私はこの世界に生まれて悪魔の実という物に触れたのはルフィのゴムゴムの実。
正直に言う、ゴミゴミの実だと思ってた。
打撃関連は通用しないとはいえども海賊王を目指す彼にとって戦闘は圧倒的に不向き。
その後私は海に出て色々な種類の悪魔の実を知った。
マグマや氷や光は勿論、友人も檻や煙など使い勝手の良さそうな能力を持っていた。
だからこそやはりゴムゴムの実では強さを求める点に置いて
だが現実はどうだろう。
シェルズタウンでは一撃だった為戦闘は見れず、バギー戦でも悪執事戦でもルフィと私は場所の違い故、彼の実力を目にしたことが無かった。
見聞色を使えない私には目で見た結果しか分からないんだから。
「うおりゃぁあ!」
ルフィの雄叫びをBGMに一言いわせて。
普 通 に 強 い じ ゃ な い で す か
「……。」
欠点は勿論ある。ただその欠点をカバーする生命力と根性、そしてゴムの性質を最大限利用する技。
最後の1匹を縛り終えた私は段々集まってくる観客(村の人)を無視して叫んだ。
「早く終わらせねば飯抜き!」
「それはダメだ!」
ぐ〜っと元気な音がなる。
恐らくルフィはアーロンに勝てるだろう。昔七武海にいた水人間さんが使った
ちなみに私でも避けるのは無理。速すぎな、銃弾を意図して避ける人間はもはや人間じゃないと思ってる。
「なぁリー!グンってビュンってズドーンってやるにはどうしたらいいと思う!?」
「え?あァ………気合い?」
「よしっ!分かった!」
単純ッ!
「適当な事教えるな」
「いやいやー…すいませんですた」
ゾロさんの言葉に素直に謝る。
「おかえりリィン!聞け、俺が、俺が幹部の1人を倒したんだぞ!」
「よく出来ますた〜偉いですね〜」
「……お前実は腹減りすぎてイライラしてるだろ」
バレた。
朝から何も食べてない上にもう余裕で昼過ぎてるんですよね!ちなみに原因はルフィの暴食。今朝実は(食糧)切れました。
『金の切れ目が縁の切れ目』とは言いますが私の場合『食の切れ目が袋の切れ目』
多分1食ならまだしも2食抜いたら切れる、堪忍袋が。1日丸々食べれないとか考えられない。無理、保存食ボリボリする。
一応言っておくが!何度でも言うが!私の胃袋は常人サイズだからな!ルフィが異常なんだからね!
「シャーッハッハッハ!何をする気か知らねェが、所詮種族の前にひれ伏すんだよ下等種族共が!」
高笑いを上げるアーロン。あの、9年前その下等種族に捕えられたのは誰だったかな。
「んッ、キタキタ…!」
──シュゥゥゥ…
「おいおいルフィの奴何する気だよ…」
ウソップさんが脅えるのも仕方ない、ルフィの体から煙というか蒸気が出てる。
あれは何。真っ赤っかなんだけどなんで?
「これで俺の技は一段階進化する…、さっさと終わらせる!俺もはらへった!」
「無駄な事を…ッ!」
「〝ギア
「だからなんで戦う理由が飯なんだよ、もっとあるだろ他に」
ウソップさんの冷静なツッコミが炸裂するけど興味ないのでだいたいスルー。
「このまま海に叩き落としてやる!」
アーロンの叫びに気づいた。海岸を目の前に鎮座するアーロンパークでの戦闘、つまり海が近い。
2人の立ち位置は海ルフィアーロン建物と言った順番であるからアーロンがつき飛ばせば能力者であるルフィは一瞬にして魚人のテリトリーで無力化するだろう。
「〝
ガバッと開いた口、そしてアーロンが回転しながらルフィに突撃していく。
待って、どうして空中で突進しながら横回転が出来る。常識と重力を考えてくれ頼む。
「〝ゴムゴムの
普段のピストルの何倍もの数、スピードでアーロンを技を相殺する。
いや、相殺どころかルフィの方が何倍も威力が上だ。ふぅー!兄ちゃんかっこいい〜!
「ウオオオオオオオオッ!」
吐血したアーロンには目もくれず建物を破壊していく拳。
どこまで破壊するんだよオイ。
──ドゴォンッ!
盛大な音を立ててアーロンパークが割れた。
うん、なんで人力で建造物が割れるの?
「ウチの船長人間辞めてた………」
「今更だろ」
「うん、今更」
思わず遠い目をしてしまった私と違って適応能力高い人達で羨ましい。
──ボチャン…
ボチャン?
「落ちたぁぁぁあ!?」
「落ちるた!?ウソップさんダッシュ!」
「俺かよ!」
それでも素直に従って海に飛び込んだ。私は設定上能力者だから動けません。
「オイリィン」
「何事ですゾロさん」
「ヨサクとジョニーは?」
「彼らなれば入り口辺りにいるです」
「ホントだ」
ぐびぐび酒を呑んだくるゾロさんはまるでお父さんだよ。酒くさくなるので近付かないで、苦手なの。お酒。てかマイペースだな!酔っ払いか!?
「ぷはっ!」
「ゲホッ…たずかっだウソップ…力入んねェ……」
2人が浮上して来たのでゾロさんが引き上げた。肩を貸された状態でぐたっとしている。
「ルフィ…!」
ナミさんがルフィの帽子を被ったまま駆け寄って来た。
彼女に気付いた様でルフィはふらつきながらも1人で立ってナミさんの頭にポンと手を置く。やだイケメン、多分顔もいいはず。だってこんなイケメンな行動出来る人間が不細工なわけがない。
「ナミ…勝ったぞ!」
にしし、と笑うとナミさんは困った様に笑った。
「ホントに勝っちゃうなんて……バカね、
「…!」
「ルフィ、私をあんたの船の航海士にして……私はあんた達と海を行く!世界地図をこの手で作りたいの!」
「当たり前だ!」
その顔は数時間前とは違いお互い穏やかな顔だった。
とりあえずお腹空いたな……。
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「にしてもあんた達デタラメな戦い方したわよね…」
戸惑い半分ながらもアーロンが敗れた事が村中に知れ渡り現在は月も登り宴。
夕飯に丁度いい時間帯だ。
そんな中ノジコさんが呆れた声を出す。
「魚人瞬殺、は良いとして。ハンマーで滅多打ちだとか頭突きで昏倒させるとか…」
「…俺と頭突き比べしてみるか?」
「嫌ですゾロさん」
好き好んで頭突きなどするか。
防いだ時に手の神経が一時的に使えなくなってしまったから仕方なくフェヒ爺直伝(手足が使えなくなった時の戦闘方)頭突きという手段を用いただけで正直自分も痛い。
幸いな事にどうやら石頭の様で。
「アーロン達をあそこに置いてきても良かったのか?」
「今夜私が様子見るに行くですよ、それに……絶対外れぬ様結びますたから」
「どこで習ったそんな事」
主に経験から。
何せ相手は魚人程度ではなく身体を氷に変えれる人だとか腕力がゴリラオブゴリラの人相手に縛ってたからね、ほんと、今更魚人程度が解ける程ヤワな縛り方じゃない。
「ヨサク、ジョニー」
「へい?」
「どうしました?ゾロの兄貴」
「お前らこれからどうするつもりなんだ?海のレストランまで来るのか?」
「あー、それこいつと話し合ってたんですけど」
「実は…」
ハゲ頭の方がゾロさんの耳に近付くのを見て私も自然と耳を立てる。
「ジョニーの奴がノジコ姐さんに惚れまして」
「……ほぉう?」
ニヤニヤとゾロさんが口元を歪める。
恋はいつでもバリケードだったかな、恋を理由に行動が決まるとはまた滑稽。
個人的には愛だの恋だのを理由とした慈善行動程信じられない物は無いけど、他人の恋路を見守り時に茶化し立てるのは面白いと心から思ってる。
「つー事であっし達はここに残ります。ナミの姉貴の村を復興させるのに男手は必要でしょう」
「そうか、俺が言うのもおかしいが………任せた」
「「もちろんです!」」
私はその様子を少し微笑ましく思いながら席を立った。
もちろん、アーロンとお話(物理)をしに。
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人影一つ無いアーロンパークの中央に群生する魚人のかたまり。
「早いな……」
アーロンはその中央で不機嫌そうに縛られていた、甲羅縛りだが。
「くそガキ…、この俺を見下ろすとは吐き気がする」
「生憎と、侮辱されるした我が兄にボコボコにされた魚人〝様〟を見下すして気分が良き」
「下等種族は誰であろうと下等種族だろ」
静かに怒る表現が似合う。
睨みつける眼光は鋭さをました。
「その下等種族に負けた気分は?」
「最悪だ」
吐き捨てる様に呟いた声と被って聞こえたのはにゅ〜、という間抜けた声。
「アーロンさんは悪くないんだ!俺たちはタイヨウの海賊団で人間に酷い裏切りを知った、元からこんなに怨んでた訳じゃないんだ…。実際船には人間の子供だって居て皆と仲良かったし」
「そんなものご存知ぞ」
タコの魚人が語る過去には私も聞き覚えがある。
『わしら魚人達が心酔していた──』
「──フィッシャー・タイガー」
ㅤこの魚なのか虎なのか分からない名前は。
「ッ!テメェら人間に何が分かる!大兄貴はテメェらに裏切られた…ッ!俺は復讐するんだ、この海の王者となり!敵を討つ!」
「ジンベエさんだって七武海として種族格差を埋めるため尽力し、オトヒメ様は未だに妨害されながらも
あまりにもお粗末過ぎる。
支配するなら、もっと伝手を使えばいいしアメとムチを使い分ければ簡単に済む。
それに何より、彼の行動は。
「タイガーさんの意思に反する」
「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れ!下等種族如きに分かってたまるか!俺たちの悔しさを、タイの大アニキの偉大さを!怨みを!憎しみを!」
憎しみは何も生まないとか言うけど負の連鎖を引き起こす。巻き込まれると面倒臭いし何よりしんどい。
まァここまでは触りだし私には関係ないんだけど、私の大事な事はこれからどう虐めてストレス発散するかにかかってる。精神グッダグダにしてやりたい。こんちくしょう。憎しみを生んでいくスタイル入ります。
「分からぬぞ…ただな──これを知ればジンさんは怒り狂うでしょうなー…。なァ?」
「………ジンベエアニキが」
実は過去に起こった事はほとんど知らない。ジンさんがタイガーさんやコアラさんの何を知っているのか分からないが、私は大雑把なことを知っているだけだ。本当に聞き覚えがある程度。
細かい事とお説教はジンさんに押し付、任せよう。
アニキなんだろうジンベエアニキ。略してジンニキでいいやジンニキ、一瞬頭の中で誰か別の人が黒い車に乗ってたけど浮かんだけど気にする事は無いだろう、この世界に『車』なんて便利な物は存在しないのだから。
「インペルダウンに、送る。再び」
「………思い出したぜ…、テメェインペルダウンで黄猿と居た糞ガキだろ…ッ!」
「思い出さぬとも良き事を…」
思わずため息を吐いた。
とりあえず明日の朝になれば海軍に連絡を入れて取りに来てもらおう。
この件の原因の一端である
「ひとまず船長の居ぬ内に私が制裁ぞ─」
「──する必要は無い」
聞きなれない他人の声がして心臓がはねる。慌ててフードを被り振り返った。
「そいつらは私が預かろうでは無いか」
そこにいるのは海兵だった。なんだその髪の毛は…ッ!
「私は海軍第77支部、プリンプリン准将。大人しく海賊を引渡し……貴様も縄についてもらおう」
「…断る」
「ふむ、それもそうだろうな。だが我々も名の通った精鋭部隊。抵抗すると無事ではすまないぞ?」
よりにもよって支部の准将か…。本部の准将なら信用出来るが支部に至っては信用出来ない、本部にとって少佐と同じくらいだからね。
とりあえずどうするかな…というか来るの早すぎ。なんだ…なんの縁があって来やがった!仕事早すぎなんだよ!くそう!
「チッ、アタッチャンが居たですか…」
「……その通り、貴様の船長の写真はもはや入手済みだ」
「交渉しましょう」
「…。海賊風情が交渉だと?」
ひとまず写真を手に入れなければ…、あれ、これ結構無理ゲー?諦めて
とりあえず使わない事に越した事は無い。
「海軍には、私達に借りぞ存在する」
「……話を聞く限りネズミ大佐が横領を受け取り村には大変辛い思いをさせていたようだな」
「はい、それを解決したのは…──海軍ではなく私達海賊」
「その点に関しては感謝している」
プリンプリン准将名前の割に食えない。
「そこで提案。手柄を譲る代わりに逃亡を翌朝まで見逃すてくれませぬか?」
「ホォー?名を上げるつもりが無いのか?」
「もちろん。私達は『人を助ける』という慈善行動の元動きており海賊というのは自由に航海する為のいわば偽りの身……どうでしょう?」
「…ハハッ!なるほど、そういう逃れ方もあるのか…──海賊風情が、乗るとでも思ったか」
「……」
いくら何を言おうとこの人は『海賊』としか見てない。
相手が悪すぎる…、バカ真面目なのか。
「交渉はお互い対等の場合のみ可能だ……まさか海軍と海賊が対等だとでも夢見たか?」
「…………。はァ、この相手は嫌いぞ…。負けです」
交渉すらさせてもらえない。
仕方ない、海賊の私はこの件から手をひこう。
「ですがこの場にいる私はキミ達と対等以上の立場を──」
「さァ魚人共を捕らえろ!」
「聞いて」
言葉をぶった切られて調子を狂わされる。お願いこれからだから聞いて。
「よく聞け海賊の小娘」
「うん、私の話も聞きて」
「私は特例としてキミ達を見逃そう」
「へ?」
フードの隙間からこっそり相手の顔を見る。
「だが、今の時間の内にキミの写真まで撮れたようだ」
「…っ、やばい」
「しっかり指名手配させてもらおう。キミ達の船長と海軍相手に交渉をした無謀な少女を
「〜〜〜っ!待つして!聞いて!」
「さらばだ!」
カッコつけてる所悪いけど聞いて!本当にまじで聞いて!
今私胃がはち切れそうなの我慢してるから先っちょだけでもいいから聞いて!
「私は海軍の大──」
「ハーッハッハッ!滅べ海賊!貴様らの未来は暗い!」
「聞いてぇええ!?」
元々目の前に真っ黒だからとりあえず聞いて!?
しかし無情にも准将は背を向けて去っていった。
センゴクさんが働く間もなく指名手配犯になったりしたら絶対怒る…怖い…。
「……殺す」
プリンプリン准将の減給は手回ししておこうと思う。
私は無表情で言い訳の為の手紙を書き始めた。
……私も減給かな。
アーロン海賊団不憫な話。過剰戦力というか…うん、まぁいいや。彼らだもん。
サンジの魚人戦デビューは先延ばしになりましたね!
そしてルフィの強さとイケメンを再認識。さすが公式主人公!D関係あろうがなかろうがイケメンで可愛いのに変わりはない!(どーん)
原作より軽い名言『当たり前だ!』。泣き顔と叫び声と違いお互い笑顔。しかしその様子を見守るゲンゾウさんは微妙な感じでした。
そして八つ当たりをしに行くリィン(鬼の所業)