞ!!」

 

「待つんだ!早まるんじゃなーい!!」

 

と言って飛び出す和真、俺は特に焦らず岩陰から普通に出る。だってただ腕を源泉に突っ込んだだけなのだから、正確には高温のはずの源泉に突っ込んだのだから

 

「ありゃモンスターで決まりだな」

 

「どういうことですか?」

 

「寄って見てみればわかる」

 

「「?」」

 

二人は不思議そうにしていた、クリスはというとこの距離でも見えるのだろう視線が厳しくなる。俺達が近づくと男は居住いをただし、愛想笑いを浮かべた

 

「これはこれは観光ですか?実はこの温泉腰痛肩こり美容効果その他諸々

 

「はぁ...もういいよ。いい加減正体を現せよ」

 

「・・・何のことですかね?」

 

俺は男の話を遮りそう言うと、笑顔が固まり苦し紛れにそう絞り出した

 

「この方、見覚えが...」

 

そうウィズが言うと顔をそらす男、確定だ

 

「これだけ情報が集まればわかったわ」

 

「シキさん?」

 

ゆんゆんが不思議そうに俺を見てくる、だがウィズの言葉ではっきりした

 

「お前魔王軍幹部、デットリーポイズンスライムのハンスだろ?」

 

「そうですハンスさんです!」

 

ウィズは同じ幹部なので嬉しいのかハンスに寄っていく、俺たちは逆に距離を取る

 

「魔王軍幹部ってどういうことだよ志貴」

 

「というよりなんでお前がそんなこと知っているのだ?」

 

ダクネスや和真の疑問はもっともなのだが、簡潔に答える

 

「あらかたの賞金首の特性や名前は頭に入ってるからな、ほら死にたがってた時に」

 

そんな話をしているとハンスは逃げようとしているようだが、俺がその前に立つ

 

「どこに逃げようっていうんだハンス」

 

「そんな風に気安く呼ぶんじゃねぇ!」

 

気安く呼んだ覚えはないのだが、まぁ逃げようとしなくなったし良しとしよう

 

「はぁ、年月をかけ隠密にやってきたと言うのに...ウィズ確かお前結界の維持以外は魔王軍に協力しない、その代わり俺たちに敵対はしないっていう互いに不干渉って関係だったはずだ。それがどうして俺の邪魔を?」

 

「え!?私ハンスさんの邪魔をしてしまいましたか!?久しぶりに知り合いにあったから声をかけただけじゃないですかぁ!」

 

「それが邪魔になってんだ!」

 

本人にその気はなかったとはいえ、天然怖いなぁ

 

「アンタのせいでどれだけ苦汁をなめたか...覚悟しなさい」

 

珍しくアクアがマジ切れしているらしい、まぁあんなことがあればね

 

「どうするんだウィズ。俺とやりあう気か?」

 

「この人たちは私の友人なんです!話し合いとかできませんか?」

 

「相変わらずリッチーになってから不抜けてるんだなウィズ。お前がアークウィザードとして俺達を狩りまくっていたあの時には、話し合いなんて言葉は出てこなかっただろうに!」

 

「はぁ...どうしてこう魔王軍幹部の奴らっていうのはおしゃべりなやつばっかりなんだ?」

 

「お前いつの間に!?」

 

後ろに回った俺を確認しようとしたハンスなのだが、腕が落ちる

 

「貴様!!」

 

「遅えよ」

 

回し蹴りをくらわし距離を取る、足に違和感を感じ見てみると

 

「靴融けてる...」

 

「シキ!アホですかあなたは!デットリーポイズンスライムですよ、猛毒を持ってるんですよ!」

 

「あ、そっか」

 

普通に人型だったので忘れていたが、こいつやばいやつだった。それを頭に入れ気を引き締め直す

 

「いいだろう...人は俺の本性を見るのと同時にひれ伏し許しを乞うてきた...お前は骨がありそうだ。俺の名はハンス、魔王軍幹部デットリーポイズンスライムのハンスだ」

 

そう言うとハンスの人の形が崩れ始める、だがその前に聞きたいことがあった

 

「一つ聞きたい、本物の管理人はどうした?」

 

「食った」

 

その言葉を聞いた瞬間魔力が爆発的に上がるのを感じた、そして長らく感じていなかった殺気。俺は刃渡りの長い冬将軍を振るう、氷漬けは免れたようだ

 

「まったく危ないじゃないかウィズ」

 

「すみませんシキさん、ですがそこから離れてください。今の私は加減が効きませんから」

 

普段温厚なウィズからは考えられない殺気、俺はその心地いいさっきに思わず口笛を吹く

 

「ヒュー、これが氷の魔女の本気か」

 

流石に睨まれる、これ以上いると俺も氷漬けになされそうなので離れておく。和真たちはウィズの豹変に声が出ないようだ、こんな状況じゃなきゃ俺も本気のウィズに手合わせを願っていたところだ。そんな風に静観をしていたがハンスの形が完全に人型じゃなくなった、ダクネスはこんな状況でも興奮していた。アクアはアクアで源泉を浄化していた

 

「さてこんな状況になったわけだが、クリスあの馬鹿どもを安全なとこまで避難させてくれない?」

 

「・・・シキはどうするのさ?」

 

「もちろんあれを殺すけど?」

 

「そんな!危険です!!」

 

ゆんゆんはそういうのだが

 

「あれを放っておいた方が危険でしょ」

 

「それは!...そうですけど」

 

納得いかないのか文句を言おうとするがでてこない

 

「とりあえず和真、なんかいい策ない?」

 

「そんなこといきなり言われても!...くそ!ウィズさっきみたいに氷漬けに出来ないのか?」

 

「今の私の魔力では流石にあの大きさを凍り付かせることはできません!なんとか小さくできれば」

 

「小さくねぇ...」

 

結構な大きさだ、流石にこの大きさを解体するのは骨が折れるどころか不可能に近い。クリスやダクネスが誘導しているが馬鹿どもは一向に離れる気配はない、それどころか色々なものを投げていた

 

「ん?」

 

「志貴どうしたんだ?」

 

「あれを見ろ」

 

ある方向を指さす

 

「スライムでも選り好みするんだな...」

 

「あれ使えないか?」

 

「誘導には使えるだろうが...ん?」

 

目を細める和真、俺もそちらを見ると骨が。どうやら馬鹿どもの話によると源泉の管理人らしい、どうやら完全に消化するまでには時間がかかるらしい

 

「・・・腹は決まったか?」

 

「最後の詰めは頼む」

 

「あいよ」

 

「アクア!完全に蘇生されていなければ蘇生はできるか!!」

 

「めぐみん!あっちに行って爆裂魔法の準備をしてくれ!ゆんゆんは俺の補佐を頼む!!」

 

カズマと視線を合わせ、頷き合いそれぞれに指示を出す。その間にもハンスはアクアを食おうと近づいていた

 

「お前の相手は俺達だ!ゆんゆん!」

 

「はい!ライトオブセイバー!!」

 

いつもより気合が入っているのかかなりの太さの魔法が発動する、俺は死の点に向かって七夜を投擲する

 

「!!!?」

 

死の点を突いたことにより隙ができる、その隙にライトオブセイバーでハンスの体の一部が切れる

 

だがアクアを食おうと近づいていたため、切られたハンスの一部は源泉に落ちそうになっていた

 

「あっ!?」

 

「っ!!」

 

俺は久しぶりに魔眼を発動する、流石にこの状況では仕方ないだろう

 

一気に体感速度を限界まで上げ、一瞬で凍らせある程度の大きさに切った氷を蹴る

 

「?」

 

足に違和感を感じみてみると、戦闘用のズボンが溶けていて足が軽く爛れていた。だが戦闘には支障がないので次の段階に移る、魔眼を切りながら和真の方へと向かう。俺に迫ってきたようだが、和真が投げた温泉饅頭で和真に視線が向いたようだ。てか温泉饅頭でヘイトが稼げるって、本能怖い

 

「お前のエサは、俺だぁ!!」

 

そう言って俺とは別方向に走り出す和真、それについて行くハンス

 

「後は頼んだぞ!みんなー!!」

 

和真は崖から飛び降りる、それを追うハンスも和真を飲み込みながら崖の下に落ちる

 

「めぐみん!!」

 

「わかってます!!・・・最高最強にして最大の魔法、爆裂魔法の使い手、我が名はめぐみん。我に許されし一撃は同胞の愛にも似た盲目を奏で、塑性を脆性へと葬り去る。強き鼓動を享受する!哀れな獣よ、紅き黒炎と同調し、血潮となりて償いたまえ!穿て!エクスプロージョン!」

 

これまでで一番すごい爆発と爆風だった、俺は内心でめぐみんを褒め称えながらハンスを見る。だがあの爆裂魔法を食らってもなおハンスは半分以下にならなかった、ならば

 

「ゆんゆん、頼むぞ!!」

 

「っ!!はあああああぁぁぁぁ!!!ライトオブ...セイバー!!」

 

全魔力を注ぎ込んだのだろう、ハンスを真っ二つとはいかなくても三分の一ぐらいは切り離した

 

「お前も運が悪かったなぁ!!」

 

小さいほうに狙いを定め冬将軍を振るう、俺が素で出せる最高速で振るう

 

ハンスの一部だったものは細切れになりながら氷漬けになった、なったのだが

 

「まさかこうなるとはなぁ...」

 

腕を急いで切り落とす、断面が氷漬けになるので止血はいらないのだが。まさか切ろうと腕を近づけただけで腕が腐り、しかも毒が回りそうになるとは

 

「カースドクリスタルプリズン!!」

 

ウィズが魔法を発動したようで、俺は急いでその場から離れる。見事氷漬けになるハンス、どうやら成功したようだが気は抜けない。そんな風に崩れる氷を見ていると、クリスたちが近づいてくる

 

「もう馬鹿!!何やってるのさ!」

 

「本当ですよ!」

 

「すぐアクアさんに治して貰わないと!」

 

「それより和真が先だろ...」

 

流石にこの状況だが呆れる、和真なんか骨だぞ骨。ダクネスはダクネスでめぐみんを運んでウィズの方に行ったようだ、やったかとか言うのはフラグにしか聞こえないのでやめて欲しい

 

「俺をここまで追いつめるとはなぁ...」

 

最後まで残っていた氷の一角が割れる、そこから出てきたのはベホマスライムのようなハンスだった。まぁ色が毒々しすぎて間違うことはないが、なんか言っているが放っておく。だってこんな状況でもとある一団の先頭にアクアがいるのだから

 

「悪魔倒すべし、魔王シバクべし...」

 

今回はアクアに譲ることにする、てか俺も片腕で戦うのは面倒だし

 

「ゴッドブロー!!」

 

見るのはカエルに食べられた最初のころ以来だが相変わらず拳が光っていた、てか

 

「触れて大丈夫なのかよ?俺一応こんなんなったんだが」

 

無いが右腕の方を見る、俺がこの通りなのだが

 

「心配ないよ、アクアさんの神器の効果忘れた?」

 

「あー」

 

状態異常無効でしたね、なら安心して見てられる

 

「ぐうぅぅぅぅぅ!!何かと思えば、そのくらいでは俺は倒せんぞ!このへなちょこプリーストがぁ!!」

 

拳が呑み込まれるがアクアに焦りの色はない、そして何を思ったのか馬鹿どもはアクシズ教の教義を言い始める

 

「アクシズ教徒はやればできる。できる子たちなのだから、上手くいかなくてもそれはあなたのせいじゃない。上手くいかないのは世間が悪い!嫌なことからは逃げればいい!逃げるのは負けじゃない、逃げれば勝ちという言葉があるのだから!迷った末に出した答えはどちらを選んでも後悔するもの、どうせ後悔するのならいまを楽ちんな方を選びなさい!汝老後を恐れることなかれ、未来のあなたが笑っているかそれは神ですらわからない...なら、今だけでも笑いなさい!悪魔倒すべし、魔王しばくべし!」

 

「なんだろう良いシーンなのに、全く感動がない」

 

流石にこの状況には俺やクリス、めぐみん、ゆんゆんは苦笑いだ

 

だがそんな信仰のパワーみたいなものが、アクアの左の拳に集まっていく

 

「かわいい信者たちの大切な温泉を穢したその罪、万死に値するわ!!神の救いを求め懺悔なさい!」

 

なんかアクア自身も輝いている、てか魔法陣がかなりの量展開されているのだが

 

「なぁあれやばくないか?」

 

そうクリスに聞こうとした瞬間

 

「エリスの胸はパット入り!!」

 

なんて声が聞こえ隣の温度が一気に下がる、めぐみんやゆんゆんなんて離れてるし

 

「シキ」

 

「はい」

 

「あれを止めてください」

 

「ラジャー」

 

今まさに振り下ろさんとするゴッドレクイエムを俺は左手で殺した

 

「悪いなアクア、それやったら嫌な予感がするんでな」

 

口にくわえていた回収した七夜を左手に持ち、ハンスの死の点に突き立てる

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」

 

流石に小さくなっているだけあって濃度も濃いようで、俺はそのまま意識を失った

 

-------------------------------

 

「これで通算三回目、転生の時合わせたら四回目か」

 

「すみません...」

 

いい加減命の価値が軽くなってくる今日この頃、まぁだからと言って死にたいわけではない。エリス様に迷惑かけることになるし、めぐみんやゆんゆんに怒られたり泣かれたりするのは堪える。何故かいつものところに行くとエリス様に謝られる、何故だろうか?

 

「えーっと?」

 

「あんなこと言われたとはいえ命令するように言ってしまって...」

 

「あぁ、エリスの胸はパット入り」

 

「・・・」

 

それまでの照れてるような雰囲気から、絶対零度の目で見られる。これはその筋の人からしたらご褒美ではないだろうか、もちろん俺は違うが

 

というか

 

「口に出ただけなので謝りますけど、そんな気にするほどのことですかね?いやもちろん女性ですから気にするんでしょうけど、別に俺からしたら胸の大きさなんて気にしないですけどねぇ...」

 

視線がいくらか柔らかくはなるが厳しいままだ、まぁ俺が言ったところで枯れているので説得力ないのだが

 

「別に小さくても大きくてもどっちでもいいと思うんですけどねぇ...」

 

「・・・なら志貴さんはどうですか?」

 

なんとエリス様はそんなことを聞いてきた、普通の男なら滝のような汗をかきながら誤魔化すところだろうがそこは俺だ、別に枯れているので問題ない

 

「俺ですか?俺の意見は世間一般的な男性の総意みたいに捕らえられても困るのですが...枯れてるわけですし。それでも意見を言うとしたら、別に気にしないですね。俺に関してはセフレとかも興味ないですし、てか女性をそういう目で見ること自体失礼なような気がしますし。まぁ身体的特徴でいじることはありますけど、本気でけなしてるわけじゃないですし」

 

「・・・」

 

さっきまでとは違った意味でジト目で見られる、まぁいつものことなので慣れたが

 

「はぁ...まぁ今回のことは私にも責任がありますので特にお咎めはありません。どうせ私の書類仕事が増えるだけなので...」

 

最後の方はよく聞こえなかったが背中が若干すすけていた、それにしても今回は蘇生までが長い

 

「そういえばあの後どうなりました?」

 

「えーっと...魔王軍幹部のハンスは志貴さんが殺しきりました、ですけど手柄を盗られたアクア先輩が号泣してその...泣き止ますのに時間がかかりまして、それから和真さんの蘇生に取り掛かったので...」

 

「俺の蘇生が遅れていると...」

 

「はい...それに和真さんの場合は骨だけの状態でしたので蘇生は難しくなかったのですが、志貴さんの場合だとまず体内から毒を完全に浄化しなければならないので」

 

「なるほど」

 

まぁまだまだかかるということが分かったので、エリス様と雑談でもしてよう

 

「エリス様今回の湯治はどうでしたか?」

 

「あはは...色々ありましたけど楽しかったですよ?いい息抜きになりました、ありがとうございます」

 

「まぁまだ終わりじゃないですけどね」

 

お礼を言うエリス様に俺は苦笑してそう返す、これでは湯治が伸びそうな気がする

 

「そうですね...」

 

エリス様もこれから起こることが思い浮かんだのだろう、苦笑していた

 

「志貴ーリザレクションかけ終わったわよ、早く帰ってきなさい!ゴッドブロー喰らわしてやるわ!!」

 

話がひと段落したところでアクアから声がかかる、どうやら相当怒っているようで物騒なことを言っている

 

「さて、エリス様お願いします」

 

「はい」

 

指パッチンをすると前回と同じく門が開く、体の浮遊する感覚

 

「あ、そうだ一つ言い忘れていたことが」

 

「?なんでしょうか?」

 

もう少しで転生というところで声をかける

 

「そのうちエリス様をここから連れ出しますから、俺旅行に目覚めたので」

 

「はい?」

 

その時のエリス様の顔は面白かったが、流石に時間がない

 

「天界規定とかそんなもん俺は知ったこっちゃないですからね、というわけで近いうちに絶対ここから連れ出しますので。ちなみに俺は有言実行というわけじゃないですけど、宣言したら必ず実行するので覚悟してくださいね」

 

言い切ると丁度転生したようだ、最後のエリス様の表情は苦笑していた

 

-------------------------------

 

「・・・」

 

意識が戻ると空が明るくなり始めていた、最後に見たのは真夜中だったのだが

 

「ゴッドブロー!!」

 

「いきなりかよ...」

 

二、三回転がり体を起こす

 

「シキ(さん)---!!」

 

起き抜けのゴッドブローを避けると今度は、めぐみんとゆんゆんが抱き着いてきた

 

「あーまったく、泣くな泣くな」

 

俺は苦笑をしながら二人を撫でてやる、そんなほほえましい状況の中アクアは

 

「よーし、二人とも...そのまま抑えてなさい...」

 

指をパキポキ鳴らしながら近づいてきた

 

「流石にお前はこの状況だぞ?自重しろよ」

 

「まぁまぁアクア」

 

「ちょっと二人とも離して!これは私と志貴の問題よ!!」

 

後ろからダクネスと和真に抑えられるアクア、暴れているが拘束はほどけないようで

 

こちらを恨めしそうに見ていた、正直言って助かった

 

動けない状態ではないが、二人が泣きついてきているので動きにくいのだ

 

「お帰り」

 

「おうクリス」

 

クリスは苦笑しながら俺にそういう、だがエリス様としてはさっきまであっていたので多少変な感じだ

 

「和真もお疲れさん」

 

「あぁ...志貴もお疲れさん」

 

俺たち二人は苦笑しながらお互いをねぎらった

 

結局めぐみんたちは泣きつかれてしまい眠ってしまった、ダクネスとクリスが運んでくれたので俺は普通に歩いていた

 

まぁ一応生き返りたてなので気を使ってくれたのだ、まぁそんな状態でもアクアはゴッドブローをやってきてるのだが全部いなしておいた

 

そして・・・

 

「ほんとろくな湯治にならなかったな...」

 

俺は馬車の荷台で揺られながら今回の湯治を思い出す、ほんと最初から最後まで碌な湯治じゃなかった

 

「それをわかってて誘うのはどうなのさ?」

 

クリスがふざけて中から声をかけてくる、ちなみに行きと同じ馬車だ

 

「悪うござんしたね」

 

「よろしい」

 

満足そうな声だ、ちなみに和真たちは先に帰った。アクアはぐずっていたが、いまだアクアが御神体だと信じていない信者も多く。温泉をただのお湯に戻そうとしたこともあり、ハンス討伐の功労者と相殺になった。まぁ源泉の管理者は、ゴッドレクイエムのせいで源泉が浄化されそうになったのを薄々感ずいているようだった。そういう意味で居づらいこともあり、和真はダクネス、アクア、ウィズと共にテレポート一足先にで帰った。俺は俺でどうせアクシズ教徒に危険人物認定されているならと開き直り、追加で湯治を楽しむことにした。と言っても声をかけられることはあったので、純粋に楽しめたかと言われれば微妙なところだが

 

「それにしても意外でしたね、追加で湯治をするなんて」

 

「まぁアクアのせいでゆっくり出来なかったからな」

 

「あはは...」

 

実際俺はあのハンスを討伐した張本人ということで余計危険人物として見られていた、そのおかげで段々声をかけられる回数も減っていったのだが

 

「お、アクセルの街が見えてきたみたいだね」

 

千里眼を発動する、どうやら本当にアクセルが見えてきているようだ

 

「さて今日は帰って寝直すか、クエストは明日からでいいし」

 

「あんなことがあってもクエストに出るんですね...」

 

「まーなー」

 

「気のない返事ですね...」

 

紅魔族二人は呆れなのか諦めなのか判断つかない声を出す、まぁやめる気はないし。アクセルにつき馬車のおっちゃんに別れを告げる、街を歩くと色々なところから声をかけられる。本当にアクセルに戻ってきた感じがしきていた、そして

 

「さて...」

 

「「「ただまー」」」

 

「お邪魔しまーす」

 

クリスたちと共に家に入ると、和真や他のメンバーが迎えてくれる

 

とりあえず...俺たちの戦いはこれからだ!!

 

「打ち切り最終回みたいだな...」

 

「和真、発言メタすぎ。まぁアニメは三期の情報ないしな」

 

「お前もメタ発言じゃないか」

 




はい、というわけで最終話です。ハンス戦最後は変えさせてもらいました、志貴に手柄を立てさせるのは正直微妙だったのですがアクアがあんなふうになるのは少し不憫に感じたので。
てかアクシズ教教義ェ...
まぁエリス様はマジ女神で締めさせてもらいたいと思います、一応三期があればまた書くつもりですがどうなのでしょう...
一応OVAの話がありますので続きますが本編というくくりではこれが最終話です、短い間でしたがありがとうございました!!
あと活動報告にも書きましたがリクエストの方受付しますので活動報告の方にコメント下さい
エリス様マジ女神!

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