FAIRY TAIL ◼◼◼なる者…リュウマ   作:キャラメル太郎

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皆さんこの時のセイバートゥース嫌いですねぇ…笑




第四六刀  誤った選択 放たれた四頭の竜

 

 

闘技場に展開されていた水の闘技場を、リュウマは刹那の内に6分割に斬り裂いた。

 

その後はミネルバの魔法による爆発により、6分割された水の闘技場は水蒸気となって消し飛んだ。

 

その中で、リュウマは最速の縮地を使い…爆発の衝撃に襲われる前にルーシィを抱き抱えて闘技場の地面へと降り立った。

 

あまりの早業に眼で捉えられた者はいない。

それに、そんな速度で抱き抱えて移動すれば人間の体はどこかしらの骨が折れたりして重症となるだろう。

 

それでもルーシィがミネルバからやられた傷以外に傷が増えていないのは…抱き抱えると同時に膨大な魔力でバリアのようにルーシィの体を包み込んで防いだことに他ならない。

 

つまり…ルーシィを庇うために魔力で覆っていたために、リュウマは爆発の…それも爆心地ど真ん中を突っ切って来たのだ。

 

その証拠に…彼の服の所々が破けている。

 

しかし…リュウマ本人はそんなことはどうでも良かった。

 

今…彼の心の中を巣くっているのは…荒々しく燃え盛る憤怒。

 

態とらしく観覧席にいる自身へ、見せつけるようにルーシィを嬲ったミネルバをどういった苦痛を与えた後に殺してやろうかと考えていた。

 

そんなリュウマの心の内を知らず、ミネルバはいやらしく口角を吊り上げてリュウマ達を見ていた。

 

「「「リュウマ!ルーシィ!!」」」

 

『おぉぉぉ!?まさかのリュウマの乱入によってルーシィ選手は助け出されました!颯爽と現れ女性を助け出すリュウマ!なんと頼もしいことなのだろうか!!!!』

 

『……。』

 

実況でチャパティが解説をしている隣では、ヤジマがいつもの糸目を少し開き、ミネルバに鋭い視線を向けていた。

 

──ルーシィ…。

 

片膝を付き、横たえて苦しそうにしているルーシィを横抱きに抱き締め、右手をルーシィの頬の方へと持っていく。

 

近くで見ると離れて見ていた時より更に傷が酷かった。

 

体のあちこちに出来ている生々しい傷の数々…女だというのに顔にも傷が出来てしまっており、殴られたり蹴られたりしていたためか大きく腫れている。

 

そのため、頬に持っていった手を止めた。

傷に触れたらルーシィが痛いだろうし、傷に触れる事自体がよろしくない。

 

行き場を失ってしまった右手を握り締める。

力強く握ったためか、手からはバキリと音がした。

 

「…ウェンディ。ルーシィを頼む」

 

「あ、はい!任せて下さい!」

 

「ウェンディは体力の回復を!私が傷の回復をする!」

 

早く傷の手当てをしなければならないので、走って来てくれていたウェンディに回復を頼む。

同じ競技をしていたので近くにいたシェリアもルーシィの傷の回復の為に手伝ってくれた。

 

ウェンディとシェリアによって手当てをされている時、少し離れたところでは観覧席から全速力で走ってきたナツとグレイとエルザがミネルバを睨み付けている。

 

「テメェ…何で意味もねぇのにルーシィを攻撃しやがった!!」

 

「勝負はついてただろうが!!」

 

「やめろナツ!グレイ!今殴りかかるのはダメだ!」

 

ナツとグレイがミネルバに向かって叫んでいる。

エルザは今にも殴りつけそうな2人の腕を掴んで殴りかからないようにしている。

 

「何を言っておるか?妾はただルールに則り試合をしたまでのこと…。感謝してほしいものだ…2位にしてやったのだぞ?その使えぬゴミの娘を。…それにだ。ルール違反をしたのはそっちにいる男であろう?試合中の競技に乱入しただけに留まらず…選手である妾を傷つけたのだからな」

 

「んだとてんめぇぇ!!!!!」

 

「このクソ女が…!!!!」

 

演技がかった風に告げながら赤い血がポタポタと流れ、地面に垂れ落ちている手の平を見せびらかすミネルバ。

それも観客達にも見えるように映像ラクリマで映る位置に手を出していた。

 

「これは最早…出場停止やもしれんなァ?」

 

そう言い放つミネルバはニヤリとしたあくどい笑顔で笑っていた。

 

ミネルバが考えていた計画とは…リュウマの出場停止処分。

 

いくら自分達のギルドが天下一であろうと、聖十のジュラを一方的に打ち倒す高い戦闘能力…。

そして昨日に見せた不正が不可能であるがために魔導士の純粋な強さを測ることの出来るMPFの消滅。

 

それらをやってのけたリュウマという化け物は…セイバートゥースがフィオーレ1に立つには大きすぎる障害だった。

 

ミネルバは愚かであるが馬鹿ではない。

 

セイバートゥース最強を名乗るだけあって冷静な判断を下すことが出来る。

 

それで考えた作戦がリュウマの出場停止だ。

 

戦えば敗北が必須だというならば…戦わなければいい。

詳しく言うと、戦うことすら出来ない状況に立たせればいい。

 

それでルーシィをリュウマに見せびらかしながら嬲ったのだ。

そしてとどめは選手である自身に、乱入してきた存在であるリュウマが傷を負わせたという状況…。

 

だが、傷が出来た手の平を見たナツ達は刹那で理解した。

 

手の平に出来ている傷はリュウマが付けたものでは絶対にない…と。

 

何故そう言いきれるか?考えてもみてほしい。

 

リュウマは巨大な水の闘技場を6分割に()()()()()のだ。

 

どうやったら、闘技場を分割する程の斬撃でミネルバの手の平から…それも多少血が垂れる程度の小さな傷を付けられるのだろうか…?

 

仮に先程の斬撃で傷を付けようと斬撃の軌道上に手を持って行ったとしたら…まず間違いなく手首から先が無くなる。

 

故にナツ達はミネルバが傷を偽装していることを直ぐに看破したのだ。

 

事実、ミネルバは空間を繋げる事が出来る。

それに先程あったではないか…観客や実況、はたまた観覧席にいる魔導士達ですら視界を0にする程の()()()()

 

爆発で発生させた水蒸気ですらミネルバの計画のうちであったのだ。

後は水蒸気の中で別の所からナイフを取り出して自分の手を切るだけだ。

 

笑っているミネルバに看破した傷について問い詰めて吐かせてやろうと、腕を掴んで止めていたエルザの手を振り払って一本踏み出した…が。

 

それを邪魔をする奴等がいた。

 

「おっと…いくらナツさんでもお嬢には近付かせねぇよ?」

 

立ちはだかったのはセイバートゥースの観覧席にいたスティングとルーファスとオルガだった。

ローグはレクターとフロッシュと一緒に観覧席に残っていた。

 

 

両者が睨み合う中…リュウマが動いた。

 

 

治療されているルーシィを見ていたリュウマが、ユラリと立ち上がり…セイバートゥースの方へとゆっくりとした足取りで向かっていく…。

 

顔は俯かせており、被っている三度笠のせいで表情を見ることは出来ない。

だがそれでも…怒り狂っているのは分かった。

 

何故なら…彼の周りの空間が放出される凶悪な魔力の圧力に耐えきれず…悲鳴を上げているのだから…。

 

『おぉーーーとっ!?これは両チーム一触即発かーー!!??』

 

実況でチャパティが冷や汗を流しながら叫び、観客はこれからどうなるのかソワソワしながら見守っている。

 

「リュウマさんも落ち着きなよ。お嬢はルールに則って試合を───」

 

スティングはリュウマを宥めるために喋り掛けるが…それ以上言葉を続けることをやめた。

 

いや…やめざるを得なかった。

 

ゆっくりと歩って来るリュウマが手をセイバートゥースに向かって翳すと…ミネルバを含めてスティング達4人の首元に剣・斧・槍・刀が添えられていたのだ。

 

彼等は武器の元を辿ってみると…何時の間にか背後に黒い波紋が広がり、その中心から突き出ていた。

 

その間も近付いていたリュウマが直ぐそこまで来ており、ナツ達は底知れぬ圧力を感じて彼のために道を割く。

 

そして…とうとうセイバートゥースの面々の前まで来た。

 

「…貴様は俺を選手として出場停止させいたいのだな」

 

最初に発したリュウマの言葉はそんなものだった。

完全な事実を述べている声色で言い放った彼に何故バレたと心の内で驚くミネルバ。

 

「良いだろう。出場停止だの永久停止だの好きなように受けてやる。その代わり───」

 

スティング達は背中にゾクリとした嫌な予感を覚え、体を震わせた。

それも体温が急激に下がり、超重の重りを体につけられたような感覚がし、リュウマの顔を見ると…瞳に何も写していなかった。

 

「この場で貴様等を斬り刻んで殺して残りのセイバー共に食わせる。後はその残りのセイバーも殺してそこらのカラスにでも食わせ、マスターであるジエンマも殺す。貴様等に明日は無い。この場で終わりだ」

 

己の手元に1本の身の丈程の大きさをした鋸を召喚しながら身の毛もよだつような言葉を吐き捨て…構えた。

 

「精々あの世で悔やむがいい…己の愚かさをな」

 

流石にやらせるわけにはいかなく、ナツ達やマトー君が止めようとするが…彼は既にセイバートゥースへ向かって振り下ろし──

 

「リュウマ…」

 

「──────ッ!!!!」

 

スティングの首を斬り落とす直前で止まった。

後ほんの少し遅かったら確実に落とされていた…。

身を以て知ったスティングは顔を青くさせた。

 

当の本人は掠れて普通ならば聞き逃すであろう声を聴いたために止まった。

 

己の名を呼んだ…ルーシィの声に…。

 

「ルーシィ…!」

 

彼は直ぐさまルーシィの元へと急いだ。

ルーシィは半分閉じているが目を開けており、リュウマのことを見ていた。

 

自分の掠れるような小さな声に反応し、態々走り寄って来てくれたリュウマに弱々しいながらも手を伸ばす。

 

そんなルーシィの手をリュウマはしっかりと取り、両手で優しく包んで握った。

それに嬉しそうにしながら、ルーシィはリュウマに優しく語りかける。

 

「リュウマ…そんな恐い顔…しないで…笑って?」

 

言われたことにハッとし、少し目を瞑って精神を落ち着かせてから出来るだけ優しく微笑みかける。

ルーシィはそんな笑顔に満足したのか続ける。

 

「やっぱり…あたしは…リュウマの優しい笑顔…好きだよ…それにね…2位…取ったよ」

 

「あぁ、見事であったぞ…よくやった」

 

まだ傷が治りきっていない顔で誇らしそうにするルーシィに、魔力を解放しそうになるも、どうにか耐えて頷きながら褒めてやる。

 

「それでね…あたし…ここまでしか…出来なそうなの…後は…リュウマに任せても…いい?」

 

「あぁ…あぁ…!任せておけ…!俺が必ずや妖精の尻尾(フェアリーテイル)を優勝させよう…!」

 

「ふふ…ありがとう…じゃあ、おねが…い…───」

 

最後にそう言い残して完全に気絶した。

リュウマはそんなルーシィを少しの間見続けてから右腕を背中に、左腕を膝下に通して抱き上げた。

 

そしてそのまま闘技場の選手出入り口へ向かって歩き出す。

目指すはポーリュシカのいる医務室である。

 

「これだけは言っておいてやる。お前達は───怒らせてはならないギルドと人物を怒らせた」

 

エルザは最早セイバーに意味はない警告を出し、ナツ達と一緒にリュウマの後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なんだよあれ…」

 

スティングは去って行くリュウマ達の後ろ姿を見ながら首を擦っていた。

リュウマに首を斬り落とされそうになった時…一瞬本当に斬り落とされたかと思ったのだ。

 

そして一番驚愕したのが…何の躊躇いも無く首を狙ったこと…。

…ルーシィの声が無ければ確実に死んでいた。

 

その事実が、やられたわけではないのにルーファスやオルガにも伝わった。

 

「…あの時の眼…確実に人を殺したことのある者の眼だった」

 

スティングに鋸を構える時に見えたリュウマの瞳は…何も写していなかったのは分かった。

しかし…その奥に…途方もない殺意が秘められていた。

 

その時の眼を思い出し、自身の作戦は決行して正解だとしみじみ思った。

あれ程の男は強敵なんてレベルではない…と。

 

 

しかし、セイバートゥースは気づいても遅すぎた…。

 

 

もうとっくに特大の火種は自分達で撒き散らしてしまっているのだから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───フェアリーテイル用医務室

 

 

リュウマ達がルーシィを医務室に運んでから少し経っていた。

その部屋にはフェアリーテイルAチームとBチーム、ハッピーやシャルルにリリーもいる。

やはり痛めつけられたルーシィが心配だったのだ。

 

傷はシェリアが応急処置とし、魔法を掛けてくれたおかげで傷痕すら残っていない。

ウェンディもルーシィの体力を回復させてくれたので、今は休ませてあげれば直ぐに良くなる。

 

「ん…うっ…」

 

AチームやBチームのみんながルーシィを見守っていると、ルーシィが目を覚ました。

 

そんなルーシィにリュウマはゆっくりと近付いてベッドの脇に置いてある椅子に座り、ルーシィの頭を優しく撫でてやる。

 

「ありがとうリュウマ…」

 

「良い。今は休んでおけ」

 

「うん。そうするね…あ、あたしの鍵…」

 

「はい、ルーシィ」

 

ハッピーがルーシィの星霊の鍵を渡す。

爆発で少し遠くに飛んでしまっていたのをハッピーが回収しておいてくれたのだ。

 

「ありが…とう…スゥ…スゥ…」

 

傷が治っても精神的に疲れたのか直ぐに眠ってしまった。

眠ったルーシィを起こすわけにはいかないので、ベッドから離れていく。

 

みんなはセイバーの所業にはらわたが煮えくりかえりそうだった。

特にリュウマなど、自身を出場停止させるためだけという低俗なことのためにルーシィを狙われたのだ。

 

体から魔力が出ないようにするのに苦労している。

それでも、洩らさずに(表面上は)冷静を保っているリュウマは流石だった。

 

「AチームBチーム全員…揃っているようじゃな。ちょうど良かった」

 

そこにマカロフが医務室へと入ってきて、両チームが集結しているのを確認して目を瞑った。

 

その時のマカロフは何か重大な事を言おうとしている表情なので静かにして話の切り出しを待つ。

 

「たった今、ABチームの統合命令が運営側から言い渡された」

 

「「「「………!!!」」」」

 

「何!?」

 

「ABチーム統合だと!?」

 

「どうしてですか?」

 

みんなが驚きを表す中、マカロフはミラの質問に答えていった。

 

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の失格によって、各ギルドの参加チーム数が7つとなり、奇数になってしまっていた。

 

奇数だと運営側がバトルパートの組み合わせが出来ずに困るということで、両チームを1つにする統合命令が出されたのだ。

 

「点数はどうなるの?」

 

シャルルが大会において一番大切である点数について質問した。

確かに、いくら勝ち進んでいるからと言っても、やはり両チームでは点数差は生まれている。

 

そして、統合された結果の点数は…低い方の点数となる。

つまり、Aチームの45ポイントだ。

しかし…ここで問題があった…リュウマだ。

 

「運営から試合に乱入した者は今大会へと出場を停止させられ──」

 

「ふざけんな!!」

 

「悪ぃのはあいつらだろ!」

 

「なんで助けたのにリュウマさんが出場停止にされなきゃいけないんですか…!」

 

「あの女は確実に過剰攻撃だっただろうが!!」

 

マカロフから告げられたリュウマの出場停止処分について、ナツ達は怒りの声を上げた。

それもそうだ、リュウマはとどめを刺されそうになったルーシィを助けただけなのだから。

 

……その後の鋸のことは抜きとして。

 

「ちょっ!待て待て!ワシはまだ全部言い終わっておらん!」

 

そんなマカロフの言葉に取り敢えず落ち着きを取り戻す各々達。

ナツはまだ騒いでいたが誰か(エルザ)によって宥められて(殴られて)いた。

 

「ミネルバに傷を負わせた…ということもあり出場停止なのじゃが、ミネルバの方も選手ではないリュウマを攻撃している。それにレフリーストップがかかる直前だということもあり、特別手当てがされることとなった」

 

内容はこうだ。

 

・次同じような事があれば問答無用で出場停止。

 

・リュウマをチーム内に入れる場合はチームに10点減点のペナルティ。

 

・相手を過剰に攻撃した場合は大会への出場永久停止。

 

というものだ。

3個目に関しては鋸の時の話から持ち上がった条件だ。

 

この条件によってリュウマをチームに入れると折角の10点が消えるため、渋られるところだ。

 

 

      普通のギルドならば

 

 

「つーことはだ。リュウマは出場停止じゃねぇんだな?」

 

「ならこっちのもんだぜ!」

 

「良かったです…」

 

「セイバーに吠え面かかせてやりなよ!」

 

フェアリーテイルにとって10ポイントの減点など痛くも痒くもない。

 

何故たかがポイント如きにリュウマの出場を渋るのだ?

他でもない家族(仲間)を守った事に誇れはすれど、悲観することなど有り得ない。

 

故にリュウマの大会不参加なんぞ誰の頭にも入っていないし、そんなこと思いつきすらしない。

逆にリュウマは絶対参加させるまである。

 

出場停止にならずに済んだ事に盛り上がりをみせるメンバー達を見て、リュウマは胸が温かくなった。

やはり此奴等はいいな…と。

 

「うむ。では…これからの大会の出場メンバーを決めていくのじゃが、リュウマとラクサス。それとエルザは確定じゃ。ミラはどうする?出るか?」

 

「いえ、私は大丈夫ですよマスター。それに…私より出たがってる人がいますしね♪」

 

言わなくても分かると思うが、ナツ、グレイ、ガジルのことだ。

今だってオレを出せと叫んでいる。

 

「うぅむ…困ったのぅ…後ふたりなのじゃが…」

 

「それならば俺に考えがある」

 

悩んでいるマカロフに、リュウマがニヤリとしながら告げてチームメンバーについて話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───闘技場

 

 

闘技場では観客達が新生フェアリーテイルの到着を今か今か騒ぎながら待っていた。

 

そんな大騒ぎの中で実況にいるチャパティとヤジマ、それと4日目のゲストであるシェラザート劇団座長・ラビアンはこれからの予定を解説している。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のチーム再編成も終了し、いよいよ4日目バトルパートに突入します』

 

『4日目のバトルパートはタッグマッチなんだね?』

 

『2対2ですか!ありがとうございます!!』

 

因みに対戦カードはというと…

 

青い天馬(ブルーペガサス)VS四つ首の仔犬(クワトロパピー)

 

人魚の踵(マーメイドヒール)VS蛇姫の鱗(ラミアスケイル)

 

剣咬の虎(セイバートゥース)VS妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

この様な形になっており、観客は特にセイバートゥースとフェアリーテイルのタッグマッチを楽しみにしていた。

 

『あ、フェアリーテイルの入場準備が整ったようです!さぁ…新フェアリーテイルが姿を現したぞーーーー!!!!』

 

──頑張ってね…みんな…。

 

医務室のベッドで横たわりながら応援するルーシィ。

 

──頼んだぜ。

 

同じく医務室のベッドで応援するエルフマン。

 

「本当の意味で最強チームね♪」

 

「このチーム相手にしたら恐いぐらいだよ」

 

ミラとリサーナは新チームに笑顔を向ける。

 

「応援してますね!」

 

「負けたら許さないんだから!」

 

医務室でポーリュシカと一緒にルーシィとエルフマンの看病をしているウェンディとシャルル。

 

「これはすんごいチームだよ」

 

酒を飲みながらもチームの凄さに頷くカナ。

 

「負ける姿が想像できないメンツです」

 

「私もそう思う!」

 

負けることはないと確信するジュビアとレビィ。

 

「我等の想いは1つとなった。この想い…主等に託すぞ」

 

「今こそ見せる時です。私達の絆の力を」

 

出て来るチームを見ながら誇らしそうにしているマカロフとメイビス。

 

         そして…

 

『会場が大歓声によって震えるーーー!!!!今ここに…』

 

 

 

 

      妖精の尻尾(フェアリーテイル)が参上した

 

 

 

 

『1日目のブーイングがウソのような大歓声!!たった4日でかつての人気を取り戻してきたーーー!!!!』

 

出て来たのは真ん中の先頭にリュウマ。

その両隣の右をラクサスが歩き、左をエルザが歩く。

ラクサスの隣はナツが歩き、エルザの隣はガジルが歩く。

 

 

       その姿は正に……

 

 

 

      王の凱旋のようであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───遡ること数分前。

 

 

「メンバーにナツとガジルを入れ、リザーブ枠にグレイを入れる」

 

「なんでオレなんだよ!!」

 

自分をリザーブ枠にされたことに不満を口にするグレイだが、リュウマは考えがあると言っただろうと言って続ける。

 

「セイバートゥースのローグがまだどの試合にも出ていない。となればこの後のタッグマッチには必ずや出て来るはずだ。スティングとローグはセットで双竜と呼ばれている、となれば此方から出すのは同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるナツとガジルだ」

 

リュウマの言葉に同意していくメンバー達。

事実、スティングとローグは世間から双竜と呼ばれていて人気だ。

 

「それでグレイはその後に開催するメンバー全員参加になるゲームにナツとガジルのどちらかと交代すればいい。そこでルーファスとも思う存分戦えるだろう」

 

「「オレは絶対出るぞ!…アァ?」」

 

「…分かったよ、それでいい。オレをリザーブにするんだ…絶対勝てよな」

 

ナツとガジルが喧嘩を始めているが、グレイはリュウマの提案に賛同することにした。

それが最善だと理解したからだ。

 

こうして新フェアリーテイルのメンバーは、リュウマ・ラクサス・エルザ・ナツ・ガジルとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新フェアリーテイルの入場から少し過ぎ、タッグバトルは始まった。

 

第一試合はブルーペガサスVSクワトロパピーであり、それぞれの出場選手はブルーペガサスから一夜と変なウサギの着ぐるみ。

クワトロパピーからはバッカスとロッカーだ。

 

実はこのウサギの着ぐるみ…大魔闘演武が始まってからずっと居たのだ。

しかし、その異様さから誰も質問しなかった。

だがそれも漸く解き明かされるようである。

 

「さて、ついに君を解放する時がきたよ!」

 

「(コクン)……。」

 

「さぁ見せてやるがいい…そのイケメンフェイスを…!」

 

一夜の呼び掛けに応えて頭の着ぐるみを外した…中から現れたのは…

 

「「「「えええぇぇーーー!!??」」」」

 

「「「うわあぁー……………………。」」」

 

現れたのはエドラスにて一夜と瓜二つの顔を持つ猫…ニチヤだった。

同じ顔を持つ猫、又は人間に運命を感じて一夜がギルドに入れたそうだ。

 

一夜は自分と同じ顔を持つため、自身と同じ戦闘力を持っていると推測したのだが…バッカスの掌底で一撃だった。

 

やられたニチヤを見た一夜は、何故か分からないがイケメンは正義であると言ってやる気を出し、体を膨れ上がらせていく。

 

「くらうがいい…!!これが私のビューティフルドリーマー…」

 

ムッキムキとなった体を映像ラクリマの方に態々向け、観客に見せびらかしながら…

 

 

        「微笑み」

 

 

やたらとキラッキラした微笑みを浮かべ…

 

 

「スマーーーーーーーーッシュッッッ!!!!」

 

 

………バッカスとロッカーをアッパーの一撃で戦闘不能にした…。

 

これには観客達もゲロゲロと吐き尽くし、子供は泣き叫び、闘技場内を混沌へと追いやった。

 

……忘れているのか認めたくないのか分からないが、皆さんは知っているだろうか…?

 

 

ブルーペガサス最強の魔導士は…一夜であると…。

 

 

こうして場を混沌の渦へと引き摺り込んだ一夜ではあったが、勝利は勝利。

第一試合はブルーペガサスの勝利で終わった。

 

 

 

 

続く第二試合はラミアスケイルからの出場選手はリオンとユウカ。

対するマーメイドヒールからはカグラとミリアーナだった。

 

この試合はとても見応えがあり、30分間の激闘の末…時間切れとなって両者引き分けのドローとなった。

 

「ハァッ…ハァッ…やっぱ…強ぇな…カグラは…」

 

「ハァッ…まだ…本気を出しているようには見えんし…何と言っても…()()()()()()()()()()()()()()…」

 

「毎年そうなんだよ…カグラが本気になったトコなんて誰も見たことねぇんだ…」

 

ユウカとリオンは息切れをし、去って行くカグラとミリアーナの後ろ姿を見ながらそう口にした。

 

カグラはあのリュウマの唯一の弟子である。

教え込まれた期間が1年だけだったとしても、教えてもらったことには嘘は無く事実である。

 

1年経った後も…1日も欠かさず鍛練を続けている。

 

そんなカグラの実力は…如何程なのだろうか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今までの2試合で興奮覚めやまぬ会場ですが…次のバトルも目が離せないぞーーー!!!!』

 

実況のチャパティが大興奮しているように、観客もこれから始まる試合に大興奮しており、両者のギルドの旗が闘技場に掲げられた。

 

『7年前…最強と言われていたギルドと…現最強ギルドの因縁の対決…!!!!!』

 

第三試合…妖精の尻尾(フェアリーテイル)からの出場選手はナツとガジル。

 

剣咬の虎(セイバートゥース)からはスティングとローグ。

 

まさにリュウマが予測した通りの組み合わせとなった。

 

『この4人は全員が滅竜魔導士!!全員が竜迎撃用の魔法を持っているーーー!!!!』

 

「この時を待っていたぜ…ナツさん」

 

「テメェ等は許さねぇぞ…!」

 

『遂に激突の時ーー!!勝つのは妖精か虎か!?戦場に四頭の竜が放たれたァーーーー!!!!』

 

───この時をずっと待ってたんだよ…ナツさん!

 

スティングが昔からの憧れであるナツとの戦闘を前に、心臓が爆発するのではないかという程に早く鼓動を刻む。

それは緊張からではなく…夢の実現の高揚感からだ。

 

『試合……開始ィーーー!!!!!』

 

「行くぜぇ!!!」

 

「あぁ…!」

 

開始の合図が出されたと同時にナツ達に向かって全速力で駆け出した。

 

…が。

 

「…は?」

 

「なに…!?」

 

スティングとローグの目前には既に…ナツとガジルがいた。

開始と同時に駆け出したにも拘わらず、ナツとガジルはセイバーの2人の速度を軽く凌駕したのだ。

 

両者はナツ達にそれぞれ殴り飛ばされ、体勢を立て直したところで既に接近されていたナツ達にまたも殴り飛ばされて吹き飛んだ。

 

「ハハハッ…『白竜の──」

 

開始から予想以上の戦闘力を見せたナツにギラリとした目を向けて息を吸い込んだ…咆哮(ブレス)の予備動作だ。

 

「────咆哮』ッ!!!!!!」

 

スティングから放たれた咆哮は白いレーザー光線のように放たれナツを狙う。

それをナツはしゃがむことで回避した。

 

「はっハァッ!!!!」

 

出し続けているレーザーのような咆哮を体と一緒に頭も曲げることにより、咆哮を湾曲させて回避した後を追う。

 

それすらも避けたナツだが、方向転換したことによって離れてローグと戦っていたガジルの元へ着弾して爆発する。

 

「おっと…!」

 

迫っていることは爆発していた音から分かっていたのか、背中越しからの方向を避ける。

 

「『影竜の斬撃』!」

 

「『鉄竜剣』!」

 

避けたガジルに向かって鋭い魔力を手に纏わせたローグが急接近し振り下ろしたが、ガジルは腕を鉄の剣に変えることで防ぐ。

 

隙を突いて攻撃したというのに防がれたローグを余所に、ガジルは腕に力を込めてローグを後方にいるナツへと吹き飛ばした。

 

「いっくぞオォォォォォ!!!!」

 

「ガッ!?離…せ…!!」

 

飛んできたローグの顔を鷲掴んだナツは、ローグがやられていることに驚いて止まっているスティングへ向かって駆け出した。

 

「なにっ!?」

 

「『火竜の──」

 

ローグの顔を掴んでいる手と、もう片方のフリーになっている手に炎を灯し…

 

「───翼撃』ィ!!」

 

翼撃を爆発させて2人諸共ぶっ飛ばした。

それには観客も実況も驚き、スティングとローグが一方的に押されていることに目を見開いていた。

 

「やっぱ強ぇなァ…こうこなくっちゃな…!」

 

「ガジル…!」

 

所々小さい傷を作っているスティングとローグは更に戦闘意欲を膨れ上がらせる。

 

「お前…その程度の力で本当に(ドラゴン)を倒したのか?」

 

ナツはスティング達へと言葉を投げかける。

まだ大魔闘演武の予選すら始まっていないフリー時間中、ナツとスティング達は街中で出会って邂逅し、いざこざを起こしていた。

 

その時にスティングは言っていたのだ…自分達を育ててくれたドラゴンは自分の手で殺してやった…と。

 

「倒したんじゃない。殺したのさ…この手で…!」

 

「…自分の親じゃなかったのか?」

 

「アンタには関係ねぇことだ。それに今から…その竜殺しの力を見せてやるよ…!」

 

そう言った矢先…スティングとローグの体から高い魔力反応を示した。

 

「『ホワイトドライブ』」

 

「『シャドウドライブ』」

 

スティングの体を白い光が、ローグの体を黒い靄のようなものが包み込んだ。

 

「あれは…魔力増幅の術…」

 

「ハァッ!!」

 

溢れ出る魔力を纏ったスティングはナツ目掛けて一直線に向かって拳を叩きつけた。

その拳は見切れる程度だったのでナツは腕をクロスさせながらガードした。

 

しかし、先程まで戦っていた時と比べられない程に力が上がっていた。

 

「聖なる白き裁きを──くらいなァ!!」

 

「ぐっ!」

 

火竜(サラマンダー)!」

 

殴った方とは逆の腕に魔力を込め、ナツの腕をかいくぐって殴りつけた。

ナツがやられたことに気を取られたガジルは、何時の間にか傍まで来ていたローグに蹴りを入れられる。

 

「影は捉えることが出来ない…」

 

「コイツ…!」

 

ローグに手刀を入れるも、実体となった影のように消え、反対側から反撃をもろに食らう。

 

ナツとガジルはスティング達の良くなった動きと増幅した力によって翻弄されて打撃を受けてダメージが入っていく。

 

「いけーー!!必勝パターン入りましたよー!」

 

「フローもそ思う」

 

セイバートゥースの観覧席ではレクターとフロッシュが嬉しそうに飛び跳ねながら喜び、フェアリーテイルの応援席では戦闘力が上がった2人に驚いている。

 

「オレはずっとアンタに憧れてた!そしてアンタを超えることを目標にしてきた!!」

 

連撃を繰り出してナツを後退させながら叫ぶように語りかける。

 

「今がその時だ!!」

 

「ナツ!!」

 

スティングがナツの腹に拳を入れた…まではいいのだが、ナツの腹部の服は破け、腹に白く光り輝く紋章のような物が刻まれていた。

 

「白き竜の爪は聖なる一撃…聖痕を刻まれた体は自由を奪われる」

 

「!!!!」

 

聖痕を刻まれたナツの体は何故か動かなかった。

動きを封じるための聖痕である。

 

「これでオレは…アンタを超える!!」

 

動けないナツに向かい、右手にかなりの魔力を籠めた拳を振り上げた。

 

 

別の離れたところではガジル達も戦っていた。

だが、ガジルはなかなか影となるローグを捉えられないでいる。

 

「影なる竜はその姿を見せず…確実に獲物を狩る」

 

影となって消えては現れて攻撃を加えていく。

そしてまたも影となって消え、違う方向を向いているガジルの背後に現れて魔力の籠もった腕を振り下ろし…

 

──ガシッ…!

 

「…!!??」

 

「確実に獲物を…何だって?」

 

攻撃が当たるといった手前で…ガジルが突如振り向いて腕を掴み取った。

完全にローグを捉えての行動である。

 

 

所戻り、動けないナツに向かって拳を振り下ろしたスティングは…ナツがニッと笑うのを見て何だと疑問に思った瞬間…ナツに殴り飛ばされた。

 

「な…何故動ける…!?」

 

確かに刻んだ筈の聖痕の所を見てみると…何も無かった。

ナツは動けないが、魔力は使える。

そのため…聖痕を炎で()()()()()のだ。

 

「なかなかやるじゃねーか。たけど…まだまだだ」

 

 

 

 

「あまり調子に乗ってんなよ?コゾーども…!」

 

ガジルの方でも戦いは進んでおり、ガジルは掴んだローグの腕を引っ張って肘を顔面に叩き込んだ。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)をなめんなァ!!」

 

「ごはァ…!!」

 

そこから更に殴られることで苦しげな声を上げて後退した。

 

切り札を切っているというのに更に押され始めたスティング達を見て、レクターとフロッシュは固まってしまった。

それ程信じられない光景なのだろう。

 

「やっぱり最高だぜアンタら…!」

 

ドラゴンフォースを使っても押される自体に冷や汗を流しながらも嬉しそうに笑って魔力を練り上げるスティング。

 

「こっちも全力でいかねぇとなァ!!白き竜の拳は炎さえも灰燼へ還す…滅竜奥義───」

 

練り上げた魔力を右腕1点に集中させてナツを殴りつけるが、ナツはそんなスティングを見ながら棒立ちに徹していた。

 

「『ホーリーノヴァ』!!!!!」

 

叩きつけた拳が大爆発を起こして辺りに砂塵を撒き散らす。

それには流石のナツもやられたんじゃ…とざわつかせている観客達。

そして砂塵が晴れるとそこには…

 

「…な…に?」

 

右腕を突き出してスティングの拳を受け止めていたナツの姿だった。

 

なんとナツは魔力による強化や魔法による防御もせず、ただ本当の素手のみで…スティングの滅竜奥義を防いで見せたのだ。

 

「そ、そんな…」

 

「あ、あれ~…?」

 

「ウソだろ…!?」

 

「あの技が防がれた記憶は無いね…」

 

セイバートゥースの面々が驚きの一色に染まった。

スティングの滅竜奥義は絶対で、相手は必ず一撃で倒されてきたのだから。

 

『ヤジマさん…!これは一体…!?』

 

『ウム…』

 

「三カ月の修行と第二魔法源(セカンドオリジン)が2人をここまで強くさせたのか…」

 

応援席ではマカロフが2人の雄志を誇らしそうに、まるで我が子の成長を喜んでいる親のような表情で呟く。

 

実況席ではチャパティがヤジマに聞き、ヤジマは静かに試合を見ていた。

 

「ガッハァッ…!?」

 

「グアァ…!?」

 

その間もスティング達はナツ達によって叩きのめされて吹き飛ばされていった。

これだけ見れば分かるであろう…そう。

 

 

 

     『格が──違いすぎるね』

 

 

 

 

       その1点に尽きた

 

 

 

 

 




あ、私の小説では女キャラが「ふみゅ?」とかいった言葉は使いません。絶対。
そんな物は他の小説に任せます。

これは私の小説…つまり!!!!

私があまり好きではない表現は使われない…!!!!
そもそも何ですかふみゅ?って…
踏まれちゃったんですか…?

それに…私は暴力系ヒロインとか唾を吐きかけるのも嫌なほど嫌いなので、私の小説では魔力が流れることはあれど、暴力を振るうことはないです。

耳を引っ張ったことがある?
その程度暴力に含まれません。


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