主力級が激突したことによりエリカは指揮を自分の周辺にのみに意識がいってしまった。
更に指揮ができる者が主力に集まりすぎたことで、幽香や美琴の餌食になり、分隊指揮系統が混乱してしまう。
片やゲロってはいるものの、乗車している全員で通信回線を手動で繋ぎ会わせ、リグルの軽戦車方面、ルーミアとチルノ、慧音の重戦車方面、紫の駆逐戦車方面と通信で主戦場に集まるように指示することができた。
また、分隊指揮系統が独立しているため、混乱しても混乱が伝播することはない。
更に大まかな作戦が参謀本部で決まっているため、ある程度の行動パターンも作成されていたので、紫と慧音が隊長から指揮権限を剥奪し、そのまま後方より正確な指示をすることができた。
つまり、数が有利だったため黒森峰はプラウダの数を削ろうとしたが、エース2人組により大混戦になったが為に指示できず、プラウダはそのわすがな時間で進路を変更できた。
ということだ。
結果、ラングやヤクパンは主戦場に到着する前にエリカが撃破され試合終了。
プラウダ対策で持久戦も考えていた黒森峰はプラウダの電撃戦で敗北するという皮肉な結末となる。
「勝ったか・・・帰る。」
「よろしいのですか?お嬢様。」
「気分がまだ悪い。」
「なるほど。」
「まって!!」
振り向くと姉達とお母様がいた。
「お姉様、お母様・・・なんですか?」
「ねぇ・・・ほむ、戻ってこないか?西住に。」
「また、一緒に暮らそうよ。」
「・・・まほ、みほ、努力してもできないことがあった?まほ、みほは無いでしょ。誰も彼もが協力的で、頼られて、認められて。」
「そんなこと・・・。」
「無いと言えるか!!」
「ほ・・・む?」
「這いつくばいながら努力したのに体がひ弱で弾すらまともに装填できず、皆が普通にできる事ができない。友達も西住とわかると勝手に期待されて、落胆されて・・・戻る?今やっと認めてもらえたプラウダを、池田という名を捨てて・・・できるわけ無いでしょ!!」
修理や製造はコツや型、ある程度の技術があれば誰でもできる。
いや、私よりも上手くやれるだろう。
悲しいかな。
元の世界でも凡人だった私は今の世界に生きている人は皆天才に見えるのだ。前の世界で持っていた知識、技術はどこにでもある普通の事。
いや、この世界の方が遥かに進んでる。
歴史も、科学も、国民性も。
自分の店が壊されて、新しくしてもらえるからって喜んでいる・・・私は無理だ。
頭は古い。
かといって能力もあまりない。
「・・・西住は倒すべき目標だよ。」