異世界転生した特典で貰った能力がチート過ぎた   作:ルーク(・8・)

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10話 〜再びの死〜

非常に不味い

これは初っ端から作戦失敗かも…

 

 

俺達は予定通り森妖精(エルフ)の街の一つである〔ブルムンタウン〕に到着した。

そう、そこまでは良かったのだ。

だが──

 

「もう!どういう事ですの!?」

「まさか森妖精(エルフ)が男嫌いだとは知らなかった…。俺の顔を見るなりすぐさま攻撃してきやがって…。」

『申し訳ありませんマスター。私の知識にもこのような事は…』

「ノエルが悪いわけじゃないよ。森妖精(エルフ)の森に入れる生物は限られてるんだ。知らなくても仕方ない。」

『はい…。』

 

とはいえお手上げだ。

森妖精(エルフ)(マナ)に敏感な種族でもある。

そのため、どんな魔法を使って顔を変えようが(マナ)の流れを読み取って直ぐに看破してしまうらしい。

俺の《創造(クリエイト)》で性別を変える能力を創ったら?という案も『異世界人(イレギュラー)の能力も元は(マナ)を使用しているため結果は変わらないかと…。』とノエルに言われボツとなった。

どうしたもんか…

 

「私とノエルだけで乗り込みますか?」

「いいや、それじゃダメだ。いざ戦闘になった時に戦力に差がありすぎる。」

「じゃあ…どうすれば…。もう!何でウラノスは男に生まれたんですのよ!」

「そこ!?」

「そうですわ!そもそもウラノスが女として生まれていればこんなことにはならなかったんですのよ!」

「んな事言ったって…。 …!」

「だから──ウラノス?」

「そうか…」

「え?」

「思いついたぞ!この場面の攻略法!」

「そ、それってどんな!?」

「それはだな…」

 

 

 

「ば、馬鹿じゃないですの!?」

「あぁ、馬鹿だよ。でもマジだ。」

「せ、成功するかもわからないんですのよ!」

「大丈夫だ。きっと俺ならできる。」

『ハクさん…』

「わ、分かりましたわ。それじゃあ…」

「ああ、いつでもいいぜ。」

「…失敗したら許しませんわよ…。」

「安心しろ。すぐに戻ってくるさ。」

 

そう言うとハクは音速にも届きうる速さで足を上げ──

 

──首から上は空高く舞い、俺は一瞬のうちに絶命した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生(リバース)

 

それは俺が絶命する前に創った能力。

名前の通り死んだ時に転生することが可能な能力だ。

しかしこの能力の欠点は一度しか使えないということ。

普通ならば何も問題は無いのだが、俺は既に一度転生している。だからそれだけが賭けだったのだが…

 

「…どうやら上手くいったようだな…。」

 

目の前に立っているのは見覚えのある人物。

そう、女神レティアだ。

 

「また会いましたね、レティアさん。」

「全く無茶なことをしますね…。下手すればそのまま死んでいたんですよ?」

「何とかなったからいいじゃないですか。それより…」

「はい。事情は知っております。──女性に転生、ですよね?」

「あぁ、話が早くて助かるぜ。能力はそのままにして貰えるのか?」

「…今回だけ…ですよ?」

 

かわいい。不覚にもドキッとしてしまった。

というかレティアさんってかなり俺の好みなんだよな。

可愛さもある大人…というか──

「ちょっと!聞いてます?」

「ひゃい!?」

「まったく…キチンとしてくださいよ?」

「ご、ごめんなさい…。ええとそれで?」

「もう…。ですから…今回転生する際に身体能力などを男性時と同様にすることが出来ますがどうしますか?」

「えぇとそれってつまり、身体能力はそのままで性別だけ変えられるってこと?」

「そういう事です。」

「じゃあそれで頼む。」

「分かりました。それでは、貴方の新たな人生に幸福の限りがあらんことを…。」

 

レティアが手を組みそう言うと、俺の体が白い光に包まれていった。

 

「ありがとな!レティアさん!」

 

光に飲み込まれる中、おれはそう叫んだ。

 

 

──目を覚ますとそこも見慣れた場所だった。

 

「ここは…初めて転生した場所?」

 

なぜ?とも思ったが今はとにかく先を急がねば。

俺は《空間移動(テレポート)》を使用し、ハクとノエルがいる場所へと転移を行った。

 

 

──無事に二人の元にたどり着けた。

今回の作戦が成功したことを報告し、次の作戦の話をした。

最初は見知らぬ女が話しかけてきたので二人も警戒していたが、俺の能力を見てすぐに納得してくれた。

 

「んで次の話だけど改めてブルムンタウンに乗り込もうと思う。」

「ですわね。」

『マスターがいない間に情報収集も済ませておきました。森妖精(エルフ)にはとてつもなく強い異世界人(イレギュラー)がいる…と。』

「そんな奴がいるのか…。森妖精(エルフ)の森で過ごせるなんてとんでもないやつだな。」

「魔法適性地だけでなく、純粋な戦闘能力もとても高いらしいですわ。」

『そして何よりも厄介なのが…』

「能力…か。」

『はい。その能力の内容自体は分からなかったのですが、とある噂を耳にしました。』

「噂?」

『はい…。何でも瞬きの間に敵が皆斬られてしまった…と。』

「一瞬で人を何人も斬った…?」

『その通りです。普通の人間には有り得ないことですが…』

 

一瞬で二十人を斬り倒した…

超高速移動系の能力だろうか…?

それとも剣の斬撃で…?

 

そんなことを考えていると、ノエルが口を開いた。

『分からない能力をいくら考えても仕方ありません。それよりも行動を起こした方が良いのでは?』

「…そうだな。まずは目の前の問題からだ。そいつの能力は対峙した時に暴いてみせるさ。」

 

そう言って俺達は再びブルムンタウンへと入っていった。


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