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ではどうぞ
「って!もう寝てるし~!」
声が聞こえ、目を開ける。瞼を上げるのも億劫になるくらい体が怠い。
あぁ、昨日の
最も軽い場合は、意識を保ったまま、数十分体が動かなくなるくらいで、最も酷い場合は
『
恐らく、今は朝の六時頃。気絶していたのは八時間くらいだろうか。そうなると、中の下くらいの後遺症だ。
まあ、そんなことはどうでもいい。
それより、今が六時頃となるとベルも帰ってきているはずだ。
私は昨日、五時半頃にベルが帰ると予想してある。
私の予想や勘は、地上の生物で最も神に近い精霊の血を持っているお陰か、中々鋭いものとなっているため、慢心しているわけではないが、自信を持って『そう』と言えるくらいのものだ。
と、どうでも良い思考を巡らせながら視線を漂わせていると、ベットから飛び出ている下半身があった。服の色からベルだと分かる。
何かと思い立ち上がると、眩暈と頭痛。危うく倒れかけたが、反射的に出した足で体を支え、堪える。
そして見えたベットの上では、倒れているという形容が適切なベルと何とも形容しがたい格好のヘスティア様が居た。
「なんて格好してるんですか、ヘスティア様」
「あ、シオン君、起きたのかい」
そういい、変な格好のまま、首だけ動かしこちらを向いてきた。動かし方が気持ち悪い…
「はい、おはようございます。それで、ベルはどれくらい無茶してました?」
「全身傷だらけで足取りも覚束ず意識もはっきりとしてなくて突っ込みも満足にできないくらいに無茶してたよ」
「おお、それはすごいですね。【ステイタス】もかなり上がったのではないですか?【
「言い訳?何故だい?」
「考えてみてください。ベルは言ってしまえば農民出の戦闘素人です。特筆するものの無いベルが急成長しているんですよ。何かしら疑われます」
「そのための言い訳、と言うことかい」
「はい。まぁ、成長期とか才能があるとか言えば、本人は納得するでしょうけど」
「他は納得しない、か」
「そちらの言い訳は任せましたよ」
「任された!」
元気良い返事と共に、気持ち悪い体勢から正座に変わる。やっと普通になった…
ちょっとした解放感、それを邪魔するかのように頭痛と眩暈。また倒れそうになるが今度は根性で耐える。
「どうかしたのかい?シオン君」
そんな私に疑問を覚えたのか心配するような声で聞いてくる。
「単に頭痛と眩暈がするだけです。原因は分かりませんが」
まぁ、原因として
「…シオン君、昨日お酒は飲んだかい」
と、何か確信に近い問いかけをしてきた。
「確かに飲みましたが…それがどうかしたんですか?」
「どれくらい」
「
「飲みすぎだろ!ただの二日酔いじゃないか!心配した僕が損したよ!」
正直に答えた私に大声で怒鳴ってきた。同時に先程より酷い頭痛。
「くぅぅ…」
思わず変な声を上げてしまう。それくらい痛い。
「あ、ゴメンよシオン君。二日酔いなら響くよね…」
「二日酔いって……こんなになるんですか…」
お酒飲んだこと無かったから知らなかったけど、飲み過ぎは良くないんだな…
「もしかして初めてなったのかい?」
「えぇ、お酒を飲んだのがそもそも昨日が初めてですから…」
反省をしている私にヘスティア様は驚いた顔を浮かべ、一言。
「シオン君って、偶に後先考えないよね…」
呆れ全開で
「と言うか、それで何ヴァリスかかったのかい?」
「さぁ。
「じゃあ昨日の夕食にどれくらいかかった?」
「確か十万ヴァリス払いました」
「…………」
「ヘスティア様?」
返事が無い、唯の屍のようだ。神が屍なのはあり得ないけど。
「…な」
お、反応あり。
「何を無駄使いしとるんじゃぁぁぁ!!」
「くぅぅぅ」
痛い!響くから!ヤメテ!大声ダメ!絶対!
「ヘスティア様…響きます…痛いです…」
「あ、ゴメン」
「今後気を付けてください…」
「うん…じゃなくて!」
この神、どうしてやろうか。
「…ヘスティア様、気を付けろと言ったはずですが」
「す、すまない、で、でもね、殺意を飛ばさないでほしいな…」
「こっちは毎度激痛がするんです、斬らないだけマシだと思ってください」
「シオン君、神は斬っちゃだめだよ、駄目だからね、一応言っとくよ?」
「馬鹿にしないでください。さすがに
「いや、それもだめだから」
と、突然声がした。ヘスティア様ではない。
「起きましたか、おはようです、ベル」
「うん、おはよう。戻ってたんだね」
「えぇ。何とか戻れました。一歩間違えば死んでましたけど」
「あはは、僕もそうかも」
「ベル君が死にかけたのは分かるけど、何でシオン君が死にかけるんだい?」
「あぁ、言ってませんでしたね。私昨日、【ロキ・ファミリア】の幹部たちから質問攻めにされそうだったので、逃げて来たんですよ。その際手加減無しの攻撃が来たので、逸らせなかったら死んでました」
「なにそれ聞いてない」
「ベルが行った後ですから」
「そういえば、喧嘩の理由も聞いてない」
喧嘩?そんなものしてない気がするが…
「私、喧嘩なんてしました?」
「してたじゃん。ほら、
あぁあれか、でもあれは…
「ベル。勘違いしているようなので訂正しておきますが、あれは喧嘩ではなくただの躾けです」
「…それはそれでどうなの…じゃあ、何で躾けたの?」
どうなのと言っておきながらベルも躾けると言ってるんだが…それもどうなのだろうか
「まぁ、理由を言うと、家族を愚弄した駄犬を躾けようと思ったのが一つ。アイズを笑いものにしたのが一つ。あとは、血がビリビリして気持ち悪かったのでやったのが一つ。と言うところでしょうか」
もっと言うと、駄犬がアイズに言い寄ったのがイラついたとかあるけど、そこは言わなくてもいいだろう。
「よくそんな理由で【ロキ・ファミリア】の人と戦えたね…」
「そんではありません。私にとっては十分すぎる理由です。それと戦ったのではなく躾けたんです。最後までできませんでしたけど」
「そこは譲らないんだ…」
「あ、あの~二人とも~僕を置いて行かないでほしいな~」
あ、忘れてた。
「神様、疲れも取れたので、【ステイタス】の更新、お願いできますか?」
お、期待度満点の更新。さてどれくらいの化け物数値かね~
「…よし、わかったよ。あとシオン君、何でニマニマしてるんだい?」
おっと表情に出てたか。やはりポーカーフェイスは意識しないとできんな。
「まぁいいや。ベル君、上着脱いで」
――――――
少年更新中…更新中…
――――――
「「…………」」
「え?なに?なんで黙るの?」
これはないだろ…
それが第一感想、
ベル・クラネル
Lv.1
力:H120→G221
耐久:I 42→H101
器用:H139→G232
敏捷:G225→F313
魔力:G 0→
《魔法》
【 】
《スキル》
【
・早熟する
・
・
トータル340オーバー。
確かベルが半月かけて上げたのがトータル345だったはず。
それくらいの成長を一晩でするとなると……はは、負けてらんねぇ
「ヘスティア様、ちょっと鍛錬に行ってきます。何かあったら外に呼びに来てください」
「うん…わかった…」
「説明…頼みましたよ…」
「わかってる…」
ははは、これはいつか追い越されるかもな…
一抹の不安を抱えつつ、刀を持ち、外へ別の頭痛に堪えながら出た私であった。
今回みたいに何もない日常の物語の時は『日常』から始まります。