聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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遅れましたが新年もよろしくお願いします。

本編のストーリーが纏まらず、ちょっと息抜きで『絶唱しないシリーズ』を書きます。

ちょっとエッチな感じにします。


GX編
絶唱しないシリーズGX1 雪音クリスは甘えたい


これは、切歌と調がリディアン音楽院に入学してからしばらく経ったある日。

リディアン音楽院も共学化し、1年生と2年生のクラスに男子生徒がチラホラ存在しているが、3年生のクラスには男子はおらず、大半の生徒達は下級生の階に行って男子の見物に行っていた。

 

「え? 少女漫画?」

 

友人のクラスメート達と昼食を取っていた雪音クリスは、不意にクラスメートが語った少女漫画のストーリーを聞いた。

 

「そうそう! その漫画のカップルのイチャイチャが凄くて! ベタなんだけど、嫌、ベタだからこそ憧れるんだよねぇ~!」

 

「雪音さんはそんなシチュエーションって経験無い?」

 

「うぅ~~ん・・・・」

 

昼食を終えたクリスはクラスメートから少女漫画を借りてページをパラパラ捲り、一通り目を通すと。

 

「ほぁぁぁぁぁぁ~・・・・・・/////」

 

パタンっ、と本を閉じたクリスの顔は少し赤くなりながら、感嘆の声をもらした。

 

「雪音さん?」

 

「ち、ちょっと外行ってくる・・・・/////」

 

顔を赤くし、頭から湯気を出しているクリスは、一端教室を離れた。

 

「・・・・/////」

 

クリスの頭では、先ほどの漫画のイチャイチャシーンが浮かんでいた。

 

『彼氏が「あーん」してくれる』

 

『「あごクイ♥」される』

 

『耳元で甘い言葉を囁いてくれる』

 

『時には強引に壁ドン』

 

『優しく頭をナデナデ』

 

『優しく抱き締めてくれる』

 

『体を寄せあって積極的に』

 

ベタベタな恋愛模様だが、クリスはこのシチュエーションを見てこう思った。

 

「(あぁヤバい。今すぐお兄ちゃんに思いっきり甘えたい・・・・!)」

 

少女漫画を読んで、主人公の女の子と恋人の男子との恋愛模様を自分達に置き換えて考えると、クリスは無性にデジェルに甘えたくて仕方なくなっていた。

 

「(落ち着け・・・・もうすぐ学校も終わるし、今日はお兄ちゃんもすぐに帰ってくるから、家に帰ったら思いっきり甘えれば良いんだ・・・・!)」

 

クリスは非常に悶々とした気持ちのまま、午後の授業を過ごした。

 

 

 

 

「どうしてこうなった・・・・?」

 

放課後。クリスはあるマンションに来て思わず呟いた。

 

「ん? どうしたのクリスちゃん?」

 

渋面を作るクリスに話しかけるのは、同じくシンフォギア装者の立花響と親友(飼い主?)である小日向未来。

他にも、シンフォギア装者にして先輩の風鳴翼。後輩としてリディアンに入学した暁切歌と月読調、そして二人の保護者代表であるマリア・カデンツァヴナ・イヴが、マンションの居間で荷物整理をしていた。

 

「どうしてアタシ達は後輩達の荷物整理の手伝いを?」

 

「え? だって切歌ちゃんと調ちゃんがマニゴルドさんとカルディアさんの住んでいるマンションに住む事になったから」

 

「皆で荷物の整理を手伝おうって事になったんだよ」

 

「と言うより、立花が決めて小日向も付き合い、私達はなし崩し的に手伝う事になっただけだがな」

 

いつもように響のお節介な人助けであった。

 

「たくっ、お人好しもここまで行くと表彰状モンだ・・・・」

 

「そう言うな雪音。後輩の面倒を見るのも先輩の務めだ」

 

「分かってるッスけど・・・・」

 

「ごめんなさい。クリスにも用事が有ったのに・・・・」

 

「い、いや、別に良いけどさ・・・・」

 

申し訳無さそうに頭を下げるマリアに、さすがにクリスもばつが悪そうに言い淀んだ。

 

「所でよ、そのカニとサソリはどうしたんだよ? レグルスもいねぇし」

 

「レグルス君達なら、切歌ちゃんと調ちゃんの部屋でベッドと机を作ってるよ」

 

マニゴルドとカルディアとレグルスは、切歌と調の部屋(予定)で、家具屋から買ってきた二人用のベッドと机を組み立てている真っ最中だった。ちなみにデジェルは大学があるので少し遅れる。

 

「マニゴルドとカルディアには感謝しているわ。切歌達の為にこんな広いマンションを借りているだなんて」

 

「凄いよねぇ~。エルシドさんとアルバフィカさんも来れば「響!」ムグゥッ!」

 

未来が響の口を塞ぐが、時すでに遅く、いつの間にか翼とマリアが無言で居間の隅に移動して体育座りをしていた。

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

「翼さん・・・・マリアさん・・・・」

 

シジフォスと聖衣の捜索、冥衣の捜索ならびに破壊の任務についているエルシドとアルバフィカは、現在日本に居らず、『フロンティア事変』から音沙汰の無い状態だった。

一応弦十郎には定期連絡をしているが、翼とマリアにはまったく連絡をしておらず、二人はその事を触れられるとずぅぅ~んっと、負のオーラを纏ってお通夜のような雰囲気で落ち込んでしまう。

 

「・・・・なにやってんだか」

 

響と未来が慌てて翼とマリアのフォローをしているのを尻目に、クリスはさっさと片付けを終えて家に帰ろうと思ったクリスだが、この部屋の住人になる(予定の)切歌と調がさっきから話に入ってこないのが気になり二人を見ると、切歌と調は紙類ゴミとして置かれていた本の束から、一冊の本を取り出して、二人で読んでいた。

 

「おい、お前ら何やって・・・・」

 

「き、切ちゃん・・・・これ・・・・!//////」

 

「デデデデェ~ス! と、とんでも無いものを見つけてしまったデス!/////」

 

切歌と調に話しかけようとしたクリスは、二人のボソボソとした会話に首を傾げ、コッソリと二人の読んでいる本を上から覗き混むように見るとそこには・・・・。

 

「(なっ!//////)」

 

そのページには、全裸の女性がその肢体に荒縄で縛られ、鞭で叩かれて恍惚の表情を浮かべる、極めて被虐的写真が載った本。つまりSM本だった。

 

「こ、こんな縛られ方があったデスか・・・・//////」

 

「ち、ちょっときつそうに見えるけど・・・・//////」

 

切歌と調は顔を紅潮させ、胸の動悸が激しくなっているのか、少し動揺混じりに声を出していた。

 

「で、でもデスよ・・・・。この女の人、凄く気持ち良さそうにしてるデェス・・・・//////」

 

「こ、この縛り方って、そんなに良いのかな・・・・//////」

 

「デデデデスかね・・・・? こ、今度マニゴルドに縛ってもらって・・・・//////」

 

「テ、テメェら! な、ななな、なんて卑猥な物を読んでやがるッッ!!!!!/////////////」

 

「「っ!!」」

 

切歌と調以上に顔を真っ赤にしたクリスが、二人からSM本を取り上げた。

 

「あぁ! なにするデスかクリス先輩!!」

 

「まだ途中なのに!!」

 

『???』

 

落ち込んでいた翼とマリア、その二人のフォローをしていた響と未来も、クリス達の騒ぎで振り向く。

 

「ウルセェ! お前らなんて物読んでんだよ! お前らがこんな破廉恥な物を読むだなんて2年早いんだよっ!!」

 

「そんな事ないデス! アタシ達だってもう高校生デス!」

 

「ちょっと後学の為に読んでいただけで・・・・!」

 

「なんの後学の為だっ!!!」

 

『っ!!///////』

 

「???」

 

響達もクリスが持っている緊縛された女性の表紙と、『緊縛プレイの美しさ』と言う名前から何の本か理解し顔を赤らめ、翼だけは何故か首を傾げていた。

 

「皆、どうかしたのか?」

 

「ウルセェぞお前らさっきから!」

 

「真面目に仕事してんのかっ!?」

 

「何かあったの?」

 

と、ここで大学を終えたデジェルが居間に入ってきて、マニゴルドとカルディアとレグルスがあまりの騒ぎに居間に顔を出した。

 

『あっ!』

 

『ん・・・・あっ』

 

「「???」」

 

翼を除いた装者達は硬直し、レグルスを除いた聖闘士も、クリスが持っている本を見て唖然となった。

翼とレグルスだけは、本の内容を理解できず首を傾げるだけだった。

 

 

 

 

 

 

それからしばらくは混乱状態だった。

マリアが切歌と調に、「こんな本読んじゃいけません!」と説教し、マニゴルドに「調と切歌の教育に悪い物は持ち込まないで!」と説教した。

調と切歌は大人しく説教され、マニゴルドは「ちゃんと捨てようと思ってたんだぜ。それとこういう物を持っていないと、逆に男として不自然だろうがよ」と言い出したりして、マリアとクリスの怒りの火に油を注いだりした。

デジェルと翼が二人を宥め、カルディアはその光景を見てゲラゲラと笑っていた。

レグルスが「響? この女の人はどうして縛られているんだ?」と純粋な疑問を聞いて、響と未来が顔を紅くして、「「レグルス君は知らなくて良いことだからっ!//////」」と必死にレグルスを説得した。

それからレグルスと翼を除いた男女は気まずい雰囲気のまま作業が終えると夜になり、マリアが「皆とこれからの生活態度を協議するから、悪いけど今日はこれで解散しましょう」と言って、レグルスは響と未来を寮に付き添い、翼はちょうど緒川が迎えに来たので車で帰った。そしてクリスとデジェルも家に帰ると、クリスはデジェルの手を引っ張って、居間のソファーの近くまで連れていく。

 

「ッッ・・・・//////」

 

「クリスっうおっ!」

 

クリスがデジェルの手を離すと、すかさずデジェルの首に両手を回して、デジェルごとソファーに転がり込んだ。

 

「クリスっ! どうしンムッ!?」

 

「ンッ・・・・アムッ!」

 

押し倒されたデジェルの唇をクリスはいきなり塞いだ。それだけではなく、デジェルの唇を舌で無理矢理こじ開けて、デジェルの舌と自分の舌を激しく絡ませた。

 

「ン! アン! ンン!」

 

「ンン・・・・!」

 

クリスが貪るように舌を絡ませ、時にデジェルから出た唾液を飲むように喉を鳴らし、デジェルも最初は驚いたが、すぐに冷静になり、クリスの情熱的な接吻を受け入れる。

 

「プハッ! ハァ、ハァ、ハァ・・・・」

 

「ハッ!・・・・どうしたクリス?」

 

ようやく唇を離すと、二人の唇から唾液が銀の糸のように伸びるが、すぐに切れた。

 

「お兄ちゃん・・・・お兄ちゃんも、あんな破廉恥な本とか持ってるの?///////」

 

「っ。いや、そんな事は無いが・・・・」

 

「でも、あのカニは、持っていないと男として問題が有るって・・・・」

 

「いや、確かに男性として持っている事は当たり前であるとは思うが・・・・」

 

「うぅッ・・・・」

 

デジェルがそう言うと、クリスは泣きそうな顔になった。自分と言う者が有りながらエッチな本を持とうと思っているデジェルに、思わず泣きそうになった。

が、デジェルはそんなクリスの頬に優しく手を添える。

 

「大丈夫だ。私には君がいるから、そんな卑猥な本は持ち込まないよ」

 

「ホント?」

 

「ああ本当だ」

 

「んでもさ。持っていないと、男として逆に問題だって言ってたじゃん」

 

「まぁそうだな・・・・」

 

苦笑いを浮かべるデジェルにクリスはズイっと顔を近づける。

 

「お兄ちゃん・・・・」

 

「ん?」

 

「良いよ・・・・お兄ちゃんの好きにしても・・・・//////」

 

「っ//////」

 

顔を赤らめて、瞳を潤ませたクリスにそう言われ、デジェルは少し顔を紅くし、そのままクリスを思いっきり抱き締め、二人は再び唇を合わせたーーー。

 

 

 

 

翌日。顔を健康的なまでにツヤツヤとさせたクリスを見て、クラスメート達が彼氏と何か合ったと察し、キャイキャイと騒がれたのは言うまでも無い。

 

 




本編ではイチャイチャシーンが書けなかったので、息抜きでラブコメを書きました。

一応言っておきますが、デジェルとクリスは一線を越えていません。まだ『17禁レベルのイチャイチャ』です。

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