聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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心、繋げて

ー二課指令室ー

 

指令室のメインモニターに響とレグルス、翼とエルシドの通信が入った。

 

『はい、翼です』

 

『響です!』

 

『こちらエルシド』

 

『レグルスだ。何かあったの?』

 

挨拶をする四人に弦十郎がフィーネのアジトで得た情報を話す。

 

「収穫があった。了子君は?」

 

友里に聞く弦十郎、心なしか口調は固い。

 

「まだ出勤してません。朝から連絡不通でして」

 

「そうか・・・」

 

『『・・・・・・』』

 

友里の報告に弦十郎とレグルスとエルシドは固い表情を浮かべるが響の能天気な口調で。

 

『了子さんならきっと大丈夫です!何が来たって私とレグルスを守ってくれた時のようにドカーンとやってくれます!』

 

今度は翼が固い表情を浮かべ。

 

『いや、戦闘訓練もロクに受講していない櫻井女史に、そのような事は・・・』

 

『えっ?師匠とか了子さんって、聖闘士の皆さんのような人間離れした特技とか持ってるんじゃないんですか?』

 

『『人間離れしてるって・・・・・・』』

 

響の言葉に弱冠情けない顔を浮かべる聖闘士組。レグルスは以前了子が見せた“不可思議な力”を思い出す。

 

『(あの“力”、“小宇宙”を使っているわけでもない。かと言って響達のような聖遺物の力を使っているわけでもない。一体何なんだ?)』

 

すると突然、『SOUND ONLY』と表示された了子からの通信が入る。

 

『やーと繋がった♪ごめんね、寝坊しちゃったんだけど、通信機の調子が良くなくって・・・』

 

弦十郎と聖闘士組の目が鋭くなる。

 

「無事か了子君?そっちに何も問題は?」

 

『寝坊してゴミを出せなかったけど、何かあったの?』

 

『良かった』

 

「ならば良い、それより聞きたいことがある」

 

『せっかちね。何かしら?』

 

「“カ・ディンギル”。この言葉が意味するものは?」

 

了子はその通信を廃ビルの非常階段で聞いていた。脇腹から血を流しながら。

 

「“カ・ディンギル”とは古代シュメールの言葉で“高みの存在”。転じて“天を仰ぐほどの塔”を意味しているわね」

 

「何者かがそんな塔を建造していたとして、何故俺達は見過ごしてきたのだ?」

 

弦十郎の言葉に響も質問する。

 

『確かに、そう言われちゃうと・・・』

 

「だが、ようやく掴んだ敵の尻尾。このまま情報を集めれば勝利は同然。相手の隙にこちらの全力を叩き込むんだ。最終決戦、仕掛けるからには仕損じるな!」

 

『『『『了解(です)!』』』』

 

響と翼は通信を切る。

 

『ちょっと野暮用を済ませてから私も急いでそっちに向かうわ』

 

『『・・・・・・』』

 

そう言って通信を切る了子。レグルスとエルシドも怪訝そうな表情を浮かべたが通信を切った。

 

通信を切った響は難しそうな表情を浮かべ。

 

「“カ・ディンギル”・・・誰も知らない秘密の塔」

 

隣で聞いていた未来は携帯で検索していたが。

 

「検索してみても、引っ掛かるのはゲームの攻略サイトばかり・・・」

 

やはり何の手掛かりも掴めなかった。

 

 

 

そして指令室でも“カ・ディンギル”に関する情報を検索してはいるが。

 

「些末な事でも構わん。“カ・ディンギル”についての情報をかき集めろ!」

 

フォーン!フォーン!フォーン!

 

突然ノイズの出現警報が鳴り響く。

 

「どうした!?」

 

藤尭が報告する。

 

「飛行タイプの超大型ノイズが一度に三体!いえ、もう一体出現!」

 

それは二年前、シジフォスとエルシドが太平洋上と日本海側に現れたノイズと同タイプのノイズであった。

 

 

 

 

突然現れた超大型ノイズに街はパニックになっていた。

 

「合計4体、すぐに追いかけます!」

 

連絡を受けた翼とエルシドは現場に向かう。そして響にも連絡が入り、レグルスも響達の元に現れた。

 

「今は人を襲うと言うよりもただ移動していると、はい、はい、これからレグルス君とそっちに向かいます」

 

「響・・・」

 

未来は不安そうにする。

 

「平気、平気。私達で何とかするから!だから未来は学校に戻って」

 

「リディアンに?」

 

「いざとなったら、地下のシェルターを開放してこの辺の人達を避難させないといけない。未来にはそれを手伝って貰いたいんだ」

 

「(この辺の人達か・・・・・・一応“保険”を掛けておくかな)」

 

レグルスは響達から一歩離れ瞑想する。響から頼まれた未来は不安なのか少し俯き。

 

「う、うん、分かった・・・」

 

「ごめん、未来を巻き込んじゃって」

 

「ううん、巻き込まれたなんて思ってないよ。私がリディアンに戻るのは、響がどんな遠くに行ったとしてもちゃんと戻ってこれるように響の“居場所”・帰る場所”を守ってあげる事でもあるんだから」

 

「私の“帰る場所”・・・」

 

「そ、だから行って。私も響のように大切な物を守れるように強くなるから」

 

未来は優しい笑みを浮かべる。響は無言で未来に近付き未来の手を握る。

 

「小日向未来は私にとっての日だまりなの。未来のそばが一番暖かいところで私が絶対に“帰ってくる所”!これまでもそうだし、これからもそう!だから私は絶対帰ってくる!」

 

「響・・・」

 

「一緒に流れ星見る約束、まだだしね!」

 

「うん!」

 

響と未来は満面の笑顔を見せる。瞑想を解いたレグルスはそんな二人を微笑ましく見ていた。

 

「響、そろそろ行くよ」

 

「あ、うん!じゃ行ってくるよ!」

 

「あ、レグルス君」

 

「ン?」

 

先に行く響の後を追おうとするレグルスを引き留め。

 

「響の事、よろしくお願いします。響はすぐに無茶するから、守ってあげてください」

 

「俺で良いのか?」

 

「はい、私が響の“帰る場所”ならレグルス君は響が最も“頼りにしている人”で響を“守れるところ”にいる人だから、だから響の事、お願いします」

 

未来の言葉にレグルスは微笑み。

 

「了解」

 

そう言ってサムズアップして響の後を追う。未来はどこか響とレグルスを寂しそうに見つめるのであった。

 

 

 

翼とエルシドはそれぞれバイクに乗り現場に向かっていたが、翼の心には僅かな不安があった。実は翼とエルシドの“コンビ解消”はまだ撤回されてないのだ。周りの人達は“コンビ復活”と思われているが翼本人はエルシドの口からを宣言されない以上、“コンビ復活”とは言えないのだ。エルシドにその事を切り出そうとするが弦十郎から連絡が入った。

 

「翼です」

 

「こちらエルシド」

 

「ノイズ進行経路に関する最新情報だ」

 

移動中の響とレグルスも通信に参加する。

 

『はい!』

 

『あいよ!』

 

「第41区域に発生したノイズは、第33区域を経由しつつ第28区域方面へ進行中。同様に第18区域と第17区域のノイズも第24区域方面へと移動している。そして」

 

「司令、これは?」

 

友里と藤尭が弦十郎の言葉を遮り。

 

「それぞれのノイズの進行経路の先に東京スカイタワーがあります!」

 

報告を聞いた響とレグルスは立ち止まり。

 

「「東京スカイタワー?」」

 

藤尭が続ける。

 

「“カ・ディンギル”が“塔”を意味するのであれば、スカイタワーは正にその物ではないでしょうか?」

 

「スカイタワーには俺達二課が活動時に使用している映像や更新と言った電波情報を統括制御する役割も備わっている。皆、東京スカイタワーに急行だ(罠だとしても)」

 

バイクに乗った翼とエルシドはスカイタワーに向かう。だがエルシドは別の事を考えていた。

 

「(余りにもノイズいやフィーネの動きが派手すぎる。俺達を誘っているのか?だが、スカイタワーが“カ・ディンギル”だとしても)」

 

レグルスもまた同じ事を考えていた。

 

「(分かり易すぎる、これまで暗躍行動をしていたフィーネが何だってこんな“スカイタワーがカ・ディンギルですよー”って動きをするんだ?まるで俺達に“こっちに来い”と言わんばかりに、響や翼はともかく俺とエルシドを相手取って勝てる算段があるのかな?)「レグルス君!」!?どうした響?」

 

思考し推理していたレグルスを響が現実に引き戻す。

 

「スカイタワーはここからじゃかなり時間がかかっちゃうんだよ」

 

また俺が響を担ぐかと考えていたレグルス達の上空からヘリコプターが降りてきた。響の通信機から弦十郎の声が響く。

 

『“何ともならない事”を“何とかする”のが俺達の仕事だ!』

 

ここまでするかと内心思いながら響とレグルスはヘリコプターに乗り込む。

 

 

 

その頃緒川は伊達メガネを外し車で移動する。

 

 

 

ー東京スカイタワー

 

東京スカイタワーの周辺にノイズ達が現れた。飛行タイプはまるで爆撃でもするかのように多種多様の小型ノイズを投下させ、さらに小型の飛行ノイズも出し臨戦態勢を整える!

 

超大型の上に響とレグルスを乗せたヘリが現れた。響とレグルスはちょうど真下にいるノイズを見据え飛び降りる!落ちながら響は歌う“戦いの歌”を!レグルスは呼ぶ己の“聖衣”を!

 

「♪~♪~♪~♪~♪」

 

「獅子座<レオ>ッッ!!」

 

響の服が弾け“撃槍”のギアを纏う!獅子のオブジェがそれぞれのパーツに分解されレグルスの身体に纏う!

 

「ハッ!」

 

「ッ!」

 

響は落下しながら右手の籠手パーツを引きレグルスと共に拳を構える!歌を歌いながらノイズに拳を叩きつけ引いたパーツがパイルバンカーのように衝撃を与えノイズを貫く!ノイズはそのまま爆散し響とレグルスは地上に降り立つ!

 

バイクから飛び降りた翼とエルシドと“絶剣”のギアと“山羊座”の聖衣を纏う!

 

「ハッ!」

 

「疾ッ!」

 

翼は『蒼ノ一閃』をエルシドは『乱斬』を放ち小型飛行ノイズを蹴散らすも大型には僅かに届かない。翼は攻撃が届かない事に苦い顔を浮かべ。

 

「くっ、相手に頭上を取られる事がこうも立ち回りにくいとは!」

 

「ヘリを使って私達も空から」

 

響の言葉を遮るように上空から爆音が聞こえ目を向けるとそのヘリが小型飛行ノイズに襲われ爆散していた。

 

「「「「ッ?!」」」」

 

ヘリが爆散したと言うことは乗っていたパイロットも。

 

「そんな・・・」

 

「よくも!!」

 

「「ッ!」」

 

小型飛行ノイズは自分の身体をドリルのように回転しながら襲いかかるがあっけなく倒される!超大型は次々とノイズを降下させる。飛行ノイズに対処できない響達。だが襲いかかる飛行ノイズが突如凍結し弾丸の嵐がノイズを粉砕する!

 

「「「「ッッ?!」」」」

 

四人は後方に目を向けるとそこには。“魔弓”のギアを纏う雪音クリスと“水瓶座”の聖衣を纏うデジェルがいた!

 

響とレグルスは喜びエルシドはデジェルはともかくクリスに弱冠警戒し、翼は警戒心を剥き出しにする。クリスは弦十郎に渡された通信機を握り。

 

「チッ、コイツがピーチクパーチク喧しいからちょっと出張ってきただけ、それに勘違いするなよ。お前達の助っ人になったわけじゃ「こらクリス」イタッ!お兄、デジェル兄ぃ~」

 

憎まれ口を叩くクリスの頭をデジェルが小突く。小突かれたクリスは情けない声を上げる。すると通信機から弦十郎の声が響く。

 

『助っ人は少々到着が遅くなったかもしれないがな』

 

「すまない、風鳴司令。クリスは素直ではないから」

 

「うぐッ//////////」

 

弦十郎とデジェルの言葉に顔を赤くするクリス。

 

「アハッ」

 

「助っ人?」

 

響は喜んだが翼は首を傾げる。

 

「そうだ。第2の聖遺物『イチイバル』のシンフォギアを纏う戦士 雪音クリスと水瓶座の黄金聖闘士 アクエリアスのデジェル!」

 

響はクリスに抱きつき、レグルスはデジェルに近付き手の甲を当てる。

 

「クリスちゃ~ん!ありがとう!絶対に分かり会えるって信じてた~♪」

 

「このバカ!あたしの話を聞いてねぇのかよ!」

 

「また一緒に戦えるなデジェル」

 

「心配をかけたな」

 

翼は近付き。

 

「兎に角今は連携してノイズを」

 

だがクリスはデジェルの手を引っ張って響達から離れる。

 

「あたし達は勝手にやらせて貰う!邪魔だけはすんなよな!」

 

「えぇ!」

 

「「「・・・」」」

 

歌を歌いながらクリスは両手のパーツをボーガンに変形させ5本のエネルギーの矢を放ちデジェルもカリツオーを駆使し上空のノイズを蹴散らす!

 

「空中のノイズはあの二人に任せて、私達は地上のノイズを」

 

「は、はい!あれ?レグルス君とエルシドさんは?」

 

エルシドとレグルスはとっくに地上のノイズに向かって行った。

 

「あー!二人ともいつの間に!?」

 

「立花!遅れるな!」

 

エルシドの方へ向かう翼とレグルス方へ向かう響。それぞれがノイズを倒していくが。

 

「「あっ!?」」

 

クリスと翼が背中からぶつかる。

 

「何しやがる!すっこんでな!」

 

「貴女こそいい加減にして、貴女達だけで戦えるつもり?」

 

「あたしとデジェル兄ぃのコンビは最強だ!未だに相方の聖闘士と気まずい雰囲気のやつが偉そうに!」

 

「ッ!・・・」

 

元々出会いが最悪だった二人がそう簡単にいきなり連携をとるのが難しい事である。

 

「確かにあたし達が“争う理由”何てないのかもな!だからって“争わない理由”もあるものかよ!この間まで殺り合ってたんだぞ!そんなに簡単に人と人が」

 

クリスの言葉を遮るように響がクリスの手を握る。

 

「できるよ。誰とだって仲良くなれる」

 

そう言って響は翼にも手を差し出し翼の手を握る。ノイズ達は響達を攻撃しようとするがレグルス達が阻む。

 

「どうして私にはアームドギアがないんだろってずっと考えていた。いつまでも半人前はヤダなーって。でも今は思わない、なにもこの手に握ってないから二人とこうして手を握り合える!仲良くなれるからね!」

 

響は屈託なく微笑む。

 

「立花・・・」

 

翼は持っていた刀を地面に突き立てクリスに向かって手を差し出す。

 

「///」

 

クリスも照れながらも手を差し出し翼がその手を握るとあわてて引っ込める。

 

「このバカ<立花>に当てられたのか?!」

 

「そうだと思う。そして貴女もきっと」

 

「冗談だろ・・・////」

 

「フフ」

 

その光景を眺めている聖闘士達。

 

「純粋な子だな。ガングニールの少女は“良くも悪くも”」

 

「だが穢れを知らない純粋な者程、穢れを知ったとき染まりやすいと言うがな」

 

「エルシド、レグルス。お前達はどう思う?彼女の“誰とだって仲良くなれる”理論は?」

 

「地上に邪悪を持ち込む者には容赦しない。それだけだ」

 

「エルシドはシンプルだな。だがそれがベストの答えだ。レグルス、君は?」

 

「・・・・・・少なくとも、“親の仇”と仲良くなる事はできない」

 

その時のレグルスの顔に影が刺さっていた。そんな一同の上空に超大型飛行ノイズの影が覆った!

 

「親玉をやらないとキリがない」

 

「だったらあたしに考えがある。あたしでなきゃできないことだ。イチイバルの特性は超射程広域攻撃、派手にぶっぱなしてやる!」

 

クリスの言葉に響達はもしやとなり。

 

「まさか“絶唱”を?」

 

「バーカ!あたしの命は安物じゃねぇ!んな事したらデジェル兄ぃが絶対止めるだろうしな」

 

「ならばどうやって?」

 

「ギアの出力を引き上げつつも放出を押さえる。行き場のなくなったエネルギーを臨界まで取り込み一気に解き放ってやる!」

 

不敵に笑うクリスに翼は。

 

「だがチャージ中は丸裸も同然。これだけの数を相手にする状況では危険すぎる」

 

翼の言葉に今度は響が。

 

「そうですね。だけど私達がクリスちゃんを守れば良いだけの事!」

 

響の言葉にクリスは面食らう。

 

「?!」

 

「作戦は決まったな」

 

「さっさと始めるぞ」

 

「ではクリスの護衛には私が付くか」

 

レグルスと響、エルシドと翼は地上のノイズ軍団に向かう。

 

「デジェル兄ぃ、あいつら頼まれてもいない事を」

 

「引き下がれないなクリス。では始めよう」

 

エネルギーをチャージするために歌を歌うクリスだがその歌は今までとは別だった。激しい歌を歌っていたクリスが優しい歌を歌う。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

「(あぁこの歌だ。クリスのこの歌声に私は救われたんだ)」

 

クリスの身体が赤く輝き始める。

 

 

エルシドは質実剛健な佇まいからノイズを切り捨てて行く。だが上空のノイズがエルシドに向かうが。

 

「ハッ!」

 

翼が切り捨てた。エルシドは翼を一瞥する。

 

「エルシド。少々後ろががら空きだぞ」

 

「ン?俺の背中はお前が持つんじゃないのか?」

 

「え?エルシド今なんと・・・」

 

「俺の背中はお前が守るのだろう翼、最も俺はお前以外に背中を守ってもらおうとは思っていないがな」

 

エルシドからの言葉に翼は嬉しそうに笑う。

 

「フッそうだな。お前の背中は私が守るさ!」

 

紆余曲折を得たが“防人の剣”と“大義の聖剣”、二課が誇る“双刃”がここに復活した!

 

 

響とレグルスもアクション映画のようなパフォーマンスでノイズを倒していく!

 

「(誰もが繋ぎ、繋がる手を持っている。私の戦いは誰かと手を繋ぐこと!)」

 

エルシドと久しぶりに見せるコンビネーションでノイズを切り捨てる翼。

 

「(砕いて壊すも、束ねて繋ぐも力。フッ立花らしいアームドギアだ)」

 

次々とノイズを蹴散らす響達。クリスの鎧も変形し、両手にはガトリング砲、腰からは小型ミサイルポッド、背中から大型ミサイルが四本出てきた!イチイバルの全火力を相手に叩き込む奥義!

 

『MEGA DETH QUARTET』

 

放たれた全火力は残った超大型飛行ノイズを撃墜させた!地上のノイズ達も響達が全滅させた。

 

「やった、のか?」

 

「ったりめぇだ!」

 

「アハッ!」

 

「「「・・・・・・・・・(フィーネはどこだ?」」」

 

奏者組は喜んだが聖闘士組はフィーネがいない事を怪訝そうに周囲を見渡す。クリスの方に集まる一同。響はクリスに抱きつく。

 

「やった!やった!アハハ!」

 

クリスは響を引き剥がし奏者組はギアを解除した。

 

「やめろバカ!何しやがるんだ!」

 

「勝てたのはクリスちゃんのお陰だよ!」

 

そう言って再びクリスに抱きつく響。

 

「だからって言ってるだろうが!良いかお前達の仲間になった覚えはない!あたしはただフィーネと決着を付けてやっと見つけた“本当の夢”を果たしたいだけだ!」

 

「夢?クリスちゃんのどんな夢?聞かせてよ!

 

「うるさいバカ!お前本当のバカ!」

 

ピリリ!

 

響のポケットの通信機から連絡が入った。

 

「はい?」

 

響が通信機に耳を当てると未来の悲痛な叫びが。

 

『響!学校が!リディアンがノイズに襲われ・・・』

 

ブツン!ツー、ツー、・・・

 

「え?」

 

呆然とする響を他所に聖闘士組は一瞬でアイコンタクトをし迅速に動いた。

 

「(そう言うことか?!)クリス!」

 

「え?うん・・・」

 

流れる動作でクリスをお姫様抱っこするデジェル。

 

「すまん翼」

 

「え?なっ?!/////」

 

突然のエルシドのお姫様抱っこに硬直する翼。

 

「急ぐぞ響」

 

「え?」

 

呆然とする響を肩に担ぐレグルス。奏者組を抱えた聖闘士組はビルを飛び越えながらリディアンに向かう!

 

「デジェル!どういう事だ?!」

 

「我々はフィーネに踊らされていたのだ!」

 

猛スピードで翔る聖闘士達はデジェルから状況を聞く。

 

「“カ・ディンギル”は東京スカイタワーではなかったんだ!」

 

「「「「「ッ??!!」」」」」

 

デジェルの言葉に全員が驚いた。

 

「我々は“塔”と言う言葉やノイズの進行方向から“カ・ディンギル”はスカイタワーだと思っていたがそれは全てフィーネのミスリードだ!“塔”と言う単語から我々は“カ・ディンギル”は“地上から出ている塔”とまんまと嵌められたのだ」

 

悔しそうに呟くデジェル。そして響とクリス以外はデジェルの言った“地上から出ている塔”の単語から“ある事”を理解した。

 

「まさか!」

 

「そう言うことか!」

 

「え?え?レグルス君、どういう事?」

 

「響も知ってるだろ?“東京スカイタワー3本分の高さがある塔”が二課にあるって!」

 

「?!まさかそんな・・・」

 

「そう、“カ・ディンギル”とは二課本部の事だったんだ!」

 

「んじゃフィーネは?!」

 

クリスの質問にデジェルは答える。

 

「フィーネとノイズの本隊はリディアンを襲撃している!」

 

“最悪の答え”が全員の耳に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人知れずレグルスは嫌な予感がしたので万一の為に張っておいた“保険”の事を考えていた。

 

「(頼む。未来達を守ってくれ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(アスミタッ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は“神に最も近いあのお方”が大活躍するかも?

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