『ルナアタック』から少しした、デジェルとクリスの“夏のデート”模様です。
これは、『ルナアタック事変』が終わり、クリスとデジェルが日本に留まって、始めての“夏”を堪能していたときの記録。
ークリスとデジェルのマンションー
日曜日の朝。
「ふぁあ~~~っ」
サラサラと煌めく白銀の髪に背丈は低いがメリハリの有るプロポーションに大きめのシャツを着ただけのラフな格好をした雪音クリスは、夕べは暑く寝苦しかったのも有り、何時もより早く起きて、ベッドから降り少し大きめの欠伸をしながら洗面所で顔を洗おうとドアを開けると。
「ク、クリス・・・?」
「えっ・・・・・・??」
目の前に下半身にタオルを巻いた裸のデジェルがいた。身体から湯気が出てることから朝風呂にでも入ったのだろう。デジェルは読書に熱中すると一晩中起きて読み耽る所があるし、朝は日課のランニング(軽く百㎞のコースを走る)に出たりしているので朝風呂は別に珍しくも無い。
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
しかし、今回はいつもより早く起きてしまったクリスと運悪く鉢合わせしてしまった。
「~~~~~~~!!!!///////////////」
顔を真っ赤に染めたクリスが声にならない悲鳴を上げ。
「クリス、まずは落ち着いてーーーー」
「お兄ちゃんのバカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!//////////」
朝早くからクリスの悲鳴が町中に響いた。
ー1時間後ー
「・・・・・・・・・・・・」
悲鳴を上げて直ぐに部屋に逃げたクリスは空腹に負けてリビングに入ると、デジェルが朝食をテーブルに並べていた。
「おはよう、クリス」
「うん、おはよう・・・////」
今朝の事を思い出して顔を赤らめるクリスにデジェルはいつも通りの笑みを浮かべ、一緒にトーストとベーコンエッグとホットミルクの朝食を食べ終えるとデジェルは食器を片付け、クリスは部屋に入り支度をする。
「お兄ちゃん、準備終わったよ」
「あぁ、こっちも終わった。それでは行こうか」
マンションを出た二人は腕を組んでデートに出掛けた。
それから二人はウィンドウショッピングをしたり、雑貨店で生活用品を買ったり、カフェでカップルドリンクを飲んだりしていた。
「あっ、お兄ちゃんあれ・・・」
屋内プール施設を見つけたクリス。
「今日は暑いからな、プールで泳ぐのも良いかもな。レンタルも出来るようだ」
「それじゃ行ってみよう」
水着をレンタルしようと店に入ると。店長らしい女性店員がやって来て。
「いらっしゃいませ、どのようなご用件でしょうか?」
「この子に合う水着をお願いできますか?」
「はっ!」(キラン!)
「???」
クリスを見た瞬間、女性店員の目がキランっと妖しく煌めいた。
スッ・・・パチンっ!
「えっ? 何? 何だよ・・・??」
女性店員が指を鳴らすとズラリと他の女性店員がやって来て戸惑うクリスを連行していく。
「お、お兄ちゃ~~~~ん!!」
「あのぅ・・・・・・」
「心配いりません! お客様の彼女様を素晴らしくして見せます!!」
「え、えぇ・・・?」
女性店員の勢いに押されデジェルも戸惑ってしまっていた。
ー十数分後ー
『うおおおおおおおおおッッ!!』
プールにいる男性客達が歓声を上げる。
赤い水着にフリルが付いており、下の方はスカートが付いた水着を着用し、背丈は中学生位だが、白銀に煌めく銀色の長髪に紫の瞳は猫目で、肌は新雪のように色白く、動くとブルンッと揺れる90㎝のFカップの双乳は単に大きいだけではなく弾力があり、形も整っており、臀部はプリンッと桃型で、美脚の上に手足はすっきりと細く、お腹もきゅっと引き締まってお臍は縦長であり、ボンキュボンと擬音が聞こえてきそうなほどにメリハリの利いた我が儘ボディに男性客の多くは前屈みになり、プールに入ってしまい、女性客達は羨望と嫉妬の目線が注がれる。
「(キョロキョロ、キョロキョロ)」
周りの視線に戸惑うクリスはデジェルを求めて目線をさ迷わせていると。
「ねぇ、君もしかして暇?」
「俺達がエスコートするよ♪」
「(ウッゼェェェェェェェ・・・!)」
元々クリスは、美少女な上に我が儘ボディなので、チャラく下卑たナンパ男共を引き寄せてしまった。クリスは内心イライラしながらナンパ男を殴ったろうかと言う衝動に駆られるが、せっかくのデジェルとのデートを台無しにしたくないから我慢してナンパ男達を無視する。
「ねぇちょっと連れないじゃない」
「少し話を聞いてよ・・・!」
ナンパ男の一人が乱暴にクリスの肩を掴もうとするが。
ガシッ
「「えっ・・・!!」」
クリスに触れようとした自分の手を掴んだ手を見てその先を見るとナンパ男は息を呑んだ。
エメラルドを溶かしたような美しい翡翠の長髪、男でも美形と思ってしまう程の顔立ち、細く華奢そうな身体に不釣り合いに洗練された筋肉があり、纏う雰囲気は涼やかで、全身から溢れ出る気品と知的さ、スパッツタイプの水着に緑色のパーカーを着た美男子に他の男性客も唖然となり、女性客は見惚れてしまっていた。
「申し訳ないが、彼女は私の連れなのでエスコートは不要ですよ・・・」
そう言ってデジェルはナンパ男の手を離す、ナンパ男達もデジェルの佇まいに呆然となるが、デジェルは構うこと無くクリスの手を引いてその場を去る。
「クリス、では行こうか・・・?」
「うんっ!♪」
クリスも晴れやかな笑みを浮かべながらデジェルの腕を組み共に歩いていった。
『・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・』
男性客達と女性客達は“理想的な美形カップル”に唖然呆然と眺めていたのであった。
ビーチパラソルの下で広げたビーチマット(レンタル物)に座った二人。
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?」
「さ、サンオイル、塗ってくれない・・・////////」
「あ、あぁ・・・////////」
余裕の態度を見せているが、デジェルの生きた時代では女性が余り素肌を露出しないのが普通の時代(女性聖闘士は結構露出をしており、シンフォギアを装着した姿のように身体のラインがくっきり浮かぶデザインになってはいるが)、ここまで素肌を露にした格好の女性とお付き合いしたことが無いデジェルは、相手がクリスでも内心結構、いやかなり動悸が激しくなっているが、持ち前の理性で何とか押さえているのであった。
「(落ち着け、落ち着けデジェル! 幾ら相手がクリスでも臆するな!)」
「(落ち着けよ・・・! 落ち着けよ雪音クリス! こ、こここここ恋人同士ならこんなのあたあたた、当たり前の事なんだ!)」
実はクリスの方も内心アワアワしているのだが、必死に自分を押さえていた。そして仰向けに横たわったクリスのお腹にサンオイルを塗ったデジェルの手が置かれる。
ピチャッ
「ひゃぁん!」
「あっ、大丈夫か、クリス?」
「だ、大丈夫だから・・・お願い・・・////」
「う、うむ/////」
スリスリ、スリスリ、スリスリ、スリスリ・・・
「フッ! ウゥッ! アウッ! ヒャゥッ!♪///////」
「~~~~~!///////」
お腹から横っ腹、そこから足全体に、脇を過ぎて腕全体にオイルを塗るデジェル。そのむず痒さとくすぐったさでビクンビクンっと震えるクリス。そんなクリスの反応に少し顔を赤らめるデジェル。
『・・・・・・////////////////』
『うっ・・・っ!』
チラッと二人の様子を見ていた女性客達は顔を赤くし、両手で顔を覆っていたが、ちゃっかり指の隙間で二人の様子を窺っており、男性客達に至ってはクリスの反応に再び前屈みになってプールに沈んだ。
それから二人で一緒に流れるプールに入って遊び、露天でかき氷を食べて頭がキーーンとなったり、ウォータースライダーで遊んだりと有意義にデートを楽しんだ。
そしてショッピングモールの書籍店に行きクリスは参考書をデジェルは医学書を買おうとしていたが。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お兄ちゃん・・・・・・」
デジェルは医学書を読むのに集中してしまっていた。
「はぁ・・・(こうなるとしばらくは動かないな・・・)」
一度読書に熱中した想い人は中々元に戻らない事を知っているからクリスは暇潰そうと書籍店から出る。
ー響sideー
「あれ? 響、あれクリスじゃない?」
「えっ? あっ、本当だ!!」
すると近くに同じようにショッピングモールに来ていた響と未来がクリスを見つけて話掛けようとしとしたが、ナンパ男達がクリスに言い寄った。
「クリスちゃんがナンパされてる?!」
「クリスって見た目美少女だからナンパされたんだね・・・」
「あっ、クリスちゃんがナンパ男さん達の一人を蹴り飛ばした・・・」
蹴られたナンパ男達がクリスにいちゃもん付けようとしていた。
「クリスちゃんっ!」
「響待って!」
「グエッ!」
クリスを助けようと飛び出そうとする響の首根っこを掴む。
「な、何未来・・・・・・?!」
「アレ! アレ!」
未来が指差す方を見ると“絶対零度のオーラ”を放つデジェルがいた。振り向いたクリスは顔が青ざめた。
「クリスちゃんがデジェルさんに気付いたみたい・・・」
「あっデジェルさんに連れてかれた・・・」
真冬の夜の寒さに振るえる仔猫みたいになったクリスは、デジェルに連行されていった。ナンパ男達はデジェルの雰囲気に呑まれて動けなくなっていた。
後にこれが水瓶座<アクエリアス>のデジェルによる、“極寒のお説教”を見た瞬間であった。
ーデジェルとクリスのマンションー
家に帰宅したデジェルとクリスは夕食の済ませ、ソファーに座って寛いでいた。
「お兄ちゃん・・・・・・」
「ん?」
「今日はゴメンね・・・」
「フッ、もう気にしていないさ」
ギュッと抱き締め合うデジェルとクリスはテレビをつけると。
「フム、“夏の映画特集『学院の怪談』シリーズ”一挙放送か・・・」
「面白そうじゃん、付けてみようよ」
「あ、クリス・・・(この番組“ホラー映画”なのだが、クリスは大丈夫なのか?)」
~一時間後~
【ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!】
【うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!】
「いやぁああああああああああああああああああああああああああああッッ!!」
ムギュウっ!!
「ク、クリス・・・!」
予測通りクリスはホラー映画が苦手だったようで、その豊満な胸をおもいっきり押し付けながらデジェルにしがみつき涙目で悲鳴を上げるクリスだった。
~夜・デジェルの部屋~
映画が終わり、クリスは怯えながら風呂を済ませ部屋に逃げ込み、クリスの後に風呂を済ませたデジェルは、部屋のベッドで寝る前に読書をしていた。すると部屋をノックして扉が開くと、大きめのTシャツを着て枕を抱えたクリスが涙目で部屋に入ってきた。
「どうしたんだ・・・?」
「お兄ちゃん・・・・・・」
「・・・おいで、クリス」
「(パァッ)うん!」
ホラー映画の影響で一人で眠れなくなったクリスをやれやれと肩をすくめたデジェルからOKを貰ってクリスはいそいそとデジェルのベッドに入る。デジェルは電気を消すとクリスと向かい合う。
「お兄ちゃん♪」
「ん、なんだい?」
「ん~ん呼んだだけ、おやすみ・・・」
「あぁ、おやすみ・・・」
デジェルとクリスはお互いに抱き合いながら眠りに付いた。
それから半月程、クリスは一人で寝ることができず、デジェルの部屋で眠り、その度に寝惚けたクリスがデジェルの首筋を吸って“キスマーク”を作ってしまい、デジェルは真夏に襟巻きを巻いて予備校に通うようになるのであった。
次はリディアンに編入したレグルスのスクールライフと、マニゴルドの“報酬”の話です。