窓からの異様な光景を認識した瞬間に、窓が一瞬にして硬い金属の縁部分ごと砕かれ破片が室内に飛び散る。
それと同時に、蠢いていたなにか得たいの知れないモノが部屋の中へズルリとはいってきた。
「うわあああぁっ!?」
悲鳴をあげながらも窓から遠退き、その物体を直視してしまう。
ぐにゃぐにゃというか、ブニブニというか…形容しがたいその外見をしたそいつは金色の瞳のようなものでこちらを見つけると、じっと見るように細くした…その後
見た目から想像もつかないほどのスピードで、こちらに突進してきた。
「っ!」
ハッと息をのみ咄嗟に台所の方へ動く。
慌てて転倒しかけるも、それが功をそうしたのかギリギリで突進の回避に成功する。
自身が転倒しかけたことと、いきなりの状況で頭がパニックになってしまう。
「な…なんだってんだよ…!」
体が動かない…
やばい…
金色の瞳が2つこちらを見る、獲物をとらえたかのような鋭く…本能の目
言葉を使わずに、そいつは目で俺に囁いたような気がした。
<ここで殺す> と
「くっ…!?」
目をつぶり俺は覚悟をした、死ぬ覚悟だ
たがそれは次の目の前を光景を目にし、安堵へと変わる。
さっきまで目の前で獲物を見据えていた金色の目は閉じ、形容しがたい外見をした物体が2 mほど奥に飛んでいた。
「大丈夫ですかっ、セグレトさん!?」
後ろからファリニスの声がした、先程まで聞きなれていた小難しい声。
「えっと…ありがとう、ファリニス」
「いえ…しかし」
ファリニスは倒れたままの謎の物体をみつめる、金色の瞳は未だに閉じたままだ…起き上がる様子もない。
「…やっぱり…でも…おかしい…」
得たいの知れないモノには触れずに、近くで覗きこむように観察を始め…ぶつぶつと言いながらも険しい顔のままで落ち着く様子がない。
「ファリニス?えっと…こいつは、一体?」
俺の声にハッとして、ファリニスこちらにふりかえる
「あっ、いえ!なんでもないですよ、この後処理は私がやっておきますので!セグレトさんは…えっと、トイレにでも!!ささ、どうぞ!」
「へっ!?いや、あの、別に催してはいないぞ!?」
その時視界の片隅、台所のシンクの方でにまたなにかがうごめく。
同じ、金色の瞳が2つ見える
「ファリニ…」
「離れてっ!」
俺が呼ぶよりも前にファリニスは既に動いていた、しかしそれは金色の瞳も同じくであり既に俺に向かってまた突進を繰り出す。
「させませんっ!」
突進してくる金色の瞳と、俺の間にファリニスが立ち入り謎の物体を迎え撃つ。
その刹那にファリニスの手のひらにあった淡い緑色の輝きが…その眩しさを増す。
やがてそれは小さな塊に、グリーンから紫色に変化し、球状に形を変えて発現する。
「<ねんりき>っ!」
パシィンッと軽いような音が響き、金色の瞳は台所の奥へと消えていく。
ガシャンとなにかが壊れた音が盛大に響くが、暗がりでなにがかまではわからない。
「セグレトさん!ここは危ないです、外へ!」
「えっ、あ、お、おう!」
慌てた様子のファリニスに提案され…
バァンッと扉を勢いよく開けて、俺たちは部屋をあとにした。