聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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今回でレグルスを進化させるかも。


聖闘士の誇り

彼等は戻ってきた。“モルペウスの門”から、夢と言う名の偽りの世界から彼等は戻ってきたのだ!

 

「誰?あの人達?」

 

「アスミタさんのお仲間でしょうか?」

 

「何かアニメに出てきそうなヒーローみたい」

 

「お母さん!お母さん!カッコいいお兄ちゃんだよ!」

 

創世が詩織が弓美が響とレグルスに助けられた少女がその勇姿に目を輝かせる!

 

「全く、良い所で戻ってきやがって」

 

「最高のタイミングですね」

 

弦十郎と緒川がニヤリと笑い、藤尭と友里も微笑む。

 

「響、皆が・・・」

 

「うん、レグルス君・・・」

 

「エルシド・・・」

 

「お兄ちゃん・・・」

 

奏者達や未来の目頭に涙を浮かべた。彼女達の目の前にいるのは太陽のように輝く黄金の鎧を纏う戦士達、純白のマントを靡かせ悠然と歩くその姿はまさに勇者と呼ぶに相応しい!

 

「ぬう、まさか夢神の神具を打ち破ったと言うのか?人の身でその様な事が!」

 

フィーネは鞭から大型ノイズを大量に射出しレグルス達にけしかけるが。

 

ドカンッ!!

 

斬ッ!!

 

バキンッ!!

 

「「「邪魔だ!」」」

 

一瞬で粉々にし細切れにし氷結されて消滅する。まるでノイズなど眼中に無いと言わんばかりの姿はまさに“無人の野を行くが如く”!レグルス達はフィーネと対峙する。

 

「フィーネ、ずいぶん好き勝手な事をしたようだな?」

 

エルシドは刃のように鋭い殺気を放ち。

 

「我らが盟友の魂を汚し、クリス達を痛めつけたようだな」

 

デジェルは絶対零度の殺気を放つ。

 

「・・・・・・」

 

レグルスは無言だがその目は全く笑ってなかった。

 

「く、だがこちらは“完全聖遺物”を3つも所持しているのだ。貴様らに遅れはとらん」

 

構えるフィーネを見ながらレグルスは口を開く。

 

「エルシド、デジェル、頼むよ」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

エルシドとデジェルは少し考えると一瞬でフィーネの前から響達の側に行きエルシドは翼の生命点をデジェルはクリスの生命点を突く。

 

「エルシド?」

 

「大人しくしてろ翼」

 

「お兄デジェル兄ぃ・・・」

 

「痛覚を麻痺させるツボを突く、頑張ったなクリス」

 

「嫌二人共何してるんですか!?」

 

翼とクリスの応急措置をしようとするエルシドとデジェルに響がツッコム。

 

「何をしているだと?」

 

「立花君、君にもちゃんと応急措置をするから大人しくしていてくれ」

 

「じゃなくて!レグルス君一人にしてますけど!?」

 

この場にいる全員の意見を代弁するかのように響が叫ぶが。

 

「レグルスが戦うだろう」

 

「えっ?レグルス君一人で戦わせるんですか!?」

 

「何か問題でもあるのか?」

 

「ありますよ!一人で戦うよりもエルシドさん達も一緒に戦えば」

 

一人で戦うよりも皆で力を合わせて戦う方が良いと考える響達だが、聖闘士達は。

 

「レグルスが一人でやると言っているんでな。俺達は手出ししない」

 

エルシドはキッパリと言い、デジェルもアスミタも頷く。

 

「どうして何ですか!?皆で戦えば」

 

「生憎だが立花君、これは我々“聖闘士の掟”でもある」

 

「“聖闘士の掟”?」

 

「“聖闘士は聖衣に装備される武装以外の武器を使ってはならない”。そして“聖闘士の戦いは基本一対一”だ。ましてや私達は黄金聖闘士だ多対一なんて戦いはしない」

 

「で、でも」

 

「立花、“仲間と共に戦う”のは確かにチームワークと呼べるだろう。だが“仲間を信じ仲間に託す”のもチームワークだ」

 

「・・・・・・」

 

「ガングニールよ。自分が助けに行くなどと考えない方が良い」

 

「アスミタさん」

 

「先程までフィーネに手も足も出なかった君が割り込んでもレグルスの足を引っ張るだけだ」

 

「「「・・・・・・」」」

 

事実、射手座<サジタリアス>の黄金聖衣を取り込んだフィーネにまるで歯が立たなかった奏者達は黙る。

 

「分かったならば良く見ておけ、レグルスの戦いをな」

 

全員がレグルスの方を見る。レグルスはフィーネと対峙していた。

 

「獅子座<レオ>よ。一人で私を倒すとでも言うのか?」

 

「フィーネ嫌了子。お前には感謝しているんだ」

 

「?」

 

「“モルペウスの門”でさ、俺は父さんに会った」

 

「貴様の父だと?」

 

「俺の父さんはさ、肺の病で死んだんじゃない。“殺されたんだ”」

 

「・・・・・・・・・」

 

『!?』

 

レグルスの話をフィーネは黙って聞いていたが響達(聖闘士達は除く)は驚いていた。

 

「俺はずっと父さんを探していた。父さんは自分は“風の中”に“大地の中”にいるって言っていたけど、俺は父さんを見つけられなかった。だからさ、たとえ夢の中でも父さんに会う事ができたからお前に感謝したいんだ」

 

「ならば、何故お前は、お前達は夢を捨てる事ができた?」

 

レグルスを嫌エルシドやデジェル、アスミタ達聖闘士を見る。その瞳には侮蔑なのではなく純粋な哀れみの目であった。

 

「私が聖闘士ととして生きた時代で歴代の黄金聖闘士を調べた時、お前達の名前は存在しなかった。お前達は完全にこの世界と無関係な存在である筈なのに、お前達は自分達の世界で十分過ぎる程戦ってきたのに、何故戦うのだ?夢の中で穏やかに眠る事もできた筈なのに」

 

「フィーネ、了子の時に言ってたよな?“人類は呪われてる”って。俺はそれを聞いた時思ったんだ。“俺達聖闘士は特に呪われた存在”なのかなってさ。確かに、たとえ偽りのとは言え穏やかな世界で眠る事は出来たかもしれない。でも、皆が現れたんだ」

 

「皆?」

 

「俺達の世界で共に戦ってきた仲間達と女神アテナ様がさ。皆が俺を叱ったんだ。『お前こんなところで何寝てんだ!』てさ。お陰で俺は思い出したんだ。俺の“戦う理由”がさ」

 

「“戦う理由”だと?」

 

レグルスは強い意志で強い想いで語る。

 

「俺達は、『この世に邪悪が蔓延る時、必ずや現れる希望の闘士!戦女神アテナの聖闘士』だ!ここが違う世界だろうがアテナのいない世界だろうが関係無い!地上に生きる人々に災いをもたらす者がいるならば俺達はこの生命尽きるその時まで戦い続ける!それが、神話の時代から受け継がれてきた俺達聖闘士の“誇り”だ!」

 

「(何だ!?この“小宇宙”は!?)」

 

「(レグルスを中心に宇宙が広がっている!?)」

 

「(嫌、これはもう宇宙なんてレベルじゃねえ!)」

 

「(これってまさか、銀河?)」

 

フィーネだけではなく響達にも見えた!叫ぶレグルスに肯応するかのようにレグルスの“小宇宙”が燃え上がる!獅子座<レオ>の黄金聖衣も光輝く!

 

「燃え上がれ!俺の小宇宙<コスモ>!!!」

 

レグルスの小宇宙<コスモ>に応えるかのように獅子座<レオ>の聖衣がレグルスから離れ一つになると聖衣匣<クロスボックス>へとなった。だがそれは今までの聖衣匣<クロスボックス>とは異なりより洗練された匣へとなった!

 

「聖衣匣<クロスボックス>の形が変わった!?」

 

「何だ!?匣が変形していく!?」

 

今まで匣が開き、そこから星座のオブジェが現れていたが、今は“聖衣匣が変形”した!稲妻が走り雷鳴を轟かせながら細かく形が変わり聖衣は新たな姿になった!より洗練されより重厚感のあるまるで生きているような獅子のオブジェへと変わった!

 

ガオオオオオォォォォォォォンンッ!!

 

新たな姿へと変わった獅子は雄々しく猛々しくその雄叫びを上げる!

 

「何なのだ・・・何なのだッ!!その聖衣は!?あり得ない!完全聖遺物であるはずの黄金聖衣が姿を変えただと!?知らない!こんな事私は知らないぞ!!」

 

悠久の時を生きてきたフィーネは自分の知らない事態に驚く。フィーネ程ではないが響達やレグルス達も驚いていた。

 

「レグルス君の聖衣が進化した?」

 

「どうなっているんだ?」

 

「もしや・・・」

 

「デジェル兄ぃ、何か分かったの?」

 

「我々の聖衣は数千年の昔の聖衣、シンフォギアがフィーネの言った“神々の大戦”で破壊された神具が経年により進化し、奏者の歌声によって進化した武具ならば」

 

「我々の聖衣も進化していたと言うのか?」

 

「だが、何故今まで進化しなかったのだ?」

 

アスミタとエルシドの問いにデジェルは仮説を立てる。

 

「恐らくだが、シンフォギアが奏者の想いに肯応してその姿を変えた、本来であれば弓矢であるはずの『イチイバル』が『全ての“力”を薙ぎ払いたい』と願うクリスの想いに応え重火器の姿へと変わった」

 

「そうか、本来一振りの剣であるはずの『天羽々斬』が『防人の“剣”でありたい』と願う翼の想いに応え様々な刀剣へとその姿を変えた」

 

「本来槍であるはずの『ガングニール』が彼女の『誰も傷つけたくない』、『誰かと繋がり束ねたい』と願う想いに応え『無手』に変わった」

 

デジェルの仮説にエルシドとアスミタも捕捉する。

 

「つまり、レグルス君の想いに黄金聖衣が応えてその姿を変えたのか?」

 

「その通りです風鳴司令。そして恐らく我々の聖衣が進化する為の『想い』とは、我々聖闘士が『本気で戦う事を決意した時』」

 

「『本気で戦う事を決意した時』ってレグルス君、今まで『本気』じゃなかったって事ですか?」

 

「正確には違うな。『本気にならなかった』んじゃ無い。『本気で戦う必要が無かった』のだ」

 

エルシドの答えに響達は首を傾げる。

 

「この世界では“脅威”と恐れられているノイズも、俺達黄金聖闘士の基準で言えば“羽虫”も同然だった。故に俺達は今まで『本気で戦う事が無かった』のだ。だがレグルスは“迷い”を断ち切り、『本気で戦う事を決意』した事によりその時の“小宇宙”の高ぶりに応えたのがあの姿なのだ!」

 

響達は再び進化した獅子座<レオ>の黄金聖衣を見る。獅子座<レオ>はレグルスを見つめる。

 

「あぁ、そうか。お前達は待ってたんだな。数千年もの間ずっと待っていてくれていたんだな。俺達が、聖闘士が来るのを長い、長い間・・・」

 

正統な継承者が現れるまでのあまりにも長い時を待ち続けた聖衣に語りかけるレグルス。

 

そしてエルシド達も自分達の聖衣に語りかける。

 

「待たせたな山羊座<カプリコーン>。これからは俺の“大義”に付き合って貰うぞ」

 

「水瓶座<アクエリアス>、人々の“夢”を守るために共に戦おう」

 

「この世の“理”の為に戦うそれが乙女座<ヴァルゴ>の戦いだな」

 

アスミタ達の想いに応えるかのようにそれぞれの黄金聖衣が淡く輝く。そしてフィーネはまるで見惚れるかのように進化した獅子座<レオ>とレグルスを見つめ誰にも聞こえないように呟く。

 

「まだ進化すると言うのか?お前達はどこまで私を驚かせると言うのだ?」

 

そしてレグルスは決意を込めて叫ぶ!

 

「さあ、俺達の“可能性”を見せてやろうぜ!獅子座<レオ>!!!」

 

レグルスに応えるかのように雄叫びを上げた聖衣は細かく分解されレグルスの身体を纏ってゆく!

 

足に!腰に!腕に!胴体に!肩に!分解された聖衣が鎧の姿へとその形を作る!そして現れた!

 

より洗練され重厚感の増した姿!

 

腰に金の装飾が施されたマントを靡かせ佇むその姿は美しくも猛々しく雄々しく凛々しい佇まいはまさに!

 

『威風堂々』!!

 

その姿に創世達は見惚れ。

 

「す、凄い・・・」

 

「なんと美しい・・・」

 

「本物のヒーローだ・・・」

 

「お兄ちゃん、凄くカッコいい!!」

 

弦十郎達も驚き。

 

「あれが進化した黄金聖衣なのか?」

 

未来や奏者達もレグルスの進化に驚嘆する!

 

「あれが、あの姿が・・・」

 

「レグルスの聖衣の本当の姿・・・」

 

「すげぇ・・・」

 

「レグルス君・・・」

 

レグルスは雄々しく名乗りを上げる!

 

「これが新しい伝説を生み出す聖衣!獅子座<レオ>のレジェンド聖衣<クロス>だ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




ー捕捉ー

ノーマル聖衣
原作の聖衣である。

レジェンド聖衣
『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』の聖衣。聖闘士達が百%中の百%の本気にならないと発動しない姿。百%の半分や七割では聖衣の一部しか変わらない。

今回はここまでです。次回でフィーネとの戦いを終わらせたいですね。

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