冬休み・・・継続高校から抜け出した私、南、美琴はプラウダに来ていた。
「南さん、寒くないの?」
「あたい寒さには強いんだ!!」
「半袖は見てて寒い。」
胸に氷と書かれたネタTシャツを着ている南は私と美琴を見下ろしながら普通に歩く。
「やっと来たのね!!待ちくたびれたわよ!!」
「ようこそプラウダに。」
「・・・むぅ、ノンナ。」
「はい。」
いきなり肩車し始めたカチューシャは名乗る。
「私がカチューシャよ!!・・・南だっけ?あなた大きすぎよ!!」
身長2メートル10センチ、体重85キロ・・・巨人病でもない彼女は元気で流石に成長は止まっている。
「・・・で、学校見学にする?それとも戦車道部を見る?」
「戦車道部の方から見る。」
「わかったわ!!」
「T-34-85までしかない。・・・T-44は?」
「入手したいけど大半が北海道にある大学に持っていかれたらしいわ。」
(入学したら改造するとして大量の金属が必要になるな・・・プラウダならあるか・・・独裁体制だから無理ではないはず。こちらも少し動かないといけないけど・・・。)
プラウダの戦車道部は粛清の影響か人数が少ない。
かわりに整備科の人数がやけに多く、他にシベリアと呼ばれる窓の無い教室から泣き声が聞こえてきたり、矯正施設と書かれた生徒指導室のかわりに普通農業科とは別の農業科が存在もしていた。
(粛清の色が濃いけど・・・地力はある。)
「来年から動く。」
「南無三。」
「聖、どう?152mmは?」
「良いです。しかし、反動が大きいですね。」
「それは仕方がない。」
「一撃離脱・・・いや、中距離からの狙撃で活躍できる駆逐戦車。」
「運用方法は聖とお仲間さん達に任せる。」
「もう色々と始まってるのですね。あなたの中では。」
「目標のためには早めに動かなければならない。」
「・・・無理されてませんか?」
「いや、大丈夫。」
「それなら良いのですが・・・。」
春・・・中学3年となり、黄炒と淡がプラウダ中学に入学した。
私は動くと決めた前から集めていた黒森峰の弱点を探した。
凡人には一般的なことしかわからないので、戦車道の才能が開花した南と天才の美琴を交えながら研究もしている。
・・・で、ドイツ戦車を整備しながら思ったこと、美琴が戦術的に考察したことを纏めると
【泥とマウス、西住】が弱点となりうることがわかった。
泥は重い戦車が多く保有している黒森峰は日本の田園を通ることができる車両が限られている。
しかも夏という時期は雨が多く、普通の畑でもぬかるんでいることがある。
これは機動力の低下、進行進路の予測が容易にできる。
マウスは機動力の無さから主力と別行動することになるため、マウスを中心とした別動隊が必要となる。
そのため別動隊の動きはマウスを半径とした500メートル以内に必ずいることが判明している。
本体もマウスの進行方向と必ず交差する部分に向かうため、マウスの位置が分かれば全ての戦車の進行方向がわかる。
西住流は突発、分断を得意としているが、敗れるときは必ず頭が潰されるか包囲された時である。
ドイツのティーガー戦車の悪いところは旋回速度が遅いところであり、包囲が最適である。(優秀な西住の指揮官は包囲されないように動くが)
包囲戦が得意なのはカチューシャで、これはネットで議論したり、直接会った時の練習風景で確認できた。
私の盟友の友達も独特な包囲が得意らしいので憂いはない。
「ゴールデンウィークに黒森峰に行って情報を仕入れてくる・・・か。」