この魔眼持ちに素晴らしい世界で祝福を!   作:サクサクフェイはや幻想入り

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今回はお風呂回ですね!もちろんありますよ、というわけでそういうのが嫌いな方はブラバしてください
それでは本編どうぞ!


第十二話 この新たに始まった借金生活に救済を!

それは借金生活が再開した次の日の朝、俺が居間に行くと俺と先日実家に帰ったダクネス以外の全員がそろっていたのだが

 

「「「「・・・」」」」

 

お通夜のような雰囲気が漂っていた、とりあえず俺はほっといて朝飯を食べる。借金生活が再開したのだ今は一分一秒が惜しい、惜しいのだが何故か黒猫が俺の足元にすり寄ってくる

 

「ニャ~」

 

「なんで猫が?おーいこの猫誰が拾ってきたんだ?」

 

「あぁ、それは私が...って!」

 

「なんでこの状況でご飯が食べられるんですか!?」

 

ゆんゆんが詰め寄ってくる、この状況と言われてもそもそもなんでこの状況になったのかも知らないのだから仕方ない

 

「んぐ...そもそもなんでこんな状況に?」

 

「志貴...おまえはダクネスが心配じゃないのかぁぁぁ!?」

 

「うぉ!?なんだお前はいきなり」

 

今度は和真が詰め寄ってきた、いきなり掴みかかられるとか予想外すぎる。というかダクネスなら

 

「あいつ実家にいるって言ってたじゃないかよ...」

 

「確かにそうかもしれない!でも、でもなもしかしたらあの悪徳領主に...うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

かなり錯乱していた、他のみんなも同じ理由なのか頭を振っていた

 

「気持ちはわかるが...いくらあんな領主でも、王国の懐刀であるダスティネス家を敵に回すかねぇ...あーでも借金のかたにしてなんてことも」

 

一瞬安心したみんなだったが、俺の言葉で再び頭を振り始める。なにこれちょっと面白い、まぁいい加減事態の収拾を図らないと行かないだろう

 

「まぁダクネスも少女趣味みたいなとこあるから、大丈夫だと思うぞ?」

 

「だ、だよな」

 

「てかコイツの名前は?」

 

食べやすい大きさに切ったパンの耳をあげると、上機嫌で食べている黒猫を指さす

 

「ちょむすけです」

 

一瞬の沈黙、ゆんゆんは知っていたのだろう苦笑していた

 

「サトウカズマ、サトウカズマはいるか!!」

 

何故か検察官のセナが堂々と不法侵入していた

 

-------------------------------

 

「クリスがいてくれて助かったよ」

 

「ギルドに寄ったのは偶然なんだけどね~」

 

俺は今クリスと行動を共にしていた、和真たちは今頃ジャイアントトードの討伐で忙しいだろう。何故こんなことになっているかというと、あの脱獄騒ぎの時にめぐみんやゆんゆんが魔法を使ったこともあり冬眠中だったモンスターが数種類起きてしまったそうなのだが、俺もその件で駆り出されているのだが

 

「まさか一撃熊複数討伐とか...」

 

「なんでこんな危険なクエスト受けたの?」

 

まぁクリスの言うことももっともなのだが

 

「多分前に俺がソロでクエスト受けてたのが原因だと思うんだよなぁ...」

 

「あぁ...」

 

クリスも納得したのか苦笑していた、死にたがっていた俺はソロで高難易度のクエストを受けていたため。今回のようなクエストが、俺に依頼されたのだと思う

 

「まぁどちらにしろ後始末だしな、俺が受けるのも筋だろう」

 

「律儀というか、なんというか...」

 

相変わらず苦笑していたが、なんだかクリスは楽しそうにしているように見える

 

「っと...来たみたいだな」

 

「そうだね」

 

敵感知に数体引っかかる、俺とクリスは気を引き締める。目撃された数より多いが問題ないだろう

 

「俺の方は10体だけど」

 

「私の方も同じだよ、付近に他の敵は」

 

「うーん...近くにはいないみたいだな」

 

千里眼を発動するが近くには敵は見えない、というより冬眠しているんだろう。そのためこうやって町の近くまで来ているのだろうが

 

「どうするの?」

 

一応目視できるぎりぎりの距離から観察を続けるが、あまり動かないため乱戦は必須だった

 

「俺が突っ込んで数を減らして、クリスが潜伏スキルを使って死角から致命傷を負わせる...どうよ?」

 

「正直言って心配なんだけど...止めても聞かないんでしょう?」

 

「もちろん」

 

「笑顔で言うことじゃないからね...」

 

呆れているみたいだが反対はされなかった、眼鏡を外し刀を抜く

 

「そういえばその刀は?」

 

「冬将軍にもらった」

 

そう前に冬将軍からもらった刀だ、この刀意外に便利なのだ

 

例えば相手の腕を切ったとき魔力を多く込めると、多さに比例してあいての腕を氷漬けに出来る範囲や速さが上がるのだ。しかも刃こぼれしないし切れ味もいい、俺の目と相性もいい最高の武器なのだ。流石に殺した場合氷漬けにはできないが。それにこの刀は乱戦の時にしか使わないのだ、タイマンなら短刀の方が便利なことも多い

 

「潜伏と魔眼...っと!!」

 

一気に距離を詰めジャンプ、まずこちらに背を向けている一匹の首を刈り取る。着地をするとまだこちらに気が付いていないのか、動きを見せない一撃熊の集団。まぁ当たり前だろう、俺が使える範囲で体感速度を速めているのだから。まぁ慣れてきたのでまた上げようと思ってはいるのだが、そんなことはさて置き目の前の腕を上がりもう一匹首を狩る。残り八体、流石に俺に気が付いたのか向かってくる

 

「デコイ!」

 

一応保険のためにデコイを発動しておく、クリスはどうやら潜伏を使っているようでばれていない。スローで迫ってくる腕に飛び乗りながら、一歩踏み込んで首を狩る。残り七体、流石にスローになっているとはいえ四方八方からくる腕は脅威だが魔眼の効果で難なくいなす、というよりも魔力を多く込めてわざと切り付けて腕を氷漬けにする。クリスも闇討ちしてくれるおかげで数は後二体になった、一体は氷像になったのであと一体だが。魔眼を終わりにし腕の攻撃をいなす、クリスは隙を窺っているのか様子見をしていた

 

「あー、もう!めんどくせえ!!」

 

迫ってきた腕を最小限の動きでよけ、魔力を込めながら腕、両足の順番で切り抜ける。クリスはクリスで俺が避けるのと同時に、出てきて首にダガーを一刺しあっけなく一撃熊は絶命した

 

「わ!?」

 

俺が刀を鞘に納めていると後ろからそんな声が聞こえた、振り返ってみてみるとなぜかクリスは雪の上で尻もちをついていた

 

「ふぅ...大丈夫か?」

 

俺は手を差し出すが何が気に入らないのか、頬を膨らましていた

 

「む~~」

 

「何むくれてるんだよ」

 

「なんかその余裕がムカつく」

 

「そんなことはないぞ」

 

少し笑ってしまうと余計にむくれるが、気にせず引っ張り起こす

 

「・・・ありがとう、ってあれ?」

 

立ったのだが何故かまた座り込んでしまう、流石におかしいと思い足を見てみると

 

「・・・お前足くじいてるじゃないか...」

 

流石にこればっかりは呆れてしまう、クリスはというとそっぽを向いていた

 

-------------------------------

 

「・・・ねぇ、流石にここまでしなくても//」

 

「怪我人は黙って運ばれてろ」

 

現在街に帰ってるのだが、俺はクリスをおんぶしていた

 

そこまでひどくはないのだが、一応ということでおんぶしている

 

流石に包帯とか布切れがあれば巻いておいたのだが

 

「うぅ...屈辱」

 

「はいはい、次は頑張ってくださいね~」

 

「おざなり過ぎないかな!?」

 

クリスで適当に遊びながら帰ってきたのはいいのだが、門の近くで少し面白い見世物が

 

「おー、派手にやってんなー」

 

大きいクレーターに小さいクレーター、果てにはライトオブセイバーなどゆんゆんが大活躍のようだ

 

「あれって...たしか紅魔族の...」

 

「ゆんゆんだ、なんかいつの間にかパーティーメンバーになってるけど」

 

なんかなし崩し的にメンバーになっているが、本人的にいいのならいいのだろう

 

「流石紅魔族の子だね」

 

「めぐみんもすごいけど、継戦能力で言えば圧倒的にゆんゆんの方が優れてるからな」

 

多種多様の魔法が使えるので本当に重宝している

 

「でもあの子泣き入ってない?」

 

「まぁメンタル弱いし、それに」

 

魔力がなくなってきていることもあるのだろうが、めぐみんを背負っているからだろうなかなかカエルと距離が離れない。それどころか段々と距離が縮まっている、まぁ二人が食べられるのを見て愉悦に浸るのもいいのだが

 

「助けに入るか...」

 

「なんで仕方なさそうなのさ...」

 

眼鏡は取らず魔眼を発動、クリスをおぶっているのでちょうどいいだろう。まぁ魔眼も発動しなくてもいいだろうが念のためだ。まずゆんゆんたちのすぐ真後ろで口を開いているカエルの舌を魔力を多めに込めた刀で切りつける。瞬時に氷漬けになる、明らかにオーバーキルだった

 

「やば、魔力こめすぎた」

 

「へー、魔眼使用中ってこういう風になってるんだ」

 

おぶっているのでどうやらクリスにも魔眼の効果があるようだった、特に気にもせずゆんゆんの周りにいたカエルは狩り終える

 

「便利なスキルだね」

 

「まぁ正直教えてもらって損はなかったな」

 

「もういや...ってあれ?」

 

「シキ?それにクリス?どうしてここに?」

 

「俺が受けたクエスト終わったその帰り」

 

完結に事実を伝えるのだが、なぜかめぐみんはジト目だった

 

「あれ?シキサン?」

 

俺とめぐみんの話が聞こえたのだろうゆんゆんがこっちを向いたのだが、何故かゆんゆんもジト目に

 

「なんだよお前ら二人して...」

 

「いえ...」

 

「ねぇ...」

 

気が付いたのだが視線は俺でなくクリスに向けられていた、そこでようやく合点がいく

 

「あぁ、足くじいたから一応な」

 

「「・・・」」

 

それでも二人はジト目をやめない、まぁ俺に向けられているものではないのでスルー

 

「お前らー!!談笑してないでたすけてくれぇぇぇ!!」

 

和真のことをすっかり忘れていた、忘れていたが

 

「悪いな和真、クリスをおぶってるから無理だ」

 

笑顔で言ってやった

 

「お前その状態でゆんゆんとめぐみん助けてんだろうが!!どうわ!?」

 

まぁ仕方ないので助けてやることにする

 

「ほっ」

 

眼鏡を外し短刀をカエルに向かって投げる、その短刀は見事カエルの死の点に命中し絶命した

 

「「「えぇー...」」」

 

めぐみん、ゆんゆん、クリスは信じられないものを見るような目で俺を見ていた

 

「ほれ、助けたぞ。後短刀投げてくれ」

 

「助けてくれたのは感謝するけど、素直に喜べない...ほっ!」

 

和真は短刀を投げてはくれたが全然届かない、まぁここら辺はステータスの関係もあるのだろう。俺は拾いながら

 

「その二人も助けておけよ?」

 

和真の後ろ、喰われたカエルからなぜか頭を出し入れしている二人を指さす

 

「あ、アクアー!!」

 

忘れていたのだろう急いで助けている、まぁ俺は帰るが

 

「じゃ!頑張れよ」

 

「君もなかなか鬼だよね...」

 

「まぁ、シキですからね...」

 

「そう言いながらめぐみんも帰ろうとしてるじゃない!いいの!?」

 

ゆんゆんは慣れてないのだろうが

 

「「いつものことだしな(ですし)...」」

 

「あぁ...」

 

なんとなくゆんゆんは察したのだろう、俺たちについてくる

 

「それでいいのかなぁ...」

 

クリスはいまいち納得いってないのだろうが、ならば俺から降りて助けに行けばいいのではないのだろうか

 

-------------------------------

 

結局和真たちを置いて家に帰ろうと思っていたのだが、クリスの治療が先なので教会に来ていた

 

ちなみにゆんゆんとめぐみんは疲れたそうなので、先に帰るとのことだった

 

「なんかごめんね、治療代まで出してもらって」

 

「まぁ俺のクエストについてきてもらったわけだしな」

 

まぁ治療と言っても日本みたく、診察とかはなくヒールをかけて終わりだが

 

「それにしても俺が教会にねぇ...」

 

俺の集落にそんな上等なものがあるわけなく、引っ越し先でも寄る機会なんてなかったので始めただが

 

ある意味かなりの皮肉だろう、しかも神様と言っても下界している状態の神様と一緒とか

 

「どうしたの?」

 

「いや、俺みたいなのが教会に来るとは考えたこともなかったんでな」

 

「・・・」

 

俺の過去を知っているクリスはそれを聞いて黙ってしまう、別にシリアスな空気にしたかったわけではないのだが

 

「後悔...しているんですか?」

 

教会にいるがプリーストなどは奥に引っ込んでいるため、礼拝堂には俺とクリスの二人っきり。だからだろうかクリスとしてではなく、女神エリスとして聞いているのだろう

 

「後悔...ねぇ...」

 

俺はその言葉を考えるが

 

「わからないですね」

 

「わからないですか?」

 

「ええ、そういう一族に生まれたんですから。一般人からしたら殺しはいけないものでしょうけど、俺達からしたらそうじゃない。人間が息を吸うのを無意識に行ってるように、俺たちはそれと同じように人を解体してるんですから」

 

「・・・」

 

流石に引くかと思ったがエリス様は真剣に聞いていた

 

「まぁ殺した奴らには悪いとも思わないですし、もはや過去のことです。俺は...そうですね、過去と決別したと言ってもいいですかね。エリス様やめぐみん、ゆんゆん...他の仲間の奴らのおかげで」

 

「・・・そうですか、流石にちょっと思うことはあるけどね」

 

エリス様の雰囲気が和らぐ、というよりクリスに戻ったという言い方もおかしいけど

 

「まぁ今は楽しいですしね」

 

「その割には彼の扱いひどいと思うよ」

 

「あれはわざとってか愉悦を感じるために」

 

イタズラっぽい笑みを浮かべていたクリスが、俺がそう言った途端苦笑する

 

「ほんとに、その性格直した方がいいと思う」

 

「さて用も済んだし家行こうぜ、今日は俺が当番だから晩飯ご馳走する」

 

「いや、流石に...」

 

まぁクリスならそう言うと思っていたので

 

「お前に拒否権ないから、強制連行」

 

「ちょ!?」

 

驚いてるようだが手を掴み、家に帰る為に教会を出た

 

-------------------------------

 

和真に文句を言われ、アクアに泣きつかれたり。色々なことがあったが、夕食後のひと時。とりあえず夕食の時に報酬の話をしたのだが、俺の方の報酬は受け取れなかったので明日改めてギルドに行く必要があるだとか。それともう一つ、何故か俺が料理ができると知るとクリスは意外そうな顔をしていた。ゆんゆんやめぐみんの時もそうだったが、なんで俺料理できない認定されてるのやら

 

「おい志貴風呂あがったぞ」

 

和真が俺に声をかけてくる、どうやら風呂から上がったらしかった。俺は俺で本を読んでいたので遅くなったが、どうやら女性陣も入ったらしい。ちなみにアクアは帰ってきたときに和真に風呂にぶち込まれたらしい

 

「おう、了解」

 

俺は立って風呂場に向かう、札とロウソクはつけなくてもいいだろうどうせこの後誰も入らないのだから。体を洗い湯船につかり、一日の疲れを癒す。といっても一撃熊討伐して、クリス背負ってきただけだが。考えると二人で行って怪我したのが最後に足くじいただけとか、普通の冒険者が聞いたら卒倒ものだ。ある意味小さいころから体を鍛えていたことを感謝しながら苦笑した

 

「今度は王都に行ってドラゴンとか狩るのもいいかもな...」

 

もちろんソロで、ドラゴンスレイヤーの称号が欲しい。まぁその場合めぐみんにゆんゆん、他のメンバーからぶっ飛ばされるだろうが。その光景がありありと浮かんで思わず苦笑する、そんなあほなことを考えていると脱衣所の方が騒がしくなる。会話は聞こえないが、数人いるようだ

 

「あ、これまず...おい、おれが

 

「「「・・・」」」

 

声は届かず明るくなった風呂場で俺たちはご対面した、もちろんタオルは巻いてましたよお互い

 

(もういいや...)

 

若干投げやりな気持ちになり、三人から背を向け奥のかどで小さくなる

 

「お前らいつまでもそこにいたら冷えるだろ?入るか着替えるかしてほしいんだが。もし入るなら後ろ向いてるから気にしなくてもいいぞ」

 

そう言ってるのだが動く気配がない、まぁ当たり前だが。そして自分の性欲のなさに苦笑する、というか枯れてるんじゃないだろうか。まぁ年頃の男子だ興味はある、あるが意識の外に追いやれる程度だ。いい加減角っこにいるのに見られ続けているのに耐えられず、今度は大きめに声をかける

 

「おーい、風邪ひくぞー」

 

「「「はっ」」」

 

「ななな、ななななななな!!?///」

 

「な、ばっかりだな」

 

「なんであなたがここに!?///」

 

「見ればわかるように風呂に入ってる」

 

「そんなのはわかっています!なんでロウソクも灯さず、札もそのままにしていたんですか!!?///」

 

素が出てるけどいいんだろうかと思いつつ質問に答える

 

「いやもう入ったのかなぁとか思って、ロウソク灯すの面倒だったし札もそのままでいいかなと」

 

質問されたことを簡潔に答えるが、相変わらず視線はこちらに固定されていた

 

「というかさっきも言ったけどお前ら風邪ひくぞ?俺が出るにしてもお前ら入り口にいるから、俺出れないんだけど」

 

その言葉に納得したのかと思いきや

 

「・・・なんかだんだんイラっときてるのですが」

 

「・・・奇遇だねめぐみん、アタシも同じ気持ちだよ」

 

「え、え?めぐみん、クリスさん?」

 

うん、これ詰んだ。はっきりとクリスとめぐみんのまとう空気が変わった、てかイライラしているって言ってたし

 

「いいですよ、シキはそこにいてください」

 

「そうだよ。逃げ出したらどうなるか、わかってるよね?」

 

お前らがそこにいるのにどうやって逃げ出せと?そう言いたかったが言えるはずもなく。ゆんゆん以外移動したようだった

 

「え、え?えぇーー!?」

 

「ゆんゆん、何をやってるんですか?私たちは喧嘩を売られてるんですよ?」

 

「え?喧嘩?」

 

「そうだよ、シキは私たちがいるこの状態でも普段と変わりない様子なんだから。それは私たちが女として見られていないと同じことだよ」

 

いやそういうことではないのだが、そりゃあ人より枯れている自信はあるが。何だろう悲しくなってきた、そんな俺とは裏腹に

 

「そ、そういえば!!」

 

ゆんゆんまでやる気になってしまったようだった、もうここには良心はないようです。軽い現実逃避していたが体が洗い終わったのか、近くから三人が湯船に入ろうと近づいてきているようだった

 

「こちらを向いてもいいですよシキ」

 

「いやぁ~」

 

「なんだ志貴ってヘタレだったんだね」

 

好き勝手言ってくれるなコンチキショウ、特にクリスは後で覚えておいてもらおうか

 

「うぅ~///」

 

ゆんゆんは恥ずかしいのか特に声をかけてくることはなかった

 

「おい、いいからこっちを向け!」

 

いい加減しびれを切らしたのかめぐみんがこっちを向かせようとしてくる

 

「そうだよ志貴!」

 

クリスは悪乗りなのか判断つかないが、めぐみんに加勢する

 

「お前らやめろ!」

 

流石にここまでやることないと思うのだが、なぜかムキになっている二人。だが力で俺にかなうはずもないのだが

 

「ゆんゆん何をやっているのですか!」

 

「やっぱりなんかおかしいわよ!?///」

 

「何を言ってるんですか!女として見られてないんですよ私たちは、これがどんなに屈辱かあなたにはわからないんですか!?」

 

「た、確かに...」

 

ゆんゆんちょろすぎぃ!!と思わず言いたくなったがそれどころではない、三人ともなると流石に押し負ける可能性が出てくる。こんな状態だ本気を出すわけにもいかない、だが少し力を出すくらいなら

 

「おら!放せ!」

 

「ちょ!志貴暴れないで」

 

「ゆんゆん早く!」

 

「その、えいっ!」

 

ゆんゆんは背中に抱き着いてきた、のだが...最悪のタイミングだった、ちょうど拘束緩まり立とうとしたとこだったのだ。そんな状態で抱き着かれれば

 

「おわっ!?」

 

「きゃ!?」

 

「あいたたたた...まったくゆんゆんは...」

 

「もとはと言えばめぐみんのせいでしょ...」

 

思い思い起き上がる

 

「お前ら大丈夫っか!?」

 

打ったところを押さえ起き上がったのはよかったのだが...

 

「「「「・・・」」」」

 

俺を含め全員が巻いていたタオルが取れていた、俺は魔眼を発動させ緊急離脱を図る。感想を言えば、ごちそうさまでした

 

-------------------------------

 

翌日俺は早めに起きて速攻で家を出た、そこからギルドが開くギリギリの時間まで暇をつぶし。適当な上級クエストをかたっぱしから受け、なるべく合わないようにしていたのだが

 

「どうしてこうなった...」

 

今日のクエスト依頼主が貴族やそこそこ有名な人たちだったようで、何故か依頼報酬とは別でお礼という感じでいろいろもらったのだが。まぁ専属護衛になってほしいだの色々言われてたので、ご機嫌取りだろうが。そんなわけで現在ウィズ魔法具店に向かっている、扉を開け中に入ると

 

「ちわー...って」

 

俺以外のパーティメンバーがいた、俺は即座に

 

「すみませんでした!!」

 

DO☆GE☆ZAした

 

「え?え?なんで志貴土下座してんの?なにかやったの?」

 

「いや、俺は知らないが...」

 

「「「・・・」」」

 

件のメンバーの沈黙が重かった、とりあえず店の迷惑を憚らないで土下座しているわけだが

 

「ふぅ...ねえみんなそろそろ許してあげようよ」

 

クリスが一息ついてそう提案していた

 

「そうですね...私たちも悪かったわけですし//」

 

「ねぇねぇ和真さん、和真さん。どういうこと?」

 

「だから俺も知らないって言ってるだろ?」

 

「あのそろそろ...」

 

外野がうるさいが気にせず頭を下げ続ける、ウィズの方は無視できないので早めにしていただけるとありがたのだが

 

「ち...仕方ないですね」

 

今の一言で俺はこいつが俺のことをいじくろうとしていただけと分かった、いい根性してるじゃないかめぐみん

 

「とりあえず頭あげてよ志貴」

 

言われた通り頭を上げて三人を見ると、クリスは苦笑、ゆんゆんは恥ずかしそうにこっちを見ていて、めぐみんはつまらなそうに見ていた

 

ゆんゆんはこの間の件をチャラにしようと思ったが、めぐみんはいじくりまわすことに決めた

 

「とりあえずもう一回謝らせてくれ、すまなかった」

 

「いいって言ってるのに」

 

「それでこそシキサンって気がしますけどね」

 

とりあえず二人は苦笑しながら許してくれた

 

「ところでゆんゆんが持ってるそれは?」

 

「おい普通に流したぞ」

 

「私たち空気みたいよね」

 

「おいお前らさっきからうるさいぞ」

 

一応アクアと和真も忘れてはいない、注意をしておく

 

「仲良くなる水晶っていうものらしいです」

 

「なんぞそれ?」

 

店主であるウィズの方を向く、明らか欠陥品の多いこの店でそれは地雷臭がした。もしもの時のために聞いておく

 

「熟練した魔法使いしか使えない、徳の高い大変すばらしいものなんです!」

 

めっちゃいい笑顔で言ってくる、十中八九ろくでもない商品だった

 

「なのでゆんゆんが勝負を吹っかけてきたんです」

 

めぐみんが言葉を引き継ぐ、ゆんゆんには悪いが犠牲になってもらうことにした

 

「ほーん...どうやってやるんですかこれ?」

 

「えーっと...」

 

準備も整い二人が魔力を水晶に注ぎ込む

 

モニターのようなものに映像が表示されている

 

「oh...」

 

「なんだよこれは...」

 

「ちょっと待って...」

 

見てはいけないものを見てしまった...のだが

 

俺は満足した、これは重要な弱みだ

 

もし俺のことを煽ろうものなら、これを遠慮なくいじることにしよう

 

ゆんゆんはやると泣きすぎるだろうが、めぐみんなら

 

「「うわぁーーーー!!」」

 

「なんなんですかこれは!?」

 

「店主さん!!仲良くなる水晶だって言いましたよね!?」

 

二人は思わず悲鳴を上げる、てか二人は気が付いていないのだろうが魔力をこめるのをやめればいいのでは?そんな俺の予想をよそに、ウィズは商品の詳細な説明を始める

 

「これは、その...お互いに恥ずかしい過去をさらしあうことで、より友情や愛情は深くなるという大変徳の高いものなん...で...す...」

 

「というか恥ずかしい過去さらして、仲良くなるものか?」

 

「いや、あたしに聞かれても...」

 

クリスに話を振るのだが流石にわかるはずもなく

 

「どりやぁぁぁぁぁ!!!」

 

めぐみんは水晶をもって腕を高く掲げる、そしてそれを振り下ろして

 

(ありゃあまずい)

 

流石にあんなくだらないものでも魔道具は魔道具、壊したら弁償ものだろう。余計な出費は増やしたくないので、魔眼を発動し地面につく前に回収。よくよく考えたのだがクリスにスティールしてもらっても、よかったのかもしれない。ついでに眼鏡を外し、空間を線を切って殺しておく

 

「あぶねぇ...おいめぐみん、流石に赤裸々過去を大暴露されたからって水晶割ろうとするなよな」

 

「ならそのにやけ顔をやめてもらおうか!!」

 

おっと、うっぷんを晴らせると思ったらついにやけ顔に

 

「まぁまぁ気にするなって、貧乏はお前のせいじゃない...でも紅魔族随一の天才が野菜盗むっていうのはどうなの?」

 

「あーあーあーあーあー!!聞こえません聞こえません!!」

 

耳をふさぐが肩を組んでやる

 

「いやー、あのザリガニみたいなのをそのまま煮るとは。流石のお兄さんも驚きですわー」

 

「あーあーあーあーあー!!」

 

そろそろ泣きが入りそうなのでやめておく、て言うコイツ逆境弱いし。気にいらないやつならこのまま精神崩壊まで追い込んでもいいが、仲間を泣かせるのは本意ではない

 

「めっちゃいい笑顔してるなアイツ」

 

「ダクネスあたりが見たら喜びそうね」

 

ゆんゆんはゆんゆんでクリスに泣きついていた、仲いいのなあの二人

 

「それにしても面白いなこの水晶」

 

「今の阿鼻叫喚の状況も見て面白いとか、お前俺よりも鬼畜てか外道だよな...」

 

「流石に和真には負ける、おれはTPOわきまえてるし」

 

「お買い上げになりますか?」

 

目を輝かせながら近づいてくるポンコツリッチー、たくましいなある意味

 

「いや買わない、てか鑑定してほしくてここに来たわけだし」

 

「鑑定ですか?」

 

なんか話が脱線事故並みにこんがらがったが、ようやく本題に入る

 

「そういえば気になってたけどその荷物なんだ?」

 

「まさか私への献上品?!」

 

「寝言は寝て言え、今日の依頼の報酬とは別件のもの」

 

俺は依頼中に言われてことをそのままそっくり和真に伝える

 

「あー...基本ハイスペックだもんな、お前...羨ましぃ...」

 

怨嗟の視線を向けては来るが、これは努力の末につけた力なのでスルー

 

「すごいね、結構いいものばかりだよ?」

 

盗賊のクリスが言うのだからそうなのだろう、少しでも借金返済の足しになればいいのだが

 

「それでは鑑定しますので、少々お待ちくださいね」

 

そう言って奥に引っ込むウィズ、その前に

 

「おいアクア、その後ろに持ってるものだせ」

 

「ひぅ!?」

 

すかした顔でそっぽを向いていたアクアが俺がそう言うと、ビクッと体を震わせ額に汗をだらだらかき始めた

 

「な、なんのことですかねー...志貴?」

 

「ほう、あくまでシラを切ると...まぁ良いよ、そしたら力ずくで羽衣奪うだけだから」

 

アクア曰くあの羽衣も神器級の物らしい、だが意外なところから声が上がった

 

「おい待て志貴!!」

 

「和真さん...」

 

「なんだよ和真、お前が止めるなんて」

 

「そりゃあ止めもするだろう、アクアの羽衣売るなんて」

 

「どういうことだ?」

 

和真の考えがよくわからない、なので聞いてみることにした

 

「今回の借金はもしかしたら払わなくてよくなるかもしれないだろ?」

 

「そうだな」

 

可能性的にはありえないことではない、あの悪徳領主の悪い噂は後を絶たない。そのうち捕まって借金がチャラになる可能性がないわけではない

 

「今の借金はそのうち終わるだろうが、今度は完全にこちらが悪い状況になった場合必ず払わにといけない」

 

それも当たり前だろう、そしてここまで言われてわかった。一言いいたい、和真おまえは最低だ

 

「その時に売るものがないと困るだろ!?」

 

「最低だねキミ...」

 

クリスは思わず言ったが、他のみんなも同様な目だった

 

「・・・アクア」

 

「ええ返すわ...それとこのヒキニート、アンタねぇ!!」

 

「あぁ!?」

 

またいつものじゃれあいが始まった、それを見ていてもいいのだが

 

「ふむ...クリス」

 

「ん?なに」

 

俺に呼ばれ近くに寄ってくるクリス

 

「これやってみないか?」

 

「・・・」

 

「えっ!?」

 

「ほう、いいですね」

 

クリスはジト目で見てくるが、まぁ当たり前か

 

ゆんゆんは驚き、めぐみんは乗り気だ

 

「さぁ!やってみましょう!!」

 

結局クリスと俺はやる羽目になり、魔力を込めていたのだが

 

「あー...やっぱりこうなったか」

 

「「「・・・」」」

 

三人は無言になる、てか店内が静かになる。まぁ殺人現場が流れれば当たり前だろう、クリスの方は砂嵐だった。てかこれ欠陥品どころか、やばいものだろう。流石にずっと見せるわけにもいかないので、さっきと同じように線を切って殺す。商品を棚に戻すが店内の空気は重いままだった

 

ちなみにクリスの予想通り、結構なものだったようで

 

かなりの額で売れた

 




書いてるときも思ったんですけど最後別にシリアスにするつもりなかったんだけどなぁ...
なにはともあれお風呂回でした、クリスは本編あんまりでないので俺のほうではちょくちょく登場させます。
まったく関係ないんですけどFGOの周回つらい...そして沖田さん欲すぃ...


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