異世界転生した特典で貰った能力がチート過ぎた 作:ルーク(・8・)
フレイと名乗ったその女性は笑顔のままこちらを見つめてきた。
「ヴェル、よう連れてきてくれたなぁ。感謝するわ。」
「いえ、女王様の命令ですので当然です。」
「そんな固くならんでええのに。」
むーと軽く唸ったフレイを見ながら俺はノエルに話しかけた。
「なぁノエル、あいつの話してる言葉って…もしかして関西弁?」
『はい、正しくはパトニア語ですが
「二千年!?そんな前から転生者はいたのかよ…。」
そんな話をしていると
「して、ウラノスとやらよ。お主はこの国を手に入れてどうするつもりなんじゃ?」
と、フレイが唐突に話を振ってきた。
「あ、ああ。今この世界で起きている戦争を止めようと思ってな。そのために、まずは
俺はあることに気がついて話す速度が段々と遅くなっていってしまった。
「ど、どうしたんですの?ウラノス。」
「…なあハク、俺らまだ自己紹介もしてないし来た目的も話してないよな?」
「え、えぇ。…あっ!」
「
俺がそう言うとフレイは軽く微笑んだ。
「いんや。これは魔法やないで。確かにお主らの名前や来た理由はある方法で理解しとるよ。この方が話が進みやすい思うてな。」
「じゃあ俺らがどんな思いでここに来たかも知ってるか?」
「実力行使に出てでも仲間にする、やろ?」
俺はニヤリと笑っていた。
「確かに話が早いな。俺らは実力行使になってもお前らを仲間に入れる。ま、お互い痛い思いしないで済むから戦闘は避けた方が賢明だと思うけど?」
「アホ抜かせ。そう言われて簡単に国を差し出すわけないやろ。きちんと妾らを納得させんと、突然来た三人に国の命運任せられるか。」
確かに一理ある。
突如やって来た奴らに国をよこせと言われて渡す馬鹿なんかいない。
「じゃあどうしたら納得してもらえるんだ?」
「さっき自分でも言っとったやろ。お主らの力、見せてみぃや。」
「結局この展開ですの…。」
「いいじゃねぇか。いつまでも話し合ってるよりも簡単で明確だ。」
「ほな、この城の最下層にある闘技場に行こか。そこで軽くバトルしてもらうで。」
「ちょっと待って。最下層って言った?この部屋に登って来る時点で三十分かかってるのに更に下に降りるの?」
「妾は先に言って待っておるからなるべく急いで来ぃや。」
そう言うとフレイは突如姿を消した。恐らくテレポートを使ったのだろう。
「クソッタレェェェェーーーーーーー!!!」
「う、ウラノス!は、早いですわよ!」
「うるせー!ただでさえ登るのに時間かかったのにそこを降りてから更に一時間降りろって言われてんだぞ!どんだけこの城は馬鹿でけぇんだよ!」
「まだ降り始めてから五分しか経ってないのにもう疲れてきましたわ…。」
今、俺達は城の階段を猛ダッシュで駆け下りている。
全力ダッシュだが、ゴールが見える気は全くしてこない。
『…マスター。』
「なんだよノエル?」
『とりあえずこの城の入口まで《
「「あ」」
俺とハクの声が見事に被ったところを見て、ノエルはやれやれと首を横に振った。
「《
俺がそう唱えると瞬時に城の入口へと移動できた。
五分間の苦労は何だったのだろうか。
だが、ここからまた一時間降りなければならないのは変わらない。
さて、どうしようかと考えているとハクが尋ねてきた。
「ねえ、ウラノス。《
「えっと…、どうだったっけノエル?」
『《
「そうか…。じゃあ創るしかないか。あんまりバトル前に体力使いたくないんだが…」
そう言って俺は出会ったことのある人の元に転移する能力、《
「案外容量大きかったなこの能力。」
『では、私が一度戻りましょうか?』
「そうしてくれると助かる。悪いな」
いいえ と一言残しノエルは俺の中へと戻って行った。
俺が一日に創れる能力には限りがある。それは《
あまりに多くの能力を創ると深い昏睡状態に陥ってしまうし、創った能力があまりに強かったりすると更に体力が削られてしまうのだ。
今は《
因みに《
「よし、待たせたなハク。行こうぜ。」
「いえ。それより体力は大丈夫ですの?」
「ノエルも一度戻ってくれてるし大丈夫だよ。じゃあ、そろそろ行くか。」
俺がそう言うとハクは気恥しそうに俺の手を握ってきた。
転移するためには俺に触れてなければならないからだ。
──別に手を繋ぐ必要は無いんだが…まぁいいや。
「《
俺は息を吸うと力強い声で言った。
「なんややっと来たんか。ほな、始めよか。」
《
「ルールは簡単。うちのヴェルと三本対戦して、いっぺんでも勝てたらそっちの勝利でいいわ。」
「たった一回…ですの?」
「せや、まぁそもそも勝つことが出来るんかが問題やけどな。」
そう言ってくるフレイに
「あれ?フレイさんはやらないの?自分の手下に戦わせるだけなのかよ。」
と、軽く挑発してみるが
「まずうちのヴェルに勝てへんかったら妾が戦わんでも結果は分かるやろ。一勝出来たら、戦ってやってもええで。」
と軽く一蹴されてしまった。
「ほな、準備はいいか?」
「私は大丈夫です。」
「俺もだ。」
「では一戦目…開始!」
フレイの合図に俺とヴェルザンディの二人が同時に動き出した。