内ゲバ学校から退艦(脱出)した私は一旦継続に戻り、南を連れて夏休み期間だけサンダース大学付属高校に移動していた。
南をつれてきた理由は力があるので荷物持ち要因であったり、ヘビーのような鈍足戦車に触れてもらうためだった。
南は身長の関係でT-34には乗れず、かといってドイツ系の戦車では彼女の力が最大限活用できない。
南の最大の武器・・・それは意外なことに精密射撃である。
小さな車内での装填は筋肉と身長が邪魔して上手くできないが、砲手兼車長(後に出てくるブリザードのノンナと同じ役割)としては優秀であると私は確信していた。
「あたいが付いてきて良かったの?」
「あなたが必要。」
「・・・池田。」
「あら?あらあら?そっち系の趣味?」
「百合の趣味はない。」
メグミさんの冗談から始まったが、最近疲れているらしい。
前までは100両近くあったシャーマンも大学の方に回され、現在は半分近くにまで減り、4軍を解体して、人事異動を断行せざるをえなくなったりと苦労しているらしい。
「とりあえず・・・イージーエイトに改造できるだけお願いするわ。そしたら1両どんな改造でもして良いわよ。報酬として1両M6も用意しているから頑張ってね。」
「はい。・・・お願いがある。南をシゴイて欲しい。」
「良いわよ。南ちゃんはいい?」
「はい!!お願いします!!あたい頑張るから池田も頑張って!!」
「うん。」
イージーエイトにするのは簡単である。
それこそ10日で20両いけるくらいには。
ただ、私の中で改造する車両数は25両までと決めている(決勝の20両に予備5両)。
なので時間が余る。
せっかくなのでサンダース大学付属小学校で将来性の有りそうな子に唾付けしておこうと思った。
ぷらぷらーっと歩いていく。
「痛い痛い!!やめて!!」
「頭良いからって馬鹿にしやがって!!」
「いつもノートに何か書いて不気味に笑うのが気持ち悪いんだよ!!」
(・・・虐められてる自覚もある。が、悔しいことにこの子達に媚を売らないと戦車道をやるのに困る。西住流分家の次期師範になるであろう人間が1人、戦車の天才と言われている子が1人。そして取り巻きの15人。今に見ていろ。)
「やめなさい。」
「なんだよ!!・・・なんだ戦車道部かよ。しかも整備科。」
「吉田さんはね、西住分家の吉田流の師範の娘だよ。良いの?整備科のあなたが反抗して。」
「大丈夫?あなた?」
「う、うん。」
「無視するな!!」
「だから何?屑。西住にそんな屑はいない。分家の屑。」
「「な!?」」
「才能溢れる少女を潰す・・・戦車道に対する侮辱。」
「戦車に乗れないよ!?一生整備科だよ!!謝りなさいよ。」
「私は屑のあなたより才能は無い。だから戦車には乗らない。だけど私には夢がある。」
(夢?)
「西住、島田の両家をも越える・・・新流派を創ること。」
(・・・お、おお!!)
「あなたの名前は?」
「美琴。・・・御坂美琴!!」