3回戦・・・BC自由学園との試合この日は会場側にある桜の木下で椅子を置いて試合を観戦する予定だ。
本当は行く予定はなかったのだが、部室にあるテレビが不調で画面の真ん中に黒い棒線があり、見辛かったので来ることにした。
「・・・麦茶でも飲むか。」
クーラーボックスからお茶を取りだそうと体を捻った時、試合開始の合図が聞こえた。
「始まったか。」
紙コップを口に咥えながら呟くと、私の前に強力な衝撃がかかった。
ビチャァー
ゴロゴロ
ドス ウッ
「あ、あぁ・・・。」
至近に強力な一撃は自走砲の至近弾であり、私が座っていた場所には赤と肌色の何かが落ちていた。
その後直ぐに私は意識が無くなった。
あぁ、夢か?
「・・・。」
「〇〇、人数会わないから抜けてくれ。」
「・・・いいよ。」
「〇〇、病気明けに悪いな、これ男子がお前を推薦したから後5分後に話し合いに出てくれ。」
「・・・はい。」
「〇〇。」
「〇〇。」
あぁ、嫌な夢か。
「〇〇ってさ、言葉通じないよな。」
「サイコパス。」
「訛ってるし。主語が抜けるし。」
・・生は嫌いだ。
同級生は嫌いだ。
何を考えているか全くわからん。
「・・・〇〇、友達でいようね。」
受験期になれば人が変わるようなやつらは嫌いだ。
厄介ごとを押し付けるやからも嫌いだ。
「皆、皆・・・覚えておけよ。」
バチッ
「・・・病院・・・か。」
「全身包帯まみれ、両足も膝から下が無くなったか。」
どんどん真っ青になりながら日付を確認する。
「・・・大会終わってる。」
ほむ、最後の大会、意識が無い状態で終わる。
時間は巻き戻り、ほむが意識を失って15分後、プラウダにほむが血だらけで発見されたと報告が入る。
『紫さん、これから部長職は花田煌が引き継ぎます。試合指揮は現状のまま進めてください。』
全車両に向けて花田がほむの後継者宣言を言う。
『指揮官として了承したわ。エース2人、異論ある?』
『ないわ。』
『ない!!』
『・・・目標不審な行動をしていた自走砲。仇討をするわよ。』
『『『了解』』』
BC自由学園は敗れたが、観客への砲撃により反則負けという形になる。
普通ならこれに被害を受けた人に選手は謝罪し、被害を受けた側も対人用砲弾のため野球の軟式ボールが当たったくらいのダメージで済むため、選手と和解の握手をして終わりになるのだが、今回は足がもげ、瀕死の重症と、戦車道大会全体でも約25年ぶりの大事故であり、日本戦車道連盟は諸外国の戦車道関係者から突き上げをくらい、国内外のマスコミの反応も、戦車道先進国では大々的に報道され、ほむの治療費はそこからの寄付金で何とかなるほど民衆の感心も高かったが、日本のマスコミは前にほむに予想を外された恨みもあり、ほむのことより戦車道は安全なのかとか、世界大会を進める政府もどうなのだとか別のことを叩きまくっていた。
実行犯であるニーナ、アリーナは不慮の事故ということで謝罪をテレビでし、早く良くなるように願ってる等々心にもないことを言って、日本国民からは不良品の砲弾を掴まされた不幸な少女達として同情の眼差しで見られた。
「・・・愛想が尽きた。」
ほむは完全に日本の【群衆】に呆れ、3学期が始まるまで入院して過ごすことになる。