決勝戦・・・黒森峰側は戦車道というより、勝利のためなら何でもやりかねない外道のプラウダを粉砕し、戦車道ここにありきというのを知波単以外には求められていた。
そのため孤立しているプラウダとは違い、練習試合による練度向上により、過去最高の仕上がりをみせていた。
西住分家達やエリカ等の指揮官、車両にも恵まれ、名門黒森峰の維持をみせてやると士気も高かった。
「いやぁすばらです!!実に潰しがいがありますね!!」
暴走気味の花田煌は黒森峰の車両、作戦、進行ルートの情報をすっぱ抜き、参謀本部に伝えていた。
その情報を元に作戦が立てられ、エース以外の作戦は決まった。
エースは各自自由に行動することとなり、美琴、幽香はT-54プロトタイプにそれぞれ乗り、ルーミア、慧音はIS-3、リグルはT-50-2、紫はIS-3から改造したSU-122-54の122mmM62-C2砲を搭載させ、対マウスの切り札であった。
「正直過剰だと思う。」
「そうですね。・・・奈々的にも彼女達の実力を考えると・・・。」
「エース級はそれだけで戦術兵器だな☆黒森峰にエース級はいるのか?」
「いない。チルノレベルの準エース級なら数人いるけど。」
「あれ?島田愛里寿ちゃんや西住みほさんは何級になるんですか?」
「戦術家・・・希代の天才で中隊規模で初めて真の実力が現れるのがみほ。天才は天才でも理詰めによる相手の心理を読み取る天才が島田愛里寿。」
「結構あっさり勝ったけどな☆」
「美琴、幽香は天才でも努力を怠らなかった。島田愛里寿は経験が足らず、みほは味方に捕らわれる癖がある。・・・まぁ2人が天才を越えつつある。欧州やロシア、アメリカ各リーグのトップクラスの逸材だからかもしれない。」
試合は開始して5分後に平野でリグルのT-50-2が黒森峰のレオパルド、ルクスの2両とかち合い、戦況が動く。
ドイツの鈍足重戦車よりも早いソ連重戦車はKV-2、KV-3を市街地に向かわせ、残りはリグルが交戦しているポイントに急いだ。
一方プラウダ主力の中戦車は1両を除いて郊外の川沿いを確保しようと移動していた。
トラブっている1両はほむが乗る車両で、ほむが酔って顔を真っ青にしていたため、T-44を茂みに隠して、ほむの隊長がよくなるまで休憩していた。
吐いて水を飲んでまた吐いてと体調最悪で、見捨ててくれと頼んだのだが、後輩達は動こうとしなかった。
「部長、自動的に吐くのは家に向かおうとしてからにしてくださいね。」
「うっぷ・・・高垣楓・・・腕は良いのに私生活とダジャレ治せば・・・うっぷ。」
「あぁ。また吐いた。」