やがて我が身は剣となる。   作:烏羽 黒

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  今回の一言
 何故か文字数が可笑しい。

では、どうぞ


無双、それは二十四階層

 

 

「まさか……あんた等が、()()?」

 

「軍と言うほど人数は多くありませんがね」

 

「え、それって…ルルネさんが?」

 

「はい、恐らく『協力者』ですね」

 

 そう会話している間に、周りでは動きがあった。

 賭博(カードゲーム)に興じていた者たちも、普通に食事をしていた元達も立ち上がり、此方を見ていた。と言うことは。

 

「はは、どうやら『協力者』は彼女だけではないようですね」

 

「多いね…」

 

「彼女達で本当に間違いないんですか、ルルネ」

 

「ア、アスフィ……」

 

 ルルネ・ルーイが困惑したような表情を浮かべ、呼んだ名の人物は、アスフィ――アスフィ・アル・アンドロメダ。【ヘルメス・ファミリア】首領にして、魔道具製作者(マジック・アイテムメーカー)で幅広く知られる有名人。【万能者(ペルセウス)】の二つ名を要する程の人だ。 

 

「そうみたい……」

 

「貴女達も、依頼を受けたんですか?」

 

 アイズは確認の為か、そのような質問をした。答えは決まってるだろうが。

 

「ええ。この金に目のない駄犬の所為で、ファミリア全体が迷惑を(こうむ)っています」

 

「ア、アスフィ~」

 

 容赦ないなおい。でも、事実なんだろうからどうしようもないんだろうな…

 事情を説明しろ、という眼を向けると、決まりの悪そうな、あまり気が進まない様子で話してくれた。

 

「あんたらも会ったと思うけど、ほんの何日か前にあの黒ローブのやつが現れてさ、『協力してほしい』って。最初は『もうご免だ』って突っぱねたんだけど……」

 

 ……あれ?続きは?歯切れ超悪いよ?

 

「Lvを偽っていることをばらす、と脅されたそうです」

 

 途切れた先を代弁して【万能者(ペルセウス)】が続けた。

 てか、Lv偽装してんのかよ……ばれたら本当に不味いじゃん。それより、あいつ、そんな情報まで持ってんのかよ…警戒しておくべきかな?

 

「その挙句、私達に皺寄せまで…」

 

 呆れ、愚痴を吐くように、顳顬(こめかみ)を押さえながら彼女は言った。その顔からは、疲れとストレスが滲んで見える。……お疲れ様です。

 

「あ、【万能者】さん。因みに、どれくらいの偽装をしているんですか?」

 

「ファミリアの方針で、中立を保つために調節しているため、此処にいる全員が、最低でもLv一つは偽装していると思ってください。まぁ、それ以外にもありますが……」

 

 そう言って、また疲れた顔を見せる。ご苦労様です…

 てか、全員が偽装してるってことは、今の中核から、等級(ランク)が一気に上がり、上位派閥の仲間入りになんぞ…。こりゃ、罰則(ペナルティ)もすさまじいだろうな…

 

「はぁ……ほんと、この馬鹿っ、愚か者っ、貴女の所為で、更に仕事が増えるわ、疲れは溜まるわ……ほんっと、どうしてやろうかしら…」

 

「か、勘弁してくれよ~」

 

「もう完全に鬱憤晴らしですよね…」

 

「そうですが、何か」

 

 あ、自覚あってやってたんだ。まぁ、この原因を作ったルルネ・ルーイさんが悪いけど。 

 

「あの……これからのこと、なんですけど」

 

 おっと、忘れてた。冒険者依頼(クエスト)中だったな。

 

「……すいません、見苦しいところをお見せしました」

 

 目の前でやってる自覚があって、後から謝るっておかしくない?

 

「依頼内容を確認しますが、目的地は二十四階層の食糧庫(パントリー)。モンスター大量発生の原因を探り、それを排除する。間違いありませんか?」

 

「はい」

 

 アイズは肯定したけど、細かく言うと、排除じゃなく、鎮圧、なんだけどな…

 一応、首肯はしといたが。

 

「では、次にこちらの戦力を伝えておきます。私を合わせて総勢十五名、全て【ヘルメス・ファミリア】の人間です。能力(ステイタス)は大半がLv.3」

 

 普通にLv高いじゃねーか。大半がってことは、Lv.4もいるのかな?多分【万能者(ペルセウス)】だろうけど。

 

「あと、そちらの方の実力が、どれ程のものかを教えて頂きたいのですが…」

 

 あ、やっぱりそうなる?

 

「大丈夫?」

 

「ええ、問題ありません。この程度」

 

 アイズは、私のことを案じてくれたようだ。まぁ、Lv.1が中層に来ている時点で何かしら疑われることは明白だからな。心配してくれるのは嬉しいけど、必要のないことだ。だって…

 

「では、自己紹介を兼ねて。私の名前はシオン・クラネル、しがない剣士です。中層くらいなら、ソロでも問題なく闘えます」

 

 余計なことを言わなければいいのだから!

 

「そうですか。なら問題ありませんね」

 

 ほらね、追及もされない。戦えることだけを示せばいいのだ。

 

「では、準備、隊列決め、情報交換等を終わらせてしまいましょう」

 

 

   * * *

 

 あの後、準備と隊列決めまでは滞りなく進み、問題なかったのだが、情報交換の時に、何故か二つ名を聞かれてしまって、答えられず、問い詰められ、結局ばれてしまった。

 その後は、おぞましい程の質問ラッシュだ。マジで何なんだよ…こうなることを少しは予想してたけどさ…

 

 そして、ここはダンジョン二十四階層。質問攻めを何とか抜け出した後は、リヴィラの町で、足りないとされたアイテム類を補給し、この階層へ向かった。

 いや~、値引きの後のあの顔は、中々良いものだった。アスフィさん達が引いてたけど。

 更に言うと、今もかなり引かれている。意味は別だと思うが。

 

「貴方…本当にLv.1なんですか…」

 

「よく言われます」

 

 ここまでの道中。私とアイズが先頭で暴れまくっている所為で、後続の人を襲うモンスターは、後ろから襲ってくるものしかいない。

 だが、【ヘルメス・ファミリア】の人たちも弱いわけでは無い。落ち着いた様子で問題なく対処していた。 

 

「と、また来たみたいですね」

 

「シオンがやる?」

 

「またじゃんけんで決めましょうか」

 

「分かった」

 

 私とアイズが相対して、拳を構える。

 このじゃんけんのルールは、勝った方がモンスターを倒す、と言う簡単なものだ。

 でも、ただのじゃんけんではない。

 

「「じゃーんけーん」」

 

 その瞬間、二人の間に、戦意が宿る。

 じゃんけんで戦意を宿らせるのは可笑しい、と思うだろうが、この二人を見て、そう思う輩はいない。

 

 この二人は、じゃんけんを()()でやっているのだ。

 自分の動体視力、反射神経などなどの感覚を最大限利用し、後出しのようして、出し切るまでに何度も手を入れ替える。

 

「「ぽん」」

 

 そして、自分の腕がギリギリまで伸ばされ、出されたのは、グーとパー。今回は私の負けだ。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

 因みに、いままでの戦歴は、8勝10敗で、アイズの方が勝っている。

 

「ただいま」

 

「おかえりなさい。4.6秒ですね」

 

「うぅ……勝てない…」

 

 この、『勝てない』と言うのは、モンスターを倒す速さである。私は最速で2.8秒、あの時数が少なかったことが幸いして、今のところ、こちらでは勝っている。

 

「ひゃ~。やっぱり強いなぁ~」

 

 そう言いながら割り込んできたのは、ルルネさん。

 

「ルルネさん達も、すごいですね…」

 

「ルルネでいいよ。結構、年近いだろ?あと、シオンも強え~なぁ~。Lv.1がモンスターの前でじゃんけんしてるなんて、普通はありえねーぞ?」

 

「私はその普通に当てはまらない異常なんです。何事にも例外は存在するでしょう?」

 

「そんな言葉で片付けていいのかよ…」

 

 別にいいんだけどね?それほどのものじゃないから。

 

「少しは私達にも戦わせてくれよ。ずっと闘ってて疲れるだろうし」

 

「「全然大丈夫です」」

 

「なんでそんなに息ピッタリなんだよ…」

 

――――――

 

「あ、いっぱいいますね。これなら一人で()るのが面倒なので任せますよ」

 

「そんな理由かよ…アスフィ。出番みたい、準備運動くらい」

 

「わかりました、いきますよ」

 

―――

 

「ふぅ、終わった終わった」

 

「中々のものですね~。特にアスフィさん」

 

「ルルネ、アスフィさんのLvって、いくつ?」

 

 こそっと、ルルネさんの耳元で、アイズがそんなことを囁いた。やっぱり気になるのだろう。

 

「Lv.4だよ」

 

 あれ?ルルネさん?もう少し躊躇ったりした方がいいんじゃないの?情報秘匿とか絶対向いてないよね?

 

「【ファミリア】の到達階層は?」

 

「三十七階層。モンスターがえらい強いし、流石に深入りはしてないけど」

 

 三十七階層って確か、アイズが倒した迷宮の孤王(ウダイオス)が出る階層だっけ?深層域で、区切りとしてよく言われる場所だ。

 

「よくそんな深い階層にもぐって、他の冒険者にばれないね……?」

 

 確かにそうだよな…アスフィさんみたいに、冒険者間でも有名な人がいるんだし、普通はばれると思うんだが…

 そんな疑問を浮かべていると、ルルネさんが、えっへん!と効果音が付きそうなポーズを取りながら、得意げに答えた。

 

「うちの団長はあの【万能者(ペルセウス)】だぜ?凄い魔道具(マジックアイテム)があってさ、()()()()()()()()()()………」

 

「お喋りは止めなさい、ルルネ」

 

 と、面白そうなことを口にするルルネさんを、アスフィさんが止めに入る。

 ていうか、得意げに話していたけど、自分の事じゃないよね?

 

「ご、ごめん。アスフィ」

 

「全く……」

 

 お疲れのご様子で。アミッドさんを紹介してあげようかな?

 そして、その疲れた様子を隠し、真剣味を纏って聞いて来る。

 

「【剣姫】、そしてシオン。あなたたちの率直な意見が聞きたいのですが、この依頼についてどう思いますか?」

 

 もうちょい具体的に言えよ。率直な意見も話せんだろうが。

 

「……どういう意味ですか?」

 

(リヴィラ)襲撃の件に関してルルネから大まかな経緯(いきさつ)は聞いています。シオンはその時いなかったようですが、話くらいは聞いているでしょう。謎の【宝玉】に執着する、黒ローブなる人物の依頼……今回の騒動も危険なものだと思いますか?」

 

 あぁなるほど、そういうことね。

 

「少なくとも、安全ではないですね。恐らく、例の赤髪の女性、その人も関わっているでしょう。最悪、死人が出るかもしれませんね、出すつもりはありませんが」

 

 そう私が言うと、アイズも二つのことに対し、首肯した。アスフィさんは、ため息を堪えるような表情を表情を浮かべ、一言。

 

「本当に厄介なことに巻き込まれてしまいましたね……」

 

 それが終わるとため息を吐いた、どうやらもう堪え切れないらしい。ルルネさんはその様子を見て、肩身が狭そうにしている。自業自得だね。

 

「もう、仕方がありません。行きますよ」

 

 その声は、疲れを一切見せない、凛とした声だった。

 

―――――

 

 あの後も、散発的に遭遇(エンカウント)するモンスターを、基本【ヘルメス・ファミリア】の人たちが倒して、順調に正規ルートを進んで行く。

 二十四階層は、『奇妙な階層』、と聞いていたが、本当にそのようだ。少し移動すれば景色が全然違うものになり、生えている植物すら、何が何なのか判別つかない。

 

「お、白樹の葉(ホワイト・リーフ)。アスフィ、ちょっと採取していかないか?」

 

 そして、何が何なのか判別できる人は、このように貴重な物を見つけられるのである。

 

「止めなさい。()()()()()()もモンスターに囲まれるのが落ちです。依頼の前に無駄な労力を費やさないでください」

 

 ん?てことは、取りに行かなければいいんだよな。

 

「今はどこの道具屋(みせ)でも品不足で高く売れるんだけどなぁ……もったいない」

 

「あの、ルルネさん。白樹の葉(ホワイト・リーフ)ってどれですか?」

 

「ん?あぁ奥のあの白い大樹だよ。でもそれがどうしたんだ?」

 

「まぁ見ておいてください。あと、先に言っておきますが、私のですからね」

 

「は?」

 

 『一閃』を鞘ごと外し、納刀状態で腰の位置に構える。

 鍔を上げ、隙間を作り、そこから風を流し込む。

 

【虚空一閃】

 

 基本大群相手に使う技だが、別に、こういうこともできるのだ。『一閃』に『吸血』がついてからは、手入れの必要が無くなり、バンバン使っても問題ないしな。

 準備時間(チャージ)が終わり、抜き放つと同時に呟く。

 

「【虚空一閃】」

 

 そして、右腕にかかる荷重に耐えつつ、幹を狙って斬る。

 刀を振り切り、数瞬時間差(タイムラグ)で幹の真ん中あたりがキレイさっぱり無くなり。かなり大きな音を立てて、白の大樹が倒れる。その時に舞っている白樹の葉(ホワイト・リーフ)を風を操り、此方に飛ばして、キャッチ。

 

「入手完了」

 

「な、な、なんじゃそりゃぁ…」

 

「シオン、やりすぎ。加減して」

 

「いえ、あれでも加減したんですよ。元の風が強いんです」

 

「なら、しょうがない」

 

「いやいや、これってLv.1で出せる火力じゃないから!」

 

「いや~それほどでも~」

 

「凄いけど褒めてないから!」

 

「ルルネ、シオン、言い合ってる場合ではありません。音に誘き寄せられて結局モンスターが来ています」

 

 あ~結局来ちゃったか~まぁ、殺せばいいか。

 

「それでは、アイズ~十秒」

 

「了解」

 

「ごー」

 

 その適当な棒読みの指示でいったい、どれ程の死体の山を築くことになったのだろうか。

 まぁ、殆ど魔石が傷ついて体が残ってないけどね。

 

―――――――

 

「こ、これは……宝石樹…」

 

 モンスターの斬殺が行われた後、移動してきて見つけたのは、『宝石樹』これは見分けるのが簡単で、単純に宝石の実が生っている。

 超豪華、超激レアの木である。そして、メッチャおいしい。主にお金が。

 

「採っていいですか。いいですよね」

 

「駄目です。いくら貴方でも、木竜(グリーンドラゴン)の相手は無理でしょうし、此方にまで被害が来る恐れがあります」

 

 ん?と言うことは…

 

「つまり、相手ができて、被害を出さない程度に加減し、瞬殺できればいいんですよね」

 

「はい?そんなことできるわけないでしょう」

 

 ははは、それはどうかな。

 

「アイズ、()りたいですよね」

 

「うん」

 

「と、言う訳で、行ってきます」

 

 私は、『紅蓮』と『雪斬繚乱』を、アイズは『デスペレート』を抜いて、疾走した。

 

―――――――

 

「収穫収穫」

 

「宝石、いっぱい…綺麗」

 

「加工してアクセサリーにでもしますか?」

 

「できるの?」

 

「恐らく、できると思いますよ。道具さえあれば」

 

 あの後、宣言通り、木竜(グリーンドラゴン)を瞬殺した。

 私が、最大補正を掛けた【ステイタス】を存分に使って四肢や鱗を斬り、燃やし、アイズが、麻痺して動けなくなった木竜(グリーンドラゴン)の魔石を、鱗が無くなって簡単に剣が通るようになった隙間から貫いた。 

 木竜(グリーンドラゴン)は成す術も無く、ただ灰へと変わっていった。

 その後は、唖然とする【ヘルメス・ファミリア】を気にせず、収穫祭だ。 

 

「半分くらいは売りましょうか。相当な額になると思いますよ」

 

「うん、資金の足し…」

 

「あ、あなたたちは何をやっているんですか!」

 

 と、暖気(のんき)に宝石を運ぶ私たちに、早く回復したアスフィさんが、驚き半分怒り半分で言ってきた。

 

木竜(グリーンドラゴン)の討伐と、宝石採集ですけど」

 

「なんでそんな平然と宝財の番人(トレジャー・キーパー)を倒してるんですか!Lv.1のする所業じゃありませんよ!それと!」

 

「それと?」

 

「その宝石、四分の一でいいですから分けてください…」

 

「あ、二十分の一ならいいですよ」

 

 やっぱり欲しいのか~わかる、だって欲しくてやったんだし。

 

「では、それでお願いします」

 

「はい、あ、この宝石類全部持ってくれたら、十分の一に増やしますよ」

 

補助役(サポーター)!今すぐ!」

 

「「「はい!!」」」

 

 お金に目が無いのね。アスフィさん。人のこと言えないじゃないですか。

 

――――――――

 

「全員、止まってください」

 

 と、指示が出されて止まったのが、とある巨大十字路の前。その十字路には数えるのが億劫になる程のモンスターの気配。

 

「うげぇ……」

 

 そう呟くのも無理ない。実際、それほど多いのだから。まぁ、それに突っ込みたいと思っているのが私を含めて二名いると思うのだが。

 それにしても、もしかしてこれが問題の異常事態(イレギュラー)

 でも、原因とされている食糧庫(パントリー)までまだ少しあるぞ。

 と、一つの個体が此方を向いた。どうやら気づいたらしい。

 しばらく様子を窺うと、そいつを先頭に、群れの一部が押し寄せてきた。

 

「アスフィ、どうする?」

 

「どうせ駆除しなければいけません。ここで始末します」

 

()るんですか?」

 

「ええ、全員戦闘準備」

 

「まって、私がやる。シオン、見てて」

 

 そう言うと、返事も聞かずにアイズは群れへと向かって行った。

 

「では、()()しましょうか。アイズの剣技を」

 

「ちょ、いいのかよ」

 

「何も問題ないじゃないですか。それとも、ルルネさんも突っ込みますか?」

 

「無理!」

 

「なら黙ってみてましょう」

 

――――――

 

「十分くらいですか。流石にあの大群ではこれくらいかかりますよね」

 

「すげ~、マジでやったよ」

 

「ほんと、あなたたちは何なんですか…」

 

 当たり前のように終わった殲滅。それを起こしたのは、一人の美しい剣技。 

 

「お疲れ様です。疲れてないと思いますが」

 

「うん、どうだった?」

 

 この質問は、戦いぶりのことを聞いているのだろうか。剣のことを聞いているのだろうか。

 

「綺麗でしたよ」

 

 その判断は私にはできなかったので、どちらにも当てはまる言葉を言う。事実だから問題ないだろう。

 

「で、モンスターは片付けてもらったけど……アスフィ、これからどうする?」

 

 と、これからの方針を、アイズが倒したモンスターの残骸から魔石をサポータ達が取り出す中、聞いていた。

 

「あの黒ローブのやつの話を信じるなら、食糧庫(パントリー)に何かあるんだろう?二十四階層にある食糧庫(パントリー)は三つ……南西に南東、後は北だ。どの地帯(エリア)から回る?」

 

 と言いながら、ルルネさんはごそごそと羊皮紙を取り出す。それには、入り組んだ二十四階層の地図(マップ)が書かれていた。

 それには、食糧庫(パントリー)の位置も書かれていて、そこは、赤い丸で囲われていた。

 北と南、それはかなり距離がある。普通に面倒だ。目星をつけてから動きたい。

 

「モンスターがいるところに進みます」

 

「?」

 

 どゆこと?ついにアスフィさんも、戦うの大好き!になっちゃった?

 

「モンスターが押し寄せて来る方面へ向かえば、その近辺に恐らく原因がある筈です。食糧庫(パントリー)大量発生の端を発しているというのなら、我々はモンスターが教えてくれる方角に進むだけでいい」

 

 なるほど、そう言うことね。と、言うことは、向かうべき場所は

 

「北ですね」

 

「では、行きましょうか。尚、これからは警戒を強めるように」

 

『了解』

 

 


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