異世界転生した特典で貰った能力がチート過ぎた 作:ルーク(・8・)
フレイの掛け声と共に動き出す両者
俺は瞬時に腰に装備している石剣を抜いた。
ヴェルザンディも
俺も即座に反応して剣の打ち合いが始まる。
俺は《
「すご…」
ハクが声を漏らした。
傍から見たらありえないスピードで動き回りながら斬り合っているのだ。驚くのも当然であろう。
その後十分間に及ぶ剣の応酬を繰り返すが、お互いに決定打にはならない。
そこで、俺が先に動いた。
斬り掛かる瞬間に《
隙だらけの背中に剣打ち込む──が、剣は見えない何かによって防がれてしまった。
不意打ちを防がれ、体勢を崩した俺にヴェルザンディの高速の剣が襲いかかる。
剣が顔を直撃する寸前で《
「ほう…今のを避けるのか…。貴方の能力は《
「流石、もうバレちまったか。まぁ、俺の能力を教えたんだ。そっちの能力も見せて欲しいな?」
「ふむ、良いでしょう。では…」
ヴェルザンディにハッタリを仕掛けて、向こうの能力を探る。
さて、向こうの能力がどんなものかが重要だが…
そんなことを考えていた時、体に異変が起きた。
しかし何かはわからない。ヴェルザンディは剣を拭きながらこちらを見てくる。
ん?なんであいつは剣を拭いているんだ?…血?
確認できたのは血で真っ赤に染まった剣先。
何故、と思ったその時、目の前の景色が斜めに沈んでゆく。
後ろを向くとハクが驚愕の眼差しをこちらに向けてきている。
──そこで俺の意識は途切れた。
──目を覚ますと、ハクが心配したような顔でこちらをのぞき込んでいた。
「ハク…か。俺は…?」
「ウラノスはヴェルザンディと戦っていたんですのよ。今、フレイさんに蘇生魔法をかけてもらった所でしたのよ。」
蘇生魔法…?
ってことは…俺は死んだのか。
確か俺はヴェルザンディと戦って…そうか、奴の能力を見ようとしたのか。
「すまない、大丈夫か?」
ヴェルザンディがしゃがみこみながら話しかけてきた。
「ああ、大丈…うん、大丈夫だ。」
一度首の感覚を確かめてから再度答える。
ハクから俺の死んだ時のことについて聞いたところ、俺がヴェルザンディに話しかけた直後、首が斜めに落ちていったと言うのだ。
つまりヴェルザンディはあの一瞬で、俺に斬られた感覚も与えずに首を刎ねたのだ。
ふざけた話である。ノエルから聞いていた噂は間違っていなかったのだ。
だが…
「おかげでなんとなく分かったぜ。お前の能力。」
そう語りかける俺にヴェルザンディは驚きの表情を見せてきた。
「…脅しかどうかは知りませんが、私の能力は原理がわかっても防ぎようがない。貴方は、私には勝てませんよ。」
表情を戻し、そう言ってきた。
俺が不自然に感じたのは行動が
どんなに速くても影を追うことすらままならないまま死ぬなどありえない事だ。
つまり、俺が考えた相手の能力は二つ。
一つ目は『見えない攻撃』。
何らかの認識阻害を施した攻撃という事。
だが、これだと距離のあった俺の首を刎ねるのは難しいだろう。
そう考えるとこの説は厳しいだろう。
そうすると考えられるのは二つ目、『時間停止』である。
時間を止めて、俺の首を刎ね、元の位置に戻る。
最も能力を探られない殺り方だ。
しかし、本当にヴェルザンディの持つ能力が『時間停止』だとすると、確かに打つ手がない。時間が止められた世界で俺が何かすることは不可能なのだ。
───いや、ある。時間が止められた中で、攻撃を無効化すれば良いのだ。
そう考え、俺は早速能力を創り出す。
《
俺は『ある条件』を設定して能力を創り出した。
「よし、んじゃあ再戦と行くか。」
「大丈夫ですの、ウラノス?」
心配してハクが聞いてきた。
「私は構わないですが…蘇生されたばかりですし、休んだ方が良いのでは?」
ヴェルザンディにも言われてしまった。
「いや、大丈夫だよ。それに、はやくヴェルザンディとも決着つけたいしな。」
軽く準備運動をしながら言ってのける。
体は動く、問題は無い。
「分かりました。では、二戦目に参りましょう。」
ヴェルザンディも了承してくれて、再び剣を抜いた。
「ほな、準備はええかな?二戦目…開始!」
フレイが開始を言い、ヴェルザンディがこちらに向かってくる。
だが、俺は立ち尽くしたまま
「なぁ、ヴェルザンディ。純粋な剣での勝負なら互角だ。お互い能力を使わないと相手を出し抜けないだろう。なかなか決着も着かない。だから、もっと簡単な対決にしないか?」
と言ってやった。
「簡単な対決?」
ヴェルザンディも動きを止めて聞いてくる。
「そうだなぁ…。『次の一撃で俺を殺せたらお前の勝ち』でどうだろう。」
俺の言葉に全員が驚いている。
まぁ当然だろう。つい数分前になす術なく殺されたばかりなのだから。
「…挑発のつもりですか?」
ヴェルザンディが慎重に聞いてくる。
「とんでもない、至って真面目だよ。」
「そうですか…、余程自信があるのでしょう。まぁ、無駄でしょうが。…良いでしょう。受けて立ちます。」
向こうも乗ってくれたので、俺は《
そして、あえてその事は言わない。向こうに、俺の能力は《
確かに《
しかし、俺の能力は《
…能力読み違えてたら死ぬかもしれないんだけどね…。
「…行くぞ。」
「あぁ、かかってきなさい。」
ヴェルザンディが剣を抜き宣言する。
俺もそれに応え、剣を構える。
剣を構えること自体はあまり意味が無いんだが…
ヴェルザンディはふぅー と息を吐き、こちらに視線を向ける。
刹那、ヴェルザンディの能力が発動した。
──おかしい。
ヴェルザンディは驚きを隠せないでいた。
確かに自分はウラノスの首を斬った。だが、相手は無傷のまま立っている。
(魔法を使用した形跡はない。ならば能力だろうか?いや、彼は先ほど《
有り得るはずのない出来事が目の前で起き、困惑するヴェルザンディ。
そしてヴェルザンディの能力、《
「よぉ、俺の勝ち、だな。これでお互い一勝一敗だ。」
ウラノスはヴェルザンディに笑いかけた。
投稿、お待たせしました。
ウラノスが新たに創った能力は一体何だったのか!?
次回、最終決戦です!