風邪?で喉が、花粉症?で鼻がやられて四苦八苦してます。。
『二次試験は、本日の正午から』という立て看板が見える横で
ぐるるるる……
ガオオオオ……
ガグゲゴゴ……
という、なんか聴くだけで、こちらの気が滅入ってくるようなBGM(信じがたいことに、腹の鳴る音らしい)を耳に入れながらキルアと入れ替わるようにして俺に近づいてきたヒソカと、そして針男ことギタラクルと挨拶を交わす。
「
「すまん。何を言っているのか、サッパリわからんのだが」
そう素直な感想を伝えるとギタラクルもといイルミは、どこから取り出したのか、数本の鋲を俺の顔、胸元に向かって僅かな殺気も漏らさずに投擲してきた。それを俺は難なく受け止める。
「危ないな。事実だろ?」
「へえ、あのヒソカと対等な関係を結んでるみたいだから見た目以上にデキるのかと思ってたけど、これはちょっと想定外」
「褒め言葉として受け取っておくよ、お兄ちゃん?」
「死ね!」
そういうと、また数本の鋲が投擲された。いや、本当に危ないから。しかも今度の狙いは
そんな控えめに言って命がけの漫才染みたやりとりを経て、改めてイルミからハンター試験中、特に衆目にある内は「自分のことをギタラクルと呼べ」と依頼された。なので、俺もヒソカに倣って「分かった。100万Jね」と笑顔で答えたのだが、そこにまた鋲を投擲される。もう、ちょっと考えたら冗談って分かるじゃねえか。ネタにマジレスするの禁止のはずだろ?
これが例えば俺じゃなくて他の誰か、例えばマチのような美少女からの依頼だったらイルミは聞いてくれたのだろうか? いや、ないない。
「なんか、また失礼なこと考えてない?」
「ソンナ、メッソウモナイ」
こんな俺とイルミの仲睦まじい(棒)な様子をヒソカは笑いを耐えながら見ており、「リールベルトって口癖が『いのちだいじに。』とか言う割には、こういうところで命知らずだよねえ♦」などと茶化し、それについて「まぁ、ネタでやってるし、死なない自信はあるからな。まぁ、あと
その様子にイルミは表情筋を全く動かすことなく(これはイルミが変装中じゃなかったとしても、違いなど分からなかっただろうが)、「なんか疲れるね」と零してから最後にもう一度「キルアに手を出したら殺す」とだけ告げて去って行った。誰が出すか、ばーか! と内心で中指を立てつつ悪態をつくと、また鋲が飛んできた。ホント、なんなのアイツ? エスパー?? もう、ネタにマジレスしてくる奴とか面倒くさすぎるだろ。
* * *
イルミとの命がけのコントを経て、気づけば正午となり、デブと美女による二次試験が執り行われることになった。登場したのは、デブがブハラ、美女がメンチという『知識』どおりのお2人。そして試験の進行方式も変わりなかった。なので、ブハラの行う一次審査について一通りの説明が終わったタイミングで口を挟む。
「豚の丸焼きって本気で取り組んだら6時間以上かかるみたいだけど、それでも良いんですか?」
「「「…………………」」」
静まり返る会場。やがて、その静けさは『ざわざわ』とした響めきに変わり、そして――
「やっぱり止めよう。俺が餓死する」
という審査員のデブ……じゃなかった、ブハラの一言で御題目が変更となった。ていうか餓死って何だよ、餓死って。そこにツッコミを入れてはいけないというのは分かるけど、それでもツッコミを入れずにはいられないだろ。
ちなみにブハラが頭を捻った挙句に出されたお題は、変わらずに豚に関するものだった。でも丸焼きはせずに殺さずに仕留めてくるだけで良いらしい。「そんなに共食いしたいのかよ、悪趣味だな」と呟いた俺は悪くない。おい、ヒソカ。お前、ちょっと笑い過ぎだろ。失礼だぞ、ブタ……じゃなかったブタラに! ん?
というわけでビスカ森林公園に生息する豚を捕りに森の中へ分け入っていく、俺・ヒソカ・ギタラクル。俺は、例のサンダースネイク(笑)を手に取り、見つけた豚の突進を避けて一振り。100万ボルトは、うっかり殺してしまうと不合格らしいので電圧を調整しながら3人分を仕留めて審査員の元へ持って行ったのだった。仕留めるのが俺、運ぶのがヒソカとイルミという役割分担である。
(あ、そういえば首尾よく三次試験を突破した後の試験って、たしかハンター×ハンターだっけ? 6点分のプレートが必要になるヤツ? それなら適当に不合格になったヤツからパチるか……)
そういう皮算用を立てながら、メンチのお題を待つことになった。
「もう、ブハラは甘いわねえ。
「ん~、でも仕方がないよ。たしかに豚の丸焼きに掛かる料理時間を計算に入れてなかったのは、今考えるとかなり軽率だったと言わざる得ないしさあ。それでも4割絞れたんだから別にいいじゃん。
そもそも、この審査は受験生に料理の腕を競わせるような
「もう、まったくアンタは甘いんだから。まぁ、いいわ。私はブハラと違って辛口よ! 審査も厳しくいくから覚悟しなさい!!」
と言うわけで、そのままメンチによって執り行われることになった二次審査は、当初の想定通り『ニギリズシ』というお題が出されることになった。一応、これでも博識(笑)ということでも通っている俺だ。ヒソカと、何故かギタラクルことイルミから「なに、にぎりずし?」と尋ねられたので、「どうせ合格者なんか出ないだろ」と投げやりな回答を返しておく。すると、またイルミから鋲が投擲されてきた。ホント、何なんですかねえ!? お前、実は操作系じゃなくて、放出系だろと思った俺は悪くない。なお、ソースは根拠のないオーラ別性格診断を考案したヒソカによるもの。ちなみに余談だが、ヒソカによると俺は
「リールベルト、また何か文句言ってお題変えさせなよ。合格者でないとか、俺の手が滑りそう」
しれっと俺に対して代替案を出せと無茶ぶりしてくるイルミに「お前は何言ってるんだ?」と言い掛けたが、辛うじて堪える。というか、さっきまでのは「手が滑った内にカウントされてなかったのかよ!」という事実に俺は半ば愕然としたが、「まぁ、イルミだから仕方が無い」と勝手に納得したところで、お約束の様に鋲が投擲されてきた。ったく、これで何本目だよ!!
しかし、改めてイルミに言われるまでもなく、この『ニギリズシ』というお題は、とても内容を変更させられるような過失は審査員側にはない。まぁ、それも
「それ無茶ぶりだからね?」
――と言ってやりたいところだが、それで目を付けられては堪らないので、事の経緯を見守ることにする。先にヒソカとイルミの手が滑らないことを祈ってやることしか出来ないわけだ。まぁ、こんな無茶振りをするメンチ自身に落ち度があるわけだし仕方ないよね。是非も無し、である。
とはいえ、俺以外にも、若干、一名程『スシ』というものの実態を知ってそうなリアクションを取っている奴もいるが。何故、あんなに全身で『俺はスシを知っているぜ』と全力アピールをしているのだろうか、もしかしてバカなん――
「サカナぁ! 此処は森の中だぜ!?」
「声がデカい!!」
――どうやらバカなのは、あの剃髪のハゲだけではなかったらしい。
たしかレオリオという名前のおっさんが発した大声により、気づけば一次審査をスルーした受験生の全員がビスカの公園内にある沼地や川を目指して室内を後にしていた。
「行かないのかい♠」
「さっきも言ったが、この試験に合格者なんか出ねえよ。あの審査員は美食ハンターらしいからな、始まったが最後、きっと出されたスシの
とは言え、何もせずにボケッとしているだけでは印象が悪いので、適当に試験に臨むような体を取りつつ急増の調理場を後にしながら俺はヒソカの質問に答えた。
「なにそれ、納得いかないんだけど」
「まあ、このままだったら諦めるしかないわな」
俺は素直な不満を口にしたイルミへ向けて答えると、このまま、とりあえず試験を受けてますよーポーズを維持するべく、まずは試験会場近くにあると思われる湖に向かうのだった。
一部、匿名ではないアカウントで投稿している当方の作品より、ネタを引用していたりします。気づいた方は、ニヤニヤしてくれると嬉しいな。