誕生日前の宴
「勝負あり!勝者、西ナッジ老師!」
ここはアルソード王国の競技場。町は魔王討伐五周年記念の祭りが開かれていた。
「フォッフォッフォッ!ワシの腕もまだまだ衰えてはおらんの。さて、もうおらんかのう?ワシに戦いを挑む勇敢な若者は...」
「(あのじいさんすげえな。確か、親父の剣術の師匠だったか。)」
ちらっと目を向ける安藤(もといジル。)
「お主は確かバウドどのの息子じゃったな。よかろう。バウドの息子がどのような実力を持っているか、見極めてやろう。」
「なんと!!ナッジ老師からの指名です!ジルは、あのにっくき魔王をねじ伏せたバウドどのの息子!両者は、どのような戦いを見せてくれるのでありましょうか?」
「宜しく頼むぜ、じいさん。」
「うむ。親父どのから話は聞いておるぞ。お主も確か明日で16じゃったな。剣術の基本を教えてやるとしようぞ。」
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「必殺剣というのがあってだな。」
「気合い斬り?」
「おおそうじゃ。よくしっておったの。」
「(ゲームでしっていたなんて言えない...)」
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「フォッフォッフォッ!やはりお主は筋がよい。お主がおれば、今後もアルソード王国の平和は約束されよう。カッカッカッ!!」
「以上を持ちまして、魔王討伐五周年記念の祭りを終了させていただきます。皆様、お疲れ様でした。」
「疲れたなー」
「よう、どうやらこの父バウドの名に恥じぬような戦いを見せてくれたようだな。もっとも、ナッジの爺さんは本気じゃなかったわけだが。本来ならお前にもっと稽古をつけてやりたかったんだが、俺の腕はこんなになっちまったしなあ...」
「(しかしほんとに来ちまったんだな、この世界に。親父の義手。魔王の戦い、相当だったんだな...)」
「やあ!先程の戦いを見せてもらいましたよ。中々見応えのある試合でしたね。」
「これは王子。私が教育係をしていた頃より、随分逞しくなられましたなあ。」
「ええ。日々鍛練を欠かせませんから。」
「それより王子。ヒルダ女王のお姿が見られないようですが...」
「母上は体調が優れないらしくて...ここ数日、顔も見せてくれないんですよ。僕は心配で!」
「ふむ。こちらから挨拶に伺おうと思ったんだが、辞めておくとするか。」
「あっ、ジル君!いつか手合わせしましょう!約束しましたからね!では僕はこれで!」
「okとは言ってないんだよなあ...」
「まあそういうな。じゃ、先に帰っててくれ。俺は用があるからな。明日はおまえの誕生日。なにか旨いもんでも買ってくるよ。」
「おう。じゃーなー」
「(ようし、この世界を全力で楽しむぞー!)」
ゲームの内容で話が進んでいくからアレンジを加えるのが難しい...ジルの一人視点とかやってみたい。とりあえず次回から本編。では次回まで!