~~カガリ~
琥太郎に会うことを決意し、エサカの船で地球へと向かっている途中・・・私達を乗せた船は2体の怪獣に付きまとわれてしまった、おそらくこの2体はサイキの操る怪獣たちなはず。
「駄目。振り切れない」
「待ってください。何か様子がおかしいです」
私は何か2体の様子がおかしいことに気づく。
『そう。怯えなくてもよいのですよ。女王陛下を護衛してさしあげているだけなのです』
サイキの声が聞こえた。
『命の樹が芽吹いた新たな星まで安全にね』
つまり地球まで付いてくるということですか。そう思っていると地球から光がこちらへと飛んできていることに気づいた。あれはウルトラマンオーブ・・・ガイだ。
「ソォァ!?」
オーブに気づくなり2体の怪獣は攻撃を仕掛ける。2体が放った火球を避けたオーブは船の上の方へと飛び上がった。
「やはり女王様・・。何故地球へ・・・」
やはり私がここに来たことを気にしているようですね。
「オォォォ・・・シャァッ!」
右腕に光を集めて怪獣の1体を殴り飛ばしたオーブはすぐさまもう1体に飛びかかる。
「ダァッ!オォォォ・・セイッ!」
オーブの打撃に怯んだ鳥の怪獣は少し離れて火球を数発放ってくると・・・その1発がこちらへと向かってきた。
「ッ!!」
私達は避けられないと思うと、オーブはバリアでその攻撃から私達を守ってくれました。
~~サイキ~
「彼とも一度じっくりと話した方が良さそうだな」
女王を乗せた船とともに地球へと飛んでいく光の戦士を観ながらそうぼやく。
『ならお茶会の準備をしておかないとね』
光の戦士は6体のベゼルブに取り囲まれると、すぐさま船との距離を取る。こちらとしても女王に何かあったら困るので、そうしてくれるのはありがたい。
「ダァッ!」
ベゼルブ達が光の戦士の後を追うと光の戦士は急停止でベゼルブ達の背後を取り全身に青い輝きを纏った。
「ウゥゥゥゥ・・・シュァ!!」
光の戦士は身体を回転させて青い光の渦を巻き起こすと、その光の渦に巻き込まれたベゼルブ達が爆発しまたも命を落とした。
「・・・すまない。君達の命は決して無駄にはしない」
私はまたも光の戦士に倒されたベゼルブ達に謝りながらも地球を見つめた。
~~小鳥~
「ねぇ、本当に女王様なんて来るの?」
空で爆発が見えた後、私は琥太郎君にそう訪ねた。正直な気持ち・・・琥太郎君はきっとその女王様を選んでしまうから来ないで欲しい。
「あぁ・・・来たぞ」
「えっ・・?」
琥太郎君が笑顔で見上げた空に視線を向けると、ステルスで着地の寸前まで見えなくなっていた飛行船が少し先の広い場所に着地しようとしているのが見えた。
「っ!!」
「ちょ、琥太郎君!」
飛行船が見えるなり駆け出した琥太郎君の後を追うと・・・ちょうど飛行船が着陸してハッチが開こうとしているタイミングだった。
「カガリ!!」
「琥太郎!」
ハッチが開かれるとそこからは白いドレスを着た私より小柄な娘が駆け出してきた。あの娘が琥太郎君の言っていた女王様・・。
「「・・・ッ!!」」
2人は出会うなり互いの手を握って抱きしめる。私は・・・いや、あの2人以外のこの場にいる全員がそれに唖然としているとガイさんが戻って来た。
「女王様!何故この地球に来たのですか!命の樹にはもう近づかないと決めたはずです!」
やっぱりというかなんというか・・・怒ってるね。
「っ・・・」
「あれ?泣いてる?」
何故か琥太郎君と女王様は2人して涙を流していた。ガイさんに怒られたから・・・ではないよね。
「7万光年の出会いに感動して・・・じゃなさそうだね」
「感応し合ってるんだから言葉もなく分かり合えているんじゃないのか?」
黒いコートの人・・・えと、藤宮さんという高山さんの知り合いも学者という観点からそんな考察をする。
「・・・どうしたんだ2人共?やっと会えたってのに嬉しくないのか?」
怒っていたガイさんも流石に2人にそう声をかける。
「もちろん嬉しいです・・・っ」
「俺だって・・」
感動してるんじゃないならどうして2人は泣いているの?
「何を悲しんでいるんだカガリ・・・?」
「私も同じことを尋ねようとしていました」
互いに・・・悲しんでる?
「俺は悲しんでなんてないよ。ただカガリの悲しみを感じて・・・」
「私も悲しくなんてありません」
えと・・・互いに互いの悲しみを感じたと思って泣いていたけど、互いのじゃなかったってことなの。
「じゃあ誰の・・・」
「クイーンベゼルブってことはないか?」
ガイさんは2人にそう問いかけた。
~~ガイ~
「女王様はあの時、クイーンにクグツを打ち込まれた。だからあれは嘘で騙されたんだと思ってました」
クイーンは騙されていたんだと思っていたが・・・もし2人がクイーンとも感応していたとすると話は変わってくる。
「私もそう思っていました。でもクイーン自身は本当に私と話したかったのかもしれません」
「サイキとクイーンはこの2人のように対等に感応し合っているわけではないのかもしれないな」
藤宮さんはサイキとクイーンが対等ではないという考察をする。
「もしかしたらクイーンは操られているのかも」
「サイキに・・・か」
ありえない話ではない。現にあいつはベゼルブを経由して幾つもの怪獣を操っているからな。
「身も心もサイキに捉えられているとしたら・・・」
「まさかそんな・・・」
シズルがその可能性を否定すると、女王は彼女に詰め寄る。
「ではこの悲しみは何だというのです!・・・うっ・・」
「カガリ様、迂闊に判断するのは危険かと」
隊長は否定も肯定もせずに早急に判断するのは危険ということを伝えると、女王は頷く。
「えぇ、それは承知しています。ですがもし操られているとすればクイーンも被害者なのです」
クイーンも被害者・・・か。
「俺、確かめてきます。サイキのところに行って・・・」
「・・・サイキの居場所はおそらく月だろうね。周辺に巨大な熱量がある」
サイキと直接会って確かめることにした俺はオーブカリバーを取り出すと我夢さんはサイキが月にいるだろうと教えてくれた。
「行ってきます!」
俺はさっそくオーブへと変身して月へと向かうと・・・俺に気づいたベゼルブ達とすぐに戦闘になってしまった。
「オォォォ・・セイッ!」
『ようこそ光の戦士よ!随分と張り切っているねぇ。実に勇ましい』
サイキの声が聞こえてくる。俺はそちらに意識を向けてしまったせいでベゼルブ達のエネルギー弾が直撃してしまい、その場に倒れてしまう。
『君は自分の正しさをこれっぽっちも疑っていないんだね』
自分の正義を疑う?俺はそれ自体に疑問を抱きながらも立ち上がりベゼルブ達に再び挑んでいく。
『本当に立派だよ。・・・ところで1つ教えてくれないか。君達は知恵を得たことで何を成し遂げたんだい?単により多くのものを破壊できるようになった。それだけなんじゃないのかい?君達は自由な心が愛を生むのだと言うが、君達はその愛すらも取引の材料に使う。愛するもののために戦えとね』
「・・・シュァ!!」
俺はサイキの話を聞きながらもベゼルブ達へと光線を放つ。ただの光線では倒しきれない数なので、光線の最中に両手を広げて拡散させて広い範囲のベゼルブを一気に片付けるとサイキのいる船に視線を向けた。
『愛ゆえに殺し合いが始まる。君達が守ろうとする宇宙はそういう宇宙だ。根本から変えたくはないか?』
「・・・・・」
争いのない平和な世界。そんな理想的な世界をサイキは実現できるのか?そんな疑問を抱きながらも俺は変身を解いて船の中へと入る。
「ようこそ。光の戦士」
メインルームへと足を運ぶと映像ではない本物のサイキがそこにはいた。
「私を殺すにしろ捕まえるにしろ、まずは茶飲み話ぐらい付き合ってくださいよ」
「・・・俺が聞きたいのは1つだけだ。Drサイキ、アンタがクイーンの意思を奪って操っているのか?」
「私がクイーンを操っている?侵害だなぁ。私とクイーンの価値観は1つ、理想の世界を作るために・・・誰も争う事のない世界を作る。それが私達の理想だ。誰かが富を独占したり、愛だけに満たされて誰も愛に飢えることのない世界。私達はそんな世界を与えてあげられる!」
愛で満たされた世界・・・クグツで意思を奪ってる奴から出る言葉とは思えないな。
「その代わりに自由意志を奪うのか?」
「大いなる意思のために自由意志はいらない!」
「誰かが独裁的に支配するなんてデストピアだ!」
俺は独裁的な世界にさせまいとサイキに詰め寄る。
「その通り!」
『マイフレンドもボクもそんな世界は望んでいないよ!』
「っ!?」
サイキもあのロボットもそれを望んでいないだと?それを疑問に抱いた瞬間・・・いきなり圧力がかかってきて俺は身動きが出来なくなった。
「もし独裁者の目的が支配を目指すものだったのなら・・・そして自由意志を押さえつけて人を無理やり従わせるのならデストピアが生まれるだろう。だが私の目的は平和な世界だ。そして自由意志も押さえつけたりはしない。そもそも自由意志を無くしてもらうのだから自由意志を押さえつける必要もない」
自由意思を無くすだと・・・。
「そんな世界はいらない!!」
オーブカリバーを取り出した俺はオーブに変身しようとするも・・・カリバーから光が解放できなかった。
「何・・・?」
『君は膨大な光のエネルギーを解放してとんでもないことをしようとしてるよね。だから遮閉フィールドを張らせてもらったんだ』
オーブになって強引に出ようと思ったが・・・このフィールド自体がそれをさせないためのものってことか。
「私とクイーンが目指す世界に変化も成長もない。永遠の停滞だ。その代わり平和な世界が永遠に続くんだよ。その何が悪いんだい?」
「自由意志を奪う世界の何処が平和だ!!」
「そんな風に感情的感覚的になることが正義なら知性はいらない。自分が正しいから相手は悪だと思うのなら知性など必要ない!暴力で自分の正しさを押し付ける世界に知性など必要なのか?」
「お前は間違っている!!」
「何が間違ってるというのかね!君はウルトラマンだろ!!光の戦士なんだろ!?私も光で宇宙を照らそうとしているんだよ!」
光・・・宇宙を照らすだと・・・?
「争いも悲しみもない・・・曇りも闇もない光だけの世界を・・・」
「そんな世界ッ!つまんねぇって言ってんだろぉぉぉぉ!!」
上から声が聞こえてきたかと思うと・・・魔人姿のジャグラーが刀を手にしながら降りてきた。そして人の姿に戻りつつその刃をサイキの首筋にあてる。
「相変わらず野蛮な登場ですが歓迎しますよ。それにしても・・・こんな野蛮な解決法しかないとは」
「フンッ!」
ジャグラーは刀を振り下ろしてサイキを頭から斬るも、斬れていなかった。今まで話していたのも本人じゃなくて立体映像だったのか。
「暴力でしか解決できないというのなら仕方ない」
サイキがそう言った途端、警告音が鳴り響いた。
「エサカ君が置いていった爆弾で君達はふきとばされる」
『爆発まであと10秒!』
「ッ!」
2人はそう言い残して立体映像が消えてしまう。するとジャグラーは俺を包み込むフィールドに刃を振り下ろした。
「ぐっ!?」
しかしそのフィールドはジャグラーを弾き飛ばしてしまった。
「ジャグラー!俺に構わず逃げろ!」
「うるさい!黙ってろ!!」
俺に黙れと言いつつジャグラーは再び刀を振り下ろす。
「ハァァァァッ!!」
ジャグラーは更に刃に力を入れつつ再び魔人へと姿を変える。するとフィールドにヒビができた。
「ガイ!!」
「ッ!あぁ!!」
俺はそのヒビにオーブカリバーを突き刺して光を解放する。変身の際に生じるエネルギーでフィールドを破壊したのはいいものの、結果的にフィールドの作用で変身自体はできていなかった。
「脱出するぞ!掴まれ!」
「あぁ!」
俺はジャグラーに掴まると、ジャグラーはすぐさま船から飛び出して地球へと降下する。その背後には船の爆発の衝撃が伝わってくる。やっぱり爆弾というのは冗談じゃなかったか。
「はぁ・・・はぁ・・お前に助けられるのはこれで何度目だ?」
無事に地上へと着陸できた俺は人の姿に戻ったジャグラーにそう話しかける。
「さぁな・・。今更数え切れるか・・」
「ガイさん!」
ジャグラーが立ち去ろうとすると、俺が戻って来たことに気づいた女王様たちがこちらへと走って来た。
「女王様、ストップ!」
シズクはジャグラーに気づくなり女王を静止させる。やっぱり命の樹を斬ったことで敵と認定されてるのか・・。
「・・・・ッ」
いや、敵と判断すればいいのかまだ迷っているようなカンジだな。
「・・・・」
ジャグラーはシズクの横を無言で去っていくと我夢さんが俺の肩を叩いてくる。
「やっぱり繋がっていたじゃないか」
「無事で何よりだ」
「ご心配おかけしました」
俺は我夢さんと藤宮さんに軽く頭を下げると女王へと近寄る。
「ガイさん。クイーンは・・・?」
「月にはいませんでした」
「じゃあいったい何処に・・・」
我夢さんはデバイスで周囲の星々に探りを入れるも・・・クイーンは発見できなかったようだ。
「一刻も早くクイーンを解放してあげたいです」
「俺も同じ気持ちです」
「ねぇあれ見て!樹が光ってる!」
小鳥が指さす樹に視線を向けると、樹に咲いた花が蒼く輝いていた。
~~琥太郎~
『巨大な謎の樹の続報です!先ほど防衛隊が封鎖地域に出動しました。政府は甚大な被害をもたらしたあの樹は巨大な怪物の出現にも関係していると判断し、樹の破壊を決定しました。発表によりますと爆弾は樹の根元北東方面に仕掛けるとのことで・・・』
「命の樹が宇宙全体にとってどれほど大切なものか・・・」
「人間すべてにそれを理解しろと言っても無理な話だ」
高山さんと藤宮さんは中継を観るなりそう言った。
「野蛮な争いしかできないのなら知性なんていらない。サイキはそう言っていました」
知性がいらない。・・・それがサイキの考え方か。
「「ッ!!」」
俺は、いや俺とカガリは何かが近づいてくるのを感じ取った。このざわついた感覚、間違いない。
「ベゼルブが来ます!」
ベゼルブがやってくることを伝えると少し先の方で銃声が鳴り響いた。どうやら自衛隊との交戦が始まってしまったようだ。
「あれは・・・」
大きいのも10メートルぐらいなのも・・・次々とベゼルブ達が集まってくる。しかもベゼルブ達は命の樹の周りに集まっていた。
「何あれ・・・樹を守ってるの?」
小鳥の言う通り、まるでベゼルブ達は樹を守っているように見える。すると鈍い爆撃音が鳴り響くとともに空を飛んでいるベゼルブ達が次々と落下し始めた。自衛隊の戦車による攻撃だ。
『たった今、自衛隊による謎の生物への攻撃が開始されました。このまま事態は終息へと向かうのでしょうか?』
集束だと?このままじゃそれどころか事態は悪化しちまうってのに・・・。
~~サイキ~
「ごめんね。・・・痛いよね。私を責めてくれても構わない」
私は次々とこの星の人間による攻撃で力尽きて命を落としていくベゼルブ達に涙を流す。
「これは新たな世界を作るための尊い犠牲なんだ」
我ながら犠牲という言葉を使うのはおかしいと思う。だが恨むのなら私を恨んで欲しいので、この言葉を選ぼう。
「むっ・・あれは・・何故君が・・・っ?!」
私は更に飛んできたベゼルブ達に紛れてやってきた相手に驚きを隠せなかった。
~~ガイ~
「何故反撃しないんだ?」
この星の人間達の兵器で次々とベゼルブ達が撃ち落され、その命が消えていく。それでもベゼルブ達は樹を守ることのみで反撃しようとはまるでしていなかった。
「やはりクイーンは・・・」
「隊長、これは・・・?」
シズクは船で待機している隊長に連絡をとる。
『おそらくサイキは命の樹が実を成すまでの時間稼ぎをしようとしているのだろう。奴は・・・サイキは何処だッ』
隊長はサイキの潜む場所を探し出そうとしていると・・・空から新たなベゼルブが飛んできた。
「あれは・・・クイーンっ!?」
その中にはクイーンの姿もあり、ベゼルブ達の中心に降り立つと、攻撃を受けるベゼルブを庇うように前に出た。
「えっ・・・」
俺達はそれに驚きの声をあげてしまう。まさかクイーンがベゼルブを庇うようなことをするだなんて・・・。
~~サイキ~
『この悲しい声を聞けば女神も現れるしかなくなるよ。流石だねマイフレンド』
パーテルは私のことを流石とほめてくるも・・・私は首を横に振った。
「いいや、私はクイーンにそんな指示などしていない」
『えっ?じゃあこれは全部クイーンの意思ってこと?』
信じられない気持ちは分かる。だが本当に私はクイーンにそのような指示をしてないのだ。
「きっと私の計画をフォローしてくれているんだ」
不甲斐ない私のために・・・ありがとう。そして済まない。命の樹に実が宿るまでの間、もうしばらく耐えてくれ。
~~ガイ~
「クイーンが何かを訴えている・・っ」
女王はそう呟くと前へと出る。
「分かるのですか?」
「この姿でははっきりとは・・・でも私に何かを伝えようとしている。戦神になればきっと・・・」
このままじゃ女王がまた戦神になってしまう。それはさせちゃいけない。だがこのままじゃベゼルブ達とともにクイーンまで・・・
「ッ!!」
俺が行くしかない。そう決意を固めた俺はオーブカリバーを手に握りながら空へと飛び上がった。
~~琥太郎~
「待ってくれ!!」
青い光に包まれながら空に飛び上がったガイさんはクイーンが砲撃を受けてしまう瞬間、バリアでそれを防いだ。
「この怪獣たちをよく見ろ!!抵抗も反抗もしていないだろうが!!攻撃をやめてくれ!!」
ガイさんはベゼルブ達に攻撃する自衛隊たちに・・・中継されてこの映像を観ているであろう人々に訴える。
「理解できない気持ちも分かる。だけど一方的に攻撃するだけじゃ何も解決しないだろ!!あんた等だって分かってるんじゃないのか!!」
人は自分達と異なるものに畏怖の感情を抱いてしまう。だから自衛隊は・・・いや、この地球だけじゃなく惑星カノンの人達もベゼルブたちを敵視していたんだ。
「だから考えてくれ!!」
~~サイキ~
「だから考えてくれ!!」
「ガイ君・・。まさか君が・・・」
光の戦士・・・ガイ君がクイーンを守るために人々へと訴えかける。これは本当に想定外過ぎた。まさか君が愛しい友人を苦しみから救ってくれるとは・・・。
「っ!」
しかしガイ君の訴えも虚しくこの星の人間達はベゼルブ達への攻撃を再開してしまう。
「やめてくれぇぇぇぇぇっ!!」
ガイ君は必死になって飛んでくる砲撃を斬り落としてくれるも・・・彼1人では休むことなく放たれ続ける砲撃の雨を防ぎきることができずにクイーンに当たってしまう。
「このままでは・・・」
「見つけたぞサイキ・・」
このままではクイーンだけでなく彼女を守ってくれているガイ君も危ないと心配していると、この場所を突き止めたエサカ君がここへとやってきた。
~~琥太郎~
『サイキの居場所を突き止めた。これより乗り込む』
「隊長!1人では・・・」
サイキの潜伏先を突き止めたらしいエサカ隊長は単身で乗り込むという連絡をシズクへと入れてきた。当然シズクは1人では危ないと言い返そうとするも通信が切られてしまったようだ。
「サイキはいったいどこに・・・」
「たぶんあそこだろうな」
藤宮さんは砲撃が飛び交う中、バリアのようなもので守られているビルを指さす。
「あんなところにいたのか・・」
「どうする藤宮・・。藤宮?」
高山さんは藤宮さんの意見を聞こうとするも・・・いつの間にかこの場から藤宮さんの姿は消えていた。
~~サイキ~
「これ以上犠牲を出すなサイキ」
エサカ君は刀を構えながらこちらへと近づいてくる。
「殺し合いを続ける宇宙のため、邪魔はしないでもらおう」
「タァァァァっ!!」
邪魔をするなと警告すると、エサカ君は刀を振り下ろしてくる。しかしその刃は私が展開したバリアによって遮られた。
「くっ・・・」
バリアに弾かれたエサカ君が後ろに倒れそうになると見知らぬ黒いコートの男が彼を受け止めた。
『誰?』
「Drサイキ。知的生命体はガン細胞のように宇宙を蝕む。あんたの考えは正しいよ」
その男は私の考えを『正しい』と言ってくれた。
「ついに賛同者が現れてくれたよパーテル!」
『やったねマイフレンド!』
「・・・あんたは昔の俺に似ている」
昔の・・・?
「人間に対して絶望しか持っていなかった俺にな。だが人間は変われる。俺は多くの出会いの中からそれを学んだ。あんたは正しいが・・・同時に間違いでもある」
正しいのに間違いだと・・・。
「せっかく賛同者だと思ったのに残念ながら違ったようだね」
次回「悪魔」