聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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風鳴の闇

ークリスsideー

 

翼達が要石を守るために風鳴八紘邸に向かっていた頃、クリスは、『深淵の竜宮』に向かうS.O.N.G.基地にあるデジェルの部屋のベッドの上で、寛いでいた。

ふと、部屋に設られた机で、マリアと切歌と調用に調整したLiNKERのデータを纏めているデジェルに話しかける。

 

「ねぇお兄ちゃん・・・・」

 

「ん?」

 

「アイツ、自分のパパの事、恨んでるのかな?」

 

アイツ・・・・響が自分の父親の事で苦しんでいる事に、クリスは心配している。

 

「気になるかい?」

 

「うん・・・・まあ、ね・・・・」

 

クリスはパパとママを失った。理不尽な世界の理由無き悪意によって。だからこそ、父親と不仲になっている響が気になっているのだ。

 

「・・・・私は、物心付いた時から両親がいなかったから、響くんの気持ちはいまいち分からない。だが、響くんはただ、逃げているだけだと思うぞ」

 

「逃げている?」

 

「あぁ。誰しも、『向き合わなければならない現実』、『乗り越えなければならない過去』はある。響くんがそれらから必死に逃げているだけだと私には見える」

 

「でもさ、そう簡単には向き合えないよ・・・・」

 

響と同じように、過去のしがらみに捕らわれているクリスは、いつの間にか体育座りになり、デジェルはクリスに近づき、寄り添わせるように抱きしめ、クリスも甘えるようにデジェルにすり寄る。

 

「そうかもな。だが、それでも向き合わなくてはならないんだ。たとえそれがどんなに辛くとも、苦しくとも、悲しくとも・・・・そうやって人はなっていくんだよ」

 

「何に?」

 

「・・・・“大人”に、な」

 

デジェルの言葉にクリスは、クスッと笑みを浮かべる。

 

「アイツが“大人”って、いまいちピンと来ないよ。下手すれば後輩達よりガキだよ?」

 

「・・・・そうかもな」

 

「(ま、人の事言えないけどさ・・・・)」

 

デジェルは再びデータ整理に戻り、LiNKERの成分表をプリントアウトし、クリスはベッドに横たわった。

 

 

ーマニゴルドsideー

 

「あっ、調! 調の攻撃が当たっちゃったデス!」

 

「切ちゃんだって動きが遅いよ・・・・!」

 

そして同じ頃、切歌と調は、“何故か”、スマホオンラインゲームで協力しながらゲームのモンスターを攻略していた。

切歌は“槍使い”のキャラクターで、調は“鞭使い”のキャラクター。

別に二人がこのゲームを始めた訳では無い。まぁよくマニゴルドとカルディアと四人で、カートゲームやモンスターをハントするゲーム、太鼓のゲームや対戦ゲームとかで遊んではいるが。

今回はマニゴルドが突然ーーー。

 

【『深淵の竜宮』に着くまでこのゲームで遊んでおけ】

 

と、二人にやらされていたからだ。別段二人もちょうど暇を持て余していたのでやってみたのだが、何故か切歌と調のキャラは獲物のモンスターを、切歌が前から、調が後ろから、時に逆となりながら攻めるようプレイさせられており、二人のプレイキャラクターもマニゴルドが勝手に設定していた。

二人は少しやりづらそうにプレイしている。

 

「マニゴルド。どうしてこんなプレイスタイルでやるデスか?」

 

「私と切ちゃんのスタイルに合ってないし、二人で前衛に出れば良いと思う」

 

「黙ってやれ。そのモンスターは“左腕の武器にだけ”気をつけておけば恐くもなんともねぇよ」

 

「お前らのスタイルに近いキャラクターはそれしかいなかったんだよ」

 

「・・・・・・・・なんか変デスね」

 

「・・・・・・・・何か隠し事してる?」

 

「別に・・・・良いからとにかくやってろ。それが出来たら小遣い少しアップしてやる」

 

「「(ピクッ!) それ本当(デスか)??!」」

 

S.O.N.G.で装者として働く以上、調と切歌にも給金が支払われるが、調と切歌のお金は以外にもマニゴルドが管理しており、月々の小遣い制で貰っていた。未成年に過剰なお金を持たせないようにと保護者代表のマリアと、保父さんズのマニゴルドとカルディアとアルバフィカで協議した結果である。

ちなみに響の給金は未来が管理している。響にお金を持たせても、買い食いで消えるだけだからだ。マリアと翼とクリスはちゃんとお金の管理ができているので問題無し。

聖闘士組は、レグルスとエルシドとカルディアとアルバフィカはほとんど使わない、デジェルも管理は出来ており、マニゴルドは自分用の金しか使わず、調と切歌の給金には一円も手を出していない。

 

「あぁ、だから『深淵の竜宮』に着くまでに、そのゲーム終わらせておけよ」

 

「「了解(デェス)!」」

 

二人はマニゴルドに敬礼すると、再びゲームを再開した。

ゲームに集中している切歌と調を横目に、カルディアがマニゴルドに話しかける。

 

「んで、お前はどう思うよ? ガングニールの事?」

 

「あん? ようやくマトモになっただけだろうが」

 

「そう思うかお前も?」

 

「ああ。私今まで誰も恨んだ事ありませ~ん、誰にも憎しみを抱いた事ありましぇ~んって言わんばかりの、聖人君子気取りの馬鹿娘が、ようやくマトモになっただけだろう。それを周りが大袈裟にしているだけだ」

 

 

 

 

やがて潜水艦が目的地に到着するとデジェル達は早速、小型艇で『深淵の竜宮』に乗り込み、切歌と調は興味深そうに辺りを見回す。

 

「ここが『深淵の竜宮』・・・・?」

 

「だだっ広いデス!」

 

「ピクニックじゃねえんだ、行くぞ」

 

「そうだぞ、既に敵が来てんだ。遊び気分になってねぇで、気を引き締めていけよ」

 

クリスとカルディアが、はしゃぎそうになる切歌と調にそう注意するのだが、そのカルディアの手には林檎を持っており、カルディアは林檎にかぶり付き、食べていたのだった。

 

「「いやお前が一番遊び気分じゃねえか(だろうが)!!?」」

 

それに対して即座にクリスとマニゴルドがダブルでツッコミを入れたが、兎にも角にも、一同は先に進むことになった。

 

 

 

ーレグルスsideー

 

一方、『深淵の竜宮』の扉の前で待機しているS.O.N.G.基地では。

司令室にいるレグルスはいつでも動けるように壁際で瞑目し、弦十郎達は、侵入者達であるキャロル達の現在地の補足を行っていた。

 

「施設構造データ、取得しました」

 

「侵入者の捜索急げ!」

 

「キャロルの目的は『世界の破壊』。ここに納められた聖遺物、もしくはそれに類する危険物を手に入れようとしているに違いありません」

 

またエルフナインがキャロルが何を狙っているかの予想を弦十郎に伝えた。

それを聞き、瞑目していたレグルスがピクッと反応するが、今はここから、デジェル達を信じることしかできなかった。

 

 

 

ー翼sideー

 

「んんっ・・・・・・」

 

夕方、八紘邸の寝室にて・・・・・・そこではファラとの戦闘で気を失っていた翼が目を覚ました。

 

「目が覚めたか?」

 

「エルシド・・・・?」

 

彼女は辺りを見回すと、自分の眠る布団の隣に、エルシドが座禅で控えているのが見え、ゆっくりと身体を起き上がらせる。

 

「・・・・そうか、私はファラと戦って・・・・。身に余る夢を捨ててなお・・・・」

 

ファラとの戦闘で自分が敗れたことを思い出し、顔を俯かせる翼。

 

「(私では届かないのか・・・・・・)」

 

「大丈夫、翼?」

 

「すまない、不覚を取った」

 

そんな時、外から彼女を心配してやってきたマリアの声が聞こえ、それに対し翼は謝罪する。

 

「動けるのなら来て欲しい、翼のパパさんが呼んでいるわ」

 

「・・・・分かった」

 

風鳴八紘の書斎のような部屋へとやってきた翼とエルシドとマリア。

そこでは緒川と八紘がおり、机の上には、報告書が挟まれたファイルが積まれ置かれていた。

 

「これは?」

 

「アルカ・ノイズの攻撃によって生じる赤い粒子を、『アーネンエルベ』に調査依頼していました。これはその報告書になります」 

 

「『アーネンエルベ』。シンフォギアの開発に関わりが深い独国政府の研究機関・・・・」

 

翼達はファイルを手に取り、中身に目を通す。

 

「報告によると、赤い物質は『プリマ・マテリア』。万能の溶媒『アルカ・ヘステ』によって分解還元された物質の根源要素らしい」

 

「物質の根源? 分解による?」

 

八紘の言葉に疑問を浮かべ、首を傾げるマリア。

 

「錬金術とは分解と解析、そこからの構築によって成り立つ異端技術の理論体系とありますが・・・・・・」

 

「キャロルは世界を分解したあと、何を構築しようとしているのかしら・・・・・・」

 

「それは分からんが、キャロル・マールス・ディーンハイムは、現存する世界を分解して、“何か”を作ろうとしてる。敵の目的の一部が見えて来た、と言う事で良いだろう」

 

エルシドが、キャロルの目論みをざっくりと説明した。

 

「・・・・翼」

 

「は、はい」

 

「傷の具合は?」 

 

すると八紘が不意に翼の名前を呼び、容態を尋ねると、それに翼は一瞬驚いたような表情を浮かべる。

 

「っ・・・・・・はい、痛みは殺せます」

 

「ならばここを発ち、然るべき施設にてこれらの情報の解析を進めるといい。お前の守るべき要石はもうないのだ」

 

「・・・・分かりました」

 

少々冷たい印象の言い方をする八紘に対し、翼は一瞬悲しげな顔を浮かべた後、返事をし、彼の言う通りにしようとするのだが・・・・・・。

 

「それを合理的と言うのかもしれないけど、傷ついた自分の娘にかける言葉にしては冷たすぎるんじゃないかしら?!」

 

それを見たマリアはそんな八紘の厳しめの言葉に対して苛立ち、彼女は八紘に反発した。

 

「いいんだマリア」

 

「翼・・・・!」 

 

しかし、そんなマリアを翼は抑える。それでも八紘は黙っていた。

 

「・・・・・・いいんだ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

翼はそう言ってマリアを落ち着くように説得し、エルシドとマリアを連れて退室した。

 

 

ー緒川sideー

 

「少々、冷たくし過ぎなのでは?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

緒川は八紘に進言するが、八紘は黙ったままだった。緒川は小さくため息を吐くと、さらに口を開いた。

 

「それで、彼の方は?」

 

「・・・・今、彼らの預かり物を取りに行っている」

 

「よく政府関係者達を説得出来ましたね。彼らをあそこまで恐れている筈なのに・・・・」

 

「さすがにここまで事態が動いていれば、奴らも我が身を守るために許可せざる得ないだろう」

 

「そしてもしもの事態が有れば、貴方が責任を持つのですか?」

 

「私は彼らを信じている。別世界からやって来て、この世界を守るために戦ってくれる彼らをな」

 

 

ー翼sideー

 

「アレはなんだ!! 国家安全保障のスペシャリストかもしれないが家族の繋がりを蔑ろにして!! エルシド! 貴方はなんとも思わないの!!?」

 

「家族の問題に、他人である俺達が簡単に踏み込めんだろう。特に、この風鳴の家は、かなり複雑な問題を抱えているからな」

 

「はぁっ?」

 

先ほどの八紘の態度に対してマリアは怒り、彼女はランやエルシドにも問いかけるのだが、エルシドの言葉に首を傾げ、アレを見て怒らないエルシドの八紘に対する評価が、甘すぎるのではないかと思った。

 

「すまない。・・・・だがあれが私達の在り方なのだ」

 

その後、一同は話の続きは翼の部屋でということで彼女に案内させた。

 

「ここは、子供自分の私の部屋だ。話の続きは中でしょう・・・・」

 

翼が襖を開けるとそこには・・・・・・。

 

「っ!敵襲!? また人形が!?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「あっ、いや・・・・・・私の不徳だ・・・・・・。 だからって10年間そのままにしとくなんて・・・・・・」

 

「えっ・・・・?」

 

そこには散らかしっぱなし翼の10年前から変わらないという汚部屋が広がっており、彼女は顔を赤くし、それを見たマリアは目をパチクリさせ。

 

「く、くくく、くく、昔から、片付けられない、女だったのだな・・・・くくく・・・・!」

 

「エルシドが笑っている!?」 

 

「笑われるのは予想できたが、そこまで笑うほどなのかエルシドっ!」

 

エルシドが声を潜めて笑い、エルシドの笑い顔を初めて見たマリアは驚嘆、翼は顔をさらに赤くした。それから三人は、取りあえず部屋の散らかりを片付けをしながら話をすることにした。

 

 

 

「幼い頃にはこの部屋で、お父様に流行歌を聞かせた思い出もあるのに・・・・・・」

 

「それにしても、この部屋は・・・・・・昔からなの?」

 

マリアは辺りを見回し、翼に疑問に思ったことを尋ねる。

 

「わ、私が『片付けられない女』ってこと!?」

 

「そうだな。シジフォスも奏も呆れていた程だからな」

「えっ!? 奏はともかくシジフォスも!?」

 

意地悪な奏はともかく、慕っていたシジフォスも呆れられていた事実に、翼は少なからずショックを受けた。が、マリアは訂正する。

 

「いや、そうじゃないわよ。私が言いたいのは翼のパパさんのことだ」

 

翼は静かに目を瞑り、それについては、先ずは自分の祖父のことについて語る必要があった為、それを彼女は話し始める。

 

「私のお爺様・・・・・・現当主『風鳴訃堂』は老齢の域に差し掛かると、跡継ぎを考えるようになった。候補者は嫡男である父・八紘と、その弟の弦十郎叔父様」

 

「風鳴指令か・・・・・・」

 

「だが、お爺様に任命されたのは、お父様や叔父様を差し置いて、生まれたばかりの私だった」

 

「翼を?」 

 

それを聞いてマリアは驚きの声を上げ、エルシドは鋭い目付きをさらに鋭くする。

 

「理由は聞いていない。だが今日まで生きていると伺い知ることもある。・・・・どうやら私にはお父様の血が流れていないらしい」

 

「なに・・・・・・!?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

それを聞き、マリアは驚愕した表情を浮かべ、エルシドはさらに目を鋭くする。

 

「風鳴の血を濃く絶やさぬようお爺様がお母様の腹より産ませたのが私だ」

 

それはつまり、父親が、息子の妻に翼を生ませたという事であった。

 

「『風鳴訃堂』・・・・・・人の道を外れたか!」

 

「・・・・・・」

 

マリアは翼の話を聞き、『風鳴訃堂』に対して激しい怒りを覚え、エルシドは静かに怒りをたぎらせる。

 

【お前が私の娘であるものかっ!! どこまでも汚れた風鳴の道具に過ぎんっ!!】

 

かつて幼い頃に父・八紘に言われた言葉が翼の心に深く刺さっていた。

 

「以来私は、お父様に少しでも受け入れてもらいたくてこの身を人ではなく、道具として、『剣』として研鑽してきたのだ」

 

あまりの話にマリアは言葉を失うが、翼は自嘲するように笑みを浮かべる。

 

「なのに、この体たらくではますますもって、鬼子として疎まれてしまうな・・・・・・」

 

「・・・・ふざけた事を言うな」

 

「えっ?」

 

するとその時、今まで黙って話を聞いていたエルシドが、ガッと翼の両肩を掴みあげ、それに翼は戸惑う。

 

「え、エルシド・・・・?」

 

「それは本当に八紘殿がお前に望んだことなのか? 『道具』として生きろと、『剣』として生きろと、あの人が望んだと言うのか翼っ!」

 

「・・・・それくらいしか、私はお父様に受け入れては・・・・・・!」

 

「そんな生き方をしろと、あの人が言ったのか?『道具になれ』って言ったと言うのか? そのような生き方など、お前を『風鳴家の道具』として、お前の母上に無理矢理お前を生ませた、『風鳴訃堂』と同じではないかっ!?」

 

「っ・・・・ではどうすれば言いと言うのだ!? 私はエルシドとは違う! エルシドのように、我が身を『剣』とすることができない! 夢を捨ててまで『剣』であろうとしたのに、それすら!」

 

「俺は『夢』を捨てていない!」

 

「っ!」

 

「俺の夢、友との夢、この身を聖剣と鍛え抜き、弱き人々を守るために『大義』と『仁の心』を持って聖剣を振るう。それが俺の『生き方』であり、俺の『夢』だ。翼、お前はどうなのだ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

エルシドの真っ直ぐ強い眼差しに翼は押し黙りそうになる。

 

 

ーエルフナインsideー

 

「竜宮の管理システムとリンク完了しました」

 

そしてその頃。S.O.N.G.の司令室では、竜宮の管理システムにアクセスし、そこにあるデータからキャロルの狙いを絞り込んで対策を打とうという作戦が行われていた。

 

「キャロルの狙いを絞り込む事が出来れば、対策を打つことも出来るかも・・・・あっ!止めてください!」

 

その時、表示されたデータの1つにエルフナインが目を止めた。

 

「『ヤントラ・サルヴァスパ』!?」

 

「キャロル、なんなんだそれ?」

 

「あらゆる機械の起動と制御を可能にする情報集積体。キャロルがトリガーパーツを手に入れれば、『ワールド・デストラクター』、『チフォージュ・シャトー』は完成してしまいます」

 

レグルスが尋ねると、エルフナインは、『ヤントラ・サルヴァスパ』の事を説明した。

 

「『ヤントラ・サルヴァスパ』の管理区域、割り出しました」

 

そこで丁度友里が、管理区域の地図をモニタに表示した。

 

「デジェル達を急行させるんだ!」

 

それを受けて弦十郎はデジェル達に、急いでそこに向かわせるように指示するのだった。

 

 

 

ー翼sideー

 

「・・・・私だって・・・・私だって・・・・!」 

 

その時である。

 

ドガァァァァァァァァンンッ!!!

 

突然外で大きな爆発音が聞こえきたのだ。

 

「なんだ!?」

 

「爆発音か」

 

「兎に角、行ってみましょう!」

 

マリアの言葉に他の二人は頷き、三人は急いで爆発の音が聞こえた方向へと走って行くのだった。

そこではファラが建物の1つを破壊し、その騒ぎを聞きつけ、そこに駆けつけた翼とエルシドにマリア。

 

「要石を破壊した今、貴様になんの目的がある!?」

 

「うふ♪ 私は歌が聴きたい。そしてそのあとは・・・・」

 

翼の問いかけに対してファラはそう答え、エルシドを見据える。

 

「山羊座<カプリコーン>、貴方との決着をつけに来たのです」

 

「私達はエルシドの前座と言いたいようだな!」

 

「貴様ごときにエルシドの相手が務まるか! 私達が斬り捨てる!!」

 

翼とマリアは歌う。戦いの聖詠をーーーーー。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

翼とマリアの衣服が弾け、翼の身体に青いシンフォギア、『絶剣 天羽々斬』が、マリアの身体に白銀のシンフォギア、『銀の義手 アガートラーム』を纏った。

 

エルシドは戦場から少し離れ、翼とマリアの戦いぶりを見る。

すると、通信端末から連絡が入り、それに出ると、懐かしい声が聞こえた。

 

「久し振りだな。今どこにいる?・・・・・・・・そうか、今俺達は翼の生家だ。デジェルとマニゴルド、カルディアは『深淵の竜宮』だ。ヤツもいるならば、送って貰おうか・・・・うむ、どうやらすぐに必要になりそうだ・・・・」

 

 

ーアスプロスsideー

 

『ヤントラ・サルヴァスパ』の管理区域に向かう途中、アスプロスはある区画に保管されていた物を見つけた。

それを見て、キャロルは小さく笑みを浮かべる。

 

「アスプロス、それがなのか?」

 

「そうだ。これが『エレメントアームズ』に必要な素材・・・・『オリハルコン』だ」


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