2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第48話 海兵のお仕事ってなんだっけ

 海軍本部、マリンフォード。

 

 とある男が煙をふかしながら部屋で(くつろ)いでいると突然訪問者が現れた。

 

「スモーカー君暇そうね」

「ヒナ、テメェか。そういうお前も暇そうに見えるが?」

「さっき仕事が終わったの。どうせ部屋に居ても何もすること無いんだから別にいいでしょ?ヒナ退屈」

 

 なんでこいつは俺の部屋に、とスモーカーがため息を吐く。

 海軍本部少佐ヒナと同じく少佐スモーカーは海軍養成所からの同期で協調性に欠けるスモーカーの数少ない友人の1人だった。

 

 優等生と言われるヒナと不良と言われるスモーカーだがくされ縁という事もあり。ヒナを女として、スモーカーを男として見ない互いにどこか心地よいものを感じていた。

 その優等生がこの真昼間に酒瓶を片手に持って入ってきた。

 

「相変わらず勝手だな」

「貴方に言われたくないわ、海軍の不良海兵。不満よ不満、ヒナ大不満」

「ケッ……」

 

 すると思い出した様に2人の共通の友人が頭に浮かんだ。

 

「そういや最近あいつ見てないな」

「リィンが最近姿を見せないの」

 

 同時。

 

 お互い驚いた顔をすると情報を交換し出した。

 

「1週間くらい見てねェな」

「そうね、わたくしもそれくらいよ。そういえば昨日は鷹の目が来てたけどさっさと帰って行ったわね、ヒナ驚愕(きょうがく)

「あァ、リィンに絡んでる海賊か。つまりは本部の中の方にも居ないっつー事か、何つったっけ?──しかし、どーにも信用ならねェな海賊ってのは…」

「お茶くみ係の事かしら?それと、七武海は別に信用する必要は無いんじゃないの?わたくしだって海賊は信じたく無いわ。ヒナ拒否」

 

「お前のその語尾に自分の感情を付ける癖をやめろって何度も言っただろ」

「スモーカー君、貴方はこの世界が滅べと言うの?ヒナ驚愕(きょうがく)

「無理ってことだな…」

 

 この女のペースは疲れると思いもう1本葉巻を咥えた。

 

「貴方のその何本も葉巻を咥える癖をやめなさいって何度も言ったでしょ?ヒナ落胆」

「……………お前はこの世界が滅べと?」

 

 2人は暫く睨み合いフッと笑みをこぼした。

 

「そういえば貴方の所のたしぎちゃんいい子ね、ヒナに頂戴」

「無理だ。お前こそ部下のスパークさっさと寄越せ」

「無理ね。ヒナ拒否」

 

 

 普段なら此処(ここ)で友が『分かりましたですじゃあお2人の部下は私が貰いましょうぞ』とか言って和ますんだろうな、と思いため息をついた。

 立場は違えど友人な事に変わりは無い。

 

「静かだな……」

「そうね……」

 

 放浪癖というかひょっこり姿を表さない事は少なくは無かったが…むしろ多いがもう1週間。自ら来ないとなると別だが、わざわざ探して居るのに姿が見当たらないとなると流石に心配になる。

 

──ドタドタドタドタ…バンッ!

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…………」

 

 荒々しく開かれた扉、そこに息を切らして入ってきたのは金色の髪。

 

「リィン!」

「…!」

 

 ヒナが名前を呼び掛け、スモーカーは姿を見るとホッと安堵のため息を吐く。

 無事だった、が。様子がおかしい。

 

「スモさん……………部屋、部屋の貸し出し、後で所望……」

 

「…? 別にいいがどうした」

 

 雑用は時々雑魚寝の第1〜第9まである雑用部屋では無く、将校の個室を利用することが出来る。上に申請を出せば泊まれる事があるのだが、そうそう出るものでは無い。

 しかしリィンは良く出るのだ。

 

 まぁ自分たちにも見られたくないのか押入れなどの個室とも言えない密室空間で何かの作業をしていた。何も持ち入れて無いし持ち出して無いので謎だが2人は特に追求しなかった。ただ面倒臭いだけだったが。

 

 

「まだセンゴクさんには報告ぞ致して無きが……………

 七武海に会いに行って巨大トルネードに遭遇したと思考したならば白ひげ海賊団に拾われその上赤髪海賊団に魚人島に連れていかれ1週間竜宮城に閉じ込められ王族に囲まれながらお話ぞして時間が無いからとシャボンディで休息も取らずにマリンフォードに放り投げるがされた私の気持ち理解可能!?!?」

 

 

 

 

 無言。

 

 

 

 

 

「悪ィ、気持ち云々(うんぬん)の前に状況が理解出来ん」

「………………わたくしも、スモーカー君に同意するわ」

 

 どうやら腐れ縁は気持ちまでリンクする様だ。

 

「お腹、痛い………」

 

 その場に(うずくま)るリィンを見てスモーカーは思った。

 

「(やっぱこいつ居たら居たでめんどくせェ……)」

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 その頃センゴクは不安で堪らなかった。

 

「(でんでん虫での通話の陰に聞こえた宴の音…タダでさえトルネードに遭ったと言うのにまさか海賊の船に…………もしもそうだったら私の胃が悲鳴をあげる!)」

 

 苦労性の元帥は机の上の書類に目を通した。

 

「ただでさえコレの後始末に追われておるのに………」

 

 

 

──コンコン

 

「…誰だ」

「スモーカー少佐とヒナ少佐になりますセンゴク元帥。届け物があるのですが」

「入れ」

 

 一瞬で雰囲気を仕事モードに切り替え2人を招いたが、一気に落胆した。

 

「た、ただいまご帰還(きかん)ですぞ………」

「……………届け物はそれか」

()() 繋がりがあるのか知りませんが本人がそう言い訳をしておりましたので連れて来たまでです……失礼致しました」

「…あー…どうでもいいけどソイツ、疲労してるんで叱るとかそんなんは適当にしてやって下さい」

「スモーカー君っ!無礼よ、ヒナ驚愕!」

 

「(優等生と不良のコンビがリィンと繋がっていたとはな…不思議な組み合わせの2人だが…まァ2人ともそれなりに実力がある、ただ武力のみの人間では無さそうだな…)」

 

 リィンが「スモーカー マジ 天使」とか思ってる中センゴクはそれぞれを観察していた。

 

「それでは失礼しました!──ほら貴方も」

「へいへい…失礼しました」

 

 そう言って扉を閉めた2人が離れるのを確認するとセンゴクはリィンに問いかけた。

 

「どこに居た」

「びゃっ!…………………後半の海に」

「それは聞いた。どういった手段で帰ってきた」

「空を……飛行………」

 

 それが出来るのも知っている、問題は誰に拾われたか、だ。

 だが、知ってしまったら胃を痛める気がしてならないのでセンゴクはその尋問に静かに幕を下ろした。

 

 次の話題に進まなければならない。

 

 

「フリッツ・へイヴが倒された」

「…!きゅ、吸血鬼?でした?」

「そうか、そんなに関わりは無かったな…確か会ったのは2年ほど前だったか……」

 

「一体誰に?」

 

 リィンが一言言えばセンゴクはより一層色濃く疲労を顔に出す。

 

「新たな七武海、ドンキホーテ・ドフラミンゴだ」

「ドン、クホーテ、ドフィラムンゴ」

 

 繰り返すがうまく発音が出来ず首を傾げている姿を見てセンゴクはまた更にため息をついた。

 

「(随分と呑気(のんき)な………)……奴は天竜人に納める金(上納金)に手をかけ、七武海…しかも覇気使いを殺し、政府に脅しをかけて七武海に無理やり入った」

「……目的は安全?」

「色々な意味でな………」

 

 センゴクの様子がおかしい。リィンは気付きこれからが本番なのだと気を引き締めた。

 

「ドンキホーテ・ドフラミンゴは元天竜人だ。そして、偉大なる航路(グランドライン)後半の海のドレスローザの国王に成り代わった。()()() 暴動が起きてな」

「……は?何、え、ハイスペック?」

 

 高学歴ならず高地位 そして高収入 そして強いと。イケメンかは知らないが人類の例外ってのはめちゃくちゃだな。少しは運よこせや。

 

 リィンがブツブツ言っているのを見てセンゴクはため息を再びついた。

 

「なるべく逆撫でせんでくれよ、天竜人の大きな秘密を握っている」

「(あぁ、脅されてんのか)…把握ぞです」

 

「……本当は奴は七武海になど入れたくは無かったのだがな。もし接触する機会があれば弱点の一つや二つ握ってきてくれて構わん」

「何の怨みぞ存在するしてるです。無茶ぞり」

 

 

 仮にも少女にそんな難問をプレゼントするか。

 特に用事も無し、なんかもう色々疲れたのでそろそろリィンが退出しようとする。

 

 

 

「あァ、リィン」

「はい?」

「……おかえり」

 

「………センゴクさんフェヒ爺そっくり」

 

「奴の名は出すなぁぁぁ………!」

 

 少し素直になったのに胃を痛める思いをしてちょっと泣きそうになったセンゴクだった。

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

 リィンは部屋を出た後考え込んだ。

 

「(元天竜人に七武海で国王!?なんだそれ!チートじゃないか!)」

 

 はぁ、と思わずため息が零れる。

 

「(危険人物の情報はありがたいと思うけどそんなトップシークレットを簡単に漏らしていいのか?あれか?海軍の脳みそは穴だらけなのか?)」

 

 実際は想像以上に大将という立場が名ばかりであろうと強いという事だけなのだが、どうにもリィンは信用出来なかった。

 

「(それにセンゴクさんの異常な表情の変化。あれはきっと何かある。絶対なんかある。そして地雷な気がする!)」

 

 胃が痛くなる予感がしてこの話題に付いて考えるのはやめようと思った時

 

──プルプルプルプル…

 

「でんでん虫…何奴…」

 

──……ガチャッ…

 

「……………どなたですか」

『わらわを待たせるとは何ご…──』

「間に合ってます」

 

──ガチャッ

 

 気の所為だ。番号を教えてもいない人物から電話がかかってくる等有り得ない、気のせいだ。

 

──プルプルプルプルプルプル!

 

「ふぅ…箒ぞ直さなければ」

 

 新たなる箒を手に入れる事を諦めもういっその事集中力全開で直してやろうと思った、なるべく早めに取り掛かる方がいいだろう。

 その為にもスモーカーの部屋に行って…──

 

──プルプルプルプルプルプルッ!!

 

 早く行きたい。

 

──ガチャッ!

 

「うるさきそしてしつこき!」

『そなたが切ってしもうたのが悪いのであろう!』

何故(なにゆえ)番号ご存知!?何!?ストーカー!?」

『な、わらわを変態扱いするじゃと…!?』

「残念扱うするのは変態では無く非常識人ですた、で、ご要件は」

 

 要件をさっさと言ってもらおう、と催促するも電話の相手はそんな事関係無しにグチグチと文句を言ってくる。なんだ私の休息の時間をとってそんなに面白いか。楽しいか。

 もうそろそろ疲れた、と思い切りかけた時。

 

「フッフッフッ……」

 

 不気味な笑い声が耳に入りリィンが振り返った。

 

「こんにちは…秘密を握るお嬢ちゃん、かな?」

 

 なんかすっごい頭悪そうな服装したピンクのもふもふが居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ。もしもしセンゴクさんぞ?」

『……………今度はなんだ』

「私何やら誘拐された模様ぞりです」

『は!?』

 

 本部の雑用なのにこんなに本部に居ない雑用は史上初何じゃないか、と現実逃避をし出した雑魚は半泣きであった。

 

「(なんで私がこんな目に…………)」

 

 




ハンコック「……」
マリーゴールド「姉様どうし…──」
ハ「おのれ…っ、あの声は間違いなくドフラミンゴ…!わらわの至福の時を奪いおって…、許さないっ、末代まで呪い殺してくれるわ…!」
サンダーソニア「触らぬ神に祟なし、よね…」
マ「姉様。病気かしら……」

本編で載せるには微妙なのでツンデレハンコックをこっそりこちらに載せておきます。

リィンの密室空間での作業は書類に名前をちょろちょろ書いていくだけです。リィンの個室はありません。バレる可能性を考えての考慮です。

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