黒森峰でまほに宣戦布告をしたほむの後ろを着ける人物がいた。
その人物は男であり、西住に実家を潰された恨みがあった。
彼は実家で自殺した姉が遺した遺書に
《西住に一太刀を》
という言葉を実行するためだけに黒森峰に来ていた。
しかし、黒森峰のセキュリティは堅く、しかも支配者たる西住の姉妹を襲撃することはできなかった。
3年と時間的な猶予もない今、彼は焦っていた。
黒森峰を出てしまえば、彼女はどこの大学に行くかわからないし、両親の遺産も大学に入学すれば吹き飛んでしまう。
焦りに焦った結果、彼はほむに目をつけた。
盗聴器で会話を聞き、学園艦から出て近くの港に来る瞬間を彼は襲った。
ほむは数日記憶が曖昧だ。
なぜか2日で帰るはずが3日になっているし、体が重い。
風邪でもひいたかなと思いながら日常生活を続ける。
夏休み・・・私達はプラウダに来ていた。
凡人にできる全てを持って・・・
ドサ
「カチューシャ様、これが私の半年。」
机に置かれたのは戦車道全国大会の出場校の中堅以上の学校、内部情報、友人関係、戦車の情報を纏めたレポートだった。
地盤を固めていたカチューシャには最高の贈り物だ。
「ナイスよほむ!!そうだ、これからオットーと名乗りなさい!!」
オットー・・・おそらくフィンランド人で裏切り者、仲間を売った人物のオットー・クーシネンから来てると思うが、無意識に知っている偉大な人物の名前をカチューシャは良かれと与えたのだろう。
後ろでノンナさんとクラーラさんが申し訳なさそうにしている。
「オットー・・・ありがとうございます。」
「良いのよ。さて、王者を引きずり下ろすわよ!!」
「はい。」
カチューシャの部屋を退出後、私は別の部屋に向かった。
《校長室》
「失礼します。」
「おぉ、よく来てくれた。」
ダミ声で話す福与かなお爺さん、いつも野球帽を被るのが特徴であり、愛称は熊さん。
「なんだい、熊さんよ。ついにカチューシャだけじゃなくて中坊まで手出すんか?」
「するわぁげないだろ。」
「よう嬢ちゃん。おれぁ、副校長の鈴木だ。周りからは黒ひげ呼ばわりされてる。」
「よろしくお願いします。」
「とりあえずカチューシャからの推薦状が有ったから嬢ちゃんの推薦入学は認める。テストは受けなくてもいいぞ。」
「英検、漢検準一級、数検も一級持ちだがらなぁ。あと難問の検定も保有しているからなぁ。」
「受験は受ける。ただし冬休み以降はプラウダで過ごす。南夏も呼ぶ。」
「期待している。それこそカチューシャ以上に。俺も熊さんもほむを見ている。西住を潰してやれ。」
「期待に応えます。」