聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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『サクリファイスD デュランダル』

広木防衛大臣が殺害された事で二課で会議が行われた。リディアン音楽院高等科もとい二課の本部を中心で起きているノイズの出現から『敵』の狙いを了子が弦十朗や響とレグルスを含む隊員達に説明していた。

 

「狙いは本部最奥区画『アビス』に厳重保管されている『サクリストD デュランダル』の強奪目的であると政府は結論付けました」

 

「『デュランダル』・・・」

 

「EU連合が経済破綻した際、不良債権の一部肩代わりを条件に日本政府が管理・保管することになった黄金聖衣と同じように数少ない『完全聖遺物』の一つ」

 

「移送するったって何処にですか?ここ以上の防衛システムなんて・・・」

 

朔也の質問に弦十朗が答える。

 

「永田町最深部の特別電算室。通称“記憶の遺跡”。そこならばと言うことだ。どのみち俺達が木っ端役人である以上、お上の威光には叶わないさ。ま、お上の威光や命令なんてお構いなしに行動する“利かん坊”が二人程いるがな」

 

弦十朗の言葉に全員がその“利かん坊”と書いて“レグルス”に目を向ける。

 

「??・・・えっ!“利かん坊”って俺の事?!」

 

「後、デジェルとの再戦のために勝手に山籠りをしたエルシドもな」

 

響が特訓を始めてすぐにエルシドは突然山籠りの修業を始めたのだ。

 

「えぇ~、でも弦十朗だってエルシドが山籠りをするって言ったら簡単に承認したじゃないかー」

 

「ハッハッハッハッハッ!男の修業を妨げる事は誰にもできん!」

 

『(もしかしてうちの指令って聖闘士組と一番波長が合うのかも・・・・・・)』

 

レグルスと弦十朗のやり取りを呆れ目で見る一同。

 

 

「『デュランダル』の予定移送日時は明朝0500、詳細はメモリーチップに記載されています」

 

司令室でドローンを遠隔操作しながら『アビス』に保管されている『デュランダル』を回収する了子。モニターからその様子を眺める響達。

 

「あそこ『アビス』ですか」

 

「随分深いところに保管してるんだな、どんだけ深いんだ了子?」

 

「東京スカイタワー三本分。地下1800Mにあるのよ♪」

 

「「・・・・・・」」

 

呆然となる響とモニターをじっと見つめるレグルス。

 

「予定時間まで休んでなさい。あなた達のお仕事はそれからよ♪」(パチクリ♪)

 

「はい!(おう)」」

 

 

 

 

寮に戻った響は未来からお説教を食らっていた。

 

「朝からどこ行ってたの?!いきなり修業とか言われても」

 

「あぁーえーとつまりですね・・・」

 

「ちゃんと説明して!」

 

「あぁ!ごめん!もう行かなくっちゃ!」

 

逃げるように部屋から出ていく響。未来は寂しそうに呟く。

 

「心配もさせてくれないの・・・」

 

 

 

 

二課本部の通路のソファーで響はレグルスに愚痴る。

 

「絶対未来を怒らせちゃったよね・・・」

 

「仕っ方ないだろう?俺達の活動は秘匿扱いなんだからさ」

 

「こんな気持ちじゃ眠れないよ・・・」

 

「なら俺が当て身でもすれば一発で寝られるぞ」

 

「いやそれ『寝る』じゃなくて『気絶』だから!全然違うから!」

 

ハアとため息を溢しながらテーブルに置かれた新聞を読む響。だが開いたページには『セクシーな下着姿のお姉様』の写真が!

 

「!?//////」

 

「どうした響?なんか書かれてたの?」

 

「な、何でもないから!レグルス君は見ちゃダメだから!」

 

新聞を閉じてレグルスから遠ざかる響。

 

「(男の人ってこうゆうの<エッチな写真>とかスケベ本とか好きだよね、エルシドさんやレグルス君も興味があるのかな?/////)」

 

本人達が聞いたら「冤罪だ」と言いたくなる邪推をする響。

 

「あっ、翼の写真が載ってるぞ」

 

「えっ!翼さんの?!」

 

レグルスに指摘され記事を読む響。そこには『風鳴翼 過労で入院』とデカデカと書かれていた。

 

「情報操作も僕の役目でして」

 

「「緒川さん(慎司)」

 

顔を上げた二人の前に黒スーツに黒ネクタイを着用した緒川が立っていた。

 

「翼さんですが、危険な状態を脱しました」

 

「!」(パアッ)

 

「そうか、良かったな」

 

「ですがしばらくは二課の医療施設にて安静が必要です。月末のライブも中止ですね。さて、ファンの皆さんにどう謝るか響さんとレグルス君も一緒に考えてくれませんか?」

 

「・・・・・・」

 

緒川の言葉に響は黙り俯いてしまった。

 

「あ、いや、そんなつもりは・・・」

 

『翼がこんな事になったのは響のせい』と受け取られたと思った緒川はフォローするが。

 

「!・・・フフフ」

 

緒川の焦った姿が可笑しかったのか少し笑う響。

 

「ごめんなさい。責めるつもりはありませんでした。伝えたかったのは何事もたくさんの人間が少しずつ色んな所でバックアップしていると言うことです。だから響さんも、もう少し肩の力を抜いても大丈夫じゃないでしょうか?」

 

「優しいんですね。緒川さんは」

 

「“怖がり”なだけなんです。本当に優しい人は他にいますよ」

 

「嫌、周りの人間達に寄り添える事できるのはとっても凄い事だと思うよ」

 

「レグルス君」

 

「それに比べてエルシドは、翼が大丈夫になったって言うのに」

 

「いえ、例えここにエルシドが居たとしても翼さんはエルシドに会いたくなかったでしょう。エルシドも翼さんの気持ちを汲んで会いに行かなかったですよ」

 

「え?」

 

「翼さんは結構意地っ張りな所がありますからね。エルシドに情けない姿を余り見せたくないんです。エルシドもそんな翼さんの気持ちを理解しているから翼さんが会いに来るまで待ってるんです。翼さんがエルシドに会いに行く時は、万全の状態に戻った時でしょうね」

 

「二人共メンドイ性格してるなー」

 

笑い合う三人。響は立ち上がり。

 

「少し楽になりました。ありがとうございます。私、張り切って休んでおきますね!レグルス君行こう!」

 

「悪い響。俺もうちょっとここにいるよ」

 

「そう、それじゃお先に!」

 

そう言って走っていく響。

 

「翼さんも響さん位素直になってくれたらな」

 

と翼に聞かせられない事を呟く緒川。響の姿が見えなくなったのを確認したレグルスは緒川に『ある事』を小声で話す。

 

「・・・本当何ですか?レグルス君・・・」

 

「まだ『確証』はないけどな・・・慎司・・・弦十朗にもこの事を伝えておいて・・・」

 

「はい。レグルス君は?」

 

「俺は今回の任務で響に何かしらのアクションが起きないように見張っておくよ」

 

「分かりました。気をつけて・・・」

 

「ああ・・・」

 

そう言って緒川と離れるレグルス。移送任務開始まであと数時間。

 

 

 

 

未明。太陽が登り始めた時。移送任務が開始された。黒スーツの諜報課と整列する響とレグルスに弦十朗と了子が指示を出す。

 

「防衛大臣殺害犯を検挙する名目で検問を配備!“記憶の遺跡”まで一気に駆け抜ける!」

 

「名付け『天下の往来独り占め作戦』♪」

 

いよいよ移送任務が開始された。響とレグルスは了子の車に乗り。それを囲むように諜報部の車が移動していた。運転を了子が。助手席に響。でも『デュランダル』のある後部座席にレグルスが配置された。上空をヘリコプターが飛びその中に弦十朗がいた。

 

橋の道路を渡っているとき響が窓を開け周辺を捜索すると突然道路の片道車線が砕けた!

 

「了子さん!」

 

「!!」

 

車は一列に並んだが一台間に合わず橋から落ちてしまった。

 

「しっかり捕まっていてね」

 

「えっ?」

 

普段と違ってシリアスな顔になる了子。

 

「私のドラテクは凶暴よ」

 

橋を抜け市街地に入った一同に弦十朗から通信が入る。

 

『敵襲だ!まだ目視で確認していないがノイズだろう!』

 

「この展開。想定していたより早いかも!」

 

今度は了子の車の後ろにいた車が丁度マンホールの上に来たとき突然マンホールの蓋が飛び車ごと吹き飛んだ。

 

「!!??」

 

「まるでアクション映画の世界だ・・・ノイズは下水道か」

 

突然の展開に響は萎縮し、レグルスは冷静にノイズの気配を探る。

 

『その通りだ!ノイズは下水道を通っている!』

 

今度は前方車両が吹き飛び響に向かってくる。

 

「ぶつかる!」

 

「!!」

 

了子のドラテクで交わすが。路上に置いてたゴミを撥ね飛ばしながら走る。

 

「うわああ!」

 

「このままじゃ、ジリ貧だな」

 

「弦十朗君!ちょっとヤバイんじゃない?!この先の薬品工場で爆発でも起きたら『デュランダル』は!」

 

『わかっている!さっきから護衛車を的確に狙い打ちしてくるのは、ノイズが『デュランダル』を相対させないよう制御されていると見える!』

 

「チッ!」

 

弦十朗の言葉に思わず舌打ちする了子。

 

『狙いが『デュランダル』の確保なら。あえて危険な地域に滑り込み攻め手を封じるって算段だ!』

 

「勝算は?!」

 

『思いつきを数字で語れる物かよ!』

 

護衛車は残り一台になり薬品工場に向かうが突然前方の車両のマンホールから緑色の蛞蝓のようなノイズが現れた!車両に乗っていた人達は脱出したが車はそのまま工場のタンクに激突し爆発を起こす。爆発の火に怯えたのかノイズは向かってこない。

 

「狙い通りです!」

 

喜ぶ響だが突然車が傾き逆さまのまま倒れる。

 

『南無三!』

 

「「「ハア、ハア、ハア」」」

 

車から這い出た三人の目の前に大量のノイズが現れた。レグルスは車からケースに入った『デュランダル』を引きずり出す。

 

「了子!『デュランダル』は回収したぞ!」

 

「うーん一層ここに置いて私達は逃げましょ」

 

「「そんなのダメです!(そりゃダメでしょ)」」

 

「そりゃそうね~」

 

漫才やってるうちにノイズが攻撃を仕掛け車が爆発し爆風で吹き飛んだ三人。響の近くにケースが落ちる。更に攻撃を仕掛けようとするノイズ。爆発の煙で弦十朗は現場が見えなくなった。

 

「・・・」

 

了子が右手を翳すと“紫色の障壁”が現れノイズの攻撃を防いだ。

 

「了子・・・」

 

「了子・・・さん」

 

気がついた響の目の前にはアップされた髪が解かれ眼鏡を吹き飛ばされながら“障壁”を張る了子の姿。

 

「しょうがないわね!貴女のやりたいことをやりたいようにやりなさい!」

 

了子の激で響は立ち上がる。しかし後ろから更なるノイズの大軍が現れる。

 

「響。あっちは俺がやっておくから、ここは任せるぜ」

 

「レグルス君・・・・・・うん、私!歌います!」

 

そして響は歌う、『戦いの歌』を・・・レグルスは呼ぶ、『己の鎧』を・・・。

 

「♪~♪~♪~♪~♪」

 

響の服が弾け、腕に足にパーツが装備され。

 

「押忍!」

 

ガングニールを纏う戦姫となった!

 

「レオッ!」

 

レグルスが叫ぶと流星のように獅子のオブジェが飛んできた。オブジェはパーツにバラけレグルスの身体に装備される。

 

「ハッ!」

 

気合いを込めるとレグルスの背後に獅子座が現れた。

 

歌を歌いながら響は足に装備されたヒールを壊し拳法の構えを取る。正面から襲いかかるノイズに掌底を叩き込む!叩き込まれたノイズは背中から内部をぶちまけながら消滅し更に襲いかかるノイズを正拳、ひじ打ち、回し蹴り、ハイキック、膝蹴りなど修業で身に付けた拳法で蹴散らしていく。

 

「(修業の成果が出てるな響。さて『アイツ』もそろそろ動くかな?)」

 

ノイズ達はレグルスに襲いかかるがノイズの目の前を幾つもの光が走るとノイズ達は炭化消滅していった。レグルスはノイズに見向きもせず響の戦い様を高みの見物している『少女』、『ネフシュタインの少女』(レグルスはクリスの名を知らない)を見ていた。

 

「・・・コイツ、戦えるようになっているのか?」

 

『ネフシュタインの少女』クリスは驚いていた。少し前まで戦いを知らないド素人だった少女が短時間でここまで力をつけたことに。

 

そして了子もまた響の成長に驚いていた。

 

「・・・・・・「ピー!ピー!ピー!」!?」

 

突然『デュランダル』の入ったケースが独りでに開いていた。

 

「この反応・・・まさか!」

 

了子は再び響の方に目を向ける。ノイズを倒していく響に突然紫色の鎖が襲いかかる!空中に飛んで交わした響に『ネフシュタインの少女』が襲いかかる!

 

「今日こそは物にしてやる!」

 

響の横面に蹴りをかます。

 

「グア!(まだシンフォギアを使いこなせていない!どうすればアームドギアを・・・)」

 

地面に叩きつけられる響。それと同時にケースをぶち破り、『デュランダル』が現れた!『デュランダル』は空中に佇む。その様子を了子は見ていた。

 

「覚醒?起動?」

 

それを少し離れたところから見たレグルスは。

 

「なんだ?!『デュランダル』が起動したのか?でもなぜ・・・ハッ!」

 

『デュランダル』が金色に光る。それを見た『ネフシュタインの少女』は獲物を見つけた目になり。

 

「コイツが『デュランダル』」

 

『デュランダル』を手にしようとするが。

 

「フッ・・・ガァ?!」

 

響がタックルする。

 

「渡すものかーーー!」

 

「!!響!止めろ!『ソレ』に触れるな!」

 

自分でも何故か分からなかった、だがレグルスの直感が言うのだ。

 

『アレは危険』だと。

 

だが響は『デュランダル』の柄を握る。その瞬間!

 

カーーーーーーーーーーーーン!

 

『?!』

 

カーーーーーーーーーーーーン!

 

『デュランダル』から音が鳴り響く。『デュランダル』を両手で持った響、『デュランダル』の金色のオーラがより激しくなる!

 

「ウッ・・・ウゥッ!」

 

響の目が見開き、激しく瞳孔が動き、歯をむき出しにすると突然、金色の光が天に昇る!

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・響」

 

了子も『少女』もレグルスも呆然と見る中、ボロボロだった『デュランダル』がまるで新品同然の姿になったが響は・・・・・・。

 

「うううぅぅぅああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

「これは『あの時』と、いや『あの時』よりも危険だ!」

 

「コイツ、何をしやがった?!」

 

『少女』は了子に目を向けるが了子は歪んだ笑みを浮かべていた。『少女』は悔しそうな顔を浮かべた。

 

「(アイツ・・・何で了子を見たんだ?)」

 

「そんな力を見せびらかすな!」

 

『少女』は『杖』からノイズを射出して響にけしかれるが。

 

「・・・・・・(ギロッ!)」

 

「えっ!」

 

「マズイッッ!!」

 

響の顔はまるで『ケダモノ』のそれだった。

 

「うああああああああああ!!!!」

 

「止めろ!響ーーーーーー!!」

 

雄叫びを上げながら『デュランダル』を振り下ろす響。レグルスは『デュランダル』を響から離そうとする。『少女』は危険を感じ退避したが振り下ろされた『デュランダル』のエネルギーはノイズ諸とも工場を破壊した!連鎖的に爆発が起こる!その中で『少女』は。

 

「(お前を連れ帰って私は・・・・・・)」

 

炎の中に消えそうになる『少女』・・・だが。

 

「クリス!しっかりするんだ!クリス!」

 

「あ・・・」

 

自分を守るように抱き締めている男性。うっすらと見えたがその男性は黄金の鎧を纏っていた。

 

「(黄金の鎧・・・黄金聖闘士・・・何で黄金聖闘士が私を・・・でもなんだろう・・・この冷たいけど暖かい・・・懐かしい感触・・・この声・・・)誰だよ・・・」

 

クリスの呟きは爆発と爆発音でかき消された。

 

薬品工場は『デュランダル』の発動により木っ端微塵に吹き飛んだ!

 

了子は障壁を張って気を失ってシンフォギアを解除された響と響を護ろうと覆い被さったレグルスが気を失っていたレグルスの手に『新たな姿』いや『元の状態』に戻った『デュランダル』が握られていた。

 

「直前で『デュランダル』を引き剥がしたのね、流石は黄金聖闘士・・・・・・」

 

その時の了子はいつもの了子ではない『笑み』を浮かべていた。

 

上空で待機していた弦十朗は呟く。

 

「まさか『デュランダル』の力なのか・・・」

 

 

 

そして更に離れたところに『ネフシュタインの少女』クリスを助けたデジェルがいた。

 

「クリス・・・クリス・・・」

 

クリスの名を呼ぶがクリスは返事をしなかった。急いで脈を図る。気を失っているだけである事を確認しホッと胸を撫で下ろすデジェル。だがデジェルの耳にはクリスの「誰だよ・・・」の言葉が刻まれた。

 

「・・・・・・」

 

「どうやら、その『少女』がお前が探していた『少女』か・・・・・・」

 

「エルシド・・・」

 

デジェルの背後にエルシドが立っていた。エルシドは現場に向かう途中、デジェルを発見し足止めをしていたのだ。その証拠にエルシドの聖衣のあちこちに氷が張り、デジェルも腕や足に小さな切り傷があった。

 

「デジェルよ、お前はその娘のために俺達と敵対したのか?」

 

「笑いたければ笑え。だが私はこの子に、クリスとそのご両親に、私は『生きる力』を貰ったのだ。この子がいなければ、私は今頃世を儚んでこの『第2の命』を捨てていただろう」

 

「そうか・・・」

 

エルシドは殺気を消し大爆発が起こった工場を見る。

 

「あれが『デュランダル』の力か、だがあれを覚醒させたのは」

 

「ガングニールの少女だ。彼女が『デュランダル』と呼ばれる剣を使っていた」

 

「立花が・・・そうか・・・デジェル。その娘と共に俺達の所に行く気はないか?」

 

エルシドの提案にデジェルは一瞬悩むが。

 

「すまない」

 

「そうか、その娘はどうする?」

 

「今はまだ、私は彼女を影から守るよ。だが時が来たら・・・」

 

「分かった。だがその娘がまた牙をむいてきた時は」

 

「あぁ、その時は私がこの子を守る。たとえ『千日戦争<ワンサウザントウォー>』を引き起こすことになってもな」

 

そう言ってクリスを抱き抱え<お姫様抱っこ>、デジェルはその場を離れようとするが。

 

「エルシド、忠告しておく。ガングニールの少女、彼女は危険かもしれない」

 

「・・・・・・」

 

「『半端なもの』が力を持てば呆気なく暴走する。精々手綱はキツくしておけ」

 

そう言ってデジェルはクリスと共に消えた。エルシドは少しの間無言になるがすぐに現場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

まどろみの中、立花響の意識は覚醒する。

 

「(何?今の力?私『全部吹き飛べ!』って身体が勝手に)」

 

「おお響起きたか、気分はどうだ?」

 

「レグルスく、ん?!」

 

目を覚ますと目の前にレグルスの顔があった。しかも後頭部に当たるちょっと固めの枕とこのレグルスの体勢は。

 

「あの。レグルス君。私もしかして、レグルス君に、『膝枕』されてるの?」

 

「あぁ、悪いな他に枕の代わりになるのがなかったからさ」

 

ガバッ!と起き上がる響。

 

「響。大丈夫なのか?」

 

「大丈夫!大丈夫!全く問題ないから!//////////」

 

真っ赤になった顔を見られたくなかったのかレグルスに背を向けてる響。

 

「(これって普通は女の子の私が膝枕するのに逆に膝枕してもらうなんてなんかもうどうしたら//////)ってこれって」

 

周囲の現状に照れ隠しでテンパっていた頭がついさっきまで工場『だった』場所を見た途端に冷静になった。キョロキョロと周囲の状態に困惑する響。『デュランダル』はレグルスが持っていた。

 

「これが『デュランダル』。貴女の歌声で起動した『完全聖遺物』よ」

 

「あの、私、それに了子さんのアレ・・・」

 

自分の身に起きた事、了子が見せた力の事、聞きたい事が山のようにある響に了子は。

 

「ん?いいじゃないの、そんな事♪助かったんだし、ね♪」

 

「ま、確かに助かったんだから良いよな」

 

「レグルス君。うん・・・・・・」

 

上手くはぐらかされたが弦十朗から連絡が入り移送計画は一時中断された。呆然とする響とは別にレグルスはニコニコとした笑顔だがうっすらと開いた目はまるで獲物を観察する『野獣の目』になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

戦姫絶唱シンフォギアAXZいいですね!

この昨品もそこまで行けるか行けると良いです。

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