やがて我が身は剣となる。   作:烏羽 黒

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  今回の一言
 二つ名より、ランクアップについて考えてない…

では、どうぞ


第三振り。強者との出会い
懇願、それは武器


「「すみませんでした!!」」

 

 只今、豊饒の女主人内、土下座謝罪中。

 何故かって?昨日の謝罪さ。暴れすぎたから。

 そして何故こうなっているかと言うと。

 

―――――――遡ること五時間。廃教会内

 私がベルに少しの対抗心を宿しながら、いつも以上に苛烈に鍛錬していると、地下室からツインテールロり巨乳が出て来た。

 何かあるのかと思い、鍛錬を中断。ヘスティア様の所に向かうと、何故か正座させられた。

 その後、一時間に亘るありがた~い神様の説教が始まった。

 内容をざっと言うと、店に謝りに行け、神に気を付けろ、これから2,3日留守にする、だ。

 留守にするのはどうやらヘスティア様の神友?である神ヘファイストスに武器を作ってくれと懇願しに行くらしい。ヘスティア様は私の分もお願いしに行くつもりらしかったので、遠慮しといたが。

 因みにいうと、この一時間、一度も大声を出していなかった。ありがたい。

 そして、その後は四時間ほど鍛錬して、ベルを呼んだ。

 その目的は、一緒に謝りに行くためだ。勿論ベルを連れて行くのにはしっかり意味がある。

 最悪、ベルをシルさんに引き渡して許してもらうためだ

 

―――――――そして、現在に至る。

 

「別にいいさ、あんたは昨日、しっかり迷惑料払っただろう。あれで十分だよ」

 

「ありがとうございます。因みに、昨日のお代はいくらだったんですか?」

 

「確か、八万ヴァリスくらいだったはずさ、二万ヴァリスの迷惑料は初めてだよ」

 

 余計だったか…まぁまた稼げばいいだろう、貯金もあるし。

 

「そうでしたか。では、これで失礼します。ダンジョンにも行きたいので」

 

 出ていこうとする中、立ち上がったベルの前に、一人のウエイトレス。シルさんだ。

 

「ベルさん。今日もダンジョンに行かれるんですか?」 

 

「あ、はい。今日は別行動ですけど」

 

「そうなんですか。でしたら、これを持って行っていただけませんか?」

 

 そういってシルさんが出した物は、昨日ベルが持っていたのと同じ風呂敷に包まれた弁当。

 

「え、いや!そんな!悪いですって!なんで僕なんかに」

 

 それを見て、訳が分からないようなベル。少し考えれば分かるだろうに。

 

「差し上げたくなったから、では駄目でしょうか?」

 

 そう言いながらの上目使い&頬の紅潮アタック!これは卑怯だな。

 

「……すいません。じゃあ、いただきます」

 

 やはりベルはそれに抗えず、受け取る。そしてシルさんの満面の笑み。若干頬を赤らめるベル。なにか空間が出来上がってる。

 

「おい坊主!」

 

「は、はいぃ!」

 

 そんな空間をぶち壊すがの如く、女将さんの一声。それにビビるベル。なんか熊と兎に見えるな。

 

「冒険者なんてカッコつけるだけ無駄な職業さ。最初の内は生きることだけに必死になってればいい。強くなったら死なない程度にカッコつけるのさ。背伸びしても碌なことは起きないんだからね」

 

 さすが、ベテランが言うことは違う。  

 

「惨めだろうが、笑われようが、生きて帰ってきた奴だけが勝ち組なのさ。死んだら何の意味もない」

 

「だから、頑張りな」

 

 そう言われベルが中々の気持ち悪い顔をしていた。

 

「気持ち悪い顔してんじゃないよ、あんた等は店の邪魔だ、行った行った」

 

 女将さんも同じことを思ったらしい。口に出さなくていいんじゃないかな?

 でも、ベルを激励してくれるのはありがたい。

 

「ベル、お邪魔らしいので早く行きますよ」

 

「うん、でもシオンは待って無くても良かったんじゃない?」

 

「それは何となくですよ」

 

 

   * * *

 

 デナトゥス――――それは神々が集まる行事の総称。

 これは大まかに分けて三種類ある。

『神の宴』…開きたい(ヤツ)が開きたいときに開き、招待状をもらった(ヤツ)の中で行きたい(やつ)が行く行事―――いや催し。

『神会』…三ヵ月に一度行われる定例会。眷族にLv.2以上がいないと参加が許されない会だ。主に情報交換、命名式が行われる。

『神会』…此方は、緊急時に行われる会。どんな神でも参加可能だ。

 そして今回のデナトゥスは『神の宴』だ。

 今回は【ガネーシャ・ファミリア】が主催している。会場はオラリオでも一度見たら忘れられない三大建築物に数えられるという、『アイアム・ガネーシャ』。【ガネーシャ・ファミリア】のホームだ。

 オラリオでも指折りのファミリアである【ガネーシャ・ファミリア】が大量の資金を使い、建築した物。

 形は主神であるガネーシャが胡坐をかいて座っている姿を模した巨人像だ

 入り口は、賛否両論だが、その像の股間の中心にある。

 

 その宴にボクは、とある目的を持ち、やってきた。

 本当は二つあったのだが、片方はシオン君に『みっともないからやめてください』と言われ渋々断念。もう片方の目的も、『私の分はいいですよ』と言われ、ベル君の分しかお願いできない…

 シオン君のために少しは役に立ちたかったが、無理そうだ。

 シオン君には、掃除洗濯たまに料理と結構苦労を掛けている。しかもその全部が

 『上手い』『早い』『無駄がない』

 の三点張りだ。文句のつけようがない。

 しかも実力もあり美形、さぞかしモテそうだ。

 

 おっと、話が逸れたね。

 今僕は、味が物足りない料理を食べながら目的を果たそうとしている。

 その目的はヘファイストスにベル君の武器の制作をお願いすることだ。

 そのために、ヘファイストスを探しているところだ。

 

 そして、会場に入り十分ほど経った頃。見つけた。

 

「やっと見つけたよヘファイストス、君を探していたんだ」

 

「あら、ヘスティア、お金ならもう一ヴァリスも貸さないわよ」

 

「君はボクを何だと思っているんだい!」

 

「私の神友で、堕落している駄女神。という認識よ」

 

 否定できない…

 

「そんなことより、君にお願いがあるんだ」

 

「お願い?さっきも言ったけどお金はダメよ」

 

「違うって!ボクからのお願いは」

 

「あら、ヘスティアじゃない」

 

 懇願しようとしたら、見事なタイミングの邪魔。狙ったとしか思えない声のかけ方をしたのは

 

「フレイヤ…」

 

「あら?何故そんなに嫌そうな顔をするのかしら?」

 

「ボク、君のこと苦手なんだ…」

 

「うふふ。私は貴方のそういう物怖じしないところ、好きよ?」

 

 美の神の好きは信用できないから向けられても困るんだけど…

 

「おーい!ファーイたーん、フレイヤー、それとドチビー‼」

 

「はぁ…最も、ボクは君より苦手な奴が居るんだけどね」

 

 なんでここにいるかな…

 

「あっ、ロキ」

 

「何しに来たんだよ、君は……」

 

「なんや、理由がなきゃ来ちゃあかんのか?『今宵は宴じゃー!』っていうノリやろ?むしろ理由を探す方が無粋っちゅうもんや。はぁ、マジで空気読めてへんよ、このドチビ」

 

 はぁ~こういうところもほんとムカつくな…

 

「それより、ドチビ、お願いがあるんやけど、ええか?」

 

「何だい?君がボクに胸以外をせがむなんて珍しいじゃないか」

 

「ムッカつくな…でも今日は我慢や。おたくのシオンっちゅう子、うちにくれんか?」

 

「は?何を言ってるのかな?あげる訳ないじゃんか」

 

「くっ、やっぱりそういうよな~」

 

「そういえば最近、ヘスティアもファミリアが出来たらしいわね。おめでとう」

 

「ありがとう、まだ二人しかいないけどね」

 

「へ~その二人はどういう子?」

 

 う~ん、そうだな…

 

「ベル君とシオン君って言うんだけど、二人は兄弟でね、まぁ、見た目だけで言うと姉弟なんだけど…それは置いといて、ベル君は白髪で赤い目のヒューマン。とってもいい子だよ。優しいし強くなろうと頑張ってる。シオン君は白と金の髪に緑の右目、左目は眼帯をしてるからわかんないけど。それでね、シオン君を一言で言うとは兎に角凄い、だね。偶に後先考えない行動することを除けば非の打ち所がない子だよ」

 

 まぁ、もっと言うと()()()()凄い可能性を持ってるとかあるけど言わなくていいよね。

 

「へ~。だからロキが勧誘したのかしら」

 

「せやで。なんかいろいろ面白そうやし、アイズたんが興味持っとったし」

 

 ?アイズたんって、ヴァレン某のこと?と言うことは…

 

「ロキ、君の所のヴァレン某はシオン君に好意を抱いているのかい?」

 

 そうならベル君は…ボクに…

 

「は?アホか?そんなわけないやろ」

 

「チッ!」

 

「そんじゃ、用事済んだから帰るわ。じゃあな~」

 

「それでは私も失礼するわ」

 

 あれ?フレイヤここに来た意味あった?

 

「ヘスティア、あなたはどうするの?帰る?私はもう少し回ろうと思ってるけど」

 

 あ、やばい。忘れてた。今日の目的。

 

「もし残るんだったら、どう?久しぶりに飲みにでも行かない?」

 

「あ、あのさヘファイストス…お願いの事なんだけど」

 

「あぁそういえばそんなこと言ってたわね、何かしら。一応聞いてあげるわ」 

 

 さぁ、懇願しよう。ボクは諦めないぞ!

 

「ボクのファミリアのベル君に!武器を作って欲しいんだ!」

 

「は?」

 

 訳の分からないような声を出されたが、ボクは土下座でお願いした。   

 

 

 

 


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