私達のパパ   作:黒姫凛

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吾輩は変態である。自分に変態と言って特に意味は無い(自分で変態だと認めたくない)


今と昔の俺氏 by俺

平和と言う二文字を、いつからか俺は恨んでいた。

 

何が平和だと。

 

貧困層はあるわ差別はあるわ暴力はあるわ財力で人を黙らせるわと、必ず強者と弱者が生まれる。

 

何処が平和だ。

 

こんなにも理不尽に二つに分かれているモノを、平和と呼称していいのか?

もう一回辞書で調べてこい。意味が矛盾しているぞ。

 

こんなの平和だと言うなら、俺たちみたいな親のいない子供にも、豊かな生活を寄越せよ。誰が好き好んで路地裏で生活しなくちゃならないんだよ。誰も望んでねーよ。

 

だから俺は決めたんだ。

こんなにも差別ある世界でも、強者になりすがって生きていこうと。

そして俺達みたいな子供を、少しでも助けて上げたいと。

 

ほんの少し心の隅で、俺はそう願いと誓をたてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………ナニコレ?

 

いや、珍百景を見たとかそういう訳では無いのだが。

何故だが知らないけど家から出た時ちょうどばったり政府関係者の女性二人に会い、そこから何故か話をしているといつの間にか奈々美と1人の女性との睨み合いが行われているんだ。

 

前にも言ったが、政府に金を貰っている男である俺は、ここの運営費も貰わなくてはならないので余分に金をもらってる分、それを悪用していないかと言う視察にアポなしで来る。

ちょうど今日はその視察の日のようだ。

でも、なんか先月も見た気が……。

 

「……何で睨み合いになるの?」

 

「ごめんなさいすいません!!いつも先輩に言っているのですが……」

 

俺の独り言に、腰をおって何度も何度も頭を下げているスーツ姿の女性。

確か俺よりも3歳年下とか。若いのに凄い出世だよな。

この視察って言うのは結構重要なようで、政府内の役割でもエリートがやっているそうだ。彼女、足立琴葉(コトハ)さんもエリートなんだと。

 

「いやいや、足立さんが謝ることでもないですよ。いつもの事ですので」

 

「いえいえ、すいません本当にすいません!!」

 

今奈々美と睨み合いをしている女性。

足立さんの5歳上の先輩で、少し男気のある女性だ。

毎度のことながら買い物に行く時はばったり会ってしまう。

そして偶然にも一緒にいる奈々美と睨み合い開始。

彼女達からは仲が悪いように見えるが、他から見たら、なんだから微笑ましく見える。家族的な意味で。

 

「あのー、神崎さん?そろそろ買い物に行きたいのですけど……」

 

「ん?ああ、そうだったな。毎度のことながら、この餓鬼の顔見たら何だかイライラしてくるんだよな」

 

「なんだとこのオバサン。いくら結婚が決まってる私達のこと羨ましそうに見てるからって、未だに彼氏1人出来ない自分に苛立って八つ当たりは良くないぞ」

 

「丁寧な説明どうもありがとう。誰がオバサンじゃゴラァ!!」

 

「そんなにも怒ってるから未だに涼夜に振り向いて貰えないんだぞ!!」

 

「なっ、余計な事言ってんじゃねーよ!!」

 

ちょっと今の話詳しく!!

何?今俺に脈アリ的なこと言ってなかった!?

ええ??なに??マジで脈アリなの!?

 

いやー、神崎さんはなかなかにスレンダーでエロエロボディーだし、美人とも言える女性だ。

こんな女だらけの世界でも、男はドッキドキしてしまう。

 

「ほら先輩、お邪魔しちゃってますからお先にお邪魔してましょう?」

 

「んあ?あ、ああそうだな。先に見ておこう。まぁ、何処も異常はないだろうけど」

 

あ、足立さんが助け舟出した。

俺も聞きたかったんだけど。

 

「黒崎さんは本当に優しいですからね」

 

「いえいえ、そんな事はないですよ。みんないい子で可愛いですから」

 

「そうそう。涼夜は私と結婚するからな」

 

「はぁ?お前みたいなお子ちゃま、黒崎と釣り合うわけねーだろうが」

 

「なんだとこのアラサーオバサン!!」

 

「オバサンか、アラサーどっちかにしろよ!!」

 

「2人ともいい加減に……、あっ、そう言えば神崎さん。今日商店街で卵お一人様3箱150円なので、良かったら一緒に来てくれませんか?」

 

1人よりも2人。2人よりも3人。3人よりも4人だ。

これでも12箱買えるぞ。

何とか事足りるだろうか?

 

「……別に構わないが、黒崎はもっと金を使ってもいいと思うんだけどな。もうちょっと節約とか気にせず買えばいいのに」

 

「確かにそうですね。人数増えてるのに、資金の増量は全くしてきませんし。辛くはないのですか?」

 

「まぁそう言われると辛いとしか言えませんね。確かに色々節約とかやりくりしてお金を貯めていかなくちゃならないですから」

 

まぁ確かに、食材も安く仕入れて節約なんかもして、あんまし金を使わないようにしてきた。もちろん、少し浮いた金はみんなのお小遣いとして振り分け、それでも少しずつお金を貯金している。

俺のお金は全く無いのだがね。

 

「じゃあ一層の事増量願い出します?普段の行いとか私達の推薦も出してなるべく多く出して貰いますけど?」

 

「いえいえそこまでしてもらわなくても大丈夫ですよ。確かに生活のために自分のお金なんかを子供たちに分け与えてますけど、それでもみんなの笑顔を見て、それだけでお金よりも価値のあるモノを貰える。俺は子供の笑顔を見てるだけで十分ですから」

 

キモイか?ロリコンと言いたいか?

言えばいいよ。実際事実なんだから。

でも本心だ。

みんなの笑顔を見て、喜んでくれている事に俺は喜びを感じている。

それは紛れもない俺の報酬だ。

安そうに見えて安くない。

とても大切な俺の報酬だ。

お金なんかよりも、とても価値のあるものだ。

みんなの笑顔でその報酬が出るなら、俺は喜んでみんなのために頑張る。

まぁ、やりすぎの娘もいるけどな。

 

「本当に、黒崎は優しいな。きっと子供たちは幸せなんだろう。……だがしかし、それでは黒崎の更なる重みとなってしまう。よって、私達から要求書を制作して出しておこうと思う。あ、勘違いするなよ?これは日頃子供たちのために無償と言うほどに金を自分のために使っていない君に対する些細な私達からの報酬として受け取って欲しい。大丈夫大丈夫。真っ当な金だから」

 

いや誰も疑ってませんけど。

金が増えるってことは、更にみんなにお小遣いが渡せれて、将来みんなが独り立ちするためのお金を残して置くことが出来るじゃん。

 

「本当ですか?それはありがとうございます。みんなのお小遣いと将来の為に残しておきましょう」

 

「フフッ、君が使ってもいいんだけどな。まぁ、君はそういう男だから仕方ないか」

 

「先輩、なんだか他の男を知っているかのような口ぶりですね」

 

「なっ、私は別に他の男とか知らねーしぃ。私は黒崎が初めてだし」

 

「いやらしいんだよ、このオバサン!!」

 

「だから餓鬼は黙ってろ!!」

 

またまた啀み合う二人。それを止める足立さん。

本当、仲いいんだか悪いんだか。

 

でも、昔の俺の生活と比べたら、この風景も何だか昔の俺には遠すぎた存在に思える。

伸ばしても届きそうに無かったあの時、俺は本当に死にそうになってたよ。

まぁ、どっかの科学者が薬をばらまいて殆どの男を殺しちゃったんだけどな。あ、これホントのことね。

どっかの科学者達がが何故か男にしか効かない薬を世界中でばらまいて男の無差別殺人を起こした。

これによって人口は女を残して男の殆どが死亡。

50歳以上の男性は縁起の悪いことに全員亡くなった。

まぁ生き残ったのは俺の歳に近い子達だったらしいけど。

それで俺は残った男としてなかなかいい扱いを受けた。

なかなか良かったと思う。将来の許嫁みたいな娘も何人か選抜されてたし。

 

でも、所詮は男としての俺だ。

俺という人物はどうでもよかったらしい。

18になったら速攻社会人になって許嫁をつれて今に当たる。

今は許嫁の子達は離れて暮らしてるけど、たまに帰ってくる。まぁここが家なのだ。

 

まぁそんな事は遠に捨てて、今は今ある生活を楽しんでいるだけだ。

昔子供の頃に出来なかった楽しみ方を、この子達に教えていきたいのだ。

 

さぁネガティブな雰囲気はやめて、とっとと行こう。

ねぇ、まだ喧嘩してんの?

あ、ちょっと俺まだやることあるから早くして欲しいんだけど。

睨むな睨むな、怖い怖い。

 

そして啀み合うこと数十分後、やっとの事移動を開始した俺たちであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




吾輩は変態である。自分のハーレム世界に突入したい。

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