この魔眼持ちに素晴らしい世界で祝福を! 作:サクサクフェイはや幻想入り
それではどうぞ!
ドゴーン!!という大きな音で目を覚ます。知らない天井だが俺が何をすべきなのかはわかっていた
「行かないとな...」
ベッドから起き上がるが体中に激痛が走る、だが動く
「動くなら...俺は行かなきゃならない」
着替えて俺は正門の方に向かう
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ギルド内に集まる無数の冒険者、いつものような陽気な雰囲気はなくお通夜みたいな雰囲気だった
そんな中ルナは口を開いた
「皆さんがこの町の最後の砦、どうかよろしくお願いします」
そして水晶を持った職員が一歩前に出る
「現在機動要塞デストロイヤーは町の北西方面からこちらに向けてまっすぐ進行中です、到着まであと一時間」
水晶を覗いていた冒険者たちだったがいきなりその映像が映らなくなる、おおかた偵察用のものが破壊されたのだろう
「あの、デストロイヤーって古代の魔法王国が作ったんですよね?作った人たちは何か対抗策を用意してなかったんですか」
「デストロイヤーの暴走で真っ先に滅ぼされました」
一人の冒険者が聞くがそう答えるルナ、それもそうだろうでなければこんなに長いことデストロイヤーが脅威として恐れられるはずがない
「こんな時ミツルギさんがいたら」
一人の冒険者がそう呟く、他の冒険者もつぶやくがこの場にミツルギはいない
いたとしても単騎では役に立たないだろうが
「早くみんなで逃げた方がいいよ」
クリスはそう言うがダクネス譲らなかった
「いやそれは駄目だ、街の人が帰る場所を失ってしまう」
「はぁ...相変わらず頑固だなぁダクネスは」
クリスも本気で言ってたんだろうが、ダクネスが頑固なのはわかっていたのか苦笑していた
「本当はシキのがいればなんか思いついてそうだけど..ねぇキミ何かいい案はない?」
そう言って和真の服を引っ張るクリス、この場に白夜志貴はいないあの雪山の一件以来ずっと眠り続けている
「いきなりそんなこと言われても...」
考える和真だったが妙案が思いついたのかアクアに話を振る
「おいアクア!お前なら結界を破れるんじゃないのか?」
「うーんやってみないとわからないわよ?」
和真の問いに難しい顔をして答えるアクア、その話を聞いていたのかルナが話に割り込む
「破れるんですか!?デストロイヤーの結界を!」
「い、いやぁ...もしかしたらってことなんですけど」
「それでもお願いしていいですか!」
「あ、あぁ...」
若干押され気味だが了承する和真
「後はダメージを与えられる魔法さえあれば...」
そのつぶやきを聞いた冒険者の一人がつぶやく
「いるだろう、火力持ちなら。頭のおかしいのが」
他の冒険者も思い出したかのように頭のおかしいのがとつぶやいて少女を見る、だが当の本人は元気がないのか顔を上げもしなかった
「・・・めぐみん気持ちはわかるが、お前の爆裂魔法でデストロイヤーは破壊できるか?」
ダクネスがそう問うとようやく顔を上げるめぐみん
「・・・わが爆裂魔法でも流石に一撃では仕留めきれないと思われる」
再びお通夜ムードになるが
「すいませーん、遅くなりましたーウィズ魔法具店の店主です。一応冒険者の資格は持っているのでお手伝いに」
「店主さんだ!」
ウィズを見た冒険者たちは一気にテンションを上げ始める、聞けばこの貧乏店主昔は凄腕のアークウィザードだったとか
今はリッチーだが
「それでは皆さん!緊急クエスト開始です!!」
勝てる見込みがそろったのかルナがそう言うと準備は急ピッチで進められる、正門前に簡易バリケードを組むなど色々な準備が進められ今に至る
「冒険者の皆さん!そろそろデストロイヤーが見えてきます、戦闘準備をお願いします」
そうルナが言うと徐々に徐々にその姿が見えてくる、巨大な蜘蛛のような兵器だった。そのデカさに冒険者たちはビビっていた
「ちょっとウィズ!大丈夫なんでしょうねぇ!?」
そんな中緊張感のないアクアの声が響く
「大丈夫ですアクア様、これでも最上位のアンデットなのですから」
特に緊張はしていないのか平然と答えるウィズだが、その顔は少し不安そうにしていた
「本当に大丈夫なんでしょうねぇ!!」
「もし失敗したらみんなで仲良く土に帰りましょう」
「冗談じゃないわよ!冗談じゃないわよ!!」
アクアは相変わらずわめいていた、一方反対側の方では
「・・・」
「・・・」
二人の少女が無言でいた、片方の少女はうつむいていてもう片方の少女は落ち着いてデストロイヤーを見いていた
「まさかデストロイヤーを相手にする日が来るなんてね」
「・・・」
「ちょっと前の私だったら逃げてたかもしれないけど、いまはシキさんに聞きたいことができたから」
そう言うと俯いていためぐみんはゆんゆんを見る、ゆんゆんは視線に気が付いたのかめぐみんのほうを見る
「聞きたいことですか?」
「うん、なんでパーティーを抜けたのかとかそう言うこともだけど寂しそうな眼をしてたから...」
「・・・」
静かに聞いているめぐみん、だがゆっくり話している時間はなさそうだった
「きたぞー!!」
さっきは米粒くらいだったがもう少し離れたところまで来ていた
それが合図になったのかアクアは騒ぐのをやめ、いつも間にか飛んできていた杖を頭上で回し始める
「セイクリッドーー!」
アクアの目の前にでかい魔法陣が5つ浮かぶ
「ブレイクスペル!!」
杖を前に突き出し呪文を唱えると魔法陣から魔力が放出されデストロイヤーの結界にぶつかる
だが結界を破るには至らず硬直状態が続く、だがそれもすぐに終わる
「っっ~~~~!うらぁーーーーー!!!」
魔力をさらに込めたのか、でかい5つの魔法陣は巨大な一つの魔法陣になりデストロイヤーの結界をついに破る
「いまだー!!」
結界を破るのを確認した和真がウィズとめぐみんにむかって叫ぶ
「めぐみんさん、今です!」
同時に爆裂魔法を放とうとするウィズが声を掛けるがめぐみんは返事をしない
「めぐみん?」
「・・・」
ゆんゆんが声を掛けるが、それすらもめぐみんは反応しない。そんなめぐみんの様子にゆんゆんは
「いい加減にしなさいよ!」
あのゆんゆんがキレた、キレたゆんゆんはめぐみんに掴みかかる
「めぐみんがここで爆裂魔法撃たなかったらシキさん死んじゃうのよ!」
「っ!」
その言葉にようやく顔を上げるめぐみん、かまわずゆんゆんは続ける
「シキさんが死んでもいいの!?お願いめぐみん、私は爆裂魔法が撃てないから見てることしかできない...でもめぐみんは撃てるだから...」
「はぁ...ゆんゆんに慰められるとか私も焼きが回りましたかね...」
「・・・へ?」
理解が追い付かないのか唖然とした顔のままめぐみんを見るゆんゆん
そこにさっきまで俯いていた少女はいなかった、いるのはいつものように不敵に笑うめぐみんだった
「ウィズご迷惑をおかけしました、いつでも行けます」
「あ、はい」
「ゆんゆん」
「なに?」
少女はデストロイヤーをその赤い瞳を光らせながら親友に語り掛ける
「今までも認めていなかったわけではないですが認めましょう、これからは正真正銘のライバルです」
「!?」
「そして親友ですからね、そのお願い聞いてあげますよ...では行きます」
マントをたなびかせ、めぐみんとウィズの詠唱が始まる
「「黒より黒く、闇より黒き漆黒に闇より暗き漆黒にわが真紅の混交に望み給たもう」」
頭上に魔法陣が現れる
「「覚醒の時来たれリ、無謬の境界に堕ちし理、むぎょうの歪みと成りて現出せよ!エクスプロォォージョンッ!!」」
巨大な練りあがった二つの魔力はデストロイヤーに直撃し大きな爆発を引き起こす、足を全部破壊されデストロイヤーはその動きを止めた
「・・・どうですか?」
「うん、止まったみたい」
「そうですか、よかった...ですが流石凄腕のアークウィザード私をはるかに上回るレベルです」
「ふふ...とりあえず皆さんと合流しよう」
そういってめぐみんをおぶさるゆんゆん
「ねぇめぐみん」
「?なんですか」
「私負けないから」
「ふっ...今までの勝負は私の勝ち越しですがね」
「でも負けない」
「・・・私だって負けませんよ」
志貴視点
「はぁ...はぁ...」
思うように走れないため息が上がる、だがようやく正門前までやってきた
ここにくるまで数名の冒険者とすれ違ったがみな口々に自爆と言っていた
巨大な変なものが転がっていたがあれがたぶんデストロイヤーという奴だろう
「さて行くか」
息が整ったので走り出す
『いいのか、次使えば死ぬぞ」
『言ったはずだぞ俺はもう決めたって」
『ならもうこれ以上言わないさ」
独り言のように思えるが記憶がもうほとんど戻ってきているため、意識が混ざっているのでもう幻聴のような感じで話さない
「「シキ(さん)!」」
話していて気が付かなかったがいつのまにかめぐみんたちの前にいたようだ、俺は立ち止まる後ろは向かないが
「よぉ久しぶりだな」
「久しぶりじゃないですよ!!いきなりパーティー抜ける言い出すわ、目の前に現れたと思ったらゆんゆん連れていますし」
そうやって罵声が飛んでくるが立ち止まっている時間はない手早く話を終わらせる
「あー悪い文句なら後で聞くわ、今時間ないし」
そう言って走りだろうとすると
「後でなら聞いてくれるんですよね、あの時聞きそびれたこと聞きたいのでちゃんと帰ってきてくださいね」
「・・・わかったよ、行ってくるわ」
後ろを向いて二人の顔を確認し、俺は走り出す
「絶対、絶対ですからねシキ!!」
眼鏡を取り正面の線に沿って切り裂く
どこに行けばいいなんてわからないが直感で進む、結構な壁を切り裂き進んでようやく目的の部屋にたどり着く
「志貴!?」
和真の声が聞こえたが、それよりももはや臨界を越しているのか赤白い光を放つそれに向かって飛び死の点を突く
頭から何かが割れたような甲高い音が聞こえ、そこで俺の意識はそこで途絶えた
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「またこのパターンか...」
見慣れたわけでもないが周りの暗い部屋、死んだ直後にきた部屋だろう
「てことは、俺は死んだのか」
「ビャクヤシキさん、ようこそ死後の世界へ。私はあなたに新たな道を案内する女神エリス、この世界でのあなたの人生は終わったのです」
俺がそう納得していると、いつの間にやらクリスがそんなことを言っていた
「ん?クリス何やってるんだ、というより頬の傷がないが」
「私はクリスではありません、女神エリスです」
「あ、そうですね本体がエリス様でしたね」
「ですから私はエリスで、クリスではありません!」
少し怒った風に言うエリス様、まぁわかっていてからかっていたわけだが
「まぁそんなことは置いていおて、俺は死んだんですね」
「え?あ、はい...」
納得いかないのか呆けた顔をしていたが、コホンと可愛らしく一息入れ続きを喋りはじめた
「あなたはコロナタイトに刃を突き立て暴走したコロナタイトを止めましたが、意識を失いそのまま...」
「こっちにきたと」
頷くエリス様、まぁそうだろうあの死の点を突いたことで俺は死んだ
「異世界から来た勇敢な人、せめて私の力で平和な日本に生まれ裕福で幸せになれるように転生させてあげましょう」
「・・・優しいんですねエリス様は」
これは俺の正直な感想だった心からの正直な感想、だがエリス様は不思議そうな顔をしていた
「えっと...何かご不満ですか?」
「いや、心からの感想ですよ?でもそれ誰目線からの幸せですか?」
「え?」
今までこんなこと言う冒険者はいなかったのだろう、それもそのはずだが大変驚いた顔をしていた
「いやそんなの誰の幸せなんだろうなーと、大部分の人は幸せでしょうけど俺にとっては幸せでもなんでもない」
「・・・」
そんな俺の独白を静かに聞くエリス様
「少なくとも俺にそんな幸せは似合わない、俺は地獄に落ちるのがお似合いだ」
「そんなこと...」
「俺は人殺しですよ、前の世界でたくさんの人を殺した。最初は村の集落全員皆殺しにした。父さんも、母さんも。俺はその殺しの記憶さえも封印してのうのうと生きてた。そして二度目は通り魔で人が殺されているのを見て、気が付いたらそいつをばらしていた。それからは記憶がなかったにしても人殺しを楽しんでた」
俺の過去、ここに来たことで俺は完全に思い出していた。自分の罪を
「そんな俺が転生して裕福で幸せな生活?馬鹿言っちゃいけませんよ」
「・・・確かにあなたは多くの罪を犯しました...ですがこの世界では人を殺していない、それどころか魔王軍幹部を倒したじゃないですか!」
「あんなのはただの偶然ですよ」
「でも!」
俺が地獄行きを望んでいるのが納得できないのか食い下がってくるエリス様、だが俺の意見は変わらない
「いいんですか?女神さまが贔屓して」
「贔屓ではありません!私の評価は順当です!」
「まいったな」
「ちょっと志貴!何死んでるのよ!!」
なぜかアクアの声が聞こえてくる
「あいつはどこでもうるさいやつだなぁ...」
なんかこの部屋の神聖さが損なわれたような気がする、そんなことを思っていたのだがエリス様がうろたえ始める
「この声アクア先輩!?まさか本物?」
「あれ?気が付かなかったんですかエリス様、うちのパーティーにいる自称女神アクアは本物の水の女神アクア様ですよ?」
「えぇーーー!!!?」
「なんか今失礼なこと聞こえた気がするんですけど!?それよりも志貴聞こえてるわよね!あんたの体に復活魔法かけたからもうこっちに帰ってこれるわよー」
「復活魔法とかほんとにゲームかよ」
少しがっかりしているとエリス様から注意が入る
「ちょっと待ってください!あなたは一度生き返っているので天界規定により、これ以上生き返ることはできません!!」
「あ、よかったそうだよな」
でなかったら命の価値も軽そうだ
「おい駄女神、天界規定忘れてないか」
「はぁ?そんなお堅いこと言ってるのはどこのドイツよ
「ほんとアイツうるさいなぁ...」
アクアとの会話を打ち切りにしエリス様との会話を再開させる
「でもエリス様、仮に俺が生き返れたとしても頭の方がダメだと思うんですが?」
「あのアクア先輩放っておいていいんですか?」
「あんなのいつものことなので無視で、それよりどうなんですか?」
エリス様はおろおろしているが、それこそ関わっていたら本当に話が進まないので無視
「頭ですか?どういう意味でしょうか」
「あれ?俺の目のこと知らないんですか?」
そう言って眼鏡を取ると少し頭痛がする
「その目は...」
息をのむ声がするそれもそうだろう、強くなりすぎた俺の目は集中しなくてもエリス様の死の線が見えていた
「話が早くて助かります、ってか能力強くなりすぎて毎回目から血が出るのは困るな」
「困るなじゃありません!!ようやくあなたの死因がおかしかった理由がわかりました、おかしいと思ったんですよコロナタイトが刺さっただけで止まるとか」
「それで、どうでしょうか」
「確かに今仮に生き返れたとしても植物状態は避けられないと思います。いくらアクア先輩と言えど、あなたのその力は強くなりすぎています、完全には直せないためあなたの頭は使い物になりません」
「・・・なんかわかっていたことですけど、その言い方されると色々とショックなんですけど」
「あ、ご、ごめんなさい」
「いえ、いいですが」
ちょっとショックだったのは事実だが、シュンとしているエリス様を見たら別にどうでもよくなった
「さて、そろそろ「シキ!どうして、どうしてですか!!」
「・・・」
声が聞こえた悲痛な叫びが、そしてまた聞こえる悲痛な叫び
「約束したじゃないですかシキさん!帰ってきたら話を聞かせてくれるって!!」
「あの...」
エリス様は何か言いたそうに俺を見ていた、俺は何も答えない
「さて、エリス様俺を早く地獄送りに」
「いいんですか?」
「だって俺は生き返れないでしょう?それに本人にその意思がないですし」
「私はそう言うことを聞いてるんじゃないです!!」
「・・・」
エリス様に怒られ俺は居住いを直す
「はぁ...正直に言うと生き返りたいですよ、あいつ等とまだまだ過ごしたいですし」
「だったら「でも、俺はそれを望んじゃいけない人殺しですし...なによりもとは一つだったのに日常生活と殺人を任せる性格...一番嫌っていた一族とおんなじになった俺自身が許せにないんですよ」
偽りのない本音、俺たち一族は特殊だった。昼は普通に生活し夜は人殺しを平気でする、そんな一族だった。普通の人なら良心の呵責に耐えられないだろうが、そこが俺たち一族が特殊と言われる所以だった。いわゆる二重人格、それを俺が知ったのは小さいころで真夜中森に迷い込んだ俺は一族の者に殺されかけた。それ以来俺は一族の者が嫌いになった。殺したいとは思わなかったが結局また同じような状況になり、俺はそこで二重人格自分の嫌いな一族と同じになったのだ
「・・・」
流石に俺の思いを受けそれ以上何か言ってくることはなかった
「おいおいコロナタイトは取り除いたはずだろ」
少し遠いが和真のそんな声が聞こえた
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無数の冒険者たちがなぜか急いでデストロイヤーから降り始める、口々に熱いと言いながらだ
見るとデストロイヤー赤くなっていた
「おいおい!コロナタイトは取り除いたはずだろ!?」
「これは...内部にたまっていた熱が吹き出ようとしているのでは?」
その証拠に各部から水蒸気のようなものが出ていた
「このままでは町が火の海になってしまいます!」
「コロナタイト飛ばした意味ねー!!」
そんなことを言っている場合じゃないのは和真が一番よくわかっているのか次の策を講じる
「もう一度エクスプロージョンを!」
「もう魔力がほとんどありません!」
ウィズがそう言う、現状撃てるのはめぐみんかウィズだけ、めぐみんは撃てるはずないしウィズも撃てないとなると打つ手がないのか考え込む和真
「そうよウィズドレインタッチよドレインタッチ!」
「ですが、ゆんゆんさんと和真さんの魔力を吸っても撃てるかどうか...」
「ならアクアの魔力を」
「ばか、ウィズに私の神聖な魔力を注ぎ込んだらこの子消えちゃうわよ!!」
そんな言い争いしていると突然めぐみんが騒ぎ出す
「なにを、何を言ってるんですか志貴!」
「どうかしたのかめぐみん!」
志貴視点
「だから俺の魔力を使え!体は生き返ってるんだからやれるだろう!」
「でも成功するかわからないですよ!」
「だぁー!和真近くにいるんだろう!俺からドレインタッチしてめぐみんに魔力を!」
「や、やってみるけど成功するかわからないぞ!!」
「早く」
直後何か吸い取られるような感覚が
「うぉ!?」
「無理をしないでください!」
エリス様から魔力を流されているのか幾分か楽になる
「何考えているんですかあなたは!」
「いやだって特典で魔力値無限だから」
「それでも体は生きていたとしても、魂はこっちにあるんですから無理をしたら駄目ですよ!」
本気で怒っているのか顔がとても近かった、ドレインタッチとやらが終わったのか何かを吸い取られる感覚がなくなる
「あのエリス様終わったみたいなんですが」
「駄目ですしばらくは魔力を流したままにしますから」
そうしていたのだが不意に声がかかる
「シキ、今から爆裂魔法を撃ちますが終わったら話がありますちゃんと帰ってきてください」
「・・・へいへい、わかったよ」
ついに俺は根負けしてそんなことを言ってしまう
「よかったんですかあんなこと言って」
「その前に一つあいつと話したいんです」
「あいつ?」
「俺の片割れ、もう一つの人格と」
「わかりました...」
そう言って俺えの魔力注入をやめにして少し離れる、直後何かが抜ける感覚がして隣を見ると
「よぉ」
俺がいた
「時間もないし単刀直入に言う、俺を殺したくないか?」
「なにを」
そんなエリス様の声を手で制す、これは俺の問題なので話に入ってこられると困る
「質問の意味がよくわからないな」
「お前だって普通の生活がしたいって考えたことぐらいあるだろう?なのに俺はお前につらい過去とかを押し付けただから」
「なるほど...想像することあっても俺は別に気にしたことはなかったな、俺はもともとそういう存在だ」
「だが」
「俺に遠慮しなくてもいいお前と俺はもともと一つだ、元に戻ったところで俺は消えはしないだから俺のことは気にするな」
そう言って話し終わったとばかりに消える、俺は肩の力が抜ける
「相変わらず勝手な奴、まぁ俺自身だしな」
そう言ってエリス様に向き直る
「決まったみたいですね」
「えぇ、エリス様俺を生き返らしてください」
驚いたような顔をするがすぐに表情を引き締める
「さっきも言いましたが天界規定によりそれは」
「まぁ別に生き返してもらわなくてもいいですよ?」
「え?」
俺の言葉が予想外なのか呆けるエリス様、ちょっとちょーっと良心が痛むが仕方ないだろう切り札を切ることにする
「やー俺が転生した理由アクアが面倒だから何ですよねー」
「え?!」
「しかもそのアクアは俺が魔眼使いだって知らなかったみたいなんですよーこれを上司に」
「わかりました、わかりましたからそれ以上言わないでください!!」
泣きつかれた少々いじめが過ぎたようだ
「うぅ...アクア先輩のせいでいつも理不尽です...」
「すみませんねなんか」
「本当ですよ...はいこれで現世とつながりました」
足元に懐かしい魔法陣が展開される
「何から何まですみません」
「本当はこんなことないんですからね...志貴さんと言いましたね」
「クリスの時みたいに志貴でいいですよ」
「ですから私はエリスです、このことは内緒ですよ」
そう言ってウインクして舌を少し出すエリス様、俺はその状況に苦笑していた
少しずつ浮遊するからだ、俺は思い出したので聞いてみる
「そう言えば頭大丈夫なんですか俺?」
「はい、さっき魔力を流した時に直しておきました。あと私からのお詫びもかねて少し能力をいじらしてもらいました」
「へ?」
「大丈夫ですよ、ほとんど変わりませんから。ただ線を切る分には頭痛がしなくなり、点を突くと魔力は大量に消費しますけどこれまでよりは脳に負担を少なくするように。と言っても使いすぎれば今回のようになりますからね」
「ほんと何から何までありがとうございます」
「いえ...アクア先輩をよろしくお願いします」
「あ、それともう一つ、話したいことがあるので夜にギルドに待ってますんで」
「え?あの!」
そこで俺の意識はまた途切れる
次に目を開けると
「エクスプロージョン!!」
今まで見た中で一番の爆発だった
「200点満点中100点だな」
結局あの後目が覚めたことがバレ、号泣やらぶっ飛ばされそうになるなどでゆっくり話す時間が取れなかったわけだが
ところ変わって屋敷の俺にあてがわれた部屋、なぜか二人の少女に正座させられていた
「なんで俺は正座させられてるんですかね」
「わからないんですか」
「約束破りましたよね」
絶賛興奮中なのか二人は瞳を光らせながら俺の前に仁王立ちしていた
ちなみに紅魔族は興奮すると瞳が光るらしい、てかパンツ視えそうなんですが
「約束の件は一応守ったと思うんですが?こうして帰ってきてるわけですし」
「守ったと言えるんですか、一回死んでるんですよ?」
「あー、はい、すみませんでした」
そう言って頭を下げると、ようやく正座を解いていいらしいので適当な椅子に座る
「それで何が聞きたいんだ?」
「すべてです」
「シキさんのすべて、です」
真剣な目でお願いされる、正直言って話たくはなかったのだが約束した手前話す
「・・・面白い話じゃないぞ」
「それでもです」
「わかった」
おれは語り始める転生前の世界でどんなことをしてきたのか、俺がどういう人間なのか
「・・・というわけだ」
話し終えて二人を見ると俯いていて表情は見えなかったが
「アホですかあなたは!!」
スコーンと短刀を投げつけられる刃わ出てないので危険はないが地味に痛かった
「アホとは失礼だろう」
「そうです!私たちのこと見くびらないでください!!」
「確かにあなたが転生前にしたことは許されないことです、それはあなたが一番よくわかっているでしょうが私たちのことを全く分かっていないじゃないですか!」
「そうです!私たちは付き合いは短いかもしれませんが誰よりもシキさんのことをわかっているつもりです、苦しんだり悲しんだりしたと思います...でも、もっと私たちを信用してください!!」
「「その程度のことで私たちは仲間をやめたりしません!!」」
まるで頭を金づちで殴られたような衝撃だった、こんな俺は誰からも受け入れられるわけがないとそう思っていたからだ
「あー、うん、そうか...ありがとな」
椅子から立ち上がり部屋を出ようとする
「どこに行くんですか?」
「いや、まぁ、今回もう一人に迷惑かけたからなその人にも謝らないとな」
そう言って部屋を出た
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ところ変わってギルドに行くと約束の人はもう来ていた
「おーい志貴!こっちこっち」
「あークリス待たして悪い」
急いで席まで行き腰を下ろす、来たばっかりだが周りが騒がしすぎて帰りたい
「まったく私も忙しいんだからね」
「なら外出ようぜ流石にこんだけうるさいとゆっくり話もできないしな」
「いいよー、じゃあ会計「俺が払うから先に外で待っていてくれ」
そう言って席を立ち会計を払い、外で待ってるクリスに合流する
「強引だね」
「そうか?とりあえず歩きながら話そうぜ」
「はいはーい」
そう言ってゆっくりと歩き始める
「それで今日呼び出した要件は?」
「ん?ズバリ今日のことだよ」
「今日?ワタシは何もやってないけど」
「あーはいはい、それならエリス様に伝えといてくれよ」
もう面倒になったのでおざなりに対応すると
「む、なにその言い方」
ふくれっ面になったが気にしない
「ほんと今日は助かったよ、結局デストロイヤー殲滅終わったら仲間に拉致られて知らない屋敷に連れていかれてさ」
「知らない屋敷って?」
「あーなんか俺がソロでやってる間に、屋敷を報酬でもらったらしいんだよ」
「え?なにそれすごい」
「だよなぁ...んまぁその話は置いといて、仲間に俺の転生前話したらさ受け入れてもらえたからさ...だからあの時許可出してくれてありがとうございましたエリス様」
お礼を言うために止まり頭を下げる、そんな俺にクリスは
「え、えっとお礼言われても困ります//それに認めてくれたのは志貴さんの行いがいいからであって///」
となぜか照れていた
「そう言うことにしておきますよ」
「なんでニヤニヤしてるんですか!//」
「正直に言っていいんですか?」
「っ~~!//最初はいい人だと思ったのに...」
「人を見る目がないんじゃないですか?」
そんなくだらない話をしばらくしていたが
「エリス様」
「なんですか?というより私はエリスではなくクリスだよ」
今まで反応していたくせに急いで口調を治していうクリス
「とりあえず困ってることない?」
「・・・それ皮肉?」
軽くにらんでくるがそういう意味では断じてない
「そうじゃないです。今回のことで多大な迷惑かけたじゃないですか、だから恩返ししたいなーと思ってさ。それじゃなくてもどこぞかのダメな先輩のせいで貧乏くじ引いてるんじゃないかと」
「・・・」
図星なのか押し黙るクリス、しばらく俺は夜空を見ながら歩いていたが不意にクリスの足が止まる
「ふぅ...もう面倒なので正体を明かしますが私はエリスです、今回のことはまぁアクア先輩のこともありますが、志貴さんが決めて私が送り出したんですから責任を感じることは「いや、責任は感じてますけど力になりたいってのはそれとはまた別ですよ?」
俺がそんなこと言ったのは意外だったのか目を丸くするエリス様
「いやだって当たり前でしょ?さっきも言った通りなんだかんだでエリス様、貧乏くじ引かされそうですし。それにあなたも俺の過去を聞いてそれでも俺をちゃんと見てくれていますから、そう言う人の力になりたいって思うのは当たり前でしょう?」
「・・・それなら仕事を増やさないで欲しいです//」
そう言うとなぜかそっぽを向いてしまうエリス様、それも少しの時間だけで何かを決心したように話しかけてくる
「なら私に協力してくれませんか」
「なににですか?」
「神器集めです」
「いいですよ?」
「危険なこともありますが...って、え?いいんですか?」
あっさり決まりすぎたことが意外なのか聞き返してくるエリス様
「いいですよ?」
「危険なこともあるんですよ?」
「そんなの百も承知ですよ」
「貴族の家に侵入したり「あー、いいですって。危険なのは百も承知ですしそういうのもあるんだろうなとは思ってますから、それであなたの助けになれるならいいですよ」
「っ~~~!!///あ、あとで、じゃなくて...そう盗みに入るときに手紙届けるから、じゃあね!!///」
そう言ってとっとと行ってしまうエリス様
「な、なんだったんだ」
俺は一人呆然としていた
アクアに朝たたき起こされてギルドに向かうと、騎士二人を従えた女性がいた
「冒険者サトウカズマおよび、ビャクヤシキ、二人には現在国家転覆罪の容疑が掛けられている自分とともに来てもらおうか」
「「はぁ?」」
俺と和真は声をそろえて言う、もちろんそんなことをした覚えがないからだ
「貴様らが破壊したコロナタイトだが元は大領主アルダープ様の物、それを壊したともなれば相応の罪だ」
「それは!」
俺は他の奴らが何か言おうとするのを手で制す
「わかりましたついて行けばいいんですね」
「殊勝な心掛けだなビャクヤシキ」
「おい志貴!」
「和真、正当性は俺らの方がある。なら無実を証明した方が早い」
「それはそうかもしれないが」
「ですがわざわざ捕まりに行くのは」
「そうですよシキさん!」
他の奴はそう言うが
「ここで下手に抵抗してみろ、そっちの方が面倒臭くなる」
その言葉で他の奴らは黙るのだが
「かーずーまーさーんー!!犯罪者じゃ魔王討伐なんて無理じゃないですか!!どうすんのよー!!」
一人だけ空気の読めないやつがいた
というわけで一期は終了です!ゆんゆんメンタル強くなりすぎだろとかクリスちょろすぎとかそんなのは気にしないでください。とりあえず次からは二期の内容になります楽しみにしていてください