カチューシャと私はスカイプ越しに会話する。
その声をノンナ、南、美琴、後からやって来たクラーラが聴く。
「初めまして。ゆっくりこと池田ほむ。」
『改めて名乗るわね。カチューシャよ!!ほむは・・・継続高校の生徒ね。』
チラ
後ろに継続高校の校章の壁紙がある。
「そうです。」
『単刀直入に言うわ。カチューシャに協力しなさい!!』
「喜んで。」
『まぁダメだと思うけど、うちの学校は腐敗が酷くて今年の夏が終わったら革命を起こすわ。私が盟主じゃないけど、理事長兼校長先生を巻き込んでるから失敗はない・・・ってえ?』
「再来年、私と後ろで聞いてる大きい方がプラウダに行く。」
『ん?ん?展開早くない?』
「私には目標がある。そのためにはプラウダが良い。ただそれだけ。」
『・・・冬休みになったらこっちに来なさい!!直接話したいの。』
「わかった。ただ、人数は多くなる。」
『私とクラーラがカチューシャ様を手伝うので・・・。』
『約束だからね!!』
生粋の革命精神溢れる若者・・・それが私から見たカチューシャだ。
ノンナ、クラーラともに凄いことはわかっているが、学生であのカリスマを備えている彼女は女傑の名が相応しい。
私が今つくった仲間達は協力体制の状態・・・そこからどの様に本当の仲間にしていくか・・・これも課題だ。
ただこの会話はカチューシャの飛躍を決定した。
カチューシャを中心としてエースのノンナ、参謀のクラーラ、南もとある名前を与えられ氷山の渾名がつけられ、オットーと呼ばれるようになるほむがいた。
別名プラウダの四天王である。
《お母様へ
そろそろ準備が終わります。
これから西住と敵対し、闘争を続けることになるでしょう。
手を抜かないでください。
全力で当たってください。
全力で私の前に立ち塞がってください。
それらをすべて乗り越え、踏み台にします。
戦車道の才能だけが戦車道じゃないことを示します。
池田ほむより》
「困りましたねぇ・・・。」
島田流次期家元島田千代は戦車道のルール改正で予想以上に各流派が没落したことに頭を悩ませていた。
「他国のように戦車道が盛んなら独自リーグを作るなりして生き残れるように政府が動けたと思う・・・が、今回のは動けなかったわね。」
数十に及ぶ流派の断絶・・・知的財産の損失は凄まじい物になる。
流派の弊害と言えばそれで終わりだが、秘伝の技術を流派の断絶とともに社会に解放するだろうと一部楽観視していた島田流上層部は断絶が本当の意味で身投げや心中、焼死により秘伝の書もろとも消えるのが余りに多かった。
まぁ戦車道1本で食べてきた者以外も死ぬことは無かったが、秘伝の書を徹底的に隠し、結果として日本の戦車道はやや後退してしまった。
問題はこれだけでない。
流派が無くなればそれだけ戦車道を教える道場が減るため、戦車道がやりたくてもできない。
残った道場のキャパを超えてしまい、質の低下が起きていた。
「何とかしないと・・・うぅ。」
島田流次期家元であると同時に手元にある大学戦車道連盟に就任予定の千代だった。