ドラえもん のび太と仮想世界   作:断空我

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GGO編の伏線めいたものです。

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60.盗まれた記憶(前編)

警視庁特命係。

 

 それは組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課の奥。

 

 とても小さな個室に特命係と書かれているプレートがついている。

 

 特命係には二人の刑事が所属している。

 

 一人は杉下右京

 

 仕立てのスーツを着用、ベルトは使わずボタン留めのサスペンダーを使用している。

 

 紅茶を愛用しており、愛用のマグカップに独特な淹れ方が目立つ。

 

 もう一人は甲斐亨、特命係に所属する巡査部長。

 

 ノーネクタイのシャツ、ジレを愛用してジャケットにジーンズを愛用している。

 

 特命係は人材の墓場といわれている。

 

 杉下右京の下へ就いた六人が一年も経たずに警察を去っていった。

 

 その例外の三つ目が杉下右京によって推薦された甲斐亨こと、カイトである。

 

 特命係は基本的にこれといった仕事はない。

 

 他部署から依頼された仕事を手伝う。それ以外はこれといってやることのない。

 

 右京やカイトも思い思いの時間を過ごす。

 

 今日もそのはずだった。

 

「よっ、暇か?」

 

 特命係の入り口から警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策五課の課長である角田六郎がやってくる。

 

「なんだよぉ、コーヒーの準備しとけよなぁ」

 

「ここへコーヒー飲むためだけにくるの、やめたらどうです?」

 

 角田はコーヒーメーカーをみてぶつぶつと作業を始める。

 

 カイトは肩をすくめた。

 

「あ、そうだ、警部殿。アンタにこれ」

 

 思い出したように手紙を差し出す。

 

「おや、手紙ですか?」

 

「そ、警部殿宛だったみたいよ」

 

 角田から手紙を受け取る。

 

「変わった宛名ですね」

 

「どれどれ?あ?旅の霊夫?」

 

 カイトは裏に書かれた名前を読む。

 

「変な名前だな。いたずらですかね?」

 

「中をみてみましょうか」

 

 杉下は手紙の封を切る。

 

 後ろからカイトも覗き込む。

 

 すぐに顔をしかめた。

 

「何だ、これ!」

 

『杉下右京様へ。はじめまして、私は旅の霊夫といいます。突然ですが、私は一人の少年の大事な記憶を盗みました。名刑事、名探偵と名高いあなたへ挑戦をします。少年の記憶を取り戻せる自信がありましたら、下記の場所へ向かってください』

 

 手紙の内容は杉下右京への挑戦状。

 

 しかし、内容がばかばかしい。

 

「随分とふざけた悪戯だな」

 

「記憶を盗んだぁ?いたずらにしては随分とバカらしい内容だな」

 

 同じように手紙の内容を見た角田もカイト同様にいたずらと判断している。

 

「しかし、気になりますねぇ」

 

「何ですか?」

 

 カイトは杉下へ尋ねる。

 

「この記憶を盗むということです。これはいうなれば窃盗予告のようなもの……警察へ送ってきたというのに放置するのはどうかと思います」

 

「だけどぉ、記憶を盗むって、何を盗むっていうのさ?」

 

「そこです。何の、どういった記憶を盗むのか……そこを確かめてから悪戯と判断すべきでしょう」

 

 外出準備を始めた杉下にカイトは待ったをかける。

 

「もしかして、行くつもりですか?」

 

「嫌ならこなくていいですよ?」

 

 そういって出ていく杉下。

 

「あぁ、もう!杉下さん、待ってください!」

 

 カイトは少し悩みながらも上司を追いかけることにした。

 

 角田課長はコーヒーを一口。

 

「大変だねぇ、アイツも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「杉下さん、本当に行くんですか?」

 

 杉下右京の車で目的地である家へ到着する。

 

「当然です」

 

 今更というようにカイトをみる右京。

 

 この上司へこれ以上、何を言っても無駄ということを学んだカイトは無言でついていく。

 

 『野比』と書かれている表札のドアホンを鳴らす。

 

 しかし、反応はない。

 

「留守じゃないですか?」

 

「おや、空いていますね」

 

 ドアノブを捻ると、ドアが開かれる。

 

 ドシン!という大きな音と「のび太君!」という声が聞こえてきた。

 

「杉下さん!」

 

「二階からです」

 

 異変を察知した杉下とカイトは階段を駆け上がる。

 

「大丈夫ですか!?」

 

 二人がドアを開けて小さな部屋に突入した時、そこに信じられないものがいた。

 

「青い、タヌキ?」

 

 カイトの漏らした言葉にタヌキ?が怒る。

 

「僕はタヌキじゃなぁぁあああああい!」

 

「キミ、大丈夫ですか?」

 

 叫ぶ青いタヌキ?をおいて、杉下は気絶している少年へ駆け寄る。

 

「あ、のび太君!」

 

「気絶しているだけのようですね」

 

 杉下の言葉に青いタヌキは安心した表情を浮かべる。

 

「あの、ところで、貴方達は?」

 

「あぁ、失敬、私達は――」

 

「ドラえもん!のび太が来て……え?」

 

 二階へあがってきた少年は驚きの声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 のび太を寝かせて、ドラえもんと桐ヶ谷和人の二人は特命係の杉下右京と甲斐亨と話をしていた。

 

「ほぉ、二十二世紀の未来からやってきたネコ型ロボットです」

 

「僕、ドラえもんです」

 

「うわぁ、ネコよりかタヌキにみえる」

 

「失礼な!」

 

 カイトの言葉に怒るドラえもん。

 

「ところで、刑事さんの二人はどうして、のび太の家に」

 

「あぁ、そのことなのですが」

 

「う、うぅん」

 

 隣でうめき声が聞こえて和人とドラえもんが視線を向けると、寝ていた少年、野比のび太が目を覚ます。

 

「あれ、僕、何をしようとしていたんだっけ?家出をしようとして……何か大事なことを忘れてしまったような?」

 

「のび太君!」

 

「のび太!目を覚ましたか?」

 

 二人の言葉に目を覚ましたのび太は首をかしげる。

 

「キミ達、誰?」

 

「え」

 

「おい、のび太?」

 

 突然の言葉に困惑する二人。

 

「何を言っているのさ?和人君に、ドラえもんだよ」

 

「あぁ、そっか、和人にドラえもんだよね……」

 

 少し考えるのび太。

 

「ドラえもん、和人、僕とキミ達ってどういう関係だっけ?」

 

「「!?」」

 

 のび太の言葉に戸惑う、和人とドラえもん。

 

 対して、杉下とカイトは目を見開く。

 

「ちょっと、失礼します。野比のび太君。僕は警視庁特命係の杉下右京と言います。突然のことですが、いくつか確認をさせてもらいますよ?」

 

「え、あ、はい」

 

「和人君にドラえもん、アルバムか何か用意してもらえるかな?」

 

 カイトに言われて二人はアルバムを探しに向かう。

 

 数分後、用意されたアルバムを眺めるのび太。

 

 その顔は酷く困惑している。

 

「駄目だ、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃん、おばあちゃんのことは覚えているのに、ドラえもんや和人、パパとママのこと、顔はわかるのに何も思い出せない」

 

「では、確認です。キミの両親、ドラえもん君、和人君の記憶が失われているのですね?」

 

「はい」

 

 頷くのび太。

 

 考える杉下へカイトは尋ねる。

 

「杉下さん、これって」

 

「えぇ、どうやったのかはわかりませんが何者かがのび太君から特定の人の記憶を盗んだようです」

 

「記憶を盗むって、どうやって?」

 

 記憶を盗まれたという事実に動揺をしているのはのび太だけではない。

 

「ねぇ、のび太君、本当に忘れたの?」

 

「う、うん」

 

「本当なのか?俺とのび太が出会った時のことや……」

 

「僕達と一緒に色々とした冒険も?」

 

「ごめん、思い出せないんだ!」

 

「おや?」

 

 杉下は泣きじゃくるのび太の額を注目した。

 

「杉下さん?」

 

「のび太君、その額の文字はなんですか?」

 

「え?」

 

 のび太は置かれている手鏡で覗き込む。

 

 そこにはある文字が書かれていた。

 

「この鏡の謎を解け 旅の霊夫」

 

「杉下さん!」

 

 文字を見たカイトが杉下をみる。

 

 少しばかり目を見開きながら杉下右京は頷いた。

 

「どうやら、ここで繋がったようですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここで杉下は三人へ事情を話す。

 

 特命係へ届いた旅の霊夫と名乗る者からの挑戦状。

 

 彼らが野比家へやってきたタイミングで起こった異変。

 

 何もかもが繋がってしまった。

 

「さて、謎というものですが」

 

 杉下は手鏡を調べる。

 

 そこには奇妙な暗号が書かれていた。

 

「なんすか?これ」

 

「簡単な暗号ですね」

 

「「えぇ!?」」

 

 驚く和人とドラえもん。

 

「これは鏡がヒントになっています」

 

 杉下は手鏡を用意して別の鏡を取り出す。

 

「みてください。すべての文字が真ん中で左右対称になっています。つまり、真ん中にぴったりと鏡を立てて、みることで文字がわかるということです!」

 

「凄い……」

 

「つまり、文字を半分だけ消してみると」

 

「「六年前の空き地!」」

 

「けれど、これが手がかりってどういうことだよ?」

 

「そうですね」

 

「ドラえもん!」

 

「うん、六年前の空地へ行こう!」

 

「いや、行こうって、そう簡単に行けるわけ」

 

 和人とドラえもんの言葉に杉下とカイトは戸惑う。

 

 二人の目の前でさらなる驚きが起こった。

 

 のび太の机、引き出しをあけて、のび太を連れて二人は中に飛び込んだ。

 

「!?」

 

「おやおや」

 

 驚くカイト、杉下は机の中を覗き込む。

 

 そこは広大な空間があり、奇妙な機械に乗っている二人。

 

「杉下さん!甲斐さん!こっちです」

 

「早く!」

 

「行きましょう」

 

「えぇ!?」

 

 驚くカイトを余所にタイムマシンへ乗り込む杉下。

 

 五人は六年前の空地へ向かう。

 

 その途中で和人が杉下とカイトへタイムマシンの説明をする。

 

「成程、これがタイムマシンですかぁ!」

 

「頭がパンクしそうだ」

 

 子供のようにウキウキした表情でタイムマシンを見る杉下。

 

 カイトは頭を押さえていた。

 

 たどり着いた六年前の空地。

 

 そこには幼いのび太とパパの姿があった。

 

 のび助が投げるボールをキャッチできず頭にぶつけるのび太。

 

 笑うのび助にのび太が頬を膨らませる。

 

「なぁ、のび太。なぜ、お前にのび太って名前を付けたか知っているか?」

 

「知らない!」

 

 のび助は話す。

 

「のびのびと健やかに育ってほしいからだよ。勉強ができなくてもいい、運動ができなくてもいい、とにかく健康に育ってくれれば、それだけでパパは嬉しいんだよ」

 

「うん!」

 

 のび助と話して嬉しそうに答えるのび太。

 

 呆然としているのび太の足元に転がって来るボール。

 

 手に取ると汚い字で「のびた」と書かれている。

 

 のび太はそのボールを手に取ってのび助へ投げた。

 

「確か、こんなふうに投げたんだっけ?」

 

 投げたボールをのび助は受け取る。

 

 その時、のび太の頭にある映像が流れ込む。

 

 幼いのび太とのび助が夕焼け空の下でキャッチボールをしている姿。

 

「のび太?」

 

 和人が泣いているのび太へ声をかける。

 

「僕、野球は下手だけど……」

 

 手で涙を拭きながらのび太は微笑む。

 

「パパとキャッチボールをするのは大好きだったんだ」

 

「どうやら、キミのお父さんの記憶は取り戻したようですね?」

 

「はい!」

 

「おぉ!すっげぇ!」

 

「やったぁ!」

 

「良かったな!」

 

 のび太が記憶を取り戻したことに喜ぶ一同。

 

「喜ぶのはまだはやぁい!」

 

 聞こえた声に彼らは振り返る。

 

 空き地の木の上、そこに立っている者がいた。

 

「誰ですか!」

 

 杉下が叫ぶ。

 

 シルクハットをかぶり、杖を持った初老の男性。

 

「あの謎を解いたのは褒めてやろう。だが、次からはそうはいかん!このアルセーヌ・ルパンが相手をしよう!」

 

「はぁ!?アルセーヌ・ルパン!?」

 

「残り三つの記憶、そうやすやすと取り戻せると思わないことだ!」

 

 ルパンを名乗った人物と後ろにいた何者かは自らが展開していたタイムホールの中に消えてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現代。

 

「おそらくだけど……アルセーヌ・ルパンは架空人物たまごで呼び出されたんじゃないかと思う」

 

「架空人物たまごぉ?」

 

「名前の通り、小説などにしか存在しない、架空とされる人物のたまごということですね?」

 

 ドラえもんの言葉に右京は尋ねる。

 

「つまり、相手も未来の道具を使う奴がいるってことか?」

 

「うん、それと、のび太君の記憶を盗んだ道具は、メモリーディスクだと思うんだ」

 

「メモリーディスク?」

 

 知らない言葉にドラえもんは説明する。

 

「人の記憶、それを最も強い形にして取り出すことができる道具なんだ。ただ、この道具はとても危険なもので、記憶を取り出して三日以内に持ち主へ返さないとその人との記憶が消えちゃうんだ」

 

「消える!?そんな!ママや和人、ドラえもんの記憶が!?」

 

「つまり、タイムリミットがある」

 

「マジかよ」

 

「ですが、我々に成す術がないというわけではありません」

 

 杉下右京は冷静だった。

 

「この三日間で、我々にルパンは挑戦をしてくるでしょう。その挑戦全てをクリアすればのび太君の記憶は取り戻せます」

 

「必ず、のび太君の記憶を取り戻そう!」

 

「俺も、俺も手伝うよ!」

 

「二人とも……」

 

「杉下さん、これはとんでもないことになりましたね」

 

「えぇ、ですが、必ず記憶は取り戻して見せますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 のび太、和人、ドラえもん、杉下、カイトのメンバーは美術館へ来ていた。

 

「流石に不法侵入をするわけにはいきませんよね」

 

「幸いにもこの時間は誰もいません……しかし」

 

 杉下の手には挑戦状が握られている。

 

 『美術館へ来い』そう記された挑戦状で彼らは来ていた。

 

 車で行くと少しばかり時間がかかるのでドラえもんのどこでもドアを使っている。

 

「ヤバイ、俺の知っている現実が音を立てて崩壊しようとしている」

 

「あははは」

 

 頭を押さえているカイトをみて、和人は苦笑する。

 

「杉下さん!」

 

 カイトは地面に倒れている警備員の姿を発見する。

 

「これは」

 

「邪魔なのでね、少し寝てもらった」

 

「その声は、でてきなさーい!」

 

 杉下の言葉で姿を見せるルパン。

 

 身構えるカイト。

 

「また会えたな。お前達の探し物はこの美術館のある場所へ隠してある。探し出すのだ」

 

「ふざけんな!どこに隠しやがった!」

 

「カイト君!」

 

 とびかかるカイト。

 

 しかし、ルパンはワイヤーで天井へ舞い上がる。

 

「どこに隠したんだ!」

 

 和人が叫ぶ。

 

「昼間は口をあけて笑い!夜は口をつぐみ黙り込むお嬢さん!」

 

 ルパンは笑いながら地面にボールを叩きつける。

 

 ボフゥン!と煙が舞い上がって彼らの視界が隠された。

 

 しばらくして、煙が晴れるとルパンの姿はどこにもなかった。

 

「どういう、意味だ?」

 

「訳の分からない言葉を残しやがって」

 

 顔をしかめながらカイトは周りを見る。

 

 そこには自画像や絵画、様々なものが展示されていた。

 

「昼間は口をあけて笑い……夜は口をつぐみ黙り込むお嬢さんとかいっていたけれど」

 

「どういう意味だろう」

 

 首をかしげるのび太と和人。

 

 カイトは周りの絵をみる。

 

「昼は笑っていて、夜は黙り込む女の絵……かなにか?」

 

「でも、絵が笑って黙り込むなんてことあるのかなぁ?

 

 ドラえもん達が悩んでいたころ、杉下は地面をみていた。

 

「カイト君」

 

「はい?」

 

 杉下はルパンが立っていた地面を指さす。

 

「これ、なんでしょう?」

 

「粉?みたいにみえますね……」

 

「甘い香りみたいなものもしますねぇ」

 

「そうですね、何の香りだろう?」

 

 考える杉下。

 

 立ち上がって杉下は周りを見る。

 

 そして、目を閉じた。

 

「杉下さん?」

 

 静かにというように指を突き付ける。

 

 小さく鼻を動かすようにしながら杉下はゆっくりと歩んでいく。

 

「一体、何を?」

 

「わからない」

 

 首をかしげるドラえもん達。

 

 カイトたちは杉下を置いて周りを調べる。

 

 しばらくして。

 

 杉下はある場所で立ち止まる。

 

「見つけました」

 

 彼の言葉で全員が集まる。

 

「杉下さん、これって」

 

「ルパンは我々と知力ゲームを楽しんでいる。最初の鏡の謎、そして、今回の謎も必ずと言っていいほど、手がかりを残しています。一つ、昼は口を開けて笑い、夜は口をつぐみ黙り込むお嬢さん」

 

「いや、でも、これ、チューリップですよ?」

 

 カイトが指さしたのは窓際に並べられているチューリップだ。

 

「だからこそです!チューリップという花は昼間、花を開いて夜を閉じています。この数ある絵や像の中で街頭するものはそれしかありません」

 

 もう一つ、と続けて指を動かす。

 

「ルパンが立ち去った際に落としていた粉。これは詳しく調べればわかることですが花粉です。考えられる限り、ここにのび太君の記憶の手がかりがあるはずです」

 

 杉下はチューリップの花の中を調べる。

 

 その中から出てきたのは小さなクレヨン。

 

「クレヨン?」

 

「どういう……」

 

「もしかして」

 

 クレヨンを見ていたのび太は声を漏らす。

 

 のび太が思い出したのは家へ戻ってきたときにママがみせてくれたチューリップの絵。

風邪をひいていたのび太へママが持ってきてくれたチューリップ。

 

 太陽の光をたくさん浴びた、チューリップの香りにのび太は翌日にすっかり元気になった。

 

 そのお礼でチューリップの絵をママへプレゼントした。

 

「ママは大事にしまってくれていたんだ」

 

 のび太は嬉しそうにクレヨンを握り締めた。

 

「思い出したんだね!ママとの思い出!」

 

「うん!」

 

「やったな!」

 

 ドラえもんと和人は喜ぶ。

 

 


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