いくら才能が有っても、努力無しには上手くはならない。
前世の野球でそれを感じていた私は体が悲鳴をあげるまで全力で学び、そして鍛えた。
「TシリーズとISシリーズは良い。」
そんな中でも戦車の性能を限界まで引き出せるにはどうすれば良いか凡人並みに考えていた。
「表面焼き入れ、改良サスペンションの装着・・・くらい。」
今できることはそれくらいしかない。
けれども勝つためにはまだまだ必要である。
「どうすれば勝てる?どうすれば強くなれる?」
答えの無い問いを必死に探し続けるのであった。
「・・・いいや。パンツァーのクランで休憩しよう。地吹雪さんいる?」
スカイプでクランのメンバーに話しかける。
ポロロン
「何だろうね。あれは?」
私の名前はミカ・・・継続高校1年生だ。
あれとは中学2年生の池田ほむのことで、戦車に乗らないのに、同学年の南と中1の美坂に色々教えている。
私達高校側では彼女の評判は悪い。
「戦車が造れるならもっと強い戦車を造れよ・・・。」
「戦車道が下手くそなのに練習にも出ないでどこかに行くし・・・。」
「・・・私生活は凝り固まった昭和の人のようで気に入らない。」
「頭が良いから先生達の評価が高いのも気に入らない。」
軽くでこれほど出てくる。
一番嫌われている原因はジェンダー(男女差別)問題がある。
継続高校は共学であるためこの問題がよく上げられる。
男女平等を校風としているこの学校で
「整備は力のある男子にやってもらう方が本来は良い。」
「男女平等は不可能。男性か女性のどちらかが優勢になる。この学校でもそうだけど共学の学園艦は女性優遇が多すぎる。プラウダは例外。」
等と発言したことがあったので、一部の女子から嫌われている。
「その発言が本当に人生に必要なことかわからない。」
私の親は発言には本当に注意して生きてきた。
私もその姿を見てきたのでこんなひねくれた話し方になったのだと思う。
ただ、私も池田ほむが苦手だ。
何を考えているかわからないのに野望が有りそうで、死んだ魚のような目の中に燃える炎のようにギラギラした物がある。
ああいう人間が世界を変えていくのかな、等と下らないことを考えたりしたり、しなかったり。
今日はBT-7に乗りながらカンテレを弾く。
「ほむほむ!!これ良いね!!」
「ほむ姉、IS-1って言うんだよね?この戦車凄いね!!的が弾けとんだよ!!」
「試作車両だから不安だった。データを取りたいから乗り回して。」
「「わかった!!」」