「裏でサンジがあの海賊に飯やってたんだよ」
餌付け?
「だから俺はアイツ仲間にする!決めた!」
やめて?
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血気盛んなコック達に追い払われた餓死寸前の海賊さんはルフィの簡単かつ要点がすり変わるという摩訶不思議報告によってとりあえず生きてるという事が判明した。
ルフィが仲間にしたい アイツ の部分が餓死海賊の方なら救いはあったけどどうやらぐる眉王族の方だそうで……。泣く。
サンジ様は喜怒哀楽きちんと最初からフル装備どころか他の方々の感情吸収したんじゃねレベルで哀をご存知らしいから問答無用は無いだろうけど。
「うん、美味しい」
仲間にした際のメリットは美味しいご飯だけど下手したら国際問題というデメリットが金魚の糞のようにくっついて来るから釣り合い取れないよね。
「うまし」
話は少しズレるが王族への誕生日プレゼントって難しいよな…。この前ジェルマン(ジェルマの
「うん、これも美味しい」
お泊まりは4人+私で仲良く雑談しながら寝ましたよ。私は王族4人にとって『友人兼感情指導』らしいが私的にはそれだけじゃなくて護衛も含めてるから寝れなかったけど。
最近計画してるのは父親に一泡吹かせる事らしい…。遅めの反抗期かな、合掌。
「んまー……」
そう言えばレイジュ様は体質的に毒を食べれるし好物らしい。今度(強制的に)会う時は手土産に毒でも献上しようか…。
時々電伝虫とかでも毒談義してくる。私が毒が効かないと知ってから同類だと思ってません?残念毒は大っ嫌いだ。
「おぉ…美味しい」
私の好物は基本的に食べれる物だがやはり1番と言えば甘い物だろう。
女の子らしい? ええ、昔はそう思ってました…。悪魔の実の能力と偽ってるこの不思議色の覇気(仮)を使うために盛大にカロリーを消費するから必要なんだと知るまでは。
あれだね、体が自然と必要なものを欲してただけなんだね。
「お前はこの非常時にいつまで食べてんだよ!いってらっしゃい!」
「……その鼻折るぞ」
「さて…この船を頂こうか」
実はあの下っ端の親分であるクリークさんという海賊が乗っ取りに来ました。
現実逃避させてくれよ。
「要求は船員の食料と水とふざけるした外観の船。こちらのメリットは……命程度?」
「程度ォ?」
命という物を軽く見てるのか、とウソップさんに眉を顰められた。
「程度ですよ、この世界命がとーーっても軽い故に」
私の殺害人数は未だ1人だけ─多分上司の計らい─、でも犯罪は犯してるという事よ。私より立場が低い人でも殺す人は殺してる。大将格になれば3桁は余裕。
ホンット嫌になるよね。
「この世界って…、お前は他にどんな世界を知ってるって言うんだよ」
「さァ」
「テメェらゴチャゴチャ言ってんじゃねェ!」
銃口をカチャッと向けられて思わず体が竦む。打撃又銃が効かないルフィが慌てて私達の前に出て庇った、感動。
正直剣や刀と対峙する度胸はあってもほぼノータイムで─しかも一撃で死ぬ─銃は怖い。
ついでに言うと使えない。
刀を振るう筋力があっても技が無いから脅し程度だしどっちかと言うと鈍器扱い。平和な世界での常識が刷り込みされてる分刃物とかで人を傷付ける事が最高に怖いんです。
銃も同様、たった1度の引き金で命を簡単に奪うから。簡単だからこそ、自分の手を汚して人の人生を背負う覚悟と度胸が無い私には使えない。
でも自分他人の命を使ってでも最終的には逃げ延びるつもりですから、出来るだけ『殺したくない(慈愛とか無しで)』『傷付けたくない(物理的に)』
………個人的に殺すくらいなら死んだ方がマシと思える位の生き恥晒させる方が気分的にスッキリする。『生かさず殺さず』これ大事。
「つーか仕事しろフルボディ…」
思わず声が漏れ出たのも仕方ない。
実は下っ端─確か名前はギン─が逃げ出した時から1時間も経ってない。海軍の船の中でギンとクリークが何らかのコンタクトを取り、タイミングを見計らい船をギリギリまで近付けて狙ったとしか思えないタイミングだ。
餓死寸前のギン1人を捕らえる力くらいあったんだろ?更に時間が経った状態で捕らえることは容易な筈だし、そもそも出来なきゃ兵士として失格。完璧八つ当たりだろ。この船狙われても俺知らないみたいな。
ガキの喧嘩か。
「おうおう海賊さんよ…戦えるコック舐めるんじゃねェぞ」
「こっちこそ本職舐めるなよ?コック如きが…!」
するとオーナーのゼフさんが袋に食料を詰めてクリークの前に置いた。
「持ってけ」
どうやらコック側も揉めてる様だ。
コックの主張『海賊だから餓死しても構わねェ。騙されるくらいなら消してやる』
ゼフ達の主張『餓死を体験した事あんのかテメェら、だから食糧を提供する。だけど略奪は許さん』
私の意見含め多数決でコックさんの勝利で。
ちなみに我ら麦わらの一味は傍観中。逃げはしないが干渉する理由が無い。
これはあくまでクリーク海賊団とバラティエの問題だからだ。
本能的にか、理解せずとも察してるルフィでさえ鉛玉の警戒に回っているだけだ。ルフィが仲間思いの子に育ってくれて嬉しいよ。贅沢を言うならもう少し人格形成して欲しいかな。
「ふぅ…」
少なくとも今回に限り命の危機は無さそうだ、と思う。
関わらなければ部外者だし、ご飯を食べたとは言えど餓死状態だった海賊がそこまで強いわけではない。空腹感が無くなっただけで栄養分はまだ消化途中だろうし、数日間飲まず食わずということはふらつく事だってあるだろう。
「〝赫足のゼフ〟だな…。俺が望む物はもう一つ…、お前が
「……」
なるほど、それなりの航海士が仲間に居たようで。
あー…そう言えば聞き流してたけどクリーク海賊団は
「そもそもあの様に大きな船なれば敗北確定ぞ」
「……。なんか言ったか小娘」
「
「なんだと…?」
イラッとしたのかクリークが鋭い視線を向けてきた。
「もう一度
「ハッ、ガキがあの海の何を知ってやがる」
鼻で笑うとクリークは海で起こったことを言い始める。意図せず煽ってしまったか。まぁ、弱い者だと認識してくれてる方が有難い。
「分かるか?コンパスが狂う、方角も分からねェ、渦巻く海に、巨大な嵐──そして俺の大海賊団を潰したのはたった1人の剣士!」
「無知とはすなわち死のみ。
コンパスが狂う?島々が特殊なる磁気を帯びてるから。海がおかしき?非常識が常識の海に何を求むる。潰すた1人の剣士?戦力不足」
つーか船割れる人間何てザラにいるし。
「
せめて巨大トルネードに吹き飛ばすされてみろ、前半から後半へ一気に飛ぶぞ?風のせいで全身血まみれになる経験をしてみろ、めちゃくちゃ痛きぞ?拉致監禁されてみよ、それなりに度胸はつくぞ?」
「全てお前の経験だったら流石に引くぞ」
残念、全て事実だ。
「そんな経験程度に遭うしてない雑魚が…怖いなど戯言を抜かすするな!怨むぞ!?その程度か、と!」
論点がすり変わってる気がするけどとりあえず常識人だろう人々は絶句。
「……四皇の幹部に囲まれる度胸を付けるすてから行くしろ」
「誰だって無理だわ!」
「じゃあせめて七武海1発殴って死ね」
「死ぬこと前提かよ」
「むしろ殺れ。推奨するぞ」
「お前ホント七武海嫌いなんだな」
ほとんどのツッコミはウソップさんだが最後はゾロさんだ。
七武海嫌いな事はゾロさんとルフィには言ってるもんね。
「お前は七武海の恐怖を知らないガキだから言えるんだ」
ごめん結構知ってる。
「目を見るだけで竦み上がる…あの鷹の様な目に…ッ!」
「あァ………〝鷹の目〟ジュララララ・ミホーク」
「──絶対違う」
良いんだよニュアンスが合っていれば。
「鷹の目……ッ!」
正面の席に座るゾロさんが獲物を狙う目になった。いいぞ私が許可する、遠慮せずに殺れ。ただここには居ないから暴れないでね。
要するに『お前私の十分の一の恐怖も体験してないのに怖い怖い言うとはなんだ?てめぇそれでも海賊か?嘆いてる暇あるんなら七武海に喧嘩売ってこい』って事だ。別名八つ当たりとも言う。
──ズバァンッ!
途端、何かが斬られたような鋭い音がし一瞬呆気に取られる。
え……何事?
「っな!船が真っ二つだと!?」
外に近いクリークが慌てた声を上げる。
アハハハー…なんだろう、嫌な予感がする。
ここまで嫌な災厄が連続で来ると色んな意味で『堕天使』のせいに思えてきた。
つーかなんだよ真っ二つって!誰だよ!そんな常識を常識と思わない変人は!少なくともクリークが驚くって事はこいつ程度の海賊でも有り得ない事なんだよね!?ちょっと周りに常識人居なかったせいで常識に自信が無いけど!
「お前──どうして俺たちを狙う!なんの怨みがあるんだ!」
ドタバタと外へ駆け出したクリーク。東でもっとも強い海賊団(あくまで団が強い)の首領がビビる程の敵?
他所の海からの敵対。怨まれる自覚は全く不明。そして──つい最近クリーク海賊団を滅亡寸前に追い込んだのは…。
ダメだ、絶望的な想像しかつかない。
すると、ザワつく声の中で不思議と通る
「……暇つぶし」
「ふざけるんじゃねェぞ…ッ、
クリークに全力で同意したい。お前は甘味でも漁ってろ
「ッ!あいつが…!」
鷹の目、という言葉にゾロさんが反応して窓から外を見た。
ニヤリという効果音が付きそう。悪人面ですよゾロさん。
「お、おい…なんかアイツこっちに向かって来てないか!?」
ウソップさんの言葉にギョッとする。
なん…だと……動くなよ戦闘狂!
私と七武海の関係は個人的にものすごーーーーくバレたくないんだ!狙われるとか疑われるとか以前に面倒臭いんだよ!お前ら!
「邪魔をする」
もちろん、悪魔のささやき声が聞こえる前に慌てて机の下に隠れたよ。地震レベルの災厄だ。
「……お前が鷹の目か」
「…それがどうした、弱き剣士よ」
様子は見えないがゾロさんがミホさんに立ち向かったらしい。いいぞもっとやれ。
「そこの海賊にも、貴様にも興味は無い」
もっと興味を持てや変人剣士。
──ズリュン…ッ! ギャリッ!
「………ほう」
……ちょっと状況を説明しよっか。
飛ぶ斬撃、とやらが私の隠れていた机の中心(つまり私の元)に飛んできたんですよね。
それに対して私はゾワッと嫌な寒気がしたので咄嗟に鬼徹くんを構えましたとさ。
殺 す 気 か こ の 鷹 野 郎 。
「やはりお前は面白い…いい暇つぶしになりそうだ。木についた果実を狙うより、逃げ回る小狐を狙う方が狩りがいがあるという物だ」
これ以上口を開くなドS!
「リィン…お前まさか鷹の目と知り合いか?」
「…!?」
慌ててぶんぶん首を振る。認めるか、認めてやるものか!赤の他人、知らない人のフリをしますよ!例え手遅れだろうと!
「あくまでもその姿勢を貫くか…、それもまた良いだろう強き者よ」
「……」
「だがコチラとしてもこの姿勢は変えなどしない」
「……」
「……。師に対して無視とはいい度胸だと思」
「誰が師だ!認めぬぞ!?」
反射的にツッコんでしまった。時既に遅し。
ミホさんは面白いとばかりに目を細めて笑う、さながら愛玩動物を愛でる様に。うん、知ってる、キミ達から見て私って『玩具』とか『小動物』とかあるいは『娘』とかそんな感じだよね。
「久しぶりだな、我が同志よ」
「紛らわしき言い方をするなかれ、甘い物好き同士と言え鷹野郎が…!」
周囲はハッキリ言って絶句。
知り合いという事にも、ミホさんが笑顔を見せた事にも、私が対等に話してる事にも、甘い物好きという事にも。絶句する要素は充分わかる。その気持ちはとてもわかる。
「ミホさん、周囲の目が厳しきです」
「気にする事は無いだろう?十年来の付き合いじゃないか」
「わ、た、し、が!気にするのです!」
「……。気にしないで周りは適当に進めてくれ」
「「「「アンタらが原因だよ!」」」」
最もな意見だと思うけど私を巻き込むな。喧嘩売って追いかけ回した本人が気にすんなつったって気にするわな、そりゃ。
「お、おーいリィンさんや…」
「…何事?赤髪海賊団狙撃手ヤソップさんの1人息子ウソップさん」
「…何?」
ご丁寧に説明せんでいい!と叫び声が聞こえてきたがミホさんが一気に興味を示しましたよ。やったね!(確信犯)
「ととととと、とりあえず話を進めてくれないか…?」
うん、ウソップさんの言い分は全く的外れじゃない。
「…まぁ、そうですよね。さァ逝くですミホさん、責任の所在はキミの元にあるぞ!」
「断る」
「無理ですた」
我が道を突っ走るどころか暴走してる相手に説得なんて出来ないよね。
「鷹の目!俺と1度勝負をしてくれ!」
「………」
「『何のために』って顔してるですね」
「……己の野望を叶えるために」
「………」
「『面倒臭いけどちょっとだけなら』って顔してるですね」
「お前は翻訳機か」
この人って基本他人と会話しないもん。
「……」
今度は私に視線を向けた。『付いて来やがれ』って言いたげな目だな。顎をクイって上げるな、私は見ないぞ。絶対見ないからな…!
「仕方ない、ピンクの鳥に今から連絡を──」「──さァ!大剣豪ミホークさんと我らが剣士ゾロさんの決闘は危なき故外で行いますですよー!はりきっていこー!」
「お前はどんな弱みを握られてんだ……」
やけに落ち着いたウソップさんの声が酷く残酷に突き刺さった。
日頃の不運により身についた危機回避能力。見聞色とにているが『声』を聞くのではなく『感覚』で察知する。ある意味勘。
本日のハイライト
リィン:海賊なんてろくでなしばかりだちくしょう
ゼフ:見せ場も出番も無い空気
サンジ:ゼフ以上の空気。回想レベル
ジェルマン:フレンドリー且つデッドリー。着々と洗脳が続けられる(リィン無自覚)
ミホーク:さり気なく追い詰める天然系ドS。見聞色使えるから面白いのが見つかった☆
ゾロ:リィンに何も言われなかったしミホークには興味を持たれない可哀想
クリーク海賊団:未だ食糧にありつけず瀕死。本日の1番の被害者
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