「何処なんだーーーーー!!!・・・・・・っと叫んでたって仕方ないし、とりあえず聖域<サンクチュアリ>に戻らなくっちゃな」
おもいっきり叫んで落ち着いたのか少年はレリーフを持って歩いていった。
「それにしても凄いなー、こんなに大きい建物見たことないや。ここは一体何処の国だろ?」
他人が聞けば「何言ってんだコイツ?」と思われるが仕方がない、何故なら少年の“時間”はこの時代の人間よりもおよそ250年以上も過去の時間なのだ。
「・・・おかしいな?」
少年は“違和感”を感じていた。これ程大きな建物があるのに人の気配が殆ど感じないのだ。それに所々にある“灰の塊のような物”と自分の周りに感じる“妙な気配”を少年は感じていた。そこに一陣の風が吹いた。
「・・・・・・嫌な風だ。死と恐怖が混じった風、こんな風が吹くときはなにか嫌な事が起きる・・・・・・出てきなよ!追ってきているのは分かっているんだからさ!」
少年は自分の周りある“気配”に呼び掛ける。すると建物の影から“異形の者”が現れた、オレンジ色の虫と青色の人間のような姿をした者達だ。“異形の者達”から“命の気配”を感じなかった。
「お前ら何、何で俺を追い回すの?それにこの“灰の塊”はなんだ?」
少年の質問に答えようとせず、“異形の者達”は襲いかかってきた!
「うわっと!?いきなり何をするんだ!」
少年の言葉が聞こえないのか聞こうとしないのか解らなかったが少年に向かって“異形”は次々と襲いかかってきたが少年は余裕で交わしながら逃げた。
「(う~ん参ったな~。聖衣<クロス>もないし、コイツら数が多すぎるし、いっそ殴り飛ばそうかなと思うけどなんかコイツらに触っちゃいけないって感じがするんだよな~)ん?人の気配?」
突然少年は人の気配がする方へ走っていくと道で倒れている自分と同い年の少女と幼い少女がいた。
「あ!こりゃ大変だ」
少年は少女達に駆け寄る。
「おい、大丈夫?怪我はない?」
「ハァ、ハァ、ハァ、あ、大丈ぶッ!?う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!ききき君何で裸なのーーーーー!!!???」
息切れしていた少女は少年の姿に仰天し尻餅をつき顔を赤くして両手で顔をおおったが指先を少し開いて少年の姿をチラっチラっと見ていた。
「ん?裸?失礼だな、上の服は着てないけどちゃんとズボンは履いてるぞ」
「いやいやいやいやいやちゃんと上の服も着ようよ!そんな格好で歩いていたら変態さんと思われちゃうよ!」
「うわー、お兄ちゃんムキムキ。パパよりムキムキかも」
女の子の方は少年の上半身の逞しい体つきに見惚れていた。無駄な脂肪も無駄な筋肉も全くなく洗練され引き締まった逞しい身体は無垢な子供には父親と比較され、少女のような思春期と書いてお年頃の女の子には目の保養にも毒にもなる身体だった。
「う~ん、とりあえずお互い自己紹介しよっか?」
「あ、あぁ、そそうだね!わ私は響、立花 響」
茶髪の髪を肩口まで伸ばし、快活な雰囲気漂う少女の名を聞くと少年は一つの疑問を聞く。
「響か、なぁ響聞きたいんだけどさ、ここってどこ?イタリアじゃないの?」
「え?イタリア?ここは日本だよ」
「え?日本?日本って中国の更に東にある島国だよな?変だな日本は確か鎖国していて他の国との交友をしていないって聞いたけど?」
「(鎖国ってなんだっけ?・・・・・・あぁ思い出した)鎖国って国を封鎖することだよね、でもそれってもう百年以上も前にとかれたはずだよ」
「え?それって「お兄ちゃん!お姉ちゃん!」!?」
女の子の指差した方角から“異形の者達”が現れ、少年はレリーフを女の子に持たせ響と女の子を担いで走った。そのスピードはバイク以上だった。
「うわーーーーー!なにこれーーーーー!(って言うか私今裸の男の子に担がれてますけど!!)」
「うわーー!お兄ちゃんスッゴーーーイ!」
「あんまり喋らないで!舌噛むぞ!」
少年は闇雲に走り工業地帯まで逃げ、ビルの屋上にたどり着いた。
「ハァ、ハァ、まさかビルの壁を蹴り跳びながら屋上に着くなんてデタラメすぎ」
「お兄ちゃん、凄いね、ハァ、ハァ、ハァ」
「う~ん。なぁ響、アイツら一体何なんだ?」
「え?君“ノイズ”を知らないの?」
響から聞いたノイズと呼ばれる異形は兵器では歯が立たずしかもノイズに触れられると黒住の灰化してしまうと聞いた。
「・・・・・・響達と出会うまで黒住の灰は所々にあった。あれはノイズに殺された人達か」
声は静かだがどこか憤りを宿した声に響達はゾッとした。
「死んじゃうの?」
恐怖に震えたような声で女の子が言うが響は優しく微笑み首を横にふったが、振り向くとそこには、大量のノイズがいた。お互い抱き合う二人の少女と二人を守るようにノイズの前に立つ少年。
「こりゃぁちょっと不味いかも」
弱気を口にする少年。だが響は。
「(私に出来ること)」
自身を奮い立たせる
「(出来ることがきっとあるはずだ!)」
そして叫ぶ!
「生きるのを諦めないで!」
そして唄う!
「♪~♪~♪」
すると響の胸からオレンジ色の光が!
「響!」
光は天高く伸びた!
ー???ー
何処かの施設で大人達がノイズの反応を追っているとノイズと一緒に別の反応が現れた。
「まさかこれって!?」
「ガングニールだと!?」
「!?」
ービル屋上ー
光が強くなり、球体となって服がなくなった響を包み込む。
「(!?なんだ?響の中から何かが生まれようとしている?)響!しっかりしろ!」
何かが響の中で起こっていることを直感した少年は響を見る。
光が収まると四つん這いになった響の背中から巨大な機械が伸びてきたがすぐに響の中に戻ると響の姿が変わっていた!
「(なんだあれ?まるで聖衣<クロス>みたいだ!)」
機械でできた鎧を纏っていた響がそこにいた。
「響、どうしたんだ?その姿?」
「え?何で?私、どうなっちゃってんの?」
「お姉ちゃん、カッコいい!」
少女を見たあと響は決意を持った瞳をし少女を抱き抱えノイズから逃げる。ビルから飛び降りると。
「あの人は?」
ビルの方を見るとノイズ達が襲いかかってきた。
唄いながら逃げる響をノイズの攻撃をかわしながら見ていた少年は思う。
「生きるのを諦めるなっか・・・、そうだよな諦めちゃダメだよな。聖衣<クロス>がなくても俺には拳がある!足がある!そして何より小宇宙<コスモ>がある!この命ある限り諦めちゃいけないんだ!」
少年は決意を燃やす、心を燃やす、命を燃やす、己の中の宇宙 小宇宙<コスモ>を燃やす!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!燃え上がれ!俺の小宇宙<コスモ>!!!!」
少女の手にあったレリーフが光輝く!
「お姉ちゃん!お兄ちゃんのレリーフが!!」
「え?何?」
レリーフは少女の手を離れ主の元へ行く。
レリーフは少年の前に来るとその姿を変えるレリーフから獅子座が描かれた黄金の匣へと。
「そうか、そこにあったのか、俺と一緒に戦ってくれるか?」
匣は少年の問いに答えるように輝き匣を開けるとそこには少年にとって見慣れた物があった!
獅子を形をした黄金に輝くオブジェを!
「フッ!よし行くぞ!獅子座<レオ>!!!!」
少年が叫ぶとオブジェは独りでにバラバラになり少年の足に太腿に腰に腕に肩に胸にそして鬣のようなヘッドギアを少年の頭に装備し純白のマントを翻し、響達の元に降り立った!
「あれって・・・」
「お兄ちゃん綺麗・・・」
二人は太陽のように輝く黄金の背中を目に焼き付けた!
「自己紹介がまだだったな響、俺の名はレグルス!」
その少年はこの世に邪悪が蔓延るとき必ずや現れる希望の闘士、星座の鎧 聖衣<クロス>を身に纏い己の内なる力 小宇宙<コスモ>を爆発させて戦う戦士、その拳は天を裂き、その蹴りは大地を砕く!
「黄金聖闘士<ゴールドセイント> 獅子座<レオ>のレグルスだ!!!」
彼こそ地上の愛と平和と正義を守りし者、戦女神<アテナ>の聖闘士!!
ー???ー
その施設では一人の青年の通信で騒然となっていた。
「本当か!?“エルシド”!!」
赤い髪を逆立たせた逞しい体つきの男性は通信を送ってきた青年に聞く。
「あぁ間違いない、俺の聖衣<クロス>が共鳴を起こした。何よりもこの小宇宙<コスモ>間違いない、黄金聖闘士が現れた。獅子座<レオ>の黄金聖闘士にして“シジフォス”の甥 レグルスだ!」
「新しい黄金聖闘士?」
「しかも“シジフォス”の!?」
たちまち騒然となる人達の中で男性は思う。
「(“奏”のガングニールが現れ、“シジフォス”の甥の黄金聖闘士が現れた。これは偶然か?それとも・・・)お前が導いたのか?“シジフォス”・・・・・・」
そして通信越しで聞いていた蒼い髪の少女も思う。
「(“奏”のガングニールと“三人目の黄金聖闘士”?確かめなければ“奏”のガングニールに相応しいか、“シジフォス”の後を継ぐに相応しいか私が確める!)」
少女は決意を新たに戦場へとバイクを走らせる。
邂逅の時は近い。
何故だ?リリカルの方は纏まらないのにシンフォギアの方はアイディアが浮かぶのは何故だ!?