バカ達の恋愛模様とそれを守る者(凍結中)   作:フルセイバー上手くなりたい

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ネタが浮かんでも、文字に出来なくて辛い


第14話

「ただいま…」

明久が現実世界へ戻ると、翔子が雄二の傷の手当をしていて、優子はずっと鏡を_つまり明久を_見ていた。

『………』

全員が無言、気まずい空気が流れていた。

「……んで」

「…え?」

その空気を破ったのは優子だ。

「何で言ってくれなかったの?」

目に涙を浮かべながら明久に問う優子。辛そうに目を背ける明久。

「あなただって、一樹達と同じくらい危ないことしてるじゃない!なんで相談してくれなかったの⁉︎」

無理も無い…自分の恋人が命懸けで戦っていたのだから…自分に黙って。

『それくらいにしてやれ優子』

『明久にも事情があったんだよ』

そこでその場の4人以外の声が聞こえた。1人目の声は明久に、2人目の声は雄二に馴染みがある声だ…

「…いつの間にいたのよ。リュウ」

「…ツバサ、あなたも」

逞しい感じのイケメンに優子が、爽やかな感じのイケメンに翔子が、それぞれ問いかける。

『明久と同時だが?』

『俺はリュウよりワンテンポ遅れてだな』

「…どこから?」

優子の声音はもう予測しているのを確認するための声音だ。

『…【ミラーワールド】からだ』

『右に同じく』

「…そう」

優子はもう驚かない。なにせ今まで明久の家に遊びに行った時、リュウが先にいたかと思えば、音もなくいつの間にか帰っていたからだ。

「あなたも…ってことね」

『ああ、そうだ』

「…明久」

「…何かな?」

「…もう、隠し事はないわよね?」

「…うん」

 

 

「…優子に気付かれちまったか」

明久達より数十メートル離れた先の壁に一樹は腕を組んで寄りかかっていた。

「…流石に優子じゃ記憶を消せないだろ?」

一樹に質問するのは一馬だ。実は2人、須藤を倒そうと、学校終わりから探していたのだ。しかし、間に合わずに雄二が、明久が戦うことになってしまった…

「…ああ。それに…そろそろ話さなきゃいけなかったんだよな、きっと…」

「…そうだな。でも…」

「そう…間に合わなかった俺達の言い訳にしかならない。分かってるさ、それくらい。俺達は、それを忘れちゃいけない。いや“俺は”だな。俺個人の問題に、舞達『アサガオ』、一馬や宗介達『S.M.S』。巻き込んじまった“俺は”忘れちゃいけないんだ…」

一樹が自嘲気味に話しているのをいつもなら否定する一馬も、今回ばかりは黙って聞くしかなかった…そして2人は優子に説明すべく、明久達の方へバイクを走らせた。

 

 

明久の胸で泣いてる優子。そしてそれを見て、悔しそうにしてる雄二の手を翔子が握っていた時、どこからかバイクのエンジン音が聞こえた。しかもかなり馬力のあるタイプの…こんなバイクを扱える人物が何人か頭に浮かんだ明久と雄二が音のする方を向くと青いバイクとその後ろの赤いバイクを見つけた。その2台は明久達の前で止まり、フルフェイスのメットを取った。

「…よう、大丈夫か?」

「遅くなって悪かった」

青いバイクには一樹が、赤いバイクには一馬が、それぞれ乗っていた。

「…一樹に一馬か…」

雄二はまだケガが痛むのか翔子に膝枕されてる状態だった。

「雄二も明久もお疲れ、雄二なんか特にな。自分より経験値が高い相手に勝つなんて流石は元【悪鬼羅刹】だな」

「やめてくれ…」

雄二は傷だらけの状態で顔を背けている。耳元が赤いのは少し照れてるのだろう。

「明久、自分の攻撃が通じなさそうな相手に自分の知識を総動員させた冷静さは流石だ」

『(ただゲームの知識を使っただけなんだが…)』

リュウがそう考えていると

「リュウ、たとえゲームの知識でも、応用すれば割とこの世界には通じるぞ?」

一樹がリュウの表情を読んで、明久のフォローをする。

『表情だけでなぜ細かい内容まで分かるんだ…』

「明久の普段の生活」

『納得だ』

「ねえリュウに一樹。それはなかなか失礼な話だと思うんだけど…」

「『お前の日頃の行いだ』」

「ハモるな‼︎」

 

そして明久はミラーワールドについて、自分の知っている事を話した。

ミラーワールドには人を襲うミラーモンスターがいる事、ミラーモンスターと戦う為にはミラーモンスターと契約して戦うという事、さっき“変身”したのはその契約後の姿だと言う事などだ…

「ミラーモンスターを倒す為にミラーモンスターと契約する…矛盾してない?」

明久の説明を聞いた優子の第一声がそれだった。

「そうなんだけどね…まあ、中には一樹と一馬の様に、契約しないでミラーワールドに入れるライダーもいるみたいだけど」

「…え?一樹達のは違うの?」

優子の質問に今度は一馬が答える。

「ああ、違うよ。はっきし言えるのはカードの違いかな。明久、カードを1枚出してくれ」

「ほい」

明久は一馬の指示通りにカード(ファイナルベント)を1枚出す。

「明久達は道具を呼んだり、必殺技を決める時にカードを1枚使うのに対し、俺達は変身にもカードを使うんだ。しかもカードの柄が…」

そう言って一馬は1枚のカードを取り出す。その中心にはクワガタムシの様な模様があり、左上と右下には…

「…トランプそっくりなんだ」

ダイヤのAと描かれていた。

「一馬がダイヤ?なら一樹は?」

「俺はスペードを使ってる」

一樹がスペードのAを取り出し、優子に見せる。

「…まあ、話せるのはこれくらいだな。後はS.M.Sの機密事項だ。とりあえず俺達のと明久達のシステムが違うことだけ理解してくれれば良い」

「…分かったわ」

「さて、優子」

一通り説明し終えたところで、一樹が切り出す。

「一通りの説明はした。俺からはひとつだけ質問する」

「…何かしら?」

「一通りを知った上で…明久を支えるのを選ぶか、怖いから記憶を消すのを選ぶかだ」

瞬間、一樹の纏う空気が変わる。優子の答えによっては…

「…愚問よ、一樹。私は明久を支えるって答えるに決まってるじゃない」

「ッ⁉︎」

優子の言葉に過剰に反応したのは明久だった。

 

『愚問だよ一樹君。私は明久を支えると決めるんだから』

 

「…そうか。って明久、どうした⁉︎すごい汗だぞ⁉︎」

「だ、大丈夫だよ一樹。なんか変な感じがしただけだから」

「…そうか」

一瞬、一樹と一馬はとても辛そうな顔をしたが、4人には分からなかった。

「まあとにかく、優子の決意も聞いたし、俺と一馬は本部に行く。じゃあまた明日」

『また明日』

雄二に仙豆を食べさせた後、一樹と一馬はそれぞれバイクに乗って帰って行った。

「じゃあ、俺らも帰るか。明久、木下姉、また明日な」

「…また明日」

「うん。雄二、霧島さん、明日ね」

「代表、坂本君、また明日」




ちゃっかり仙豆が出てる件…


便利だよね仙豆って。

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