西住まほは敗北を実感したのが決勝の日だった。
妹のほむと結局会うことはなく、3年間が終わり、今は横にいる姉のまほと母のしほと共に決勝の会場で座っていた。
「お母様、いまだにほむを後継者にしたいのですか?」
「えぇ、まほ、みほ。あなたたちは恵まれた環境で育った。・・・ほむは何もない状態から必死に頑張ってプラウダの実権を握った。・・・ほむは第一子を産み、母親としての強さもある。寡黙ながら自身の気持ちを相手にぶつけることができる。・・・まほ、大学生活はどう?」
「・・・戦車道中心の生活です。戦車道関係者に支えられながらプロリーグへの準備もしています。」
「みほは?」
「え、えっと・・・その。」
「はっきり言いなさい。」
「は、はい!!大学はお姉ちゃんがいる熊本大学に推薦も来ているから行きたいな・・・。」
「・・・これがあなた達とほむの差よ。」
お母さんは私達が見えるように1通の手紙を開いて見せた。
『拝啓お母様
何分急に決まったことなので口が回らない私はお母様に直接手紙を渡すことをお許しください。
身を固め、再来年から2年間は潜伏しようと思っており、母国日本を旅立ち、学友を引っ張り、婚約者がいる所に行きたいと思います。
事後報告になりすまないと思ってますが、片親の私がかなを育てるにはこの様にするしかないと思ったためです。
日本国内にいると、マスコミは私を潰しにかかるでしょう。あなたの横にいる西住の跡取りと軍神を持ち上げてますから。
・・・私は何が起こっても大丈夫ですがかなの事を考えるとこの様に動くしかない自分が不甲斐なく感じます。
あと、私をそろそろ勘当してください。
これからほむ個人として動きます。
西住の名を使う訳にはいきませんし、西住の名を私が汚すわけにもいきませんから。
まぁ、正面から叩き潰しますが。
みほ姉。
どう?私が5年近く育て上げた2人の実力は?まだまだ成長限界が来てないから育てるけど・・・まほ姉、軍神なら破ってみなよ。私の残す第一の壁を。
もちろんまほ姉がこの壁を乗り越えても良いけどね。
追記・・・テレビで私の名前が入った宣戦布告文章が流れたけど、私の側近が暴走して許可なくカチューシャに渡したからノーカン。
勝負は今じゃない。
10年後の組織の規模だよ。』
「あなた達は良くも悪くも場当たり的過ぎます。ほむは自身の戦略を元に動いています。この違いわかりますね?」
「「・・・はい。」」
「西住だけでなく島田も潰す模様なのでほむがどう動くか全くわかりませんがね。」