どうも傘沙羅です!
この小説は前のアカウントの「失歌刀辻」で上げていたもので、長らく放置していたのでこの度本アカウントに結合させていきたいと思っています。
恐らくですがfateの方もすこしずつですが進めていきます!
それではどうぞ!
空には雲が湧き、草木を優しく揺するような風が頬をくすぐる。
遠くを見渡せば切り立った渓谷が並び、その底には青い大河が流れ、時折魚がその身体を宙に踊らせまた水面に戻る。
そんな大自然の中を駆ける一人の少女。
東洋人特有の黒髪と透き通った藍色の瞳、そして身にまとっているのはこの大自然の宝庫・・・・・・孤島によく似合う薄い布を軽く巻いたもの。
そして背には身の丈に迫るほどの鞘に収まった大太刀背負われており、走るリズムに合わせてチャカチャカと鯉口と鍔がぶつかり合う。
そしてその少女はこの雄大な大空を仰ぎ・・・・・・・・・。
「ぴゃゃあぁぁぁぁ!!」
グォォォオオオオオオオ!!!!!
情けない叫び声を上げた。さらにその後ろ、天然の洞窟となっている道から雷光をまとった巨体が姿を現した。
『雷狼竜』ジンオウガ
少女の住む地域にもよく訪れることのある危険なモンスターを討伐、撃退し生計を立てているハンター達の間でその化物はそう呼ばれている。
地を掴み、力強く蹴り出すために鍛え上げられたら四肢。
長く先端には鉤爪のようなウロコが突き出し、振り回せば強力な武器となる尾。
剃刀のように鋭い爪と王者の風格を漂わせる背に並ぶ白いたてがみ。
碧玉の様に輝く双眸が敵を射抜き、頭から前方へとせり出した二対の角はその威厳を固めたかの様な威圧感を放つ。
万全のハンターでも1人では苦戦は免れえないそのモンスターにまだ15を迎えたばかりの少女が太刀打ちできるかというと・・・・・・・・・
「む、無理ぃぃぃ!!」
出来るはずもない、これが自然の摂理である。
(あ~!何でこんなことになったのぉ!?)
少女はつい数分前のことを思い返した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
???サイド
「あったぁ!これで回復薬が作れそう」
こんにちは、私の名前は慧香・ツェルエース。
この近く、と言っても孤島からかなり離れた港町のタンジアに住む者です。
今日は来週の市場で出す回復薬の素材を取るために父親に内緒で孤島に来ました。
怒られてしまうでしょうが、家族の食の足しを作るためには仕方ありません。
それに、これでも港にあるハンターの訓練所を主席で合格したんですから!だいじょうぶですって。
「さてと、後はハチミツと・・・・できればにが虫が手に入れば文句ないんだけどなぁ」
今は孤島のエリア3という高台に位置したところに来ています。
この奥にハチミツの取れる蜂の巣があるんですけど・・・・・・
「なんだか静か・・・・・アプトノスもいないし」
孤島に生息している比較的温厚なアプトノスがいつもならいるぐらいの時間帯なのに姿が見えない。
こんなに晴れているのに・・・・・・昼寝でもしてるのかなぁ?
「ヨイショっと、これでハチミツの採取終了っと。後は奥にいるにが虫を・・・・・・」
━━━━━━ォオォォ━━━ォオ━━━━━
「ん?なんか今聞こえたような・・・」
ドスン ドスン ドスン
な、何かがこのエリアに入ってきたらしい。しかも物音からして大型の生物。
しかしここはハンター達の狩場でもある孤島、そんなところにいる大型の生き物・・・それは。
(や、やばい!モンスターが入って来た!?)
モンスター以外ありえない。
そのこうしてるうちに次は複数の小さな足音とガチャガチャと固いもののこすれる音が響く。
慌てて洞窟の影に隠れる、すると。
「うおぉぉ!!!逃げろ!逃げろ!」
「冗談じゃねぇぞ!なんでこんな下位クエにジンオウガが出てくんだよ!!」
「いいから早く逃げましょう!だ、誰か閃光玉持ってないの!?」
「ウス!オイラ持ってるッス!」
「「「早く投げろ!!」」」
「ウス!せーのッ!」
すると突然エリア3の奥、滝が落ちている方から眩いほどの閃光が迸り私の目を焼きました。
ハンター達の持ってる閃光玉という道具でしょうか?
まだチカチカとしてはっきり見えない視界の中を四人のハンターが全力疾走しエリア2へと下る道へと向かう。
━━━ウゥォォォンン!!!
「ヒッ!」
ハンターの方へと目を向けていた私はいきなり目の前に出てきたモンスターを見て声を漏らしてしまいました。
ハンター達の会話からジンオウガと推測していましたが、実物を至近距離で見るとやはり恐怖心しか出てきません。
そして何たることか
━━━━━━━━━━━(チラッ)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その声に反応したのかこちらを横目で見つめてきました。
絶対的な捕食者を前にした無力な獲物ってこんな気持ちなんですね・・・・・・って!現実逃避してる間じゃありません!
ブゥゥゥゥン
ん?あんな所ににが虫が飛んでいます。
どうやらジンオウガのまわりを飛ぶ雷光虫に反応したのでしょうか。
そのままにが虫はジンオウガの口の中へと吸い込まれるように入っていきました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
ギャオォォォォォンン!!!!
「ぴ、ぴゃゃあぁぁぁぁ!!!!」
~~~~~~~冒頭へ戻ります~~~~~~~
「イヤァァァ!!ぴぃやぁぁぁぁ!!!!」
とう言う訳でただ今孤島の中を奔走してる最中です。
なんでジンオウガなんかが私に興味を示すんですか!第一そんなふうに襲っても私の持ち物なんていいのありませんし!
慧香のポーチ内
▷生肉 ×10
▷ホワイトレバー ×7
▷ハチミツ ×10
▷薬草 ×10
▷サシミウオ ×2
しっかりお肉とお魚入ってましたよ!何なんですか今日に限って!?
しかも何かどんどんエリア1から遠ざかってますし、このまま食べられてしまうんですか私!
「きゃあぁぁぁ!!・・・・・・・・・あっ!」
エリア5に入った瞬間、私は絶望した。
エリアの中には不運なことにドスジャギィ、ジャギノス、ジャギィが群れを成して集まっていた。
下っ端であるジャギィが声を上げると周りのジャギィ達が獲物を囲むかのように円を作る。
(短い人生だったなぁ・・・・・・弟と父さん、母さん・・・ごめんなさい)
そして正面に一際大きな襟巻を持つドスジャギィが近づいてき、その口を大きく上げて私を飲み込もうとしてきた。
・・・・・・・・・けど!
「まだ・・・・・・まだ死ねない!!」
背の大太刀を抜き放ち、ドスジャギィの大きな襟巻を切り裂く。
そのまま返す刃で3匹のジャギィの頭を飛ばす。
地面についてしまっていた膝を上げ、右半身を引いて背後に刀を寝かせるようにして腰を落とす。
刀の師匠のいない私が独学で学び身につけた太刀の構え。
この構えと技が唯一の戦場での武器にして私自身の命綱。
「さぁ・・・・・・命のいらない奴からかかってこい!」
血糊を振り散らした刃に孤島の日差しが、強く瞬いた。
さてどうでしたでしょうか、と言ってもまだプロローグですし
気長に更新を待っていただけると幸いです
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