なんか強引な気がする…
では、どうぞ
(Side Out)
現在、豊饒の女主人二階。そこに数人と一柱が集まっていた。
そこにいるのは、私。ベル。フィンさん。リヴェリア・リヨス・アールヴさん。ガレス・ランドロックさん。アイズさん。そして、神ロキ。
そして何故か全員がベットの上に正座していた。本当に何でだろうか。
さらに言うと、ベルは完全に空気に委縮してしまっている。
もっと言うと、
「私、人だけと言ったはずですが」
「まぁまぁええやないか、一人くらい増えとったって」
「一人じゃなくて一柱ですけどね」
何故神が居る。
フィンさんに視線を向けてみたが苦笑していた。どうやら本意ではなかったらしい。
「…もういいです、諦めます。それで、私に聞きたいこととは
「何のこととは言わないんだね、わかってるみたいだから遠まわしに聞く必要もないか。じゃあ率直に聞くけど、さっきの
「技術ですよ、剣技です」
「それも気になってたけど、それとは別のことだよ」
「…はぁ~。魔法について聞きたいんですか?」
「そうだね」
「で。でも、フィンさん、【ステイタス】の詮索はマナー違反なんじゃ…」
よく言ったベル。でももう少しはきはき言おうか。
「普通はそうだね。でも、今回はどうしてもね」
「どうしても?」
「フィンさん。それはもしかして、僕の魔法とアイズさんの魔法が同じだから、と言うことですか」
「君はアイズの魔法を知っているのかい?」
「予想ですけど、名前は【エアリアル】風属性の
そう言った途端、ベル以外の全員が驚いた顔をした。同時に探るような目を向けられる。
「これは、アイズさんと
「ふ、二人きり⁉」
「ベル、せっかくの機会なんですから邪魔しないでください」
「ず、ずるい…」
「それで、良いですか?」
「う~ん、どうしたものか…」
「因みに、私はアイズさんにしか話しませんよ」
「なら最初から決まってるじゃないか。仕方ない、ガレス、リヴェリア、ロキ、ベル・クラネル、外に出るよ。アイズ、終わったら呼んでくれ」
フィンさんが指示を出すと皆素直に従った。さすが団長と感心しつつ、出ていくのを待つ。
そして、今は、ベットの上で向かい合い、正座している。
有象無象の輩なら、ここで襲って返り討ちに合っているだろうが、私はアイズさんにそんなことをする気は無いため、ドキがムネムネしているだけだ。
「さ、さて。どこから始めましょうか」
なんか意味深な発言だ…
「魔法」
「それの経緯ですか?」
「うん」
「わかりました。ならまず、アイズさんに言わなければいけないことがあります」
「何?」
「ありがとうございました。助けて頂いて」
「どういたしまして?」
「はは、やっぱり困惑しますよね、ですから説明します。アイズさん。八年前、と言われて何か思いつくことは?」
「Lv.2になった」
「そういえば最速でランクアップしたんでしたね。では、それ以外のことは」
そう言うと思案顔になり考え込む。
「では、少しづつ条件を絞りましょう。まず、村」
「村……」
まだ思い出せないようだ。
「次に、森」
「森……」
そして着々と絞っていく。
「モンスター」
「瀕死」
「輸血」
そういった途端、表情が変わった。気づいたのかな?
「…もしかして、脚を斬られた、男の子?」
「あはは、思い出してくれましたか、ちょっと変な憶え方ですけど」
「ありがとうって、その時の?」
「はい。今まで言えなかったので」
「…全然違うね」
「何がですか?」
「外見」
「確かにそうですね。女性に近くなりました」
「わざと?」
「偶々です。それより、魔法の原因わかりましたよね」
と思ったが、首をこくりと傾げられた。うん。
「かわいい」
「?」
「いえ、なんでもありません。じゃあ、説明しますね。アイズさんは八年前、私を助けてた時に輸血をしてくださいましたよね。そしてアイズさんの血は、精霊の血を含んでいた。さらにアイズさんは、精霊の力によって魔法を使えるようになっている。その力が部分的でも、私に受け継がれた。わかりましたか?」
「うん。だいたい」
「よかったです。私、説明が苦手なもので」
「ううん。わかったから大丈夫」
それから、沈黙。話すことが無くなり、そうなるのは当たり前だ。
「ねぇ、君はどうしてそんなに強いの?」
その空気を破るためか、それとも初めから気になっていたのかはわからない、だが唐突にそんなことを聞いて来た。
「強い?私が?」
だがその質問の意味が理解できなかった。
私は強い訳では無い、弱くないだけだ。
「うん。普通なら、酔っててもLV.5をLv.1が圧倒できるわけがない」
「そうでしょうね。普通なら、ですけど」
「どういうこと?」
「私、普通じゃないので」
「普通じゃない?」
「はい。いろいろありますけど、わかりやすいので言ってしまえば外見ですね。普通なら人の髪は何かしらの色の単色です。そして、眼も」
そう言いながら、私はオラリオに来てから初めて左眼を見せた。
その眼を見て、アイズさんは驚きを隠せないようだ。
「ほら、普通じゃないでしょ?まぁ、これは血の影響ですけど」
「血の、影響?」
「ええ。精霊の血の影響で、少し体に変化が生まれたんですよ。よく見てください。この眼と髪、アイズさんにそっくりでしょう?。正確に言えば、精霊アリアの髪や眼に、ですけど」
「え…アリアをしってるの…」
「まぁ、私たちの元ですから」
「ねぇ、君はアリアについて何を知ってるの?」
そう言ってきたアイズさんの顔は真剣だった。
「それも話しましょうか?条件付きですけど」
「条件?」
「私を名前で呼ぶことです」
「それでいいの?なら話してシオン」
「わ、わかりました」
なんかとても心にクるものがあるんだが、まあいい。
「精霊アリア、英雄譚にも出てくる有名な風の精霊、そして、アイズさんのお母さん。十年以上前から行方不明となっているけど、オラリオ、いや、ダンジョンにいる可能性が高い。そして、まだ生きている」
これは半分がお祖父さんから聞いたこと、もう半分が夢からの推測だ。
「そんなに…どうやって…」
「とある神から聞いたのですよ。少ししか教えてくれませんでしたけど」
「その神の場所は分かる?」
「消息不明、でも、天界には帰ってないでしょうね」
「そう…」
それがわかるとアイズさんはとても悲しそうな顔をした。もしかして、まだ探してる?
「アイズさん。デリカシーに欠けることを聞きますが。アリアを探してるんですか?」
「…うん。ずっと前から探してる」
「今も?」
「うん」
「そうですか……なら、私も手伝いましょうか?」
「え?今なんて…」
「手伝いましょうか?と言いました」
「…どうして」
「う~ん、そうですね。理由は二つあります。聞きます?」
「うん」
即答ですか…かなり恥ずかしいけど、いいか。
「一つ目は、アイズさんの笑顔を取り戻したいから」
「笑顔?」
「はい、夢で見たんですけど、アイズさん。アリアと一緒に居る時はとてもうれしそうに笑ってました。でも、アリアが居なくなってから、あなたの笑顔は消えました。私は、笑顔のアイズさんを見たいので、手伝います」
あぁ…恥ずかしい、顔が真っ赤になりそうだ。抑えてるけど。
「そして二つ目が、挨拶をしたいから」
「挨拶…なんで?」
もうこれは告白になるな。
「…だって、結婚したい相手の親が生きてるなら、挨拶するのがルールでしょう」
あ、だめだ。抑えられない。
そう思った瞬間正座を解き、枕へ思いっきりダイブしてしまった。
いやだってさ、告白だよ?完全にそうだよね?恥ずかしくないわけないじゃん!
「え…結婚?」
あぁぁぁ!そこだけ抜かないでぇぇぇ!死にたくなるぅぅぅ!
「シオンは…私と…結婚したいの?」
あ、ダメダ、オワタ。でも一応首肯する。
「…そう…なんだ」
ヤメテ、ソンナコエ、キキタクナイ。
「シオ…」
「待ってくださいそれ以上言わないでください死にたくなります」
枕に顔を突っ込んだまま続ける。
「わかっています。私があなたに釣り合ってないのは、ですから、言わなくていいです。言うのはアリア探しの協力に対し、いいか悪いかだけでいいです」
「……わかった。お願い」
「え?」
思わず変な声と顔を上げてしまう。アイズさんは心なしか頬が紅潮していた気がしたがそんなことより。
「本当にいいのですか?」
私はそっちの方が気になった。断られると思っていたから。だって
「アイズさん。私は、私利私欲のために手伝おうとしてるんですよ」
「うん、わかってる」
「何か裏があるかもしれないんですよ?」
「そう、かもね」
「本当はただの危険人物かもしれないんですよ」
「どうなの、かな」
「そんな人に、大切な人の捜索の手助けをさせていいんですか?」
「うん、人は多いほうがいい、それに」
「それに?」
「…私と同じ力を持ってる人、少ないから」
「少ないというより、いないんじゃないですか?」
「ううん、シオンが居るから」
「そうですか……では、アイズさん。これからもよろしくお願いします」
「うん、よろしく」
…だめだ、今、凄い幸せ。絶対顔がヤバイ
そう思いベットに倒れこむと突如体に怠さが襲ってきた。
「…アイズさん、
「…ゴメン、持って無い」
「そうですか…」
恐らく今なりかけているのは
昨日より怠い体を少し起こし、左目を布で隠す、
「そろそろフィンさんを呼んでは?」
「うん、呼んでくる」
言った通り、廊下に出る、トタトタと音がし、一度消え今度は増えて戻ってくる。かなり多いような…気がするがまあいいや、体動かすの怠いし。
そう思い、枕に顔を埋め、うつぶせになっていると
「ぐはッ」
突然、背中に衝撃、顔をずらし、誰かと見ると、それはベル。
「シオン、どうだった?」
「とても楽しく幸せな一時が過ごせましたよ」
「ちょっと待ってシオン。なんで幸せになるの」
そうベルが聞いてくると丁度良くアイズさんが入ってくる。よし、少し遊ぼう。
「アイズ、先程のことは秘密ですよ。魔法以外」
「なっ」
「うん。わかってるよシオン」
「…シ、シオン。何で…名前で…しかも呼び捨て…」
「知りたいですか?どうしましょうかね~まぁ、アイズが私を認めた、とだけ言っておきます」
「ず、ずるい…」
「ずるいと思うなら、とりあえず今よりは強くなってみましょう」
「……ごめんシオン、ダンジョン行ってくる」
「無茶せず装備を整えて行ってくださいね」
「わかってる…」
う~ん、流石にやり過ぎた…かな?声死んでたし。
ベルは、今部屋へ入って来た人と入れ替わるように出て行った。すれ違った人たちがすごいギョッとしてたけど。
「随分長かったね」
「ああフィンさん。いえ、アイズさんといろいろ…」
説明しようとすると、何故かアイズさんが鞘で突いてきた。それ、私の刀の鞘なんですが…
「どうかしましたか?」
「名前…呼び捨てにしてない…」
「さっきからそうでしたが?」
「ううん、ベルが来た時呼び捨てにしてくれた」
「あ~あれはベルを揶揄うために…」
「だめ?」
そう小首を傾げられた。
「わかりましたアイズ。これからは呼び捨てにします」
「うん」
あれは卑怯、逆らえない…
「アイズさん!」
私が先ほどのアイズの顔を脳内のアルバムに記録していると、甲高い声が響いた。
「なんでですか!なんで会って数時間の人とそんなに仲良くしてるんですか!」
声の方を向くと、そこにはエルフの少女が、私に指をさしながらアイズに問いかけていた。どっかで見たことあるような…
「レフィーヤ、落ち着いて」
レフィーヤ?…あぁ【
「そうですよ、落ち着いたらどうですか【千の妖精】。人に指をさすなど、エルフのする所業ではありませんよ」
「あなたは黙っていてください!」
「お断りします」
「うぅ~」
うん、やっぱり面白いわ、特に反応。
「あ、いいこと教えてあげましょうか?【千の妖精】」
「いいです!あと、レフィーヤでいいです!」
「そうですか…アイズのこと少しだけ教えてあげようと思ったのですが…拒否されたのなら別に教えなくてもいいですよね~」
「ぐぬぬ…」
あはは、表情が多彩だな~
「そのあたりで終わらせてあげたら?」
もう少し遊ぼうとしたら、フィンさんに止められた。わざわざ無視してまでやることでもないので、また今度にしよう。
やることが無くなり、とりあえず部屋を見渡すと…なんでこんなに人いるの?
まず酒場に居た【ロキ・ファミリア】と神ロキ、それにシルさんと、エルフのウエイトレスの人が居た。
どうしてこうなった。
「って顔してるね」
悟られたのか考えが読まれた。
「説明もらえます?」
「簡単になら」
「お願いします」
「ここにいる全員が君に聞きたいことがある」
「シルさんはベルについてですか?」
「なっ!なんでわかったんですか⁉」
「勘です。それとフィンさん。もちろん拒否権はあ…」
「無いね」
「あの、即答しないでもらえます?下さいよ、拒否権」
「本当はあげたいんだけどね…全員の目が本気なんだよ…」
…本当にそうだった。特に駄犬。ていうかフィンさんまで本気じゃないですか。
「…アイズ、ちょっと私の刀を取ってもらえますか?」
「…?うん」
疑問に思いながらもちゃんとやってくれる。いい子だなぁ~
でも私のやろうとしていることは最悪。
刀を持ち、ベットの
「【
そして、少し空いていたドアを風で開け、即ダッシュ、
逃がさんとばかりに、いろいろな攻撃が来たが、風で逸らし、同士討ち。
出たらドアを出てすぐ閉める。風圧を使い、ドアを開けにくくするのを忘れない。
一様謝礼として、千ヴァリス置いていき、一階から外へ。
メインストリートでに出たら裏路地に入りホームに直行。尾行はおそらく無し。
そして、ホームに着き一安心。それと同時に
アイズを利用してしまった。と言う罪悪感と
【ロキ・ファミリア】から逃げ切った!と言う達成感。
それを感じながらも、隠し部屋へ行く。
中に入るとヘスティア様が一人寂しくソファに居た。
ベルのことを心配していたので、何かと思うとベルの防具がそこにあった。
あいつ無茶したな。そう分かると、ベルが返って来そうな時間帯を予測しヘスティア様にその頃になったら外に出るように言って壁に寄りかかる。
するとあら不思議
意識が途切れたのはそこだった。