これ書くのに時間を無駄に浪費したのでこの短いので許してくd
幼年学校の卒業を控え、配属する部隊の上官は「銀翼突撃章持ちのベテラン」と聞いていた。
それは事実だった。この戦争が始まる瞬間に立ち会い、戦果を上げたのだという。
その上官は女性だった。確かに軍では珍しいが居ないわけではない。
それでも、まさか幼年学校の入学年齢にすら達していないような少女がその上官だとは思わなかった。
だがその年齢を感じさせる要素は容姿以外には何もない。
言葉遣い、知識、身のこなし、その他の全てが少女のそれとは違う。
私が配属された中隊にはもう一人、女性士官が居る。
ハンナ・ルーデル中尉。彼女もまた、デグレチャフ少尉と同様、幼年学校にすら入れない年齢を思わせる容姿。
そしてデグレチャフ少尉と違い、中身も少女のそれだった。
「ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ伍長、F大隊出身です!」
「びくとーり…えーと、長くて呼びにくいね。何かあだ名を考えよ。何か無い?」
「ゆ、親しい友人からはヴィーシャと…」
「ヴィーシャ、うん。よろしくね、ヴィーシャ!」
満面の笑みを浮かべて話すハンナ・ルーデル中尉。
なぜこんな女の子が戦争の最前線に居るのか。デグレチャフ少尉は見た目と中身が不一致なだけ。
だけどルーデル中尉は容姿なりの話し方をする。
それでいてデグレチャフ少尉よりも階級が上。最初は訳が分からなかったが、初めて一緒に出撃時に分かった。
「新兵達は戦場の空を飛ぶのは初めてだろうが、まあ敵の魔導師にさえ出会わなければ中々死ぬことはないから安心して飛べ。
まあ仮に魔導師と接敵しても我々にかかれば蹴散らすのは容易い」
初めて無線越しに聞いたルーデル中尉の声は口調、語彙、声色さえも違う。
誰が話しているのか、すぐには気づけなかった。
デグレチャフ少尉が"機械のように精密な軍人になってしまった少女"だとすれば
"熟練の航空魔導師と普通の少女が一つの体と知恵を共有している多重人格者" それがルーデル中尉だった。
まるで少女の体に何者かが憑依しているかのよう。
そして今、自分の目の前の光景によって更に評価を変える事になる。
以前から同じ宝珠を装備しているとは思えない高速で飛び回る事は知っていたし、
その速度であれば50騎撃墜も納得。
目の前で起きているのは「魔導大隊に対して一人で突入する」という完全に自殺行為としか思えない光景。
本当に自殺行為であればデグレチャフ少尉が止めに入るはずなのに…
ルーデル中尉が上昇し始めると、敵の大隊が逃走を始めた。
『高度8000、いい景色だ』
『奴らこっちを全く見てない。初撃はこちらから撃つ。』
『了解。ヴィーシャ!聞いてるか!』
目の前の現実を受け入れられず呆然とした中で自分の名前を呼ばれ、反応が遅れてしまった
『は、はいっ!』
『これがこれからの時代の制空戦だ。よく見ておけ』
『語弊があるな、敵が逃げるのは制空戦じゃなくてただの狩猟だろう』
『それもそうか』
今までの自分の常識が目の前の非現実の前に覆されていく。
魔導大隊がただでさえ一人欠けた小隊を目前に逃走。全く理解できなかった。
数分で敵大隊が消えて、ルーデル中尉が戻ってきた。
「ルーデル中尉、あの飛び方は一体…」
「あれはまあ慣れだ慣れ。一応ヴィーシャにも教えてみようか」
なんかもう、ヴィーシャ感が出ない。これどうすっかな
デグ様以外の視点を入れたくなって書いた。反省はしない。
ちなみにこの話は気分次第で後々改変される可能性があります。
各話更新時のあとがきを確認してくださいな