毎日が日曜日の朝に   作:まさきたま(サンキューカッス)

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────────今回も日常回です。シリアス回は当面有りません。


第六話「公園の砂場にはご用心」

─────今日は訓練日モジャよ!頼徒、今どこで何してるモジャか!?

─────すまん、うっかりスッパリさっぱりと忘れていたぜ!許せお手玉!

─────お馬鹿!早く来るモジャ、お前が1番の新人の癖に!

─────分かった分かった。直ぐ行くってば。

 

 

 

 放課後、ダラダラと教室で駄弁っていたオレは突如立ち上がった。真壁がポカンとそんなオレを見つめている。

 念話は遠いと聞こえにくくなるため、立ち上がったり場所を窓際に移ったりすれば会話が聞き取りやすくなる。電波が悪いケータイみたいなモノである。

 

 普段のこの曜日はバイトへ直行するんだが、昨日からはバイトへ行かなくても良くなったのだ。と言うか、いけなくなったと言える。

 

 

 

 臨時休業。というか、業務停止命令。

 

 

 

 昨日の放課後にいきなりバイト先のチーフから電話があり、そこで告げられた内容は、暫くオレの収入源が無くなってしまうと言う話だった。

 

 聞くと、オレのバイト先でノロウイルスがパンデミックしたようで、普段テンション低い中年の店長のケツの穴が超エキサイティング! したらしい。

また従業員のケツにも複数エキサイティング! が出たので急遽しばらく営業停止を保健所から言い渡されたそうだ。

 オレもエキサイティング! したらすぐ連絡しないといけないらしい。

 

 幸いにも、オレのケツは平常運転(クール)だった。

 

 ただ放課後の予定がポッカリ空いてしまい、今日からどうしようかと真壁に愚痴っていた。そしたら、真壁から再度映画はどうか? と丁度誘われた所だった。映画ってのは、例の仮面ライダーの新作である。

 

 そんな所へ何とも間の悪い念話が来たモノだ。

 

 今から新しいバイト先を探さないと金がヤバイかな? いやでも1日くらいなら遊んでも良いよな?とか若干乗り気になっていたと言うのに。

 

 

 いやーうっかりしていた、今日確かにサチちゃんやナツメと訓練する約束が有ったんだ。昨日そう言う約束の念話をしていたわ。

 

 申し訳ないが真壁の誘いも、断らなくちゃな。平和の為だ、仕方が無い。

 

 

 

 

「・・・と、真壁すまん。急に、今日は用事があるぞと頭の中に直接語りかけてくる未確認生命体が現れた。やっぱり映画無理だわ。」

「え、何その超次元的な言い訳。ねぇ照東君、そんなに嫌なの? 私と映画、そんなに苦痛なの?」

「そんな訳無いだろ真壁。でもさ、残念だけど世界の為に仕方の無いことなんだ。それじゃあな真壁。」

「待ってよ! 私に気に入らない事があるならハッキリ言ってよ! 照東君、照東君ってばぁ!!」

 

 

 

 ナツメ達との集合時間を既にオーバーしてしまっていた。真壁の話を一旦切って、オレは走り出す。

 

 いやぁ、にしても真壁には悪いことをした。

 この前怪人が現れて映画をドタキャンしてしまったと言うのに、またドタキャンみたいになってしまった。さっきまで完全に行く感じの空気出してたしなオレ。

 

 ・・・にしても真壁の奴、なんであんなに取り乱してたんだろう。別に真壁が気に入らないなんて思ったこと無いがなぁ。凹んでたみたいだし、明日お小遣いでなんか買って機嫌取るか。

 

 オレは真壁の為にお小遣い程度、ATMでお金を下ろしてから待ち合わせの公園へと向かうのであった。

 

 

 

 

 そしてオレが公園の入り口近くに着くと、ツインテールをパタパタ揺らしながらこっちに走ってくる女の子が目に入った。サチちゃんだ。ひょっとしてわざわざ入り口で待っててくれたのだろうか。

 

「お兄ちゃん遅いです! サチ待ちくたびれました!」

「ゴメンね、お兄ちゃんうっかりスッパリさっぱりと忘れていたんだ。」

「もう忘れちゃ嫌ですよ!」

 

 ぷんぷん。

 

 そう口に出して頬を膨らませるサチちゃん。可愛いなぁ。ちょい前の真帆を思い出すなぁ。

 

 少し前まで真帆は怒ると口をぷくーっと膨らませる癖があった。膨らんだ頬を突いてやると、ぷーっと息を吹き出してクスクス笑い出し、やがて機嫌が直る。本当に可愛いかったなぁ。最近は子供っぽいからとやらなくなっちゃったけと。

 

「あ、そうだ! お兄ちゃんに見せたいモノがあるですよ! サチ、頑張ったです。」

「ん? 何かなサチちゃん。」

「こっちです!」

 

 そう言って、サチちゃんは手をぶんぶんと回しながら砂場目がけてトコトコと駆けていく。見せたいモノ、ね。暇だったから砂でお城でも作ったのだろう。

 

「お兄ちゃん! 来て下さい、凄いです!!」

「ほー、何があるんだろう。なぁサチちゃん、一体どんなモノ作ったんだ?」

「アレです!」

 

 そう言って、屈託のない満面の笑顔のサチちゃんが指差す方向には、

 

 

 

 

 

 

 筋肉モリモリのオッサンが上半身だけ残して綺麗に砂場に埋まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・目をそらし、ゴシゴシと手で擦る。よし、もう一度見てみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 真顔の、地面から上半身だけ生やしたそのオッサンが、こっちに気付いて無表情な顔でオレを見つめていた。

 

 

「私、頑張ってあの気持ち悪いマッチョを、見事落とし穴で捕らえられたです!」

「ウワァァァァ!! なんて言うか、ウワァァァァアアア!!!」

 

 心臓が止まるかと思ったわ!! 何であのオッサンこっち見てるの? サチちゃんは何をしているの!?

 

「ねぇ貴方、その娘の保護者さんなのかしら?」

 

 地面から生えたオッサンは無表情のまま語りかけてきた。何だろう、何で埋まったままなんだろうこの人。この状況めっちゃめちゃ怖いんだけと。

 

 さてはサチちゃんの遊びに付き合ってくれてる心優しい人なのかなぁ(願望)。

 

 

「その、言いにくいのだけれどね。悪戯にしても少しやり過ぎだと思うのよ、これは。落とし穴の底に仕掛けられた縄? みたいなのが落ちた瞬間に足とか腰とかに複雑に絡まっちゃって、この態勢のままもう1時間も動けないのよ・・・。」

「ひぃぃ! ごめんなさい!! なんか、オレ、保護者とかじゃなく知り合いなんスけど、ほんとごめんなさい!」

 

 なんてこったい、マジでこの(マッチョ)捕らえられてたよ!!

 

 地上からは見えないけど、落とし穴の中に縄仕掛けるってどれだけ高度な技なんだ!? 落ちた瞬間絡まって行動不能って、戦場だと即死(デス)トラップだぞ!?

 

 

「こ、こ、コラァ!! やって良いことと悪いことがあるんだぞサチちゃん! すみません、大丈夫ですか? 今助けますので!」

 

 直接関係ないとは言え、一応サチちゃんは友達の妹だし大事な戦友でもある。そんなこんなで微妙に罪悪感が沸いたオレは、慌てて地面から生えたマッチョへと歩み寄った。

 

 が、

 

「待って、まだ引き抜かないで欲しいの。」

「ど、どうしてでしょう?」

 

 そんなオレの献身的な行動にマッチョさんはふるふると首を振り、手でオレを制止する。何やら言いたいことがあるらしい。

 

「それは、私がお昼を食べ終わって、腹ごなしに散歩していた時の話から始まるわ」

 

 そしていきなり回想を始めた。何を言い出すんだこのマッチョ?

 

「その時に食後のコーヒーが利いてきたのかしら、小さな方を催してしまったの。」

「は、はあ。」

「トイレを求めて疾走する私は、砂場でしゃがみ込む女の子を見つけたわ。泣いているのかナー? と、気になって、砂場へ一歩足を踏み出したの。そしたらこのザマよ。」

「な、成る程?」

「砂場ってね、表面は熱々だけど土の中は案外冷えてるのよ。冷え冷えなのよ。」

「・・・つまり?」

 

 

「引き抜く前に、その、お金を払いますので下着を買ってきて欲しいのよん・・・。」

「サチちゃんの罪がいよいよ重くなってきたぜ!」

 

 物凄い状況だったよこの人!この前のオレが可愛く思えるレベルの屈辱を味わってるよ!!

 

 

「その、分かりました、ええ。すぐに行って帰ってきますね・・・?」

「ごめんなさいねぇ。」

「い、いえ・・・。何というか、ご愁傷様でした?」

「あれー?今さっき来たばっかりなのに、お兄ちゃんどこ行きますか?私と遊んでくれないんですか?」

「サチちゃーん、ちょっと後でお仕置きだからねー。」

 

 一刻も早くこの人を救わねば。魔法少女とはいえ、一応はヒーローを名乗る存在として。・・・いや、普通に人としてだな。ヒーローじゃなくても手を差し伸べるのが普通だろう。

 

「あ、やっときたか。何やってたんだよ兄ちゃん。」

「お、居たのかナツメ。」

 

 オレはすぐ近いコンビニへ向かうべく振り返ると、ショートカットのカラフルな少女が目に入った。カチューシャでまとめた髪と、何時もより少し洒落た格好をしていたせいで遠目には分からなかったが、どうやらナツメもとっくに公園に着いていたようだ。

 

「てかさっきからさ、この人ずっと埋まってるけどなんかの遊びか?」

「いや、これはサチちゃんがだな・・・。」

 

 どうやら、まだこのマッチョさんの凄まじい事情を理解していないナツメに、この場で起きてしまった恐ろしい悲劇を説明しようとオレが口を開いた所で、

 

「どわぁぁぁぁ!!」

 

 ナツメが目の前で滑り落ちた。

 

 

 

 

「あっ! ナツメお姉ちゃんだ! 気付かなかったです! 何処に居たですか?」

「サチィィィ!! また悪戯しやがったなテメェ! 何だコレェ!?」

 

 サチちゃんが掘った落とし穴は1つでは無かったようだ。

 

 何と言うことでしょう。

 

 砂場に無表情で生えてるオカマの後ろに、新たにナツメが植えられたではありませんか。この砂場怖すぎるわ!!

 

 

 

「サチィ! この前私が悪戯しちゃ駄目って散々言っただろ!?」

「でもでも、子供は悪戯して良いけど、子供には悪戯しちゃダメって教わったです!」

「誰だそんなこと言った馬鹿は!!」

「うわあい。それって確か、この前俺が捕まった時にお巡りさんが言ってたヤツだ!」

 

 ソレはオレに向けていった言葉で、サチちゃんへ向けてのモノじゃ無いんだよ!?

 

 

「この、こなくそ! 出せ!」

 

 ナツメはモガモガと穴の中でもがいていた。やはりこの落とし穴にも、絡まって逃げられないように縄が仕掛けられているらしい。

 

 と言うか落ちたその時にこんなに綺麗に絡まるものだろうか?何と言う無駄な技術。

 

「どなたか知らないけど、この落とし穴の中で暴れちゃ駄目よ! 落ち着きなさい!」

「おい、ナツメ! 落ち着け、オレが引っ張りだしてやるから。」

「出せっ! 出せえー!」

 

 ナツメは軽くパニクってる様で、落ち着く気配がない。今砂場に入るのは危険(落とし穴的な意味で)なので、外から引き上げるにはこっちに手を伸ばして貰わないといけないのだが・・・。落ち着くまで少し待とうか。

 

 そんな危機感の無いことを考えていたオレは、即座に甘かったことを思い知らされる。

 

 そう、この時オレは、まだまだサチちゃんの仕掛けた落とし穴のえげつなさを理解しきっていなかったのだった。

 

「出せってば! んっ・・・? んああ!?」

 

 もがいていたナツメが突然、嬌声を上げてクネクネと身をよがらせる。

 

 何だ? 何が起こったんだ?

 

 

「遅かったわぁ。この縄、抜けようともがいたら、いやらしい所を・・・その、刺激するように配置されてるのよねぇ。私も危なかったわぁん。」

「エロ同人か!!」

 

 なんつータチの悪い仕掛けを施しやがったんだこのドS幼女!

 

「やっ、やだ! なんかゾワッて・・・ひゃっ!! どんどん体がアツくっ・・・」

「止まれナツメェェェ!! お前は法規制に引っ掛かるから!! 頼むからそれ以上動くんじゃない!」

 

 今、アレな感じになってるナツメを両手を伸ばして掴まんとしているオレは、裁判省略で有罪判決を受けるだろう絵面だ。恐らくは執行猶予も付かない。

 

 そう、今警察に踏み込まれたらオレは良くて前科持ち、悪ければロリコンとホモの奇跡の融合体(ド変態)として一生後ろ指を指されながら生きねばならない。

 

「サチちゃぁん!? ナツメがこの穴から抜け出すにはどうしたら良いのかなぁ!?」

「ナツメお姉ちゃんが私に泣いて許しを乞えば出してあげます!」

「真壁ぇえ!! お前んちどんな教育してんだぁあ!!」

 

 駄目だ、サチちゃんは純粋な悪魔だ。小悪魔とかじゃなく既に一人前の悪魔だ。

 

「とりあえずオレがガッと引っ張るからな、手を伸ばせナツメ。」

「う・・・うん、兄ちゃん。」

 

 悪魔(サチ)は無視して、今は早くナツメを早く救出せねば。その後まだオッサンのパンツも買わねばならぬと言うのに。幼稚園児の悪戯の筈なのに被害が甚大過ぎてヤバイ。

 

「サチちゃんの説教は後として、多少強引に地面から引き抜くけど良いな、ナツメ?」

「ああ、頼むよ兄ちゃん。なんかすげぇ気持ち悪いんだこの縄! こう、ゾワゾワって・・・。」

「おう、思い出すのは止めておくんだ。じゃ引っ張るぞ、せーの!」

 

「ひゃぁん!?」

 

 うわっ! 重っ! つか硬っ!? 縄がよっぽどキツいのだろうか。だが所詮は縄、地面から引き抜けば良いことだ。

 

「兄ちゃん、ストップ!やっぱ引っ張るのやめ───」

「まーけーるーかー!!」

「引っ張るの止めてひゃぁぁぁぁあ!!!」

 

 

 オレは力任せにナツメを引っ張り上げる。が、縄が地面から引き抜かれる気配が無く、ナツメを掘り出せる気配も無い。どれだけ渾身の力を加えてみても、ナツメが声にならない悲鳴を上げるだけだ。

 

「──────ッ!!!」

 

─────そして突然、彼女の体がビクンと大きく揺れた。

 

「ふあっ!・・・はっ、ん・・・。やだぁぁ・・・。」

 

 そして今、なんかナツメの目がトロンとなり、時折体を小刻みに震わせ、表情とか全体的に凄いエロい感じになってる。何だこれ。え、ちょ、何が起きたの?

 

 

「・・・なぁ、兄ちゃん。引っ張るの駄目だわ・・・。抜けないわ、これ。」

「み、みたいだな。すまん、ひょっとして痛かったか?」

「ううん。痛くなかった・・・。でも、あのさ・・・。」

 

 そう俯いて呟くナツメは、今まで見たこと無い程しおらしかった。と言うか、かなり犯罪的な印象を受けるヤバイヤバイ。

 

「その、私も新しいパンツ、欲しいな・・・。」

「うわあああああ!!!」

 

 オレとんでもない事しでかしちまってるぅぅう!!?

 

 

※作者注意

本作品はKENZENなコメディと思われます。当然、卑猥な状況やR18展開等はありません。ココは少々分かりにくいかもしれませんが、特に誘因無くナツメは急にパンツが欲しくなっただけです。

 

 

 

 

 

「サチちゃん! コラ!! 良いから2人を解放しなさい!」

「もう引っ張るのやめるですか? 引っ張られるととってもスゴイのに・・・。」

「本当にスゴかったよ畜生! 本当にお兄ちゃん怒ってるからな! 今からオレがパンツ買って戻ってくるまでに解放していること! いいね!?」

「ふぇぇ、お兄ちゃんは私を嫌いになりましたか・・・?」

「えっ・・・! ああ、こんな酷い事をしちゃうサチちゃんは嫌いだぞ! ちゃんと二人を解放しなさい!」

 

 

 思わず激高してしまった。怒鳴られたサチちゃんは涙目になっているが、ココは謝ったりせず厳しく注意しておこう。何せこのまま大人になったらとんでもない娘に成長してしまう。

 純粋なウチに、矯正しないとならないだろう。サチちゃんの為にも。

 

「お兄ちゃん、許してください・・・グスッ。すぐ縄ほどきますから・・・。」

「ああ、そうしなさい。あとは2人にちゃんと謝ること!良いね?」

「そしたら許してくれる? 遊んでくれます? お兄ちゃん、その、ほどくの私1人じゃ無理だから手伝って欲しいです・・・。」

「あー、はいはい。」

 

 所詮は幼稚園児か、強めに怒鳴るとビービー泣きだしてしまった。流石に少々罪悪感は出て来たが、それでもサチちゃんには怒って貰える大人が必要だろう。

 

「その、縄を解くにはそこを掘って欲しいです。」

「ああ、ここだな?」

 

 サチちゃんはしょんぼりと、ナツメの穴の近くを指差した。この落とし穴がどう言う仕掛けかは分からないが、とりあえず先に2人を解放してあげないといけない。そう考えてしまい、

 

 

 

 

 

「・・・ってどわぁ!!?」

 

 

 

 

 そう、迂闊にも。オレは悪魔(サチ)が指差された場所まで歩こうと素直に砂場に土足を踏み入れてしまったのだ。

 

 

 

─────そして、オレが誘導された位置にも、やはり落とし穴が仕掛けられていたのだ。

 

 

 

「・・・サチちゃん? おい、どう言うことだ。」

「引っ掛かりましたね! お兄ちゃんのバーカ! 怒りんぼ! 私はもー知らないです!!」

「ちょっ・・・待てサチちゃん!! って動けない!? 待ちなさい!! ねぇ待って!?」

 

 オレ幼稚園児に嵌められたぁぁぁ!? 何て奴だ、ナチュラルボーン悪魔だこの娘!今の嘘泣きかよぉ!?

 

「この怒りんぼ! ケチ! 醜い豚野郎!!」バシン!

「ちょっと!鞭なんか何処から出したんだ・・・アヒン! ちょ、叩くの止めアヒィ!」バシン!

 

 オレはどこからともなく取り出された鞭で、何時ぞやと同じように、サチちゃんに絶妙な力加減で腰を強く打ちすえられた。反動でビクッと体が大きく揺れる。

 

 すると。

 

「アッ───────」

 

 その瞬間に股間に縄が食い込んでアレな感じにグリグリされた。何これヤバイ。その刺激で更に体が動いてしまい────

 

 もうなんかヤバイ。

 

 

 

「止めっ許してっ! 目覚める! 今度こそ本当に目覚めるから!!」

「ああーん? 何ですかぁ!? 豚野郎は豚野郎らしくブヒブヒ鳴きやがれですぅ!」

「ちょ、やめ、アッーらめぇぇぇぇ!!!」 

 

 

 

 アッ──────────!?

 

 

 

 

※作者注意

本作品はKENZENである可能性も有ります。ここも何か性的な表現に誤解されてしまうかもしれませんが、あー、えっと、多分性的な表現では無いです。

 

 

 

 

 

────────────ふう。どうして戦争って無くならないんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・藤? 藤か?」

『どうした? お前から電話なんて珍しいな。』

「スマンが、オレを助けに来て欲しい。ほんと突然で悪いと思ってる、だが頼むよ。お前しか、いないんだ。」

『はぁ? いきなり何だ、何言ってるんだお前?』

「パしらせるみたいで悪いと思うんだがな、お前に買ってきて欲しいモノもあるんだ。どうしても必要なんだ、でとオレは動けないんだ! 頼むよ藤!!」

『・・・やれやれ。わあったわあった、特別に理由も聞かないでやるよ。で?何を買ってきて欲しいんだ?』

「それがだな・・・」

 

 

 

 

 

 

「オレ用のパンツと、筋肉モリモリな人用のパンツと、女子小学生用のパンツだ。」

『何がどうしたらそんなモノ必要になるんだぁぁぁ!!』

 

 

 

 

 

 カラスの声が公園の木々に木霊する夕方。

 

 オレと、ナツメと、オカマっぽいオッサンは誰もが遠巻きに俺達を無遠慮に眺める中、真顔で藤の到着を待つことになった。一体藤はどんな反応するだろうか。

 

 サチちゃんは1人帰った。絶対ゆるさん。真壁に今日のことは報告しておきたい。でも、色々恥ずかしくて報告出来ない。ここまで計算ずくならサチちゃんは悪魔を通り越して魔王を名乗って良いかもしれない。

 

「なぁ、兄ちゃん。」

「どうした、ナツメ。」

 

 おもむろにナツメから話し掛けられる。

 

「・・・なんか変な臭いするんだけど。イカ?みたいな。」

「おいナツメ、男って生き物はな。股間から何時でもイカの塩焼きを生み出せる生き物なんだ。覚えとけ。」

「男って凄い生き物なんだな。私も将来、イカの塩焼きを股間から生み出せるかな。」

「無理だろう。だがよ、ナツメはイカの塩焼きを貰う側だから心配要らねーな。」

「そっかー。」

「アナタ、小学生に変なこと教えちゃ駄目よぉ・・・。」

 

 これ、因みに全て真顔で話している。余りに異様な状況と言うか光景に恐れをなしたか、公園に来た人達は誰1人近付いてこない。通報すらされない。藤、頼む早く来てくれ。

 

 

 

 

 因みにパンツを3枚ほど持って間もなくやって来た藤は、俺達の惨状を見てすぐ真顔になった。

 

 更に埋まってたマッチョな人を見た時には、それはそれは哀しそうな顔に変化した。

 

 事情を理解してくれた藤がスコップでオレ達を掘り出し、無事に解放された時には辺りは暗くなっていた。ナツメを若干湿ったズボンを履いたまま家まで送った後、オレは我が家へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 

 

「昨日、突然帰って悪かったな真壁。ホラ、コレやるよ。」

「えっ?あ、ありがとう。・・・何で縄?」

「ソレなんだがな・・・なぁ、真壁。オレ、ドMに目覚めたかもしれん、どうしよう。」

「えっ?(歓喜)」

「ストップだ照東。落ち着け、昨日のことは忘れるんだ。だからそんな、自分を傷つけるような真似はよせ!」

「藤っ!! うわわぁぁぁん!!(男2人で抱き合う)」

「えぇ・・・(困惑)」

 

そんなやり取りが有ったとか無かったとか。

 




次回、一ヶ月以内。

社会人舐めてました。休む暇が全くないです。飯食う暇すら無いです。

今日の昼飯の時間は、



───────13分や(実話)

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